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相続税

最終更新日:2022.08.31

るさと納税は相続税も減額される?
制度概要や控除の要件、注意点を解説

ふるさと納税は相続税も減額される?制度概要や控除の要件、注意点を解説

このコンテンツでわかること

  • ■ ふるさと納税の概要
  • ■ ふるさと納税で相続税額を抑える方法
  • ■ 相続税にふるさと納税を適用するときに必要な書類
  • ■ ふるさと納税による相続税対策の注意点

ふるさと納税は、寄付することで魅力的な返礼品をもらいながら、所得税や住民税が軽減されることから多くの人に利用されています。ふるさと納税のポータルサイトを利用すると返礼品の選択や支払いまで完結でき、手軽に取り組めるのも魅力です。

また、相続財産を国や地方自治体、または特定の公益法人などに寄付すると、寄付した財産は相続税の非課税財産となり、相続税の負担が軽減されます。

この寄付金控除は、相続によって取得した財産をふるさと納税した場合も対象となるため、所得税や住民税に加えて相続税の負担も軽減できます。

今回は、ふるさと納税が相続税対策になる仕組みや、減税額の計算方法などをわかりやすく解説します。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、生まれ故郷や自分の好きな地方自治体に寄付することで、所得税や住民税の寄付金控除を受けられ、税負担が軽減される制度です。各地方自治体は寄付の御礼として寄付額の30%相当の返礼品を贈ることが多く、税負担が軽減される上に返礼品ももらえるお得な制度として人気です。

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税は、控除上限額内で寄付金額から自己負担額の2,000円を除いた全額が、所得税や住民税から控除されます。控除上限額はふるさと納税をする人の収入や家族構成などによって異なります。

ふるさと納税の上限額の調べ方

一般的に所得税では、控除対象となるふるさと納税額は、総所得金額などの40%が上限となります。住民税には基本分と特例分の控除があり、基本分は総所得金額などの30%が上限、特例分は住民税所得割額の20%が上限となります。

住民税所得割額は税額であるため、この3つの上限のうち、最も小さい金額は住民税所得割額の20%です。この上限額を超えない寄付金額であれば、自己負担額の2,000円を控除した全額が税負担の軽減となります。つまり、去年と今年の所得金額が同じであると仮定した場合、住民税の税額通知書に記載されている所得割額に20%を掛けた数字が実質的な控除上限額となります。

去年と収入金額が変わる、家族が増えるなどの変化がある場合には、限度額シミュレーションのWebサイトを使ってみましょう。ただし、住宅ローン控除などを加味できないシミュレーターもありますので注意してください。

ふるさと納税は相続税にも適用できる

寄付金額から自己負担額の2,000円を除いた全額が税金から控除され、返礼品ももらえるお得なふるさと納税は、相続税にも適用できる場合があります。

相続発生から申告までに相続または遺贈により財産を取得した人が行ったふるさと納税は相続税の非課税財産となる

相続または遺贈により取得した財産を、相続税の申告期限までに国、地方公共団体または特定の公益法人へ寄付した場合には、相続税の計算対象となりません。ふるさと納税の実質は地方公共団体への寄付であるため、寄付した財産は相続税の非課税財産となります。

相続税から控除したふるさと納税も翌年の所得税・住民税から控除できる

相続または遺贈により取得した財産を財産の取得者が寄付するため、相続税から控除したふるさと納税は、所得税や住民税からも控除できます。相続税の計算において非課税財産となるため、二重に優遇されることを疑問に思う方もいますが、異なる税法に基づくため、要件に該当すればいずれの規定も適用を受けられます。

ふるさと納税を相続税の非課税財産とするための要件

すべてのふるさと納税が、相続税の計算において非課税財産になるわけではありません。以下のポイントに注意しましょう。

相続税の申告期限までに寄付する

相続または遺贈により財産を取得した人が、相続税の申告期限までに国、地方自治体または特定の公益法人に寄付した場合に適用されるため、相続税の非課税財産とするには、申告期限までにふるさと納税をする必要があります。

取得した相続財産から寄付する

相続税の計算において、寄付が非課税財産になるのは、相続した財産を寄付した場合となります。したがって、相続により取得した不動産を売却し、得た現金を寄付した場合は相続税の非課税財産とはなりません。

申告期間までにふるさと納税をした場合の相続税の計算例

画像

国税庁(相続税がかかる場合)

【事例1】遺産総額1億円、相続人がふるさと納税した額100万円、葬式費用・債務300万円、相続人が母と子2人の場合

  • 計算式

  • 課税遺産総額:1億円ー100万円(ふるさと納税)ー300万円(葬式費用・債務)ー4,800万円(基礎控除額)=4,800万円

  • 計算式

  • 法定相続分に応ずる取得金額:
    母:4,800万円×1/2=2,400万円
    子:4,800万円×1/4=1,200万円(一人当たり)

  • 計算式

  • 法定相続分に応ずる相続税額:
    母:2,400万円×15%ー50万円=310万円
    子:1,200万円×15%ー50万円=130万円(一人当たり)

  • 計算式

  • 相続税の総額:310万円+130万円×2人=570万円(配偶者の税額軽減を考慮する前)

【事例2】ふるさと納税をしない場合

  • 計算式

  • 課税遺産総額:1億円ー300万円(葬式費用・債務)ー4,800万円(基礎控除額)=4,900万円

  • 計算式

  • 法定相続分に応ずる取得金額:
    母:4,900万円×1/2=2,450万円
    子:4,900万円×1/4=1,225万円(一人当たり)

  • 計算式

  • 法定相続分に応ずる相続税額:
    母:2,450万円×15%ー50万円=317.5万円
    子:1,225万円×15%ー50万円=133.75万円(一人当たり)

  • 計算式

  • 相続税の総額:317.5万円+133.75万円×2人=585万円(配偶者の税額軽減を考慮する前)

今回の事例では、ふるさと納税をすることで15万円の相続税を抑えることができました。

相続税申告でふるさと納税を控除する場合の必要書類

相続税からふるさと納税を控除するには、相続税の申告書にこれらの特例の適用を受けようとする旨を記載し、その適用を受ける寄付または支出した相続財産の明細書その他一定の書類を添付して申告します。

寄付金受領証明書

相続税の申告書第14表が、寄付または支出した相続財産の明細書となります。一定の書類とは、次に掲げるものをいいます。

  • 地方公共団体の特例の適用を受けようとする財産の寄付を受けた旨、その寄付を受けた年月日および財産の明細を記載した書類

ふるさと納税をした自治体から届く「寄付金受領証明書」を添付すれば大丈夫です。

ふるさと納税を相続税に適用する場合の注意点

所得税や住民税だけでなく、相続税にも適用できるふるさと納税はとても魅力的な制度ですが、注意点がいくつかあります。

遺言書による寄付ではふるさと納税は利用できない

相続税の寄付金控除は、相続または遺贈により財産を取得した人が自らの意思によって寄付した場合に受けられるものであるため、被相続人の遺言に基づく寄付の場合は、寄付金控除が認められません。

収入がない人や少ない人は効果が低い

ふるさと納税をすると税負担が軽くなり、返礼品ももらえるため、多額の寄付をしたいと考える方もいますが、先ほどの相続税の計算例のように、100万円のふるさと納税を控除限度額内で行うには、独身であれば給与収入が3,000万円近くある必要があります。控除上限額を超えてしまい、単に多額の寄付をしただけとならないように控除上限額を試算する必要があります。

まとめ

ふるさと納税が、相続税の寄付金控除の対象になることはあまり知られておらず、知っていても具体的な適用方法まではわからないという方が多いようです。ただし、ふるさと納税の控除上限額は意外と低いため、相続税の減額をメインで考えるよりも、まずは所得税や住民税の寄付金控除の上限額を超えないように考え、相続税の申告においても寄付金控除の適用を受けることを忘れないようにしておく方がよさそうです。

寄付金控除の適用を受けるには、相続税の申告期限までに寄付する必要がありますが、実務的な観点としては、相続税申告までに寄付金受領証明書を入手しておきたいため、余裕をもってふるさと納税を行いましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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