小規模宅地等の特例とは
被相続人の自宅を相続する場合、以下の要件を満たせば小規模宅地等の特例を適用できるため、330㎡までの敷地は評価額が8割減額になります。
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被相続人の配偶者、または被相続人と同居していた法定相続人が相続する
この条件では親が老人ホームに入居した場合、自宅に相続人が同居していても、または後から移り住んだとしても、被相続人との同居ではないため特例は使えません。つまり、被相続人が老人ホームに入ると相続税が高くなるわけです。
しかし2014年1月の法改正により、被相続人が老人ホームに入居していても小規模宅地等の特例を使えるようになりました。法改正に伴い適用条件も追加されているので、それぞれ詳しく解説していきます。
被相続人が老人ホームに入居していた場合の適用要件
自宅の所有者が老人ホームに入居したまま亡くなった場合、以下の要件をすべて満たしていれば小規模宅地等の特例が使えるようになりました。
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相続開始時に被相続人が要支援または要介護認定されていたこと
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被相続人が一定要件を満たす老人ホームに入居していたこと
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空き家となった自宅を賃貸に使っていないこと
要支援等のレベルは問われず、認定の申請中であっても、死亡後に要支援等が認定されると特例の対象外になります。また、老人ホームについては特別養護老人ホームや有料老人ホームなど、ほとんどの施設が対象になりますが、無許可の老人ホームには特例が使えません。原則として自宅を賃貸した場合も特例の対象外になります。
ここまでは被相続人や施設などの要件になりますが、相続人の要件も含めると、特例を使えるケースは次のようになります。
老人ホームに入居していて小規模宅地等の特例が使えるケース
小規模宅地等の特例は相続人にも一定要件があり、被相続人が老人ホームへ入居していた場合の要件と組み合わせて考えることになります。同居していない親族でも小規模宅地等の特例を使えるケースがあるので、次の要件に該当するかどうか確認しておきましょう。
被相続人の配偶者または同居親族が自宅を相続する
被相続人の配偶者が自宅を相続する場合は、無条件で小規模宅地等の特例を適用できます。同居している法定相続人が相続する場合も特例の対象になるため、長男などの子供が相続すると自宅敷地の評価額は8割減額になります。ただし、以下の要件だけは満たしていなければなりません。
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相続税の申告期限まで自宅に住み続けている
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自宅の敷地(特定居住用宅地)を申告期限まで所有している
相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10カ月以内」ですから、最低でも10カ月は住み続けなければなりません。また、途中で所有者が変わると特例は適用できないので、譲渡(売却)の予定がある場合は10カ月を経過してから譲渡することになります。
持ち家のない別居親族が自宅を相続する
賃貸物件や社宅などに住み、持ち家のない別居親族が自宅を相続する場合も、以下の要件を満たせば小規模宅地等の特例を使えます。
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被相続人に配偶者や同居する法定相続人がいない
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相続開始前の3年間、自分または自分の配偶者の持ち家、三親等以内の親族および特別の関係がある法人の持ち家に住んだことがない
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相続した自宅に相続税の申告期限まで居住する
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相続開始時に住んでいた住居を過去に所有したことがない
持ち家なしという条件から「家なき子特例」と呼ばれますが、被相続人に配偶者がいないことも条件としているため、被相続人が未婚あるいは離婚していない限り一次相続には使えません。未婚あるいは離婚していない限り、残された配偶者が老人ホームへ入居して空き家となり、その後二次相続が発生した場合にのみ使える特例ということですね。
老人ホームに入居していて小規模宅地等の特例が使えないケース
小規模宅地等の特例は被相続人が老人ホームに入居していても使えるため、法改正により適用範囲は拡大されていますが、一方では要件も複雑になっています。自宅の構造や使用状況、権利関係によっては特例が使えない、または減額率が下がる場合もあるので、次に挙げるケースもよく理解しておいてください。
区分登記された二世帯住宅に住んでいる場合
二世帯住宅の場合、建物が区分登記されているかどうかで特例の適用可否が分かれます。例として、父親が所有する土地の上に二世帯住宅を建て、1階に親、2階に子供世帯が住んでいる場合、建物の構造や所有権から以下のように判定します。ちなみに「非分離型」とは、建物内部が繋がった世帯間の行き来が自由な構造であり、「分離型」とは内部が繋がっておらず、玄関も別々の構造を指しています。
- 非分離型で家屋全体の所有権が父親にある:小規模宅地等の特例を使える
- 分離型で家屋全体の所有権が父親にある:小規模宅地等の特例を使える
- 分離型で1階と2階を親子が区分登記している:小規模宅地等の特例は使えない
いわゆる「一つ屋根の下」の状況でも、所有権が別々であれば「別の家」という判定になり、子供は親と同居していないものとみなされます。
親族以外の人が自宅に住んでいる
自宅の所有者が老人ホームに入居した後、親族以外の人に自宅を貸している場合は、特定居住用宅地(自宅の敷地)ではなく貸付事業用宅地と判定されます。
貸付事業用宅地も小規模宅地等の特例の対象にはなりますが、適用面積は200㎡までとなり、減額率も50%に下がります。また、賃料は一般的な相場であって、相続税の申告期限まで貸し付けていることも条件になります。
老人ホーム入居後の空き家に親族が住み始めた場合
前述したように、小規模宅地等の特例は要件が複雑なため、基本的には被相続人と同居していた親族(法定相続人)のみ使える制度です。自宅の所有者が老人ホームに入居し、空き家となった自宅に親族が移り住んだ場合は同居の事実がないため、小規模宅地等の特例が適用される要件に該当しません。
小規模宅地等の特例を利用するときの必要書類
自宅の敷地に小規模宅地等の特例を適用する場合、相続税申告の際に以下の書類を添付して申告書を提出します。
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遺言書または遺産分割協議書の写し
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被相続人の戸籍の附票の写し(相続発生後に作成されたもの)
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図形式の法定相続情報一覧(被相続人との関係を証明)
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被相続人の戸籍謄本(相続発生日から10日以降に作成されたもの)
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特例を受ける人の住民票の写し(相続発生後に作成されたもの)
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自宅の登記事項証明書および借家等の賃貸借契約書など(家なき子特例を使う場合)
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相続人全員の印鑑証明書
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申告期限後3年以内の分割見込書(遺産分割協議が完了していない場合)
必要書類は「誰が自宅を相続するか」によって変わるため、すべて準備するわけではありません。なお、被相続人が老人ホームへ入居していた場合は次の書類も必要になります。
被相続人が老人ホームへ入居していた場合の必要書類
要支援等の認定を受けた被相続人が老人ホームへ入居していた場合、相続税申告の際には以下の書類も添付します。
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介護保険の被保険者証、要介護認定証、要支援認定証、障害福祉サービス受給者証等の写し
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施設等へ入居する際の契約書の写し等
まとめ
昨今の税制をみると相続税や贈与税は増税傾向にありますが、小規模宅地等の特例については要件も拡大・緩和され、様々なケースに適用できるようになっています。被相続人の同居親族は住まいを確保でき、税負担も軽くなるため、自宅を相続する際にはぜひ利用したい制度ですね。
ただし、適用条件は法改正の度にわかりにくくなっているため、「使えるはず」という自己判断は少々危険かもしれません。被相続人が老人ホームで死亡した場合や、自宅の敷地以外に特例を使う場合など、専門家でなければ条件をクリアしているかどうか判断できないケースもあります。 見込み違いで高額な相続税を納めることがないよう、相続に強い税理士へ相談しながら申告準備を進めてください。



