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相続税

最終更新日:2021.04.20

続した不動産の相続税評価額は?
土地・建物の計算方法や
注意点を解説

相続した不動産の相続税評価額は?土地・建物の計算方法や注意点を解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続した不動産の相続税評価額
  • ■ 評価額を下げて相続税を抑えるポイント
  • ■ 不動産を相続した際の注意点

税制改正によって基礎控除額が縮小され、相続税申告や納税の対象となる人が増えています。

我が家は相続税がかかるかどうか知りたいと思っても、相続する財産に不動産が含まれていると、どうすればよいかわからず対応に困っている人も多いようです。

そこで今回は、相続した不動産の評価方法や、相続税の計算方法について、特例や税額控除なども含めて解説します。

財産は時価で評価する

相続税の計算では、被相続人(亡くなった人)が亡くなったときに所有する財産の総額を、そのときの時価で算出する必要があります。預貯金や上場株式などの時価はわかりますが、土地や建物といった、時価のわからないものはどうすればいいのでしょうか。以下では、土地と建物それぞれの評価方法について解説します。

土地の評価方法

土地は一物四価といわれ、「実勢価格」「公示価格」「固定資産税評価額」「相続税評価額」の、四つの価格があることで知られています。

実勢価格とは、不動産を売買するときに実際に取引された価格のことです。公示価格は、国土交通省が公表している土地の価格の指標となるものです。

固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税、不動産取得税などの不動産関連の税金を課税する際に基準となる評価額です。固定資産税評価額は公示価格の70%を目安に決定されます。

相続税評価額は、相続税や贈与税の課税を目的とした価格です。相続税評価額は公示価格の80%が目安とされています。

固定資産税評価額に1.1を掛けることで、自分の所有する土地が相続のときにどのくらいの価額になるのか、ざっくりと把握できますが、相続税の申告書を作成するときには国税庁の公表している「財産評価基本通達」に従って評価をする必要があります。

土地の相続税評価額の計算方法

土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。

路線価方式

路線価方式は、国税庁によって路線価が定められている地域の評価方法で、路線価とは路線(道路)に面する1㎡当たりの価額のことをいい、路線価図により確認します。

路線価方式の評価額は、土地の形状等による各種の補正率と面積により、下記の計算式で計算します。

  • 計算式

  • 土地の評価額=路線価×補正率×面積

なお、各種の補正率には、次のようなものがあります。

  • 奥行価格補正率

  • 側方路線影響加算率

  • 二方路線影響加算率

  • 間口狭小補正率

  • 奥行長大補正率

  • 不整形地補正率

その他、地積規模の大きな宅地や無道路地、がけ地、私道、セットバックを必要とする土地などもそれぞれ補正があります。

倍率方式

倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法で、市区町村が定めた固定資産税評価額に一定の倍率を適用して、下記の計算式で計算します。

  • 計算式

  • 土地の評価額=固定資産税評価額×倍率

建物の相続税評価額の計算方法

建物の評価方法は、固定資産税評価額に1.0を掛けて計算するため、固定資産税評価額と同額となります。

  • 計算式

  • 建物の評価額=固定資産税評価額×1.0

ただし、被相続人が亡くなったときに建築中の建物の場合には、固定資産税評価額が付けられていないため、建物の費用の70%相当額が評価額となります。

他人に貸している不動産は評価額が減額される

他人に貸している不動産は、所有者の自由にならないため、評価額が下がります。土地を貸している場合、更地価格から借地権価格を差し引くことができます。所有する土地に建築したアパートやビルなどを人に貸している場合も同様に、貸家建付地として土地の評価額が下がります。

相続税を抑えるポイント

土地は、形状や利用状況に応じて評価方法が異なり、評価額が変わってきます。

適用できる減額補正がないか確認する

たとえば、土地が接している道路からの奥行きが長すぎると土地の使い勝手が悪くなるため、その分土地の評価額は下がります。奥行きが短すぎる場合も同様に、土地の評価額は下がります。このような場合、奥行価格補正率を乗じることで土地の評価額を下げることができます。

補正率には増額補正もある

土地が複数の道路に接している場合、接している道路が1本のときよりも土地の使い勝手がよくなります。そのため、増額補正によって評価額が上がることになります。

地積規模の大きな宅地に該当するか確認する

地積規模の大きな宅地の評価とは、三大都市圏は500㎡以上、それ以外の地域では1,000㎡以上の大きな面積の場合、評価額を計算する際に約70~80%の規模格差補正率が適用されて評価額が下がります。

地積規模の大きな宅地は、戸建住宅分譲用地として開発行為を行う場合には、道路などの公共公益的施設を作る必要があり、潰れ地が発生するため、すべての土地を宅地として使用できるわけではありません。したがって、その潰れ地を考慮した評価方法となっています。

なお、地積規模の大きな宅地の評価の対象となる宅地は、路線価地域の場合、普通商業・併用住宅地区および普通住宅地区に所在することが要件となっています。倍率地域の場合は、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。

小規模宅地等の特例を適用できるか確認する

小規模宅地等の特例とは、被相続人が事業用や居住用などに使用していた宅地のうち、一定の面積を限度として、土地の評価額を減額できる制度です。

ただし、居住用の場合には、被相続人と同居していた親族など、宅地の取得者ごとに細かい要件があるため、申告する際は注意が必要です。

区分 限度面積 減額率
特定居住用宅地等 330㎡ 80%
特定事業用宅地等 400㎡ 80%
特定同族会社事業用宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 200㎡ 50%

参考元:国税庁

たとえば、被相続人と同居していた親族が、300㎡で評価額1億円の宅地を相続する場合、相続税の計算上は2,000万円の評価額となります。

なお、居住用の宅地に特例を適用するには、被相続人がその宅地に住んでいたことが要件となりますが、亡くなったときに老人ホームに入居していた場合は、亡くなったときに要介護認定や要支援認定を受けており、老人ホームに入居する直前の住まいが特例の適用対象となる宅地であれば、小規模宅地等の特例を適用できます。ただし、老人ホームへの入居後、生計が別の親族が引っ越してきたり、他人に貸し出したりしている場合は、小規模宅地等の特例を適用できません。

家なき子の特例

家なき子の特例とは、小規模宅地等の特例において居住用の宅地を、被相続人と同居していない親族が取得した場合でも、次の要件をすべて満たすときは、小規模宅地等の特例を適用できるというものです。

  • 被相続人に配偶者および同居する相続人がいない(被相続人が独身で一人暮らしである)

  • 相続開始前3年以内に特例適用宅地取得者およびその配偶者の持ち家に居住したことがない(特例適用宅地取得者である相続人等が賃貸物件に居住している)

  • 相続開始前3年以内に特例適用宅地取得者の三親等内の親族、または特例適用宅地取得者と特別の関係がある法人が所有する家屋に居住したことがない(親族や関係の深い法人が所有する賃貸物件に住んでいない)

  • 相続開始時に、特例適用宅地取得者が居住する家屋を過去に所有していたことがない・取得した被相続人の居住用の宅地を相続税の申告期限まで所有している

不動産を相続したときに注意すべきこと

相続により不動産を取得したときは、次のことに注意します。

  • 共有分割にすると権利関係が複雑になる

  • 相続登記の手続きが必要になる

  • 取得したあと、維持費と管理負担がかかる

共有分割にすると権利関係が複雑になる

相続による不動産の取得時に、兄弟姉妹で共有分割をすると、兄弟姉妹それぞれに子供や配偶者がいる場合、その後に売買や贈与などの何らか措置をとらない限り、不動産の共有状態は解消されません。のちのちのことを考えると単独所有にした方がよいでしょう。

相続登記の手続きが必要になる

不動産を相続したときは、速やかに相続登記をする必要があります。

相続登記を行わないと、第三者に対して所有権を主張できず、不動産を売却することもできません。2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得した人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。

取得したあと、維持費と管理負担がかかる

不動産を所有すると、毎年、固定資産税がかかります。また、家屋のメンテナンス費用を捻出したり、土地に生える草木が隣地に及ばないように手入れをしたりする必要があります。

取得した不動産が賃貸物件の場合は賃料収入を得ることができますが、毎年、所得税の確定申告をする必要があり、さらに物件管理の手間や費用がかかることになります。

まとめ

今回は、不動産を相続した場合の評価方法や注意点などを解説しました。

不動産を取得して財産が増えるのは嬉しいことですが、相続税の負担や不動産の維持管理など、不動産の所有者として果たすべき義務も発生することになります。相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内と定められており、10カ月はあっという間に過ぎてしまいます。相続による不動産の評価や相続税の申告手続きなど、不明な点がある場合は、相続を専門とする税理士に相談するとよいでしょう。相続を専門とする税理士であれば、不動産についても詳しく、相続登記を依頼できる司法書士の紹介なども可能です。お気軽に税理士にご相談ください。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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