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相続税

最終更新日:2023.05.31

規模宅地等の特例を
二世帯住宅に使う要件!
区分登記や共有登記について

小規模宅地等の特例を二世帯住宅に使う要件!区分登記や共有登記について

このコンテンツでわかること

  • ■ 二世帯住宅における小規模宅地等の特例の適用要件
  • ■ 小規模宅地等の特例を適用できない二世帯住宅
  • ■ 区分所有登記から同一登記に変更する方法

被相続人(亡くなった人)の相続財産に自宅がある場合、配偶者や同居親族が相続すると小規模宅地等の特例を適用できるケースがあります。小規模宅地等の特例では330㎡までの自宅敷地の評価額が80%減額になるため、地価の高いエリアの自宅を相続したときは大きな節税効果を得られるでしょう。

ただし、区分所有登記された二世帯住宅で親の居住部分を相続する場合、小規模宅地等の特例を適用できないケースがあることには注意しなければなりません。構造的には親子が同居している二世帯住宅でも、権利関係では別世帯になってしまうことがあるため、所有権をよく確認しておく必要があります。

今回は、二世帯住宅に小規模宅地等の特例を適用する要件や、よくある質問などをわかりやすく解説します。

二世帯住宅における小規模宅地等の特例の適用要件とは?

子どもが二世帯住宅を相続する場合、以下の要件を満たせば小規模宅地等の特例を適用できます。

  • 親が亡くなる前から同居している

  • 家賃が発生していない

  • 自宅の敷地の所有権が親にある

  • 相続税の申告期限まで居住している(相続開始を知った日の翌日から10カ月以内)

  • 建物が区分所有登記されていないこと(すべて親名義になっていること)

2014年の税制改正で変わった二世帯住宅の考え方

二世帯住宅には以下のように完全分離型と非分離型があり、かつて完全分離型は小規模宅地等の特例を適用できませんでした。

  • 完全分離型:建物内部がつながっておらず、玄関も別々になっているタイプ

  • 非分離型:建物内部がつながっているタイプ

しかし、2014年1月1日の税制改正により、区分所有登記されていない完全分離型の二世帯住宅にも小規模宅地等の特例を適用できるようになりました。

つまり、建物の構造ではなく、所有権を確認しなければ小規模宅地等の特例を適用できるかわかりません。構造的に内部で行き来ができなくても、区分所有登記されていなければ特例を適用できます。

区分所有登記の二世帯住宅では小規模宅地等の特例は適用できない

1棟の建物でも、居住部分を区分所有登記している場合は、小規模宅地等の特例を適用できません。一方、土地・建物を共有名義で登記していた場合は、被相続人の共有持分が小規模宅地等の特例の対象になります。具体例は以下を参考にしてください。

区分所有登記の建物

二世帯住宅の場合、区分所有登記がなされていて別々の区分に居住している場合、同居とはみなされず、小規模宅地等の特例が適用できません。

なお、区分所有登記されている場合は、親子が別々に住宅ローン控除を利用できます。固定資産税などの減額措置も別々に受けられるため、親の財産に相続税がかかる可能性が低く、小規模宅地等の特例を適用しない場合など、区分所有登記した方がよいケースもあります。

共有名義での登記の建物

共有名義での登記とは、一つの不動産に対してそれぞれの持分割合に応じた所有権を設定する登記方法です。建物の持分割合は建築費の負担割合に応じ、例えば、建築費5,000万円のうち親が3,000万円、子どもが2,000万円負担した場合、親子の持分割合は以下のようになります。

  • 親の持分割合:3/5

  • 子どもの持分割合:2/5

二世帯住宅を親子で、共有名義で登記している場合は、同居扱いとなり、小規模宅地等の特例を適用できます。

2棟の建物を渡り廊下でつなげているケース(同じ敷地内に2棟の家屋がある場合)

同じ敷地内にある被相続人の所有する2棟の建物を渡り廊下でつないでいる場合、被相続人と子どもがそれぞれ別の棟で生活をしているか、生計が別か、子どもが「家なき子特例」に該当するかどうかで小規模宅地等の特例を敷地全体に適用できるのか、それとも敷地の一部のみの適用になるかが変わってきます。

被相続人の配偶者がすでに亡くなっており、以下の条件を満たす場合は、「家なき子特例」に該当し、被相続人の自宅敷地に小規模宅地等の特例を適用できます。

  • 相続開始直前に被相続人と同居する親族がいない

  • 相続開始前3年以内に被相続人の自宅敷地を相続した本人や、その配偶者、親族、同族会社が所有する建物に住んでいない

  • 相続開始時に住んでいた家屋を過去に所有したことがない

被相続人と生計が一である親族の自宅敷地を生計が一である親族が取得した場合、生計が一である親族の自宅敷地に小規模宅地等の特例を適用できます。

<家なき子に該当し、生計が別の場合>

被相続人の自宅敷地に小規模宅地等の特例が適用できます。子どもが居住していた建物敷地には小規模宅地等の特例を適用できません。

<家なき子に該当し、生計が一の場合>

被相続人の自宅敷地と、子どもが居住していた建物敷地の両方に小規模宅地等の特例が適用できます。

<家なき子に該当せず、生計が別の場合>

被相続人の自宅敷地と、子どもが居住していた建物敷地の両方に小規模宅地等の特例が適用できません。

<家なき子に該当せず、生計が一の場合>

被相続人の自宅敷地には小規模宅地等の特例を適用できませんが、子どもが居住していた建物敷地に小規模宅地等の特例を適用できます。

区分所有登記から同一登記に変更する方法

区分所有登記された建物を建物合併登記によって、一つの建物として登記するには以下のような流れになります。

片方が贈与をし、単独所有者にして建物合併登記を可能に

区分所有登記された建物を一つの建物として合併登記するには、「建物の所有権の登記名義人の住所・氏名・持分」がすべて同一であることが要件となります。

例えば、二世帯住宅の1階を親が100%所有し、2階を子どもが100%所有している場合、1階と2階の所有者が異なるため、建物合併登記はできません。このとき、親が所有する1階を子どもへ贈与すれば、1階と2階の所有者は子どもになるため、建物合併登記で一つの建物として登記することができます。

建物合併登記は抵当権の設定に注意

例えば、二世帯住宅の1階を親が50%・子どもが50%、2階を親が50%・子どもが50%の共有所有なら、それぞれの持分が同じであるため、建物合併登記することができます。ただし、抵当権が設定されている場合、日付や受付番号など同じ内容の抵当権である必要があります。

持分の移転は贈与税の課税対象になる

建物合併登記をするためには、所有者が同じで、持分も同じである必要があります。持分を揃えるために親から子どもへ移転した場合などは、贈与とみなされる可能性があります。持分の移転によって不動産取得税も発生するため、登記内容を変更するときは税理士に相談することをおすすめします。

二世帯住宅の小規模宅地等の特例でよくある質問

二世帯住宅に小規模宅地等の特例を適用するときは、以下のよくある質問も参考にしてください。

小規模宅地等の特例を適用すると、相続人全員が80%減額になる?

小規模宅地等の特例を適用しても、相続人全員の取得財産が80%減額になるわけではありません。例えば、親の自宅を長男が相続し、次男が農地を相続した場合、小規模宅地等の特例を適用できるのは長男だけになります。

ただし、相続税は土地や建物、預貯金などを含めた遺産総額を法定相続分で分けた額に税率をかけて一家の税額を計算し、この税額を実際の財産取得割合で按分して個々人の納税額を計算します。小規模宅地等の特例を適用すると課税遺産総額が小さくなり、一家の税額が低くなるため、相続人全員の相続税額も低くなることになります。

二世帯住宅に小規模宅地等の特例を適用したときの相続税はどう計算する?

以下の条件で二世帯住宅を相続する場合、相続税がいくらになるか計算してみます。

  • 父の居住部分が1階、子どもの居住部分が2階の二世帯住宅

  • 敷地面積300㎡

  • 敷地の相続税評価額は1億円

  • 敷地の所有者は父

  • 子どもが1人で父の自宅を相続する(父の配偶者(母)はすでに死亡)

  • 相続税は土地のみで計算

【区分所有登記がされていない二世帯住宅であるため、小規模宅地等の特例を適用】

  • 計算式

  • 敷地の相続税評価額:1億円×(1-0.8)=2,000万円

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除額:3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円

  • 計算式

  • 相続税の課税遺産総額:2,000万円-3,600万円<0円(マイナスの場合0)

相続税の課税遺産総額が基礎控除額以下になるため、相続税は0円になります。なお、小規模宅地等の特例を適用しなかった場合は、以下のように相続税がかかります。

【区分所有登記がされているため、小規模宅地等の特例の適用なし】

  • 計算式

  • 敷地の相続税評価額:1億円

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除額:3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円

  • 計算式

  • 相続税の課税遺産総額:1億円-3,600万円=6,400万円

  • 計算式

  • 相続税:6,400万円×税率30%-控除額700万円=1,220万円

小規模宅地等の特例を適用するか否かで、課税遺産総額は大幅に変わります。

小規模宅地等の特例を適用した後は引っ越しても構わない?

小規模宅地等の特例を適用して居住用宅地等を配偶者以外の者が相続した場合、最低でも相続開始から10カ月間は住み続けなければなりません。住んでいるかどうかは実態によって判断されるため、住民票は小規模宅地等の特例を適用した住居にあるものの、実際に住んでいる住居は別の場合、特例を受けられない可能性があります。

「居住の実態までは税務署も把握できないのでは?」と思われるかもしれませんが、水道光熱費などの支払い状況の確認や、近所への聞き込み、購入した通勤定期券の経路を確認されることもあります。

まとめ

二世帯住宅の相続に小規模宅地等の特例を適用する場合、登記事項証明書を取得して建物の所有権を確認しましょう。また、登記の状態は固定資産税課税明細書でもわかります。1棟の建物でも家屋番号が2つあれば、区分所有登記されている可能性が高いでしょう。

区分所有登記を解消すると小規模宅地等の特例を適用できますが、解消には手続きがかなり複雑になるため、通常、土地家屋調査士に建物合併登記を依頼します。土地の相続税評価額も正確に計算する必要があるため、相続専門の税理士の協力も必要になるでしょう。二世帯住宅が区分所有登記されていたときは、専門家の意見も参考にすることをおすすめします。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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