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相続税

最終更新日:2022.01.31

規模宅地等の特例は
マンションに適用できる!
条件や注意点、評価額の計算方法を解説

小規模宅地等の特例はマンションに適用できる!条件や注意点、評価額の計算方法を解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 小規模宅地等の特例の制度内容
  • ■ 小規模宅地等の特例をマンションに適用できるかどうか
  • ■ 小規模宅地等の特例を適用できるマンションの条件
  • ■ 小規模宅地等の特例を適用したマンションの評価方法
  • ■ マンションに小規模宅地等の特例を適用するときの注意点がわかる

分譲マンションの価格は年々高騰しており、一戸建てと比較して価格の下落率が低く、中古でも高額な相続財産になるケースが多いため、何らかの相続税対策をしておきたいところです。

自宅が一戸建ての場合、敷地部分の評価額を大幅に減額できる小規模宅地等の特例を適用できますが、自宅が分譲マンションの場合はどうなるでしょうか?

この記事では、マンションを相続するときに小規模宅地等の特例を適用できるかどうか、条件や注意点、マンションの評価額の計算方法を解説します。

小規模宅地等の特例とは

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす宅地を相続する場合に、宅地の評価額を最大80%減額できる制度のことです。自宅の敷地であれば限度面積330㎡まで80%減額、賃貸用の敷地であれば限度面積200㎡まで50%減額となります。

つまり、本来の宅地の評価額の2割あるいは5割になるため、たとえば面積が200㎡で、評価額1億円の土地であれば、小規模宅地等の特例の適用を受けることで、2,000万円あるいは5,000万円の評価額となります。

次に、小規模宅地等の特例の適用要件やマンションにも適用できるかどうかを詳しく解説します。

小規模宅地等の特例はマンションにも適用できる

小規模宅地等の特例は、特定居住用宅地等や貸付事業用宅地等が特例の対象であり、一戸建ての場合は「敷地」に、マンションの場合は「敷地利用権」に、一定の要件を満たすと小規模宅地等の特例を適用できます。

通常、分譲マンションでは建物の区分所有権と土地の敷地利用権は不可分であるため、両方の権利を所有しており、マンション(部屋)を相続すると敷地利用権も自動的に相続します。

小規模宅地等の特例を適用できるマンションの条件

マンションに小規模宅地等の特例を適用する場合、次のような用途のマンションが考えられます。

  • 被相続人が自宅として使っていたマンション

  • 被相続人と生計を一にする親族が住んでいるマンション

  • 被相続人が第三者に賃貸していたマンション

では、それぞれの適用要件をみていきましょう。

居住用マンションの適用条件

被相続人が自宅として使っていたマンションの敷地利用権は、以下の人が相続すると特定居住用宅地等に該当するため、小規模宅地等の特例を適用できます。

  • 被相続人の配偶者

  • 被相続人と同居していた親族

  • 被相続人に配偶者や同居親族がいない場合、相続開始前の3年間借家住まいの親族

被相続人の配偶者が相続すれば、無条件で小規模宅地等の特例を適用できます。配偶者以外の同居親族等も特例の対象となりますが、相続人ではない親族がマンションを取得するには、その親族に取得させる旨の遺言書を残す必要があります。

持ち家のない子供がマンションを相続する場合の条件

別居中の親族であっても、以下の要件を満たしていれば小規模宅地等の特例を適用できます。

  • 被相続人に配偶者や同居する相続人がいない

  • 相続人となる親族が相続開始前3年以内に自分または配偶者名義の持ち家、三親等以内の親族の持ち家、特別の関係がある法人の持ち家に住んだことがない

  • 相続開始時に住んでいる住居を過去に所有していない

  • 相続税の申告期限まで相続した宅地(マンションの敷地利用権)を所有し続けている

持ち家のない子供が要件であるため、通称「家なき子特例」と呼ばれますが、被相続人の配偶者がいる場合や、同居する相続人がいる場合には適用できません。被相続人が独居、独身であった場合に適用できます。

さらに、相続開始前3年以内に自分や配偶者、三親等以内の親族、特別の関係のある法人が所有する家に居住したことがなく、相続開始時に住んでいる住居の所有権を過去に一度も所有したことがない場合に適用できます。

つまり、相続開始3年より前に自分の持ち家を三親等以内にあたらない親族などに売却することで相続開始前3年以内に自分や配偶者、三親等以内の親族、特別の関係のある法人が所有する家に住んでいない状態を作りだしたとしても、その家に住み続けていた場合には、相続開始時に住んでいる家の所有権を過去に持っているため、小規模宅地等の特例を適用できません。

持ち家があると「家なき子」に該当せず、小規模宅地等の特例を適用できないことから、「家なき子」に該当する状況を作り出すために持ち家を親族などに売却して所有権は手放す一方、実態は過去に所有していた家に住み続けているといった租税回避を防止するために、このような規定があります。

賃貸用マンションの適用条件

分譲マンションを第三者に貸していた場合は、以下の要件を満たすと貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用できます。

  • 相続税の申告期限までその土地(敷地利用権)を所有して貸付事業を継続している

  • 相続開始前3年以内に新たに貸付事業を始めた土地ではない(相続開始の日まで3年を超えて継続的に特定貸付事業を行っていた場合を除く)

小規模宅地等の特例は、1棟全体が貸付用の賃貸アパートや賃貸マンションにも適用できますが、居住用と異なり、特例の限度面積は200㎡、減額割合は50%になります。

小規模宅地等の特例を適用したマンションの評価方法

マンションを相続するときに小規模宅地等の特例を適用する場合、どのくらい評価額が下がるのか、具体例をもとに計算方法を解説します。

<小規模宅地等の特例を適用する場合の計算手順>

  1. マンションの敷地権割合(持分割合)を確認
  2. 路線価からマンション敷地全体の評価額を計算
  3. 敷地権割合から自宅マンションの評価額を計算
  4. 小規模宅地等の特例の減額割合を適用

マンションの敷地権割合を確認

敷地権割合は、登記事項証明書で確認できます。持分割合とも呼ばれ、登記事項証明書の表題部に「5,000,000分の7,000」のように記載されています。

路線価からマンション敷地全体の評価額を計算

土地の相続税評価額は路線価方式で計算するため、国税庁ホームページで路線価を確認します。路線価とは各道路に設定された価額であり、その道路に面した土地1㎡あたりの価額をあらわしています。

路線価図には「200E」や「150D」のように表示されており、価額は1,000円単位であるため、1,000倍すると本来の路線価がわかります。

土地の相続税評価額は「路線価×面積」で計算するため、たとえば「200E」の道路に面した土地の面積が450㎡である場合の相続税評価額は以下のようになります。

  • 計算式

  • 土地の相続税評価額:20万円×450㎡=9,000万円

路線価図のA~Gの記号は借地権割合を示しており、借地の場合の計算に反映させます。なお、計算方法には倍率方式もありますが、一般的にマンションが建つような都市部のエリアは路線価地域となるため、倍率地域以外では倍率方法を使いません。

路線価図(国税庁)

敷地権割合から自宅部分の評価額を計算

マンションの敷地全体に敷地権割合を乗じて計算すると、所有している区分に対応する敷地面積(区分所有している土地)がわかります。

  • 計算式

  • マンションの所有している区分に対応する敷地面積:マンション全体の敷地面積×敷地権割合

たとえば、マンション全体の敷地面積が450㎡、路線価20万円、敷地権割合200,000分の12,000の相続税評価額は、以下のように計算します。

  • 計算式

  • マンションの敷地評価額:20万円×450㎡×12,000/200,000=540万円

最後に、小規模宅地等の特例を適用したときの計算方法を解説します。

マンションの相続税はいくら?評価・計算方法や節税対策まとめ

小規模宅地等の特例の減額割合を適用

先ほどの例で、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等に該当すると仮定)を適用して、所有している区分に対応する敷地部分の相続税評価額を計算してみます。

今回の事例では、自宅の敷地部分は27㎡(450㎡×12,000/200,000)であり、小規模宅地等の特例の限度面積330㎡に収まるため、自宅の敷地全体に80%の減額を適用できます。

  • 計算式

  • 小規模宅地等の特例を適用した相続税評価額:540万円×(1-0.8)=108万円

「タワマン節税」とは?2024年改正による影響と相続税評価額の計算方法について解説

まとめ

一般的に、マンションの敷地部分(敷地利用権)はそれほど広くないため、一戸建てに比べると小規模宅地等の特例を適用したときの減額効果を感じにくいかもしれません。しかし、数十万円~数百万円の差で、5~10%税率が上がるケースもあるため、小規模宅地等の特例を適用できるのであれば必ず適用を受けたい制度です。

この記事では、マンションの敷地部分に小規模宅地等の特例を適用できるかどうか解説しましたが、分譲マンションではなく一戸建ての敷地の場合であれば、被相続人の所有する土地等の上に生計を一とする親族が建物を建て、貸付事業用として用いている土地に対しても小規模宅地等の特例を適用することができます。

ご自身やご家族が所有する土地などの評価額が気になる、小規模宅地等の特例を適用できるか知りたいとご希望の方は、ぜひ当事務所にお問い合わせください。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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