被相続人の死後にできる相続税の節税方法2つ
相続が始まった後でもできる節税方法は「財産評価の見直し」と「優遇税制の活用」の2つです。いずれも大きな節税効果を期待できますし、組み合わせて使える節税方法もあるので、それぞれの内容をよく理解しておいてください。
正味の遺産総額を低くする
相続税の計算にはいくつかのステップがありますが、まず「正味の遺産総額」の把握からスタートします。
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正味の遺産総額:プラス財産-(マイナス財産+非課税財産)+特定の贈与財産
正味の遺産総額が低くなると相続税も連動して安くなるため、次に解説する財産評価の見直しなどを検討してください。
土地の評価額を見直す
高額財産の代表といえば土地であり、土地の評価額は相続税にも大きく影響します。路線価方式では「路線価×地積×補正率」で相続税評価額を計算しますが、接道条件や隣接する水路との関係、高低差など様々な減額要素もあります。近隣に火葬場や墓地、刑務所などの忌避施設がある場合も土地の評価額は下げられるので、所有地だけではなく、少し範囲を広げて減額要素を探してみてください。
死亡保険金などの非課税枠を活用する
死亡保険金や死亡退職金も相続税の課税対象になりますが、以下のような非課税枠もあります。
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死亡保険金や死亡退職金の非課税枠:500万円×法定相続人の数
意外と気付いていないケースが多いため、被相続人の保険金や退職金がある場合は非課税枠の減額を忘れないようにしてください。ただし、生命保険の場合は契約形態が重要であり、被保険者と保険料負担者が被相続人、保険金の受取人が相続人である場合に使える非課税枠です。
債務や非課税財産を確認する
借金や未払金などのマイナス財産、葬儀費用はプラスの財産から差し引くことができます。また仏壇や仏具、墓石なども非課税財産として控除できるので、正味の遺産総額の計算に含めているかチェックしておきましょう。ただし、団体信用生命保険(団信)によって返済免除となる住宅ローンは債務にならず、香典返しも葬儀費用には含められません。葬儀費用に計上できるものや非課税財産は細かく分類されているので、判断に迷う場合は専門家を頼るとよいでしょう。
優遇税制の活用
相続税を軽減できる優遇税制には以下のような種類があります。
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小規模宅地等の特例
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配偶者の税額軽減
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未成年者控除
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障害者控除
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贈与税額控除
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相次相続控除
いずれも相続発生後に使える特例や控除であり、節税効果も高いため、条件に該当する方はぜひ活用してください。ただし、自動適用ではないため申告が必要であり、次回の相続が不利になる場合もあるため、それぞれの特徴を理解しておかなければなりません。具体的な内容は次に解説しますので、遺産相続する方はぜひ参考にしてください。
相続税申告時に利用できる特例
相続税の申告・納付期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」です。期限内に申告するといくつかの特例が使えますが、遺族の生活保障を目的としているため、被相続人と近しい関係の相続人はかなり税負担が軽くなるでしょう。では各種特例や控除について、具体的な内容を解説します。
小規模宅地等の特例
自宅の敷地や事業用の土地には小規模宅地等の特例が使えるため、土地の評価額を以下のように減額できます。
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自宅の敷地:330㎡まで8割引き
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特定事業用宅地:400㎡まで8割引き
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貸付事業用宅地:200㎡まで5割引き
自宅敷地に適用する場合、原則として同居していた配偶者または相続人による自宅相続が条件となりますが、一定条件を満たせば別居中の相続人でも使える特例です。細かな条件は他にもありますが、主な財産が自宅であれば小規模宅地等の特例だけで相続税がかからなくなるケースもあります。
配偶者の税額軽減
配偶者控除とも呼ばれる優遇税制ですが、被相続人の配偶者は1億6,000万円、または法定相続分のどちらか多い金額まで相続税がかかりません。つまり、配偶者の相続分が数億円あったとしても、法定相続分の範囲内であれば相続税は発生しないことになります。ただし、配偶者の取り分を多くし過ぎると、配偶者が死亡したときに子が納める相続税が高額になってしまうため、二次相続まで想定した試算が必要になります。また、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で遺産の分け方を決める場合、相続税の申告期限までに話し合いが決着していなければ使えない制度です。
未成年者控除
20歳未満の未成年者が相続する場合、相続税から以下の金額を控除できます。
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未成年者控除:(20歳-相続時の年齢)×10万円
相続人が15歳であれば、50万円を控除できるということですね。15歳8ヶ月など1年に満たない部分は切り捨てになります。胎児にも使える優遇税制なので、無事に生まれた場合は200万円の控除が可能になります。国内に住所がある法定相続人に限られており、遺産分割協議を行う場合は特別代理人の選任も必要になりますが、相続放棄しても控除できる制度です。
障害者控除
85歳未満の障害者が相続する場合、障害のレベルに応じて以下の金額を相続税から控除できます。
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一般障害者の控除額:(85歳-相続時の年齢)×10万円
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特別障害者の控除額:(85歳-相続時の年齢)×20万円
未成年者控除と同様に1年未満の部分は切り捨てになり、国内に住所がある法定相続人が使える特別控除です。相続開始時に障害者であったことが条件ですが、障害者手帳の申請中に相続が起きた場合、申告時に医師の診断書などを添付することで認められるケースもあります。
贈与税額控除
相続開始前3年以内に生前贈与していた場合、その贈与額は相続財産に加算しますが、すでに贈与税を納めていた場合は、相続税から贈与税額分を控除できます。ただし、贈与税の過少申告などによって発生した加算税や利子税、延滞税の控除はできないので注意してください。
相次相続控除
相続が立て続けに発生することを「相次相続」といいますが、相次相続控除を使えば前回に納付した相続税額の一部を今回の相続税から控除できます。前回の相続から、10年経過しないうちに相続が発生したときに使えるので、前回の相続状況がわかるよう申告書を保管しておくとよいでしょう。
被相続人死亡後の相続税の適切な節税対策を税理士に依頼すべき理由
初心者と税理士の相続税対策では、税額に数百万円~数千万円の差が出ることも珍しくありません。絶大な費用効果の裏付けには次のような理由があります。
土地評価のノウハウが豊富
前半でも土地の評価減について解説していますが、評価を下げる要素は他にも多くあり、専門的なノウハウがなければ見抜けません。たとえば上空に高圧線のある土地は評価額を下げられますが、平面的ではなく立体的に土地をみないとわからない要素です。また、建築制限のある土地も評価額は下がりますが、役所で調査しない限りわかりません。見逃しやすい減額ポイントは多数あるため、土地の評価は税理士に任せた方が安心です。
効果的な相続税対策を提案できる
専門知識の豊富な税理士であれば、様々な角度から相続税対策を提案できます。たとえば特例や控除を活用する場合、誰が使うべきか、どの組み合わせがベストなのか、数種類のパターンをシミュレーションしてくれるでしょう。
時間を有効活用できる
相続が始まると葬儀や法要などに忙殺されるため、なかなか相続手続きまでには手が回りません。現役で働いておられる方は役場の手続きも進めにくいので、相続税申告の準備すらままならない状況も出てくるでしょう。このような状況では精神的なストレスも発生するため、相続税関連の手続きは税理士に任せ、ご自身の時間を有効活用した方が得策といえます。
税務調査の確率を低くできる
税務調査が行われた場合、過少申告や申告漏れを指摘される確率は80%以上です。つまり8割以上の確率で追徴課税などのペナルティが課されるため、相続税申告書の作成は税理士へ依頼した方がよいでしょう。税理士によっては「書面添付制度」を活用してくれるため、税務調査の確率は大幅に下がります。この書面添付制度は、担当した税理士が申告書作成にかかった経緯を詳細に記した書類を添付することで様々なメリットを得られる制度です。この書類によって適切な申告をすることで、税務調査に至る前に税務署の疑問を解消し、税務調査の確率を低くすることができます。
まとめ
相続発生後にできる節税方法はいくつかありますが、無条件で使えるわけではなく、期限内の申告も必要です。また、自分で土地などの減額要素を見つけたとしても、どれだけ評価を下げてよいのかわからず、税務署を納得させるだけの根拠を示せない場合もあるでしょう。一時的に大きな節税効果を出せたとしても、次回の相続で不利になるケースもあるため、相続税対策を考える際は必ず税理士に相談してください。相続に強い税理士であり、書面添付制度にも対応していれば安心ですね。



