未支給年金に相続税はかかる?
相続した財産は基本的に相続税の課税対象になっていますが、公的年金と企業年金では相続税をかけるかどうかの扱いが異なります。具体的には次のような違いがあるので、種類別の特徴を理解しておくとよいでしょう。
公的年金
公的年金には相続税がかかりません。厚生年金や国民年金を公的年金と呼びますが、支給額は前月と前々月分になるため、受給者が亡くなったときは未支給分が発生することになります。
企業年金
企業年金の未支給分には相続税がかります。亡くなった方の勤め先が企業年金を導入していた場合、年金形式で退職金が支払われることもあります。仮に支給期間が10年あり、3年目で受給者が亡くなると、残り7年分の未支給額に相続税がかけられます。
死亡退職金
亡くなった方の勤め先から死亡退職金が支給されたときは、その死亡退職金に相続税がかかります。ただし、死亡退職金には以下の基礎控除(非課税枠ということも)があり、基礎控除を超えた部分の金額だけに相続税がかかります。
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計算式
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死亡退職金の基礎控除:500万円×法定相続人の数
なお、法定相続人とは法律で定められた相続人になれる人であり、亡くなった方の夫や妻、子供などが該当します。
個人年金
個人年金の未支給分には相続税がかかります。保険がかけられている人を被保険者といい、被保険者が亡くなった後、遺族に年金が支給されるケースもあります。一定期間を定めて年金を支給する契約だったときですが、その期間が終わる前に被保険者が亡くなると、残りの期間について未支給分が発生します。
未支給年金は相続放棄しても受給できる
亡くなった方への未支給年金は、相続放棄していても受け取ることができます。相続放棄とは、相続に関係する権利や義務を手放すことであり、預貯金などの財産はもらえなくなります。ただし、未支給年金は亡くなった方が築いた財産ではないため、最高裁判所でも「相続財産ではない」と判断した例があります。相続放棄すると、最初から相続人ではなかったことになりますが、未支給年金は相続財産ではないため、相続放棄した人が受け取っても問題はありません。
未支給年金を受け取ることができる人・請求方法
未支給年金は受け取ることができる人が決まっており、誰から優先的に受け取ることができるのか、順位も決められています。また、未支給年金を受け取るときは、次のような手順や必要書類があります。
未支給年金を受け取ることができる人と受け取り順位
亡くなった方と相続人が同一生計だったときは、以下の順番で未支給年金を受け取ることができます。なお、同一生計とは、養う人と養われる人がいる状況であり、それぞれが離れて暮らしていても条件が合致すれば同一生計になります。
- 配偶者(夫や妻)
- 子供
- 父母
- 孫
- 祖父や祖母
- 兄弟姉妹
- 甥や姪
順位が上になる人がいるときは、その人よりも下の順位の人は、未支給年金をもらうことができません。
未支給年金の請求方法
亡くなった方の未支給年金を受け取るときは、最寄りの年金事務所、または年金相談センターに支払いを請求します。年金に関する情報は各事務所で共有されているため、亡くなった方や相続人の住所地にある年金事務所だけではなく、全国どこでも請求できます。
最寄りの年金事務所や年金相談センターの所在地がわからないときは、日本年金機構のホームページから検索しましょう。
未支給年金を請求するときの必要書類
未支給年金を請求するときは、請求用の書類に加え、受給者本人が亡くなっていること、本当に受給者だったことの証明書類も必要です。請求する人が先に解説した「未支給年金を受け取ることができる人」であり、かつ亡くなった方の相続人で、上の順位の人がいないことの証明も必要です。
請求するときには以下の書類を準備します。
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受給権者死亡届(年金機構にマイナンバーが収録されている場合は不要)
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未支給年金・未支払給付金請求書
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亡くなった方の年金証書
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受給者が亡くなったことを証明できる書類(死亡診断書、死亡が記載された戸籍謄本など)
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亡くなった方と請求者の関係がわかる戸籍謄本
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亡くなった方と請求者が同一生計だったことを証明できる書類(住民票など)
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未支給年金を受け取る預金口座の通帳
未支給年金を受け取るときの注意点
未支給年金を受け取るときには、次の項目に注意してください。個人年金の場合、状況によっては贈与税がかかる可能性もあるので、契約形態にも注意しておくべきでしょう。
個人年金の契約形態によっては贈与税がかかる
個人年金の未支給分には相続税がかかりますが、被保険者と保険料負担者が同じ人だった場合です。別の人が保険料負担者であり、被保険者は亡くなったが保険料負担者は生きている状況であれば、未支給年金を受け取った人に贈与税がかかります。たとえば、夫が保険料負担をしており、被保険者である妻が亡くなった場合がこれに該当します。税金に関する法律の考え方では、保険料を負担した人から未支給年金を受け取った人への贈与とみなされます。
遺族年金には所得税がかからない
公的年金を受給していた人が亡くなると、遺族へ遺族年金が支給されますが、これには所得税はかかりません。
まとめ
年金の種類や契約形態は様々なので、相続財産になる・ならない、相続税がかかる・かからないの判断は難しいでしょう。相続税がかかる・かからないの判断を間違えてしまい、相続税申告をしなかったとしたら、無申告や過少申告に判定される可能性も考えられます。
亡くなった方がどのような年金を受給していたか、家族が知らないケースも想定されるので、亡くなった家族の預金通帳や郵便物は入念に調べておくべきでしょう。未支給年金と相続税の関係がわかりにくいようであれば、相続の専門家にも相談することをおすすめします。



