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相続税

最終更新日:2021.12.16

亡保険金は相続税の
課税対象に含まれる?
保険金の非課税枠・
相続税の計算方法を解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 死亡保険金に相続税がかかるかどうかわかる
  • ■ 相続で有利になる保険の契約方法がわかる
  • ■ 相続税がいくらになるか計算できるようになる
  • ■ 死亡保険金の非課税枠について理解できる

生命保険の加入者(被保険者)が亡くなると、死亡保険金として遺族へお金が支払われます。葬儀費用にあてたり当座の生活資金として有効活用できますが、預貯金などの財産と同じく相続税の課税対象になる場合もあります。

贈与税とともに税率が高いといわれる相続税ですが、死亡保険金を受け取ると一体いくらの相続税になるのでしょうか?また保険には多くの種類があり契約形態も様々であるため、どのように契約するかで相続時の有利・不利も変わります。

今回のコラムでは相続税のかかる保険金にスポットをあて、どれだけの税額になるか計算しながら解説します。生命保険には節税効果もあるため、相続税対策を考えておきたい方はぜひ参考にしてください。

相続税の課税対象になる保険金

生命保険の死亡保険金は「みなし相続財産」として相続財産にカウントします。みなし相続財産とは被相続人がもともと所有していた財産ではなく、死亡をきっかけに発生する財産です。

受取人固有の相続財産になるため原則として遺産分割は不要ですが、税務上は相続税の課税対象になるので注意してください。また死亡保険金が相続税の課税対象になるケースは契約形態が決まっており、以下のように被保険者と契約者(保険料の負担者)が同一の場合です。

  • 被保険者:夫

  • 契約者(保険料の負担者):夫

  • 保険金の受取人:妻

つまり自分で自分に保険をかけ、保険料も自分が負担している場合です。被保険者や契約者など、保険に関する登場人物が違う場合には相続税以外の税金も発生するので注意してください。

保険契約の内容によって贈与税や所得税も発生

死亡保険金には非課税枠があるため「相続税対策になる」とよくいわれますが、契約内容によっては贈与税や所得税が発生します。非課税枠については後半で解説しますが、契約内容次第で支払う税金は以下のように変わります。

  1. 相続税が発生(非課税枠あり):契約者と被保険者が夫、保険金受取人が妻
  2. 相続税が発生(非課税枠なし):契約者と被保険者が夫、保険金受取人が孫
  3. 所得税が発生:契約者と保険金受取人が妻、被保険者が夫
  4. 贈与税が発生:契約者が妻、被保険者が夫、保険金受取人が子

上記の(1)では保険金の非課税枠も使えますが、法定相続人以外が受取人となる(2)のケースに非課税枠はありません。(3)や(4)のケースでは所得税や贈与税が発生するため、誰が保険料を負担しているかが重要となります。

相続税の計算方法

生命保険が相続税にどう影響するか、実際に計算しながら確認してみましょう。少し複雑にはなりますが、現実の相続をイメージしやすいようマイナス財産や葬儀費用も含めて計算していきます。

正味の遺産総額を計算する

相続税を計算する場合、まず正味の遺産総額を算出しなければなりません。正味の遺産総額とはプラスの財産とマイナスの財産を合計したものであり、以下のような例になります。

  • プラスの財産:預貯金、現金、有価証券、不動産など

  • マイナスの財産:未払金や住宅ローンなどの債務

また葬儀費用は遺産総額から控除(差し引き)できるため、計算式は以下のようになります。

  • 計算式

  • 正味の遺産総額:プラスの財産-(マイナスの財産+葬儀費用)

では例を挙げて正味の遺産総額を計算します。

  1. プラスの財産:2億円(預貯金1億8,000万円、死亡保険金2,000万円)
  2. マイナスの財産:1,800万円(住宅ローンの残債等)
  3. 葬儀費用:200万円

計算は(1)-(2)-(3)になり、正味の遺産総額は1億8,000万円です。この金額をもとに次の計算へ移ります。

基礎控除と課税遺産総額を計算する

相続税には基礎控除があり、正味の財産から差し引くと課税遺産総額がわかります。基礎控除の計算方法は以下のとおりで、相続人の人数によって金額が変わります。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×相続人の人数)

ここから具体的な例を挙げていきますが、正味の遺産総額1億8,000万円を遺して夫が亡くなり、妻と2人の子が相続人になったとします。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
    課税遺産総額:1億8,000万円-4,800万円=1億3,200万円

では次に相続税の総額を計算するため、課税額に対応した税率を適用させていきます。

相続税の総額を計算する

今回の計算では相続人を3人にしていますが、各人の税額を計算する前に相続税の総額を計算する必要があります。相続税の総額は、一旦法定相続分どおりに相続したとみなし、以下の「相続税の速算表」の税率と控除額を適用させて計算します。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

相続税の速算表(国税庁)

では法定相続分に従って遺産分割し、相続税の総額を計算します。

  • 計算式

  • 妻の相続税:1億3,200万円×(1÷2)×30%-700万円=1,280万円

  • 計算式

  • 子の相続税:1億3,200万円×(1÷4)×20%-200万円=460万円

  • 計算式

  • 相続税の総額:1,280万円+(460万円×2人)=2,200万円

ここから実際の相続割合に従った相続税を計算します。

各相続人の相続税を計算する

相続税の総額が計算できたら、次に実際の相続割合で相続税を計算します。今回の計算では妻が2/5、2人の子はそれぞれ2/5、1/5ずつ相続するものとします。

  • 計算式

  • 妻の相続税:2,200万円×2÷5=880万円
    子Aの相続税:2,200万円×2÷5=880万円
    子Bの相続税:2,200万円×1÷5=440万円

最終的な相続割合で計算すると、各人が実際に支払う相続税がわかります

ここまでは被相続人(夫)の財産を一括りで計算しましたが、実は死亡保険金も一定額まで非課税になり、実際の相続税はさらに安くなります。最後に保険金の非課税枠を使った場合の相続税を計算してみましょう。

死亡保険金の非課税金額の計算方法

相続税の基礎控除と同じく死亡保険金にも非課税枠(控除額)があり、計算方法はいたってシンプルです。

  • 計算式

  • 生命保険の非課税枠:500万円×相続人の数

今回の相続人は3人ですから非課税枠は1,500万円になります。また夫の死亡保険金は2,000万円なので、非課税枠の金額を差し引くと課税対象額は500万円にまで下がります。

ただし、各相続人の税額から500万円ずつ控除するわけではないので注意してください。死亡保険金の非課税枠は正味の遺産総額から差し引くため、相続税の基礎控除と同じタイミングで計算して正確な課税遺産総額を算出します。

死亡保険金の非課税枠を適用させる手順

今回は相続税の計算手順や計算式を紹介していますが、死亡保険金の非課税枠は課税遺産総額を計算する際に使います。ではもう一度課税遺産総額の計算に立ち戻り、死亡保険金の非課税枠も差し引いてみましょう。

  1. 正味の遺産総額:1億8,000万円
  2. 相続税の基礎控除:4,800万円
  3. 死亡保険金の非課税枠:1,500万円

(1)-(2)-(3)を計算すると課税遺産総額は1億1,700万円になり、相続税の総額は1,832.5万円になります。ここまでの計算と同じ相続割合で相続すると、各人の支払う相続税がわかります。

  • 計算式

  • 妻の相続税:1,832.5万円×2÷5=733万円
    子Aの相続税:1832.5万円×2÷5=733万円
    子Bの相続税:1,832.5万円×1÷5=366.5万円

死亡保険金の非課税枠を使うと相続税の総額は367万5,000円も減額されます。なお、妻は「配偶者の税額軽減」という特例により非課税相続できるため、保険金の受取人は子を指定する方が税制上は納税額が低くなります。

生命保険が相続で有利になる理由

相続の際に発生する問題は生命保険で解決できるケースも多く、代表的なメリットは以下の7つです。

  1. 主な財産が自宅だけの場合、死亡保険金で相続分を調整できる
  2. 相続人同士のトラブルを防止できる
  3. 保険料を一括払い(一時払い)にすると相続財産を減額でき、保険金も支払われる
  4. 相続税の納税資金にできる
  5. 保険金の受取人が単独で支払いを請求できる(他の相続人の同意は不要)
  6. 相続放棄した人でも保険金は受取り可能
  7. 請求から支払いまでの期間が短いため、葬儀費用にあてられる

財産の内容や家族の状況をみながら生命保険を活用するとよいでしょう。

まとめ

死亡保険金は受取人の口座に振り込まれ、最終的に用途を問わない現金として扱えます。しかし被相続人がもともと持っていた現金や預貯金とは性質が異なり、非課税枠もあるため活用の幅が大きい財産になります。ただし、相続にありがちなトラブルを解決できる反面、契約形態を間違うと逆効果にもなりかねません。また「誰が保険料を負担しているか」も重要になるので、すでに加入している保険は契約内容をしっかり確認してください。

生命保険に入るべきか、現在加入している生命保険が相続で有利になるかといった不安があれば、相続に強い税理士へ相談するとよいでしょう。 相続専門の税理士であれば、生命保険以外の相続税対策などもアドバイスしてくれます。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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