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相続税

最終更新日:2022.04.27

続税の申告期限・納付期限はいつ?
遅れた場合のペナルティと
間に合わないときの対処法

相続税の申告期限・納付期限はいつ?遅れた場合のペナルティと間に合わないときの対処法

相続の発生は遺族にとって想像以上に過酷であり、大切な家族が亡くなった途端にいくつもの手続きがスタートします。各家庭によって多少の違いはありますが、一息つけるタイミングは葬儀の日から1カ月後、または1カ月半を過ぎた頃になるでしょう。

しかし本格的な相続手続きはここがスタート地点。特に相続税は要注意であり、納税通知書が届くわけではないので、自分で申告書を作成し、期限までに申告・納付しなければなりません。期限に間に合わなければ罰則もあるため、相続税の申告や納付期限などについて、フリーアナウンサーの町⽥まあちさんが、VSG相続税理士法人代表税理士の古尾谷裕昭さんに聞きました。

相続税の申告期限・納付期限はいつ?

――相続税の申告期限と納付期限について教えてください。期限がカウントされる起算日というのはいつにあたるのでしょうか?

相続税は、「相続開始を知った日の翌日から10カ月以内」が申告と納付の期限日です。相続開始日は被相続人の死亡日ですから、一般的には家族が亡くなられた日の翌日が起算日になります。たとえば1月10日が死亡日の場合、起算日は翌日の1月11日となり、同じ年の11月10日が申告・納付の期限日になりますね。

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ただし、相続開始時の状況によっては死亡日を遅れて知るケースもあります。

  • 失踪宣告により死亡とみなされた場合

  • 相続開始時には胎児であり、無事に生まれたことを法定代理人が後日に知った場合

  • 弁識能力のない幼児の法定代理人が、相続開始日以降に死亡の事実を知った場合

  • 遺贈によって財産を取得する場合

なお、相続税の申告は「被相続人の最後の住所地を管轄する税務署」で行いますが、期限日が土日や祝日の場合は翌開庁日(翌営業日)が期限日になります。年末年始(12月29日から翌年1月3日まで)も閉庁日なので注意しておきましょう。

さて、相続発生からの行事や手続きですが、基本的な流れがわかるようチャートにしています。

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すべての手続きが必要になるわけではありませんが、相続税申告までの10カ月間は特に重要な期間だと思っておきましょう。

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なぜ相続税申告が期限に間に合わない?主な理由をチェックしよう

――申告と納付期限は10カ月ということで思ったよりも時間があると感じますが、相続税申告が期限に間に合わない主な理由とは何でしょうか?

はい、主な理由が3つあり、実は相続税がかからない人にも関係します。

  • 戸籍収集が大変

  • 財産調査が大変

  • 遺産分割協議で揉めてしまう

では戸籍収集から順にわかりやすく解説します。

戸籍収集が大変

相続税を申告する際、税務署には「誰が相続人なのか」を証明する必要があります。そこで被相続人の出生から死亡までがわかる戸籍謄本、または除籍謄本や改正原戸籍謄本などを集めますが、転籍があればいくつもの役所へ請求することになります。住民票の除票も必要なので、忘れないように注意してください。

また、役所は平日の昼間しか開いていませんから、働いている方は窓口に行けない可能性もあるでしょう。郵送による請求もできますが、郵送にかかる日数分だけ時間のロスとなり、間違ったものを請求した場合は一からやり直しです。古い戸籍は非常にわかりにくいため、不慣れな方は読み解くだけでも大変な作業になります。

他にも相続人の戸籍謄本や住民票、印鑑登録証明も必要であり、預貯金口座の解約や名義変更の際にも提出します。

財産調査が大変

相続税の税額は自分で計算しなくてはならないため、どれだけの財産があるのかすべて調査する必要があります。預貯金通帳や不動産の権利書(登記識別情報)、株式の取引報告書など、調査対象は多岐にわたるので、見落としがないよう入念にチェックしておきましょう。また、借入金や未払金はプラスの財産から差し引くので、借用書や請求書も忘れずにチェックしてください。

被相続人が財産目録を作成している場合もありますが、すべて漏れなく記載されているとは限りません。特に作成日の古い財産目録には気を付けてください。

すべての財産がわかれば財産目録を作成しますが、ここで重要になるのが各財産の相続税評価額です。土地や非上場株式は評価額の算定が難しく、不慣れな方はここで停滞してしまうケースがほとんどです。

遺産分割協議で揉めてしまう

遺言書がない場合は、相続人全員による遺産分割協議が必要になります。遺産の分け方を決める重要な話し合いですから、この時点で相続人が確定し、相続財産の調査や評価も完了していなければなりません。

ただし、相続人同士の仲が悪い場合や、不動産など分割しにくい財産が多い場合は、何度話し合っても決着しないケースがあります。遺産分割協議が長期化すると相続税の申告期限に間に合わなくなるため、ある程度の妥協も必要になるでしょう。

事前に確認!相続税の申告期限が過ぎた場合のペナルティとは

――なるほど。そのような理由で期限に間に合わなくなるのですね。それでは相続税の申告期限が過ぎた場合は、どのようなペナルティが課せられるのでしょうか?

まず罰金として延滞税や加算税が課されることになり、相続税の負担軽減となる各種特例も使えなくなります。かなり厳しい措置ですが、申告・納付期限に間に合わない場合も想定し、ペナルティの内容も理解しておくとよいでしょう。

延滞税や加算税が発生する

相続税の申告・納付期限日を過ぎた場合や、過少申告や無申告など、状況によって罰金は4種類に分かれます。

延滞税

相続税を期限後に納付した場合は延滞税が加算されます。延滞税割合は国税庁によって指定があり、令和3年1月1日から12月31日までの割合は、納付期限の翌日から2カ月までが年2.5%。納付期限から2カ月を経過すると、年8.8%の延滞税割合になります。

過少申告加算税

本来の税額よりも少なく申告・納付した場合に発生する税金です。不足分を自主的に納付した場合は課税されませんが、税務署から指摘されて修正申告した場合は、追加納付分の10%が加算されます。また、追加納付する税額が当初の納税額と50万円のいずれか多い方を超えていれば、超えている金額の15%が加算されます。

無申告加算税

期限内に申告しなかった場合、正当な理由がなければ無申告加算税が発生します。自主的に申告した場合は税額の5%が加算となり、税務署の指摘によって申告した場合は税額の15%が加算されます。

重加算税

仮装や隠蔽によって少ない税額で申告したり、申告そのものをしなかった場合は、ペナルティとして重加算税が課税されます。過少申告加算税や無申告加算税の強化版となる税金ですが、過少申告の場合は追加納付した相続税額の35~45%、無申告であれば40~50%の加算となります。意図的な税逃れですから、ペナルティもかなり重くなっていますね。

各種特例が使えなくなる

遺族の税負担が軽くなるよう、相続税にはいくつか特例も設けられています。「配偶者の税額軽減」を使うと配偶者の相続税はほぼゼロ円になり、「小規模宅地等の特例」では自宅敷地の評価額が80%の減額になります。農地を相続した場合の納税猶予などもありますが、いずれも相続税申告の際に申請が必要であり、申告期限に間に合わなければ適用できなくなってしまいます。

特例の適用によって相続税がゼロ円になる場合でも、申告だけは必要になるので十分に注意してください。

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相続税の申告期限は延長できるの?期限に遅れそうなときの対処法を確認

――罰金や特例が使えないことなど、ペナルティを課せられてしまったらすごく損ですよね。申告期限は延長できるのでしょうか?期限に遅れそうなときの対処法などあればお伺いしたいです。

相続税の申告期限は原則延長できない

相続状況に応じた配慮があれば助かるのですが、原則として相続税の申告期限に延長はありません。

とはいえ、大規模災害に遭遇するなど、相続手続きどころではない状況もありますね。たとえば新型コロナウイルスや豪雨災害などの影響で、相続財産の調査や遺産分割協議ができないケースもあります。このような場合は「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出し、災害などの理由がなくなった日から最長2カ月まで延長が認められます。

対象となる災害等は国税庁のホームページに掲載されているので、「相続税」や「延長申請」などのキーワードでネット検索してみるとよいでしょう。

また、相続人となる胎児が生まれた場合や、他の相続人から遺留分の侵害額を請求された場合も、最長2カ月の延長が可能になっています。

相続税の申告期限に遅れそうなときの対処法

相続税申告や納付の手続きですが、実は予定どおりに進まないケースが多いのです。申告期限を過ぎてしまう例も少なくないため、「遅れそうだな」と思ったら概算申告や未分割申告をしておきましょう。

相続財産の調査が終わっていない、または財産の評価額がわからないため納税額を算出できない場合は、少し多めの金額で概算申告してください。もちろん期限内の申告や納付になりますが、納め過ぎた相続税は「更正の請求」によって還付されます。ただし、申告内容を修正した場合は、小規模宅地等の特例が使えなくなる可能性もあるので要注意です。

また、遺言書がない相続の場合、相続税申告の際には遺産分割協議書を提出しますが、相続人全員の署名捺印が必要です。遺産の分け方を巡って相続人同士が揉めてしまったり、連絡の取れない相続人がいる場合は遺産分割が決着しないでしょう。申告・納付期限に間に合わないようであれば、未分割の申告も検討してください。未分割の申告とは、ひとまず法定相続分どおりに分割し、相続税申告書とともに「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する方法です。

3年以内に遺産分割をまとめなければなりませんが、納め過ぎの相続税は更正の請求によって還付されますし、追加納付があれば修正申告にも応じてもらえます。

ただし、どの対処法もひと手間増えてしまうため、できれば期限内の申告や納付を目指したいところですね。

期限内の申告や納付にはポイントが3つあり、まず1つ目は生前から財産調査を進めておくことです。遺言書や財産目録があればよいのですが、手掛かりがなければ何をどこまで調べてよいかわからなくなるでしょう。本人に直接聞きづらい場合もありますが、年賀状や販促用のカレンダーなどから、取引銀行や支店を推測できる場合もあります。亡くなってから預貯金などの手がかりを探すのでは時間がかかってしまいますので、できるかぎり生前から保有財産を把握しておくことをおすすめします。

2つ目のポイントは相続人の範囲を知っておくことです。民法によって定められた相続人を法定相続人といいますが、誰が法定相続人なのかわからなければ、遺産分割協議の際に漏れが出てしまうでしょう。1人でも漏れがあると遺産分割協議はやり直しになるので、時間をロスしないためにも相続人の範囲は理解しておくべきでしょう。

3つ目は遺言書の作成です。被相続人がとるべき対策になりますが、遺言書は亡くなった方の意思として尊重されますし、法律文書としての効力もあります。主な相続財産が自宅だけであったり、相続人同士の仲が悪い場合は、遺産分割がまとまらずに長期化する恐れもあります。しかし遺言書があれば、遺言内容に従った相続が行なわれるので、相続税申告や納付も期限内に完了できるでしょう。

相続税の申告を専門家に依頼するメリット

――相続税の申告期限は原則延長できないのであれば、なおさら手続きはスムーズに進めたいところです。そんなときに頼りになるのはやはり専門家ですよね。相続税の申告を専門家に依頼するメリットはどのようなところにあると思いますか?

税理士に依頼していただければ、期限内の申告は確実になります。相続税申告のために休暇を取る機会も減りますから、仕事やプライベートにも時間的な余裕ができるでしょう。相続財産についても適正な評価額を計算しますので、税金の納め過ぎも回避できますし、何より過少申告や無申告による罰金を気にする必要もありません。税理士が関与すると税務調査の確率も下がるので、申告後の不安も解消されます。

特に土地や非上場株式など、分割しにくい財産や、評価の難しい財産が多いほど、我々税理士を頼っていただくメリットも大きくなります。また、相続税に関する困りごとは税務署にも相談できますが、節税対策を練ってくれるわけではなく、申告期限の延長もありません。

税金を低く抑えたい、相続税の申告期限が迫っているという方であれば、一日でも早く税理士へ相談したほうがよいかと思います。なお、相続税申告以外にも問題を抱えている場合、それぞれの専門家へ個別に相談すると、やはり時間のロスが大きくなってしまいます。弁護士や司法書士、行政書士など、各分野の専門家が在籍している法律事務所を選んでおくのも重要なポイントです。

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――今回は相続税の申告期限についてお話を伺いました。

申告が遅れたときに課せられるペナルティのことを事前に知っているだけで、手続きを進めることへの意識が変わりますね。期限内にしっかりと申告を終えるためには、やはり相続手続きに詳しい専門家に一度ご相談したいと思います。

本日はありがとうございました。

相続税の申告期限は相続開始の日の翌日から10カ月となっておりますが、仕事や日常生活もあり、その他の相続手続きも発生するため、決して余裕のある期間ではありません。遺族にとっては酷なことですが、相続発生後は直ぐにでも準備に取り掛からなければならないでしょう。

しかし多くの方は、「何から手を付けてよいかわからない」といった状況になりやすく、どうしてもスタートが遅れがちになります。相続開始直後から申告・納付のカウントダウンは始まっているため、手に負えないと判断できたらすぐにでも税理士へ相談してください。相続税申告が完了すればひとまずの区切りとなるので、日常生活も平穏になり、ゆっくりと故人を偲ぶ余裕も生まれるでしょう。

  • プロフィール

  • 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人代表税理士 https://vs-group.jp/sozokuzei/
2006年に古尾谷会計事務所開業。税理士を中心とした士業グループを全国24拠点で展開するベンチャーサポートグループの相続専門部署の代表を務める。VSG相続税理士法人には、税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。VSG相続税理士法人の年間申告件数3,000件以上。

  • プロフィール

  • 町⽥ まあち

フリーアナウンサー
ミス沖縄として年間約300⽇国内外にてメディア出演、外交、公式⾏事やイベントのMC、テレビ局リポーター業務を⾏う。⽶国NPO法⼈や⽇本政府機関にて取材やプレスリリース業務に従事。現在はフリーアナウンサーとしてMC、パーソナリティ、テレビ出演や研修講師としても幅広く活動中。その他沖縄伝統芸能を通した教育活動や、早稲⽥⼤学ボランティアセンターのプログラムで震災以降毎⽉東北にてアカペラ教室講師を担当。ミスワールド⽇本伝統⽂化賞受賞。現場で培った経験から、親しみやすい印象で場を和ませつつ、相⼿を引き込む臨機応変なトークが好評。

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【出典元】
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