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相続税

最終更新日:2022.01.31

規模宅地の特例は
借地権でも適用できる!
評価額計算方法を解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 借地権の概要を理解できる
  • ■ 小規模宅地等の特例の仕組みがわかる
  • ■ 借地権に小規模宅地の特例を適用できるのかわかる
  • ■ 借地権に小規模宅地等の特例を適用した場合の評価額がわかる
  • ■ 自宅家屋が所有権と借地権に跨る場合の評価額計算がわかる

家族の財産を相続する場合、それぞれの財産価値から相続税を計算します。価値の高い財産があればそれだけ相続税も高くなりますが、自宅として使っている土地には小規模宅地等の特例が使えるため、相続税評価額は大幅に下がります。自宅相続の際には必ず利用したい制度ですが、自宅の敷地が借地であった場合はどうなるでしょう?

土地を借りている人には借地権があり、権利として相続もできますが、小規模宅地等の特例は借地権に対しても適用できるのでしょうか?借地にマイホームを建てている例はかなり多いため、今回は小規模宅地等の特例と借地権の関係を解説し、相続税にどう影響するのか検証します。地価の高いエリアで自宅を相続した方、または今後相続の予定がある方はぜひ参考にしてください。

借地権とは

借地に対する権利が借地権であり、以下の3つから構成されています。

  • 借地権:借地借家法の借地権と、民法上の借地権に分けられる

  • 賃借権:間接的な土地の支配権であり、建替えや売却には土地オーナーの承諾が必要

  • 地上権:直接的な土地の支配権であり、土地オーナーの承諾なく建替えや売却、賃貸が可能

小規模宅地等の特例に関係するのは借地借家法の借地権であり、借りた土地の上に居住用家屋などを建築できる権利です。なお、賃借権と地上権は借地借家法上の権利であり、借りた土地に自宅を建築している場合は、賃借権が設定されているケースがほとんどです。地上権は賃借権に比べて力が強いため、抵当権の設定も可能になります。

小規模宅地の特例とは

相続した自宅の敷地に小規模宅地等の特例を適用すると、面積330㎡までの評価額が80%減額になります。被相続人が住んでいた自宅を相続し、そのまま住み続けることが条件ですが、具体的には以下のような相続に適用されます。

  • 被相続人の配偶者が相続する

  • 被相続人と同居していた相続人が相続する

  • 被相続人に配偶者や同居親族がおらず、相続前の3年間借家住まいの相続人が取得する

小規模宅地等の特例は自宅の敷地以外にも適用できるため、賃貸アパートを建てている貸付用の宅地や、個人商店などの事業用宅地も対象となります。節税効果は絶大な特例ですが、借地権に対する適用は可能なのでしょうか?

借地権にも小規模宅地の特例は適用できる

小規模宅地等の特例は権利に対して適用できる制度であり、租税特別措置法第69条第1項により「土地または土地の上に存する権利」が適用対象となっています。つまり借地権は「土地の上に存する権利」に当てはまるため、借りている土地にも小規模宅地等の特例が使えるということです。

適用条件は自分が所有する土地と変わらないため、配偶者や同居する相続人などが自宅を相続して住み続けると、土地の相続税評価額は330㎡まで80%減額になります。貸付用の宅地や事業用宅地は適用面積や減額割合が異なりますが、基本的な考え方は自宅敷地(特定居住用宅地)を相続する場合と同様です。

借地権に小規模宅地の特例を適用した時の評価額計算方法

相続した土地の評価額は路線価方式、または倍率方式によって計算し、最後に小規模宅地等の特例の減額割合を反映させて算出します。借りている土地は借地権割合を反映させて評価額を求めますが、わかりやすいよう実例を挙げて計算してみます。

なお、今回の計算例は路線価方式を使った計算例になります。

路線価方式による借地権の評価額計算

借地権の評価額は自用地(自分の所有地)に借地権割合を乗じて計算するため、基本的な計算式は以下のようになります。

  • 計算式

  • 借地権の評価額:自用地評価額×借地権割合

借地権の評価額を求める場合、まず自用地の評価額計算が必要になります。自用地評価額は路線価に土地面積を乗じて計算しますが、路線価とは各道路に設定された価格で、国税庁ホームページの路線価図から確認できます。

道路に「200E」と表示されている場合、数字の部分が路線価、アルファベットが借地権割合となります。路線価はその道路に面した土地の1㎡あたりの価格であり、表示は1,000円単位ですから、200Eの場合は1㎡あたり20万円、借地権割合は50%になります。

では次に、具体例から借地権の評価額を計算し、小規模宅地等の特例も適用させてみます。

路線価図(国税庁)

小規模宅地等の特例を使った借地権の評価額

以下の条件で借地権の評価額を計算し、最後に小規模宅地等の特例を適用させて、最終的な相続税評価額を算出してみましょう。

  • 土地面積:300㎡

  • 路線価:30万円

  • 借地権割合:D(60%)

まず借地権の評価額を計算します。

  • 計算式

  • 借地権の評価額:(300㎡×30万円)×60%=5,400万円

次に小規模宅地等の特例を適用した減額分を計算し、最後に借地権の評価額から差し引くと相続税評価額がわかります。

  • 計算式

  • 特例の減額分:5,400×80%=4,320万円
    借地権の評価額から特例の減額分を控除:5,400万円-4,320万円=1,080万円

実際の計算では土地の条件に応じた補正率も考慮しますが、5,400万円と1,080万円では相続税率も15%違うので、小規模宅地等の特例は有効な相続税対策といえるでしょう。

所有権と借地権が跨る土地の評価額計算方法

先ほどの計算例は土地全体が借地であり、特例の限度面積330㎡以下なので、あまり複雑な計算にはなりませんでした。では以下のような条件の場合、小規模宅地等の特例はどのように適用するのでしょうか?

  • 自宅の建物が借地と自分の所有地(自用地)に跨っている

建物が2つの権利(借地権と所有権)の上に跨っているため、小規模宅地等の特例は計算方法も少し複雑になります。基本的な考え方は、「どちらの土地をメインに特例の限度面積330㎡を使うか」となるため、わかりやすい事例から計算方法を解説します。

自用地と借地それぞれの評価額計算

ではさっそく計算していきますが、土地や路線価は以下の条件とします。

  • 自用地面積:300㎡

  • 借地面積:400㎡

  • 1㎡あたりの自用地評価額:30万円

  • 借地権割合:60%

まず自用地と借地それぞれの評価額を計算し、最後に合算して全体の評価額を求めます。

  • 計算式

  • 自用地(所有権)評価額:300㎡×30万円=9,000万円

  • 計算式

  • 借地(借地権)の評価額:(400㎡×30万円)×60%=7,200万円

  • 計算式

  • 全体の評価額:9,000万円+7,200万円=1億6,200万円

ここで計算のポイントですが、小規模宅地等の特例は面積330㎡まで使えるため、評価額の高い自用地(所有権)に適用させた方が節税効果は高くなります。適用できる限度面積330㎡のうち、300㎡を所有権全体に適用させ、残りの30㎡分を借地権に使うとよいでしょう。

小規模宅地等の特例を適用させる

次に所有権と借地権それぞれに小規模宅地等の特例を適用し、最終的な相続税評価額を求めます。

  • 計算式

  • 所有権に特例を使った減額分:9,000万円×80%=7,200万円

  • 計算式

  • 借地権に特例を使った減額分:(30㎡×30万円)×60%×80%=432万円

  • 計算式

  • 所有権と借地権の減額分合計:7,200万円+432万円=7,632万円

最後に土地全体の評価額から減額分の合計を差し引いて、小規模宅地等の特例を適用した相続税評価額を計算します。

  • 計算式

  • 土地全体(所有権+借地権)の相続税評価額:1億6,200万円-7,632万円=8,568万円

ちなみに小規模宅地等の特例を使わなかった場合、1億6,200万円に対する相続税率は40%ですが、8,568万円まで減額すると税率は30%に下がります。実際の相続税額にも大きな差が出るので、自宅相続の際には必ず利用してください。

まとめ

借りている土地は借地権割合だけ評価額が下がり、さらに小規模宅地等の特例も使えるため、実際に収める相続税はかなり安くなります。首都圏や地方の主要都市であれば、自宅敷地の評価額が数千万円~1億円オーバーになるケースも多いため、80%の評価減は有効な相続税対策になるでしょう。

しかし土地には様々な条件があり、立地や形状の良し悪しも相続税評価額に大きく影響します。また、小規模宅地等の特例を使う場合は相続税申告も必要なため、初心者が対応すると「相続税の過納」が発生することも少なくありません。相続財産に土地があり、評価額も高くなりそうであれば、まず相続の専門家に相談しておきましょう。相続専門の税理士であれば、土地の評価減だけではなく「誰が相続すると得するか」などのアドバイスも受けられます。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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【出典元】
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