相続税の申告・納税期限
相続税の申告・納税期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」です。
一般的には、「被相続人が亡くなった日」と「相続の開始があったことを知った日」は同日ですが、死亡の事実を遅れて知ったときは、その日の翌日から10カ月後が申告・納税期限となります。
10カ月後の期限日が土日や祝日、12月29日から1月3日までの年末年始と重なった場合は、税務署の翌開庁日が申告・納税期限となります。
なお、相続税の申告期限には法人税のように延長措置がないため、災害などやむを得ない理由がない限りは期限後の申告・納税はペナルティーが発生します。
相続税の期限後申告をするリスク
相続税の申告・納税期限を過ぎると、以下のペナルティーが発生するため注意が必要です。
無申告加算税が発生する
相続税の申告・納税が期限後になった場合、正当な理由がなければ無申告加算税が発生します。相続税の本税に対し、以下の税率で無申告加算税が加算されます。
【税務調査の通知前に自主申告】
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計算式
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相続税額×5%
【税務調査の通知後から調査にて指摘を受けるまでの自主申告】
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計算式
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相続税額の50万円以下の部分×10%
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相続税額の50万円超~300万円以下の部分×15%
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計算式
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相続税額の300万円超の部分×25%
【税務調査で指摘された後の申告】
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計算式
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相続税額の50万円以下の部分×15%
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計算式
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相続税額の50万円超~300万円以下の部分×20%
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計算式
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相続税額の300万円超の部分×30%
延滞税が発生する
相続税の納税が期限に間に合わなかった場合、以下の年率で延滞税が発生します。
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計算式
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納期限の翌日から2カ月以内:相続税の本税×年利2.4%(原則税率は7.3%)
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計算式
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納期限の翌日から2カ月経過後:相続税の本税×年利8.7%(原則税率は14.6%)
納期限から2カ月経過すると年率が約3.6倍になるため、できるだけ早めに納税を済ませましょう。申告・納税ともに期限を過ぎたときは、無申告加算税と延滞税の両方が課税されるため要注意です。
なお、延滞税の年率は2024年12月31日までのものとなっており、2025年1月1日以降は変動する可能性があります。
相続税の申告期限に間に合わないときの対処法
相続税の申告期限を守るべきであることは認識していても、遺産分割協議が難航して分割が決まらず、申告期限に間に合わない場合などはどうすればいいのでしょうか。
申告書に申告期限後3年以内の分割見込書を添付する
相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらないときは、相続税申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、未分割のまま申告・納税してください。
ひとまず未分割で申告しておけば、無申告加算税や延滞税はかかりません。未分割の場合、配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)や小規模宅地等の特例の適用はできません。相続税額は、法定相続分で取得した場合の税額となります。
申告期限から3年以内に遺産分割協議が成立し、特例などを適用して再計算したところ、当初納税した相続税の方が多く、納め過ぎていた場合には、更正の請求で納め過ぎた相続税を還付してもらえます。
ただし、相続税の総額が変わらない場合は、相続人同士で税負担の配分を調整しても構いません。また、当初の税額が少なかったときは、修正申告によって不足分を追加納付します。
相続税の申告期限まで分割が決まらなくても、期限後に特例や税額控除を適用する方法
小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)を適用せずに当初申告をした場合でも、その後の修正申告で小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を適用できます。
相続税の申告期限後に配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)を適用する方法
申告期限内のアクションが重要です。申告期限内に相続税申告書と「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出し、遺産分割の成立後に更正の請求を行う場合は、配偶者の税額軽減を適用できます。
遺産分割協議が長期化するときは、ひとまず配偶者の税額軽減は適用できませんが、未分割で申告しておきましょう。
3年以内に相続財産の取得者がすべて決まったときは、遺産分割の確定日から4カ月以内に更正の請求を行うと、納め過ぎた相続税が還付されます。期限後申告をしたときのようなペナルティーは科されません。
相続税の申告期限後に小規模宅地等の特例を適用する方法
小規模宅地等の特例についても、相続税の申告期限内に申告書と「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておけば、申告期限後でも小規模宅地等の特例を適用できます。
遺産分割協議が難航したときは、ひとまず税務署に未分割申告し、相続人の確定後に更正の請求を行いましょう。
相続税の申告を期限内に行う方法
相続税の期限後申告にはペナルティーがあるため、以下の点を心掛けるとよいでしょう。
法定相続人を早めに確定させる
法定相続人を早めに確定させると、遺産分割協議を余裕をもって行うことができ、相続税申告に間に合う可能性が高まります。
法定相続人は戸籍調査で確定させるため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を集めておきましょう。
家族に知らされていなかった養子などがいる場合も、遺産分割協議に参加してもらう必要があるため、早めに本人と連絡を取ってください。
相続財産の総額を早めに確定させる
相続財産の総額が確定すると、相続税の総額が計算できます。
相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらず、未分割で申告した場合、遺産分割協議の成立後に、当初申告と相続税の納税額の総額が変わらなければ修正申告や更正の請求は不要です。
未分割での申告後に各自の相続税が確定したときは、相続人同士で税負担を調整しておきましょう。
財産評価を税理士に依頼する
相続財産の評価額がわからず、相続税申告書を作成できないときは、税理士に財産評価を依頼することをおすすめします。
不動産や非上場株式、投資信託などは評価額計算が複雑です。評価額の計算ミスによって過少申告になった場合、過少申告加算税が発生するため注意が必要です。
税理士に財産評価してもらうと、相続税申告までの流れがスムーズになり、場合によっては土地の相続税評価額を引き下げてもらえるでしょう。
まとめ
相続税の申告・納税期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」です。
期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が発生するため、遺産分割協議がまとまらないときは、必ず「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出してください。
ひとまず申告期限内に未分割で申告し、3年以内に修正申告や更正の請求を行うと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例をさかのぼって適用できます。相続人の確認や財産の確定、財産評価などに困ったときは、相続を専門とする税理士に相談してみましょう。



