家屋の相続税計算方法
親の家を相続する場合、土地と建物は別々に相続税評価額を計算します。最終的には預貯金なども含めて相続税がかかるかどうかを判断しますが、まずは土地と家屋それぞれの評価方法を理解しておきましょう。
家屋は固定資産税評価額をベースに評価する
建物の相続税評価額は以下のように計算します。
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計算式
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固定資産税評価額×1.0
固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になるので、以下の書類で固定資産税評価額を確認することができます。
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固定資産税の課税明細:毎年役所から送付される納税通知書に同封
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固定資産評価証明書:役所で取得可能(発行手数料は200~400円程度)
なお、賃貸用の建物は借家権割合と賃貸割合の減額要素があるので、自用家屋よりも低い評価額になることが一般的です。
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計算式
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賃貸物件(建物)の相続税評価額:固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
借家権割合は全国どこでも30%であり、賃貸割合は賃貸している床面積÷建物の延床面積で計算できます。
土地は路線価方式で評価する
市街地にある土地は路線価方式で相続税評価額を計算します。路線価は各道路に設定された価格で、その道路に面した土地1m²あたりの相続税評価額を表しています。
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計算式
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路線価方式による土地の相続税評価額:路線価×土地面積(m²)
路線価は国税庁ホームページで確認できますが、単位は1,000円なので、1,000倍すると実際の価格がわかります。なお、路線価末尾のアルファベットは借地権割合を表しているので、賃貸用の土地や借地のみに関係する減額要素です。
路線価のない地域は倍率方式で評価
都市部郊外など、路線価のない地域は倍率方式で土地の相続税評価額を計算します。
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計算式
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倍率方式による土地の相続税評価額:固定資産税評価額×倍率
倍率は国税庁ホームページの評価倍率表に表示されており、宅地の場合は1.0や1.1に設定されるケースが多くなっています。つまり、固定資産税評価額500万円、倍率1.1の宅地であれば、550万円(500万円×1.1)が相続税評価額になります。評価倍率表は国税庁ホームページの路線価図を参照し、各都道府県をクリックした次の画面で確認できます。
分譲マンションの評価も基本的には戸建てと同じ
親の家が分譲マンション(区分所有マンション)の場合も、基本的な考え方は戸建てと同じです。建物部分は固定資産税評価額×1.0で評価しますが、土地部分は敷地権割合(持分割合)を反映させるので、路線価方式の場合は以下のような計算式になります。
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計算式
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分譲マンションの土地部分の相続税評価額:路線価×マンション全体の敷地面積×敷地権割合
敷地権割合は登記事項証明書に記載されているので、管轄法務局から取り寄せておきましょう。
実家にかかる相続税の計算例
では、ここまでの解説をもとに、以下の条件で相続税を計算してみます。
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土地:路線価30万円、面積200m²
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家屋:固定資産税評価額1,500万円
まず土地と家屋の相続税評価額を計算します。
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計算式
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土地:30万円×200m²=6,000万円
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計算式
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家屋:1,500万円×1.0=1,500万円
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計算式
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合計:6,000万円+1,500万円=7,500万円
7,500万円には税率30%と控除額700万円が適用されるので、相続税の総額は以下のようになります。
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計算式
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相続税の総額:7,500万円×30%-700万円=1,550万円
大変高額な相続税になりますが、実際の相続では各種特例や控除が使えるため、税額が軽減されるケースや、非課税になるケースもあります。なお、税率と控除額は国税庁ホームページを参照してください。
家を相続したときに使える控除や特例
土地や家屋は高額な相続財産になりやすく、納税資金のために売却する事例もありますが、次の特例や控除を使うと評価額や税額を低く抑えられます。状況によっては親の自宅を非課税相続できる可能性もあるので、ぜひ覚えておいてください。
相続税の基礎控除
相続税には誰もが適用できる基礎控除があり、以下のように計算します。
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計算式
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相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
法定相続人の最低人数は1人なので、基礎控除の最低額は3,600万円になります。つまり、相続財産の合計が3,600万円以下であれば、相続税がかかることはありません。
小規模宅地等の特例
親と同一生計だった相続人が自宅を相続したときは、敷地部分330m²までが8割減額の評価額になる小規模宅地等の特例を使えます。したがって、相続税評価額が1億円の土地でも以下のように減額できます。
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計算式
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小規模宅地等の特例を使った評価額:1億円×(1-0.8)=2,000万円
特例を受けるときは相続税申告が必要となり、申告書の第11・11の2表の付表1などを提出します。なお、被相続人と生計が別の相続人でも、以下の要件を満たせば小規模宅地等の特例を使えます。
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被相続人に配偶者や同居親族がいない
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相続開始前3年以内に自分の持家や配偶者の持ち家に住んでいない
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相続した土地を相続税の申告期限まで所有している
配偶者の税額軽減
被相続人の配偶者は1億6,000万円まで、または法定相続分のどちらか高い方まで非課税相続できる配偶者の税額軽減が適用できます。
相続税申告が条件となっているので、配偶者の税額軽減により相続税がかからない場合でも、税務署への申告は必要です。
なお、配偶者の税額軽減は夫婦間の相続にしか使えないため、配偶者に財産を集中させると次回の相続(二次相続)で子供の相続税が高額になる可能性があります。どの程度適用させればよいか、税理士に相談しながら検討することをおすすめします。
未成年者控除
相続発生時に未成年の法定相続人がいる場合、以下のように計算する未成年者控除を適用できます。
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計算式
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未成年者控除:(18歳-相続時の年齢)×10万円
相続人が14歳であれば、控除額は以下のようになります。
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計算式
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(18歳-14歳)×10万円=40万円
未成年者控除は相続税額からの控除なので、計算例を挙げると以下のようになります。
【条件】
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相続財産:4,000万円
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相続人:14歳の未成年者1人
【計算例】
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計算式
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課税額の計算:4,000万円-基礎控除3,600万円=400万円
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計算式
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相続税の計算:400万円×税率10%=40万円
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計算式
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未成年者控除の適用:40万円-{(18歳-14歳)×10万円}=0円
控除を受けるときは相続税申告が必要なので、相続税申告書の第6表を作成・提出してください。
障害者控除
相続人に障害者がいる場合、障害レベルに応じて以下の障害者控除を適用できます。
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計算式
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一般障害者の控除額:(85歳-相続時の年齢)×10万円
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計算式
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特別障害者の控除額:(85歳-相続時の年齢)×20万円
適用を受けるときは、相続税申告書の第6表とともに障害者手帳の写し、または医師の診断書を提出しますが、未成年者控除と同じく相続税からの控除となります。
では、障害者控除を適用すると相続税がいくらになるか、以下の例で計算してみます。
【条件】
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相続財産:6,600万円
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相続人:一般障害者の相続人が1人
【計算例】
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計算式
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課税額の計算:6,600万円-基礎控除3,600万円=3,000万円
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計算式
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相続税の計算:3,000万円×税率15%-控除額50万円=400万円
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計算式
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障害者控除の適用:400万円-{(85歳-45歳)×10万円}=0円
なお、相続税の税率と控除額は、相続税の速算表を参照してください。
贈与税額控除
相続開始前3年以内に贈与があった場合、贈与財産は相続財産に含める税法上のルールがあります。
ただし、すでに贈与税を納めていたときは二重課税になるため、贈与税額を相続税額から差し引ける贈与税額控除が適用できます。
贈与税額控除も申告が必要なので、暦年贈与であれば相続税申告書の第4表の2、相続時精算課税による贈与の場合は第11の2表を作成して税務署に提出します。
相次相続控除
前回の相続から10年以内に次の相続が発生したときは、納税負担を軽減できる相次相続控除が適用できます。前回納付分の税額を今回の税額から控除できる制度であり、控除額は以下のように計算します。
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計算式
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相次相続の控除額:A×C÷(B-A)×D÷C×(10-E)÷10
【計算要素】
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A:二次相続の被相続人が一次相続で納付した相続税額
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B:二次相続の被相続人が一次相続で取得した財産価額
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C:二次相続の相続財産の合計額
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D:相次相続控除を受ける法定相続人が二次相続で取得する財産価額
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E:一次相続から二次相続までの経過年数(1年未満切り捨て)
なお、C÷(B-A)が100分の100を超えるときは1で計算します。
まとめ
相続税は税率の高い税金といわれますが、不動産には評価額を下げる特例があり、相続人の状況に応じて様々な控除も適用できます。相続税のために住まいを失うことがないよう税制面のサポートもあるので、特例や控除はぜひ有効活用してください。
ただし、不動産の評価額は周辺環境に影響されやすく、土地の形状や道路・水路との接し方なども考慮しなければなりません。家族構成が複雑な場合は特例・控除の要件を間違えやすいため、相続税評価額や相続税計算に不安があるときは、相続専門の税理士に相談してください。
また、家を相続したときは名義変更(相続登記)も必要なので、手続きがわからない場合は司法書士にも相談してみましょう。



