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相続税

最終更新日:2024.04.30

亡3年~7年以内の贈与は
相続税の課税対象になる?
ならないケースとは?

死亡3年~7年以内の贈与は相続税の課税対象になる?ならないケースとは?

このコンテンツでわかること

  • ■ 死亡3年~7年以内の贈与が相続税の課税対象になる基準
  • ■ 死亡3年~7年以内の贈与でも相続税の課税対象にならないケース
  • ■ 孫への贈与が生前贈与加算の対象になるケース
  • ■ 死亡3年~7年以内の贈与に対して贈与税を払っていたときの対処法

相続税対策として、生前贈与はポピュラーな対策方法のひとつです。財産を贈与すれば相続発生時の財産が少なくなり、相続税額を抑えることができるからです。財産を全て贈与してしまえば相続税はかかりませんが、それでは相続税の存在意義が問われます。過度な節税対策を防止するため、贈与税率は相続税率よりも高く設定されており、死亡前3~7年以内の贈与があった場合、相続税を計算するときに相続財産に加算するルールとなっています。

生前贈与の加算を忘れると、相続税の無申告や過少申告となり、追徴課税になる可能性があるので注意しましょう。

今回は、死亡前3~7年以内の贈与について、相続税の課税対象になるケースや、ならないケースをわかりやすく解説します。

死亡3年~7年以内の贈与は相続税の課税対象になる?

相続税には生前贈与加算のルールがあるため、2023年末までに死亡前3年以内の贈与があった場合、原則として相続財産に加算しなければなりません。また、2024年1月1日以降の贈与であれば、生前贈与加算の対象期間が7年に延長されます。

2027年1月1日までに相続が発生した場合、生前贈与の持ち戻しは3年です。2027年1月2日以降に相続が発生すると持ち戻し期間が3年を超えることになり、死亡前7年間の贈与がすべて相続財産に加算される相続発生時期は、2031年1月1日以降です。

なお、暦年贈与には年間110万円の基礎控除があり、1年間の贈与が110万円以下だったときは、贈与税は非課税ですが、相続税計算にあたり生前贈与加算は基礎控除の部分も対象になります。

生前贈与加算の7年ルールには経過措置がある

生前贈与加算の対象期間が7年に延長されると、贈与契約書や預金通帳などの保管期間も長くなるため、納税者の事務負担が大きくなってしまいます。

そこで、延長された4年間(死亡前4~7年の間)の贈与については、総額100万円まで相続税の対象としない措置も設けられています。

贈与が相続にかかわってくるケース

生前贈与加算の対象者は以下のようになっており、法定相続人以外が含まれる場合もあります。

  • 死亡保険金などを受け取った人

  • 遺贈や相続によって財産を受け取った人

  • 相続時精算課税制度で贈与を受けた人

相続時精算課税制度の利用開始時期によっては、相続時精算課税制度適用前の暦年贈与も相続財産に加算する場合があるので、以下の解説を参考にしてください。

死亡保険金などを受け取った人

死亡保険金や死亡退職金などは、民法上の相続財産ではありませんが、「みなし相続財産」といい、相続税の課税対象になっています。

また、相続人ではない人が死亡保険金などを受け取ると、遺贈によって取得したとみなされ、遺言書による財産取得と同じように扱われます

みなし相続財産を取得した場合、被相続人の死亡前3~7年以内の贈与も受けていると、相続財産に加算する必要があります。

遺贈や相続によって財産を受け取った人

遺言書による遺贈で財産を取得する場合、原則として生前贈与加算の対象者になります。

遺贈は第三者にも財産を渡せるため、法定相続人以外の人で遺贈を受けた人は、死亡前3~7年以内の贈与を受けていたとき、相続財産に加算しなければなりません。相続放棄した人が死亡保険金を受け取った場合、遺贈を受けたことになり、生前贈与加算の対象となります。この場合、死亡保険金の非課税枠は使えないため注意してください。

相続時精算課税制度で贈与を受けた人

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母が18歳以上の子供や孫へ贈与する場合、累計で2,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。

ただし、相続時精算課税制度を選択して贈与されると、1年間に贈与された財産から110万円の基礎控除を引いた残額が相続財産を構成し、相続税の課税対象になります。

暦年贈与で贈与者が亡くなる3年前に110万円を受け取り、その後、2年に渡り相続時精算課税制度で2,500万円を受け取った場合、2,390万円を相続財産に含めて相続税を計算することになります。

死亡3年~7年以内の贈与でも相続税の課税対象にならないケース

被相続人の死亡前3~7年以内に贈与を受けた場合でも、以下のようなケースでは贈与分が相続税の課税対象になりません

直系尊属(父母や祖父母)から直系卑属(子供や孫)への贈与や、夫婦間の贈与で一定のものは、生前贈与加算しなくてもよい場合があります。

住宅取得資金などの贈与

子供や孫が直系尊属から住宅取得資金などの贈与を2026年12月31日までに受けた場合、500万円または1,000万円まで非課税になる特例があります。贈与者が亡くなる3~7年前に贈与を受けていても、相続財産に加算する必要はありません

教育資金の一括贈与

直系尊属が30歳未満の子供や孫に教育資金を一括贈与すると、最大1,500万円までが非課税になり、教育資金として使用した分は相続財産に加算は必要ありません。使い切らなかった残額は贈与者死亡時に受贈者が23歳未満または、学校や教育訓練を受けている場合、相続財産への加算は不要となりますが、贈与者に係る相続税の課税価格の合計額が5億円超の場合、相続財産に含めます。

塾や習い事の場合は500万円まで非課税になりますが、目的外の使い道だったときは贈与税がかかるので注意が必要な特例です。

制度の適用期間は2026年3月31日までになっているので、子供や孫の教育資金を支援したい方は、早めに利用するとよいでしょう。

結婚・子育て資金の一括贈与

直系尊属が18歳以上50歳未満の子供や孫へ結婚費用や子育て資金を贈与した場合、最大1,000万円までが非課税です。また、結婚・子育て資金の一括贈与についても、相続発生までに使用した分については生前贈与加算の対象にはなっていません。使い切らなかった残額は相続財産に含めます。

本来は2023年12月31日に終了する制度でしたが、税制改正によって2025年3月31日まで適用期間が延長されています。

贈与税の配偶者控除を適用した贈与

婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与したときや、居住用不動産の購入資金を贈与した場合、贈与税の配偶者控除によって最大2,000万円まで非課税になります。贈与税の配偶者控除を適用した贈与であれば、贈与者の死亡前3~7年以内であっても、相続財産に加算する必要がありません

生前に居住用不動産を贈与すると不動産取得税がかかり、登録免許税の税率も相続時に比べて高くなるので、利用の際には十分な検討が必要でしょう。

被相続人の配偶者は相続時に「配偶者の税額軽減」を適用できるため、1億6,000万円まで、または法定相続分のどちらか多い方まで相続しても非課税ですので、相続での取得の方が、税負担が軽くなることがあります

孫への贈与

祖父母が孫へ贈与する場合、生前贈与加算は適用されません。生前贈与加算は相続又は遺贈により財産を取得した者に対して行われます。孫は相続人ではないため、生前贈与加算の対象外です。

ただし、孫への贈与であっても、相続財産への加算が必要になるケースがあります。具体的に見ていきましょう。

孫への贈与が生前贈与加算の対象になるケース

孫への贈与は生前贈与加算の対象外ですが、相続時の状況によっては、贈与した額を相続財産に加算しなければなりません。具体的には以下のようなケースが該当するので、財産の渡し方をよく考えておく必要があるでしょう。

遺言書で孫に遺贈する場合

遺言書で孫に財産を遺贈した場合、生前贈与加算が必要になります。祖父母が亡くなる前3~7年以内に贈与していると、孫は遺贈された財産に生前贈与分を加算した財産に相続税が課税されることになるので注意しましょう。

また、遺言書で孫が相続で財産を取得すると、代襲相続人でない場合、相続税の2割加算も適用されます

孫が代襲相続人になる場合

代襲相続とは、被相続人よりも先に相続人(例えば被相続人の子供)が亡くなっている場合、その相続人の子供(被相続人の孫)がいるときは、相続権を引き継ぐ制度です。

代襲相続した孫は第1順位の法定相続人になるため、祖父母が亡くなる前の3~7年以内に贈与を受けていると、相続財産に加算する必要があります。ただし、代襲相続の場合、相続税の2割加算は適用されません

孫が死亡保険金などの受取人になっている場合

代襲相続人でない孫が死亡保険金を受け取った場合は遺贈をうけたものとみなされるため、祖父母から死亡前3~7年以内の贈与を受けていると、相続財産への加算が必要です

なお、死亡保険金や死亡退職金には以下の非課税枠がありますが、代襲相続人でない孫は非課税枠の適用を受けることができません。

  • 計算式

  • 死亡保険金や死亡退職金の非課税枠:500万円×法定相続人の数

孫は法定相続人ではないため、非課税枠の計算の人数には含められません

孫と養子縁組している場合

養子縁組した孫を法定血族といい、養親の祖父母が亡くなったときは第1順位の法定相続人になります。

養子の孫は実子と立場が変わらないため、養親の死亡前3~7年以内に贈与を受けていると、相続財産に加算しなければなりません。

なお、孫を養子にすると以下の基礎控除が上がるため、贈与の額が600万円までであれば生前贈与加算により税額が増えることはありません。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

実子がいる場合、養子は1人分のみ法定相続人の数に含められますが、実子がいないときは2人まで法定相続人の数に含められます。実子が2人、養子が1人の場合、相続税の基礎控除は4,800万円になるので、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。

死亡3年~7年以内の贈与に対して贈与税を払っていたときの対処法

被相続人の死亡3~7年以内に贈与を受けており、その際に贈与税を払っていた場合は、相続税から控除を受けられますが、相続税より贈与税の方が高額だった場合、贈与の方法によって還付が受けられるかどうかが異なります。

暦年贈与の場合の対処法

暦年贈与で贈与税を払っている場合、相続税から納付済みの贈与税を差し引きます。たとえば、被相続人の死亡前3~7年以内に300万円の贈与税を払っており、50万円の相続税が発生する場合、相続税の納付は発生しません。差額の250万円は還付されません。

相続時精算課税制度の場合の対処法

相続時精算課税制度で贈与した場合、贈与した額をすべて相続財産に加算し、ひとまず相続税がいくらになるか計算します。次に相続税から納付済みの贈与税を差し引くので、二重課税にはなりません

なお、暦年贈与と異なり、相続時精算課税制度の場合は、相続税よりも贈与税を多く払っていたときに差額を還付してもらえます。たとえば、納付済みの贈与税が300万円で、相続税が200万円になる場合、差し引き100万円が還付されます。

まとめ

生前贈与は有効な節税対策になるため、計画的に財産を移転すると、相続税を低く抑える効果があります。ただし、被相続人の死亡前3~7年以内の暦年課税贈与であれば、相続財産に加算する必要があるので注意が必要です。

2024年1月1日以降の贈与は生前贈与加算の期間が7年になり、贈与契約書なども長期保管しなければなりません。なお、相続時精算課税制度には基礎控除が創設されました。また、誰に贈与するかで生前贈与加算のある・なしが変わるため、贈与する前に相続専門の税理士に相談しておくとよいでしょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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