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相続税

最終更新日:2022.04.27

屋や建物の
相続税評価額の確認と計算方法
【評価額を下げる節税策も紹介】

このコンテンツでわかること

  • ■家屋や建物の相続税評価額や計算方法がわかる
  • ■家屋等の固定資産税評価額の確認方法がわかる
  • ■家屋等の相続税評価額を下げる節税方法がわかる
  • ■家屋等の相続税評価額を計算するときの注意点がわかる

不動産は価値の高い相続財産の代表例であり、相続税額にも大きく影響します。所有者が死亡したときの価値が「相続税評価額」になり、家屋と土地は別々に計算しますが、「土地と家屋はセット」と考えられている例もあるので注意が必要です。土地には相続税評価額が20%になる特例があるため、土地と家屋をセットで考えてしまうと「家には相続税がからならない」という誤った解釈になりかねません。

今回は家屋の相続税評価額について、自宅や賃貸用の建物など、種類別の調べ方や計算式などを解説します。相続税がかかるかどうかの判断もできるので、相続税対策を検討中の方はぜひ参考にしてください。

家屋の相続税評価額の計算方法

家屋の相続税評価額は使用形態によって変わりますが、居住用や事業用の建物は「固定資産税評価額×1.0」で計算します。

つまり「固定資産税評価額=相続税評価額」であり、固定資産税評価額が5,000万円であれば、相続税評価額も同額の5,000万円になります。一方、自宅を第三者に貸している場合や、賃貸用の建物であれば、上記の計算から一定割合を減額できるので、相続税評価額は低く抑えられます。建物の評価額は相続税にも大きく影響するので、それぞれの評価方法について具体的な計算式もみていきましょう。

被相続人が使っていた建物の相続税評価額

亡くなった方(被相続人)が使っていた建物には居住用家屋(自宅)や事業用の建物があり、相続税評価額は冒頭の評価額の計算と同じで下記のように計算します。

  • 計算式

  • 居住用家屋等の相続税評価額:固定資産税評価額×1.0

固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になるので、土地と異なり特殊な計算は不要です。

被相続人が第三者に貸していた建物の相続税評価額

被相続人が所有する家屋を第三者に貸している場合、借主の権利である「借家権」の割合を固定資産税評価額から控除できます。借家権割合は全国どこでも30%なので、貸している家屋の相続税評価額は以下の計算式で求めます。

  • 計算式

  • 第三者に貸している家屋の相続税評価額:固定資産税評価額×(1-0.3)

仮に固定資産税評価額3,000万円の家屋を第三者に貸していれば、所有者が死亡したときの相続税評価額は以下のようになります。

  • 計算式

  • 固定資産税評価額3,000万円×(1-0.3)=相続税評価額2,100万円

上記の例では、900万円分(3,000万円-2,100万円)の賃貸割合が減額されています。

賃貸物件となる建物の相続税評価額

賃貸用のアパートやマンションの場合、建物には「借家権割合」と「賃貸割合」を反映できるため、相続税評価額の計算式は以下のようになります。

  • 計算式

  • 賃貸アパート等の相続税評価額:固定資産税評価額×(1-0.3×賃貸割合)

賃貸割合は貸している部分の床面積になるので、延床面積が500㎡、貸している部分が300㎡であれば、賃貸割合は60%(300㎡÷500㎡)になります。

では、固定資産税評価額8,000万円、賃貸割合60%の賃貸物件について、相続税評価額はいくらになるか計算してみましょう。

  • 計算式

  • 固定資産税評価額8,000万円×(1-0.3×0.6)=相続税評価額6,560万円

賃貸割合が大きくなるほど相続税評価額は低くなるので、満室(賃貸割合100%)が理想的ということになります。

相続した家屋の固定資産税評価額を確認する方法

自分で使っている家屋や賃貸用の建物など、使用形態ごとの相続税評価額を解説しましたが、いずれも計算式はシンプルです。固定資産税評価額さえわかれば相続税評価額を計算できるので、まず固定資産税評価額の確認方法を理解しておきましょう。具体的には次の方法で確認できます。

固定資産税の課税明細書を確認する

家屋の固定資産税評価額については、毎年5月頃に送付される「固定資産税の課税明細書」に記載されています。課税明細書の様式は各自治体によって異なりますが、「価格(評価額)」の欄に記載される例が一般的です。毎年の送付になるため、古い明細で確認しないよう「年度」もチェックしておきましょう。

名寄帳や固定資産税評価証明書で確認する

紛失などにより課税明細書が手元にないときは、市町村役場で「名寄帳(なよせちょう)」や「固定資産評価証明書」を発行してもらいましょう。名寄帳には所有不動産(土地と家屋)が一覧表示され、固定資産評価証明書は土地1筆、家屋1棟ごとに発行されます。また、家屋の固定資産税評価額は「価格」または「評価額」の欄に記載される例が一般的です。

固定資産評価証明書は家屋の所有権移転(相続登記)や相続税申告に使えるので、名寄帳と一緒に請求しておくとよいでしょう。

家屋や建物の相続税評価額を下げ節税する方法

家屋や建物の相続税評価額は調整できないと思われがちですが、積極的に評価を下げる方法もあるので、相続税対策に悩んでいる方は参考にしてください。

具体的には、次のような方法で相続税評価額を下げることができます。

家屋や建物を第三者に賃貸する

家屋や建物を第三者へ賃貸すれば、借家権割合を適用できます。30%の評価減になるため、使用していない家屋や建物があれば借り手を探してみるとよいでしょう。ただし、無償で貸している場合は借家権割合を適用できないので、借り手が親族であっても家賃をもらっておく必要があります。

また、極端に低い家賃では賃貸借として認められないため、相場に応じた家賃をもらうようにしてください。

賃貸アパート等は空室率を下げる

賃貸アパート等は、賃貸割合が高くなるほど相続税評価額が低くなります。たとえば、同じ固定資産税評価額5,000万円でも、賃貸割合50%と100%では以下のような違いになります。

  • 計算式

  • 賃貸割合50%:5,000万円×(1-0.3×0.5)=4,250万円

  • 計算式

  • 賃貸割合100%:5,000万円×(1-0.3×1.0)=3,500万円

  • 計算式

  • 差額:4,250万円-3500万円=750万円

なお、相続発生時に空室があったとしても、「一時的な空室」であれば賃貸割合に含められますが、一時的かどうかは次の基準で判断します。

一時的な空室かどうか判断する基準

賃貸アパート等の「一時的な空室」については、以下の基準から判断します。

  • 1カ月程度の空室など、課税時期前後(相続の前後)の空室が一時的であったか

  • 各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されていたか

  • 賃借人が退去した後、速やかに新たな賃借人を募集していたか

  • 空室の期間中、賃貸以外の用途に使っていなかったか

  • 課税時期後に一時的に賃貸したものではないか

なお、古い建物は入居率が悪くなり、次の入居まで3~5カ月かかる場合もありますが、過去の判例では1カ月以上の空室を「一時的」とは認めていないようです。長期の空室対策には法人化などの手法もあるため、入居率が悪い場合は専門家にも相談してみることをおすすめします。

家屋や建物の相続税評価額を計算するときの注意点

固定資産税評価証明書や課税明細書の見方など、家屋や建物の相続税評価額を計算するときには、いくつかの注意点があります。相続税額にも影響するので、次の項目には十分注意しましょう

固定資産税課税標準額では評価しない

固定資産税の課税明細書などには価格(評価額)と課税標準額があり、一致していることが多いため、「課税標準額=固定資産税評価額」と勘違いしがちです。

しかし、課税標準額はあくまでも固定資産税額の算出基準であり、固定資産税評価額とは別物なので、必ず価格(評価額)の部分を確認してください。課税標準額は負担調整などの反映により、固定資産税評価額より低くなるケースがあるので、課税標準額から相続税を計算すると、過少申告になる可能性があります

賃貸物件は未償却残高で評価しない

アパートやマンションなどの賃貸事業を行っている場合、一般的には建物や設備の減価償却費を経費計上しています。しかし、「未償却残高(簿価)=相続税評価額」と勘違いするケースもあるので注意してください。賃貸物件の建物については、記事前半で解説した評価方法で相続税評価額を計算します。

相続開始前のリフォーム等は相続税評価額に反映させる

相続開始前のリフォームやリノベーションは固定資産税評価額に反映されていないため、工事代金から減価償却費相当額を控除した額の70%相当で評価します。

評価が上がる前の固定資産税評価額から相続税を計算すると、過少申告になるので注意しましょう。

家屋等の取得費は相続税評価額にならない

相続後の家屋等を売却するケースもありますが、建物の取得費を相続税評価額と勘違いする例もあるので注意してください。実際の計算では、被相続人が支払った取得費(購入費)や、取得時期まで遡った減価償却費も反映させます。

小規模宅地等の特例が使えるのは土地だけ

自宅の敷地や事業用の宅地などについては、一定条件を満たせば小規模宅地等の特例が使えます。ただし、特例の対象はあくまでも土地部分だけなので、建物の評価額には影響しません。土地と建物をセットで考えるパターンもあるため、そういった場合は特例の対象を間違えないよう注意が必要です。

まとめ

家屋や建物の相続税評価額は固定資産税評価額をベースにするため、土地に比べると簡単に評価できそうです。しかし、取得費や減価償却費、相続直前のリフォーム等も評価額に影響するため、単純に「固定資産税評価額=相続税評価額」では計算できない例も多くあります。相続税が発生するケースでは、わずかな評価ミスでも適用税率が変わる可能性があるため、正確な相続税評価額が求められるでしょう。家屋や建物の評価方法がわからない、有効な相続税対策が思いつかないという方は、まず相続専門の税理士に相談してみましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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