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相続税

最終更新日:2021.09.13

続税の土地評価・計算方法
【申告時に活用したい節税方法とは】

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続財産に土地が有利といわれる理由がわかる
  • ■ 土地の相続税評価額を求める手順や計算方法わかる
  • ■ 土地の相続税評価額を求める2つの評価方式がわかる
  • ■ 土地の条件や利用状況に応じた評価方法がわかる
  • ■ 土地に使える2つの相続税対策がわかる

土地の値段は「一物四価(いちぶつよんか)」といわれ、1つの土地に対して4種類の価格が付けられています。売買のときに使う価格、税金計算に使う価格など様々ですが、相続税の計算には「路線価」を使用します。路線価とは各道路に付けられた値段のことで、その道路に面した土地の評価額は路線価をもとに計算されます。土地は高額になりやすい相続財産なので、有効な相続税対策を打つためにも路線価の理解は必要でしょう。

今回は土地の評価額を知る方法や、土地相続に使う計算方法をわかりやすく解説します。相続税の申告を控えている方や、相続税対策をしたい方はぜひ最後までお読みください。

相続税の土地評価額は時価より安い

土地を売買するときの価格は時価(実勢価格)を基準にしますが、相続税の計算には路線価を使います。路線価は時価の8割程度なので、土地の相続税評価額は時価よりも2割分低いということですね。正確な評価額は「路線価×土地面積×補正率」で求めますが、周辺環境や道路の条件によっても変わるので、思っていた以上に価値が下がる場合もあります。

正確な財産価値の把握は相続税対策の第一歩にもなるので、ぜひ路線価を使った評価方法を覚えておきましょう。

相続税における土地評価・計算方法の流れ

路線価を使った評価方法の場合は、相続税申告に間に合うよう以下の流れで対応します。

  1. 評価用の資料収集
  2. 評価単位の決定
  3. 地積の確認と補正率の適用
  4. 権利と持分を確認
  5. 土地評価証明書および相続税申告書の作成
  6. 相続税の申告・納付

相続税の申告・納付期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」なので、次に解説する資料は早めに集めておきましょう。

土地の評価に必要な各種資料

正確な土地の評価には以下の資料が必要です。それぞれの入手先も参考にしてください。

  • 住宅地図(ゼンリン地図):書店または図書館

  • 公図:法務局

  • 地積測量図:法務局

  • 都市計画図:役場の担当部署

  • 道路台帳:役場の担当部署またはホームページ

  • 道路種別図:役場の担当部署

  • 路線価図:国税庁ホームページ

  • 調整率表:国税庁ホームページ

  • 土地の登記事項証明書(全部事項証明書):法務局

  • 土砂災害特別警戒区域内マップ:役場の担当部署またはホームページ

  • 固定資産税課税証明書:役場の担当部署

扱う部署が多岐に渡りますので、資料を集めるだけでもすぐに完了することは難しいことがお分かりいただけるでしょう。

相続税の土地評価方法2つ

土地の相続税評価額は路線価をもとに計算しますが、路線価のない地域では評価倍率表を使います。どちらも国税庁のホームページから閲覧できるので、見方や計算方法を覚えておくとよいでしょう。

路線価図・評価倍率表(国税庁)

路線価方式による土地の評価

国税庁ホームページの路線価図をみると、各道路に「100E」や「200D」などの数字が表示されています。数字の部分が路線価で、その道路に面した土地の1㎡あたりの評価額をあらわしています。単位が1,000円なので、計算の際は1,000倍する必要があり、100Eの場合は10万円、200Dであれば20万円が1㎡あたりの評価額になります。土地全体の相続税評価額は以下の計算で求めます。

  • 計算式

  • 土地の相続税評価額(路線価方式):路線価×土地面積(㎡)

路線価100E、土地面積300㎡であれば、相続税評価額は3,000万円になります。

倍率方式による土地の評価

路線価が設定されていない地域は、評価倍率表を使って相続税評価額を計算します。国税庁ホームページから該当地域を選択すると倍率表が表示されるので、宅地や田・畑など地目の部分に注目してください。1.0や1.1などの数字が倍率をあらわし、固定資産税評価額に乗じて計算すると相続税評価額がわかります

  • 計算式

  • 土地の相続税評価額(倍率方式):固定資産税評価額×倍率

固定資産税評価額2,000万円、倍率1.1であれば、相続税評価額は2,200万円になります。

相続した土地の形状・状況によって補正が加わる

土地には使い勝手の良し悪しがあるので、形状や間口などに合わせて補正も加えます。補正率表は国税庁ホームページに掲載されていますが、平成30年分以降用の補正率は以下を参照してください。

奥行価格などの補正率表(国税庁)

評価額の補正とは1㎡あたりの路線価を減額する計算になり、具体的には次のような例が挙げられます。

不整形地の補正

形状の悪い土地は利用にも制限がかかるため、いびつな部分(かげ地といいます)の割合に応じて評価額を下げる必要があり、計算は以下の手順で行います。

  1. 想定整形地の評価額を計算
  2. 地積区分の判定
  3. かげ地割合の判定
  4. 不整形地補正率の適用
  5. 評価額の算出

想定整形地とは、不整形地を四角で囲んだ土地のことで、地積区分は以下の区分表から判断します。

【地積区分表】
地区区分/地積区分 A B C
普通住宅地区 500㎡未満 500㎡以上750㎡未満 750㎡以上

参考元:国税庁

次に以下の計算式でかげ地割合を求めます。

  • 計算式

  • かげ地割合:
    (想定整形地の地積-不整形地の地積)÷想定整形地の地積

想定整形地400㎡、不整形地350㎡の場合、かげ地割合は以下のようになります。

  • 計算式

  • かげ地割合:(400㎡-350㎡)÷400㎡=12.5%

補正率を乗じて相続税評価額を計算

普通住宅地区Aにある土地で、かげ地割合12.5%の場合、補正率は0.98になります。

【不整形地補正率表】
地区区分 普通住宅地区
地積区分 A B C
かげ地割合
10%以上 0.98 0.99 0.99
15% 〃 0.96 0.98 0.99

参考元:国税庁

不整形地の路線価が20万円の場合、補正率0.98を乗じると以下のようになります。

  • 計算式

  • 不整形地の路線価:20万円×0.98=19万6,000円

最後に補正後の路線価×地積で相続税評価額を算出します。

  • 計算式

  • 不整形地の評価額:19万6,000円×350㎡=6,860万円

間口狭小の補正

道路に面した部分を間口といいますが、間口の狭い土地は活用の幅も狭いため、補正率を乗じて減額します。たとえば間口の距離が7メートルの場合、補正率表の「6m以上8m未満」に該当するため、補正率は0.97になります。

間口距離(m)/地区区分 普通住宅地区
4未満 0.9
4以上6未満 0.94
6 〃  8 〃 0.97

参考元:国税庁

間口7メートル、奥行き20メートル、路線価10万円の条件で相続税評価額を計算した場合、補正率を適用させると以下のようになります。

  • 計算式

  • 間口狭小土地の評価額(補正あり):(10万円×0.97)×(7m×20m)=1,358万円

奥行長大の補正

間口の距離に対して奥行きが長い土地も補正対象になり、以下の補正率を使って減額します。

地区区分 普通住宅地区
奥行距離
間口距離
2以上3未満 0.98
3 〃  4 〃 0.96
4 〃  5 〃 0.94

参考元:国税庁

奥行き15メートル、間口7メールの場合、間口の割合は「奥行距離÷間口距離」で2.1になります。補正率表に照らし合わせると「2以上3未満」に該当するので、0.98の補正率になります。では路線価15万円で評価額を計算してみましょう。

  • 計算式

  • 奥行長大土地の評価額(補正あり):(15万円×0.98)×(7m×15m)=1,573.5万円

複合的な要素の補正

複合的な要素を持った土地の場合、相続税評価額の計算にはすべての補正率を反映させます。路線価10万円、面積300㎡の土地の場合、以下のような計算例になります。

  • 計算式

  • 1㎡あたりの路線価:10万円×0.96(不整形)×0.94(間口狭小)×0.96(奥行長大)=8万6,630円

では地積を乗じて相続税評価額を計算してみます。

  • 計算式

  • 8万6,630円×300㎡=2,598.9万円

500㎡以上の土地の補正

一般的な宅地面積より広い土地の場合、規模格差補正率を適用させますが、三大都市圏の宅地は500㎡以上、三大都市圏以外は1,000㎡以上が補正の対象になります。規模格差補正率の計算式は次のとおりですが、「B」と「C」については下表を参照します。

  • 計算式

  • 規模格差補正率:(地積A×B+C)÷地積A×0.8

地積 普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区
B C
500㎡以上1,000㎡未満 0.95 25

参考元:国税庁

三大都市圏にある宅地で面積600㎡の場合、補正率は以下のようになります。

  • 計算式

  • 規模格差補正率:(600㎡×0.95+25)÷500㎡×0.8=0.793

では路線価15万円で評価額を計算してみます。

  • 計算式

  • 相続税評価額(補正あり):(15万円×0.793)×600㎡=7,137万円

相続した土地の利用状況によっても評価・計算方法が変わる

自宅として使っている土地、貸付用の土地など、利用状況によっても評価や計算方法は変わります。よくある土地の利用形態5パターンをまとめましたので、相続税評価額を計算する上での参考にしてください。

借地

借りている土地(借地)には様々な制約があり、権利に応じた割合を減額するルールになっています。借地に対する権利を借地権といい、借地権の割合は路線価に続くアルファベットから判断できます。アルファベットがAであれば、借地権割合は90%。Bの場合は80%になり、それぞれ路線価図にも表示されています。路線価10万円、借地権割合60%(D)、面積200㎡の土地であれば、相続税評価額は以下のようになります。

  • 計算式

  • 借地の相続税評価額:10万円×200㎡×60%=1,200万円

賃貸アパートやマンションなどの貸家建付地

賃貸用のアパートなどを建てた土地は「貸家建付地」と呼ばれ、全国一律30%の借家権割合を減額できます。借地権割合や賃貸割合も適用できるので、更地に比べると相続税評価額はかなり低くなります。自用地の評価額が7,000万円、借地権割合60%、賃貸割合100%の場合、貸家建付地の評価額は以下のようになります。

  • 計算式

  • 貸家建付地の相続税評価額:7,000万円×(1-0.6×0.3×1)=5,740万円

ちなみに自用地とは自分が使っている土地であり、自宅の敷地などが該当します。

駐車場に使っている土地

駐車場の場合は利用形態によって評価が異なります。自宅敷地の一部を貸駐車場にする場合は一般的な評価ですが、コインパーキング業者が一括借上げするような形態では、賃借権の価格を通常の評価額から控除できます

分譲マンション

戸建て住宅と異なり、分譲マンションでは土地の持分割合を評価額の計算に反映させます。

  • 計算式

  • 分譲マンションの土地の評価額:土地面積(㎡)×路線価×持分割合

土地面積とはマンションの敷地全体のことであり、1,500㎡で路線価20万円、持分割合が1/50であれば以下のような評価額になります。

  • 計算式

  • 分譲マンションの土地の評価額:20万円×1,500㎡×1/50=600万円

私道に使っている土地

所有地の一部が私道になっている場合、不特定多数の人が利用していれば、その私道の価値は評価しません。所有者のみ使う私道であれば、一般的な評価額に0.3を乗じて相続税評価額を算出します。

土地にかかる相続税を節税する方法

高額な相続財産の代表例が土地であり、相続税の税額にも大きく影響します。補正によってある程度の減額はできるものの、決定的な相続税対策にはならないため、土地だけに使える優遇税制は覚えておくべきでしょう。相続財産に土地が多いようであれば、次に解説する節税対策を活用してください。

小規模宅地等の特例を活用する

相続税の申告によって使える制度ですが、小規模宅地等の特例を活用すると、一定条件を満たした土地は大幅な減額が認められます。自宅の敷地は330㎡(約100坪)までが通常評価額の2割になり、事業用の土地も400㎡までは2割の評価になります。自宅敷地の評価額が5,000万円、相続人1人の条件で相続税を計算すると、特例の有無によって以下のように税額が変わります。

  • 特例なし:160万円

  • 特例あり:0円

相続税の基礎控除も反映させた結果ですが、納税額の差は歴然です。特例の適用条件は細かく設定されているので、相続専門の税理士へ問い合わせるとよいでしょう。

不動産鑑定士による鑑定評価の活用

路線価方式や倍率方式を解説しましたが、基本的には地図(真上からみた状態)からみた平面的な考え方です。道路との高低差がどれだけあるのか、擁壁はブロックなのか石積みなのか、専門家だけがわかる減額要素もあります。土地の利便性や災害ディフェンスに問題があると感じたら、不動産鑑定士に鑑定を依頼してみましょう。鑑定された料金は土地の状態によっては数十万円~数百万円の評価減になる場合もあります。

まとめ

土地の相続には様々な減額措置や優遇税制があるので、上手に活用すれば数十万~数百万円の減額も可能です。見方を変えると、不慣れな人が土地を評価した場合、相続税が数十万~数百万円高くなる可能性もあるわけです。相続税は累進課税方式なので、評価額が数万円違うだけで税率は5%~10%上がってしまいます。申告や納付期限に間に合わせる必要もあるため、相続財産に土地がある方は相続専門税理士のアドバイスを参考にするとよいでしょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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【出典元】
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