相続税が払えないときの対処法5つ
期限までに相続税が払えないときは、分割して払う、現物で払う、または資産売却や借入れによる納税資金対策があり、いずれも何らかの形で相続税を払う方法です。また、具体的な方法としては以下のようになります。
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延納:最長20年の年払い
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物納:土地などの現物で相続税を払う
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不動産などの売却:土地などの売却代金で相続税を払う
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金融機関からの借入れ:ローンを組んで相続税を払う
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相続放棄:遺産相続そのものを放棄する
どの対処法もメリットやデメリットがあるため、まずそれぞれの特徴や利用方法を理解し、自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。
年払いによる延納
相続税は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内が申告期限であり、現金一括払いが原則となっています。ただし、以下の要件を満たせば延納(年払い)が認められるケースがあります。
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相続税額が10万円以上あること
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現金一括納付が困難であること
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申告期限までに延納申請書などを提出する
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担保財産を提供する
延納は亡くなった方の最後の住所地の管轄税務署へ申請しますが、認めるかどうかは相続人ごとに判定されます。また、相続財産のうち不動産割合が75%以上あれば最長20年の延納も認められますが、延納期間中は利子税も発生します。
まとめると、延納についてのメリット・デメリットは以下のようになります。
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延納のメリット:1回あたりの納税負担が軽くなる
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延納のデメリット:利子税により納税額が増える
現物による物納
「物納」は文字どおり現物納付であり、現金の代わりに不動産や有価証券で相続税を納める制度です。延納が困難な場合の選択肢ですが、相続した財産だけが物納対象になり、以下のような優先順位も決められています。
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第1順位:不動産、上場株式や国債・地方債などの有価証券、船舶
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第2順位:非上場株式など
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第3順位:貴金属などの動産
上位の財産(土地など)を相続しているときは、下位の財産(非上場株式など)の物納は認められません。また、相続時の時価よりも低く評価されやすいので、以下のようなメリットやデメリットが生じます。
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物納のメリット:納税資金がなくても相続税を払える
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物納のデメリット:本来の価値よりも低く評価される可能性が高い
不動産などの売却
価値の高い不動産があれば、売却代金から相続税を支払う方法もあります。相続登記により、一旦は相続人名義にしなければなりませんが、活用する予定がなければ検討してもよいでしょう。購入額よりも高く売れたときは譲渡所得税もかかりますが、相続開始から3年10カ月以内の売却であれば、譲渡所得額を減額できる特例を使える可能性があります。
ただし、希望価格で売れるかどうか、申告期限までに売れるかどうかはわからず、土地の場合は測量費が必要になるかもしれません。まとめるとメリット・デメリットは以下になります。
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不動産売却のメリット:納税後も手元に資金が残る
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不動産売却のデメリット:申告期限に間に合わず、想定外の出費が発生する可能性も考えられる
なお、土地は不動産会社の仲介によって売却するケースが多いとされ、その場合は仲介手数料も発生します。
金融機関からの借入れ
納税資金を準備するため、銀行などから融資を受ける方法もあります。元金と利息を返済していくので、延納と比較して、利子税よりも融資利率が低い場合は検討するべきかもしれません。ただし、相続税を払うための融資であれば、担保や保証人が必要になるケースが多く、一般的な融資(住宅ローンなど)より審査が長引く可能性があります。
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銀行融資のメリット:利子税より融資利率が低いときは、延納よりメリットが大きい
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銀行融資のデメリット:融資が申告期限に間に合わない可能性がある
相続放棄
相続放棄すると、最初から相続人ではなかったことになり、相続に関する一切の権利や義務を手放します。したがって、相続税の納税義務もなくなりますが、現金や預貯金などの財産ももらえなくなるため、他に方法がないときの最終手段と捉えるべきかもしれません。また、相続開始から3カ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があり、期間経過後の相続放棄は原則として認められません。
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相続放棄のメリット:相続税の納税義務が消滅する
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相続放棄のデメリット:預貯金や不動産は相続できない、申立てまでの期限が短い
遺産分割協議が進まず相続税が払えないときの対処法
遺言書がない相続では、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で遺産の分け方を決めていきます。協議がまとまらなければ各自の相続税額も確定しないため、納税資金はあっても申告できない状況が出てくるでしょう。申告期限を過ぎると追徴課税などのペナルティがあり、払えないまま放置すると財産の差押さえが行われるかもしれません。遺産分割協議が進まず相続税が払えない状況であれば、次の方法も検討してみましょう。
相続税額分の遺産分割だけを決定する
納税資金さえ準備できれば相続税申告はできるので、預貯金の分割を優先し、不動産などの分割は後回しにする方法です。申告期限経過のペナルティを回避する目的ですから、各相続人の理解は得やすいでしょう。
預貯金の仮払い制度を利用する
遺産分割が決着していない場合、原則として預貯金口座の解約はできません。ただし、2019年7月1日以降は預貯金の仮払い制度がスタートしているので、遺産分割の成立前でも一定額を引き出せます。引き出し可能額の上限は以下のとおりですが、金融機関ごとに適用されるので、被相続人の取引銀行が多ければ、十分な納税資金になるかもしれません。1つの金融機関で、以下のどちらか低い方を上限として引き出せます。
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150万円
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相続発生時の預金残高×法定相続分×1/3
法定相続分の預金払い出しを請求する
難易度が高いため参考までの解説ですが、遺産分割が決着しておらず、凍結状態になっている口座でも、裁判によって払出しが認められたケースがあるようです。
ただし、弁護士による交渉が必要であり、時間や弁護士費用もかかるため、他に選択肢がない場合の手段だと思っておきましょう。
相続税の納税資金を用意しておく方法
相続税対策は大きく2種類あり、積極的に納税資金を準備する方法や、相続税そのものを低くする方法になります。具体的には次のような方法があるので、財産の内容や家族構成に合わせて選択するとよいでしょう。
なるべく現金や預貯金を相続する
現金や預貯金はそのまま納税資金になるので、不動産などの換金しにくい財産に比べてメリットは大きくなります。遺産分割協議の際には、預貯金や現金の相続を主張してみてもよいでしょう。
生前贈与を活用する
年間110万円までの贈与には、贈与税がかかりません。また、子供や孫の教育資金、結婚・子育て資金などを一括贈与するときは、1,500万円、または1,000万円まで贈与税がかからない特例もあります。
贈与税のかからない資金移転が可能となり、本人(贈与者)の財産も減少するため、活用次第では相続税がかからなくなる可能性もあります。
不動産贈与に相続時精算課税制度を活用する
相続時精算課税制度を活用すると、贈与額2,500万円までが非課税になります。高額な財産の贈与に向いているので、不動産を生前贈与したいときは検討するべきかもしれません。相続時精算課税制度で贈与した場合、贈与財産は相続財産に加算しますが、不動産の評価額は贈与時の時価になります。したがって、一時的に地価が下落している場合や、開発等により将来の地価上昇が見込める場合には、相続時精算課税制度を選択してもよいでしょう。
養子縁組する
相続税には基礎控除があり、以下のように計算します。
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計算式
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相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
養子は実子と同じく法定相続人になるので、養子縁組すれば基礎控除額が上がり、相続税がかかる部分の金額が減ることになります。
賃貸アパートやマンションを建築する
活用していない土地があれば、賃貸物件の建築が相続税対策になる可能性もあります。
高額な資金も必要ですが、自己資金から建築費を払えば相続財産を減らすことになり、銀行から借りた場合は借金として相続財産から差し引けます。また、「借地権割合」「借家権割合」「賃貸割合」が評価額を低くする要素になるので、現金相続よりも相続税額が低くなる可能性は高いでしょう。
収益物件を購入する
活用できる土地がない場合は、マンションの一室購入も相続税対策になる可能性があります。賃料収入を納税資金にできますし、換金しにくい財産は相続税評価額も低くなるため、現金や預貯金の1/3程度で評価できます。
生命保険を活用する
生命保険の保険金も相続財産になりますが、以下の非課税枠が使えます。
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計算式
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生命保険の非課税枠:500万円×法定相続人の数
最低でも500万円は相続財産から差し引けるので、現金や預貯金よりも課税額(相続税がかかる部分の金額)は低くなります。
相続専門税理士に土地の評価を依頼する
地価の高い土地は高額な相続財産になりますが、専門家であれば減額要素を見抜いてくれるでしょう。評価額が下がれば相続税額も低くできるので、相続専門税理士に評価を依頼してみることも検討しましょう。
まとめ
相続税は税率の高い税金なので、納税資金対策は特に重要です。財産の所有者が生きている間は選択肢も多くなりますが、相続発生後の対策は限られてしまい、すべて申告期限までに対応しておく必要もあります。スタートが遅れると申告期限に間に合わなくなり、延滞税や追徴課税などのペナルティが科されることもあるので、時間がかかる対策は選択できないかもしれません。
家庭ごとに家族構成や相続財産は違うため、ベストな相続税対策ができるよう、相続の専門家にも相談しておくとよいでしょう。



