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相続税

最終更新日:2021.04.20

続税の未成年者控除とは?
適用要件や控除額の計算方法を
わかりやすく解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続税の未成年者控除が適用されるための4つの要件について理解できる
  • ■ 未成年者控除額の計算方法について理解できる
  • ■ 相続人に未成年者がいるときの遺産分割協議の進め方について知ることができる
  • ■ 相続税の未成年者控除を利用するときの注意点がわかる

親のどちらかが若くして亡くなってしまい幼い子供が残されてしまったときや、未成年者の孫が養子になっているときなど、相続人の中に未成年者が含まれていることがあります。未成年者も相続税を納める必要がありますが、相続税を減額するための特例も用意されています。

このコンテンツでは、未成年者控除の特例の適用要件と控除額の計算方法についてわかりやすく解説していきます。また、相続人に未成年者が含まれているとき、どのように相続手続きを進めていくのか抑えておくべきポイントも併せて説明していきます。

相続税の未成年者控除とは

相続人の中に未成年者がいる場合、未成年者が本来納めるべき相続税額から一定額を控除することができます。これを、「未成年者控除」といいます。

未成年であっても、相続税を払う必要はあります。相続税が課される目的の1つは富の再分配にありますので、その観点からは、年齢にかかわらず相続税を課すのが公平だからです。

ただし、未成年者の相続人は、成人になるまでの間に、多額の教育費や養育費がかかります。そこで、相続税の負担を少なくすることで未成年者の生活をサポートしようという考えのもと、この特例が認められています。

相続税の未成年者控除の適用要件

それでは、相続税の未成年者控除はどのようなときに使うことができるのでしょうか。

未成年者控除は次の4つの要件を満たせば、誰でもこの制度を利用することができます。順番にみていきたいと思います。

要件1:相続開始日に未成年者であること

1つ目の要件は、相続開始日に未成年者であることです。20歳未満の相続人であれば未成年者控除を利用できます。生まれて間もない赤ちゃんも、もちろんこの制度を使うことができます。相続が発生したときにお母さんのお腹にいる胎児も、無事に生まれれば相続人になることができますので、同じく利用可能です。

なお、2022年4月1日から、未成年者の年齢が18歳未満に引き下げられますので、未成年者控除の特例も影響を受け、相続開始日に18歳未満であることが必要となります。

要件2:相続又は遺贈により財産を取得したこと

2つ目の要件は、相続又は遺贈により財産を取得したことです。もし、未成年者である相続人が財産を1円も取得していないと、財産を取得していることにはならないので、未成年者控除を使うことはできません。そのため、この制度を利用したいときには、未成年者が何らかの相続財産を取得しておく必要があります。

要件3:法定相続人であること

3つ目の要件は、財産を取得した未成年者が法定相続人であることです。たとえば、遺言により法定相続人でない孫が財産を取得したとします。このとき、孫が未成年者であっても、法定相続人ではないため、未成年者控除を利用することはできません。

一方で、もし、孫が被相続人(亡くなった人)の養子に入っていたとしたら、法定相続人になりますので、この制度を利用することができます。

要件4:相続開始日に日本国内に住所があること

最後の4つ目の要件は、相続開始日に日本国内に住所があることです。そのため、海外に住所がある相続人は適用対象外となります

ただし、(1)日本国籍を持っていて(2)被相続人か相続人のどちらかが、相続開始前5年以内に日本国内に住所を持っている場合は、未成年者控除を適用することができます。 たとえば、相続開始時に17歳であった相続人が日本国籍を持っており、2年前から海外留学している場合は、海外に住所があったとしても、上記の要件を満たすのでこの制度を利用することができます。

相続税の未成年者控除を利用したときの相続税計算方法

では、以上の4つの要件に該当して未成年者控除を利用できるとき、相続税はどのように計算していくのでしょうか。 未成年者控除の控除額の計算方法を中心に解説していきます。

未成年者が本来納めるべき相続税額を計算する

まず、未成年者が本来納めるべき相続税額を計算します。ここで算出された金額から、控除額を引いた額が実際の納税額となります。

未成年者控除の控除額の計算方法

本来納めるべき相続税額が計算できたら、未成年者控除の控除額を計算していきます。算出式は、以下のようになっています。

  • 計算式

  • 未成年者控除=(20歳-相続したときの年齢)×10万円

たとえば、相続開始時に、相続人が10歳7ヶ月だったとします。1年未満の端数は切り捨てますので、相続したときの年齢は、10歳として計算します。未成年者控除額=(20歳-10歳)×10万円=100万円となります。この100万円が、未成年者が本来納める相続税額から差し引かれる金額です。もし、本来納めるべき相続税額が50万円だとしたら、未成年者控除額は100万円ですので、納税額は0円ということになります。

余った控除額は扶養義務者に分けられる

未成年者控除額が余ったら、他の相続人と分けることができます。たとえば、未成年者の相続人が納める相続税額が50万円だったとします。未成年者控除額が100万円の場合、50万円-100万円=▲50万円となります。この余った50万円を他の相続人の相続税額から差し引くことができます。

この点は、後でもう少し詳しく解説していきます。

相続人に未成年者が含まれるときの遺産分割協議の進め方

相続人に未成年者が含まれるときは、先ほど取り上げた4つの要件を満たせば未成年者控除が利用できるという点についてお話ししました。相続人に未成年者が含まれるときは、遺産分割協議の進め方が通常とは異なってきますので、次に、この点についても解説していきます。

特別代理人の選任が必要

未成年者は原則として法律行為を行なうことができません。相続における遺産分割も法律行為の1つですので、本来は親権者が代理人となって行います。ただし、遺産分割のときには、親権者である親も相続人の1人であるため、子供の代理をしてしまうと、お互いの利益がぶつかってしまいます。これを「利益相反」といいます。

親が子の代理で遺産分割協議をすると、平等な遺産分割が行えない可能性が出てきてしまうため、特別に代理人を選任する必要があります。これが特別代理人制度です。

特別代理人として誰を選任するか

特別代理人といっても、特別な資格は必要なく、共同相続人以外であれば誰でもなることができます。実務上は、共同相続人以外の親族を選任することが多いです。

たとえば、4人家族の父親が亡くなり、相続人が母親と未成年の子供だったとします。父親や母親の両親が存命なら、両親(未成年者から見た祖父母)に特別代理人をお願いするケースが多いです。平等な遺産分割が目的ですので、どちらかというと、父親の両親の方が選ばれやすいかもしれません。また、未成年者が2人いるときは、それぞれに別々の特別代理人を選任する必要もあります。2人に同じ特別代理人がつくと、そこでも利益相反が生じてしまうことになるからです。

特別代理人を選任する方法

特別代理人は家庭裁判所によって選任されます。申立先の家庭裁判所は、相続人である未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所です。

特別代理人の申立に必要な書類は、以下の通りです。

  • 申立書

  • 相続人となる未成年者の戸籍謄本

  • 申立人の戸籍謄本

  • 特別代理人候補者の住民票か戸籍附票

  • 利益相反に関する資料(遺産分割協議書の案など)

この他に、申立の際には、収入印紙800円分と連絡用の郵便切手代が必要となります。 郵便切手代は、管轄する裁判所によって異なりますので、事前に確認しておくことをおすすめします。

相続税の未成年者控除を利用する際の注意点

最後に、相続税の未成年者控除を利用する際の注意点について幾つか説明していきます。

未成年者控除が余ったときの対処法

先ほども少し説明したように、未成年者控除が余ったときには、他の相続人と控除額を分けることができます。控除額を分けることができるのは、扶養義務者である相続人です

未成年者の扶養義務者とは、父母、祖父母、兄弟姉妹などのことです。3親等内の親族で家庭裁判所が扶養義務を負わせた者も該当します。扶養義務者といっても、実際に扶養している人に限られるわけではなく、あくまで相続関係で決まるというところがポイントです。

具体的な例をみてみましょう。たとえば、未成年者の弟と成年の兄の相続税額がそれぞれ50万円だったとします。未成年者控除額が100万円の場合、未成年者の弟は、50万円(相続税額)-100万円(未成年者控除額)=▲50万円となり、納める相続税額は0円となります。そして、兄も、余った50万円の枠を利用できますので、50万円(相続税額)-50万円(余った未成年者控除額)=0円が実際の相続税額となります。

相続放棄時の対処方法

相続人である未成年者が相続放棄した場合は、どうなるのでしょうか。相続放棄をした場合でも、生命保険金は受け取ることができます。この場合、財産を取得したことになるので、受け取った生命保険金にかかる相続税について未成年者控除の制度を利用することができます。

また、相続放棄をしたとしても、遺言で特定の財産を取得することはできます。この場合も財産を取得したことになるので、未成年者控除は利用可能です。 このように、相続放棄があったとしても、未成年者控除がまったく使えなくなるわけではありません

婚姻した未成年も未成年者控除を使える

民法では、未成年者が婚姻をしたときには成年に達したものとみなされ、親の同意なしに法律行為をすることができるようになります。婚姻した未成年者が未成年者控除を使えるかどうかですが、結論からいうと使うことができます。未成年者控除の目的は、未成年者の負担を減らすことが目的ですので、結婚しているかどうかは問題にはなりません。

未成年の年齢が18歳未満に引き下げられる点に注意

2022年4月1日より、未成年の年齢が18歳未満に引き下げられるため、未成年者控除の制度も大きく影響を受けます。未成年者控除=(18歳-相続したときの年齢)×10万円。となり、控除額が減少します。納税者にとっては不利になります。

また、未成年者控除を複数回適用する場合は複雑な計算が必要となりますので、専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

相続人に未成年者がいるときは特別代理人の選任が必要なため、通常の遺産分割に比べて時間がかかります。もし、未成年者に相続が発生したときは、早めに手続きを行なうことをおすすめします。

そして、未成年者が遺産を相続するときには、未成年者控除を利用することができます。控除額の計算は難しくありませんので、未成年者の生活を保護するためにも、是非、積極的に活用しましょう。

未成年者控除を複数回適用するケースや、そもそも利用要件に当てはまるのかよくわからないときには、専門家に相談しながら手続きを進めていくことをおすすめします。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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