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相続税

最終更新日:2022.08.31

地の相続税計算方法について
【納税猶予の特例の適用要件とは?】

農地の相続税計算方法について【納税猶予の特例の適用要件とは?】

このコンテンツでわかること

  • ■ 農地の相続税計算方法がわかる
  • ■ 農地の納税猶予の特例の概要がわかる
  • ■ 納税猶予の特例の適用要件がわかる
  • ■ 納税猶予の特例の手続き方法や必要書類がわかる

田畑などの農地は、宅地と同じく相続財産になります。したがって、相続税評価額を計算し、他の財産と合わせて一定額以上になれば相続税を納めなければなりません。

しかし、農地にはいくつか種類があり、評価方法もそれぞれ違うため、相続する農地がどの種類に該当し、どう評価するのか知っておく必要があります。

また、地域や面積によっては高額な相続財産になりますが、農地は売却が難しく、納税資金が不足してしまうケースも考えられるでしょう。

そこで今回は、農地の相続に焦点を当て、相続税の計算や納税猶予の方法を詳しく解説します。

農地の相続税計算方法

農地は相続税の課税対象になるため、相続時の評価がいくらになるのか計算しておく必要があります。

農地には以下の種類があり、場合によっては高額な評価額になりますが、農地特有の納税猶予措置もあるので、納税資金が足りないときは適用を検討してみましょう。

  • 市街地農地:市街化区域内にある農地、転用許可を受けた農地など

  • 市街地周辺農地:第三種農地(市街化の傾向にある地域の農地など)

  • 中間農地:第二種農地(市街化が見込まれる地域の農地など)

  • 純農地:農業地区内にある農地など

では、農地の種類別に相続税評価額の計算方法を解説します。

市街地農地の相続税評価額

市街化区域にある農地を市街地農地といい、宅地の評価を基準とした宅地比準方式で相続税評価額を計算します。

  • 計算式

  • 宅地比準方式:(農地を宅地とみなしたときの1㎡あたりの価額-1㎡あたりの造成費)×面積(㎡)

【計算例】

  • 農地面積:300㎡

  • 1㎡あたりの宅地評価:20万円

  • 1㎡あたりの造成費:2万円

  • 計算式

  • 相続税評価額:(20万円-2万円)×300㎡=5,400万円

1㎡あたりの造成費は国税庁ホームページに掲載されているので、以下のリンクを参照してください。マップ表示から目的の都道府県をクリックし、宅地造成費の金額表をクリックすると表示されます。

また、市街地農地は倍率方式で評価するケースもあるので、計算方法は中間農地の部分で解説します。

令和3年分の路線価図・評価倍率表(国税庁)

市街地周辺農地の相続税評価額

市街地周辺農地の場合は、市街地農地の評価額の80%が相続税評価額になります。したがって、計算手順は以下のようになります。

  1. 市街地農地とみなして宅地比準方式で評価
  2. 1 の計算結果×0.8

【計算例】

  • 農地面積:600㎡

  • 1㎡あたりの宅地評価:10万円

  • 1㎡あたりの造成費:3万円

  • 計算式

  • 相続税評価額:(10万円-3万円)×600㎡×0.8=3,360万円

中間農地や純農地の相続税評価額

農村部にある中間農地や純農地の場合は、倍率方式で相続税評価額を計算します。

  • 計算式

  • 倍率方式:農地の固定資産税評価額×評価倍率表の評価倍率

【計算例】

  • 固定資産税評価額:200万円

  • 評価倍率:3.2

  • 計算式

  • 相続税評価額:200万円×3.2=640万円

固定資産税評価額は毎年送付される課税明細書、または市町村役場で交付してもらえる固定資産評価証明書に記載されています。

なお、地域によっては農地の評価倍率が数十倍~百倍近いケースもあるので、固定資産税評価額が低くても、高額な相続税になる可能性があります。

農地の納税猶予の特例とは

農地の評価が宅地並みである、あるいは合計面積が広大であると、相続税の納税資金用に農地を売却することになり、農業継続が難しくなる可能性があります。

しかし、農地には納税猶予の特例があるため、一定要件を満たせば相続税の納税が猶予され、最終的には納税免除となります。

具体的な要件は次のようになりますが、まず、納税猶予される金額を確認しておきましょう。

納税猶予される税額

農地相続の納税猶予については、通常の評価方法によって算出した税額から、農業投資価格による税額を差し引いた部分が猶予の対象となります。

農業投資価格は財産評価基準の1つであり、恒久的に農業を続ける土地について、自由な取引がされるとした場合に通常成立する価格を定めたものです。

農業投資価格も国税庁ホームページに掲載されており、路線価図・評価倍率表のページから参照できます。

納税猶予の特例の適用要件

農地の相続で納税猶予の特例を受けるときは、以下の3つについてそれぞれ要件を満たさなければなりません。

  • 農地の要件

  • 被相続人の要件

  • 相続人の要件

場合によっては特例を受けられない可能性もあるので、各要件の内容は十分にチェックしておきましょう。

農地の要件

相続税の納税猶予を受ける農地については、以下の要件のいずれかに該当する必要があります。

  1. 相続税の申告期限までに遺産分割され、以下の要件も満たしている農地
    • 被相続人が実際に農業を営んでいた農地
    • 被相続人が営農困難時貸付けを行っていた農地
    • 被相続人が特定貸付などを行っていた農地または採草放牧地
  2. 相続または遺贈により取得した相続人が営農を継続する農地
  3. 被相続人から生前贈与された農地で、贈与税の納税猶予を受けている農地

ここでいう農地とは、水田や野菜畑だけでなく、販売用の盆栽などを育てている土地や、現在は休耕地でも、すぐに耕作再開できる土地のことをさします。

被相続人の要件

農地相続で納税猶予を受けるときは、被相続人が以下の要件のいずれかを満たす必要があります。

  • 亡くなる日まで農業を営んでいた人であること

  • 亡くなる日まで営農困難時貸付けや、特定貸付けなどを行っていた人であること

  • 農地を生前に一括贈与した贈与者であること

相続人の要件

農地を相続する人は、以下の要件のいずれかに該当しなければなりません。この要件に該当する人を「農業相続人」と呼びます。

  • 相続税の申告期限までに農業を引き継ぎ、その後も農業を継続する人

  • 相続税の申告期限までに特定貸付などを行った人

  • 農地を生前に一括贈与され、贈与税の納税猶予の特例を適用していた人

農業相続人については、以下のいずれかの納税猶予期間が適用されます。

  • 相続税の申告期限から20年間農業を継続したとき(市街地農地や生産緑地、特定生産緑地は除く)

  • 農業相続人が死亡したとき

  • 農業相続人が特例農地などの全部を農業の後継者に生前一括贈与したとき

ただし、途中で農業をやめると納税猶予は打ち切りとなり、猶予されていた相続税と利子税を払うことになります。

納税猶予の特例の手続き方法・必要書類

農地相続の納税猶予の特例を受けるときは、相続税申告の前に役所や農業委員会の手続きが必要になります。具体的には次の流れで手続きを進めますが、税務署への担保提供も必要になるので注意しましょう。

農業委員会での手続きと必要書類

農地相続の納税猶予の特例については、農業委員会の証明が必要になるため、以下のように手続きを行います。

  1. 相続税の納税猶予に関する適格者証明願を提出
  2. 農業委員会による農地の調査
  3. 適格者に判定されると相続税の納税猶予に関する適格者証明書が発行される

適格者証明願は農業委員会に行けばもらえますが、各市町村のホームページからダウンロードできる場合もあります。

なお、納税猶予の特例を受ける場合、農業を続けていることを証明するため、3年ごとに以下の書類を取得および提出します。

  1. 引続き農業経営を行っている旨の証明書:農業委員会で取得
  2. 相続税の納税猶予の継続届出書:自分で作成し、1を添付して税務署へ提出

詳しい方法は、国税庁のホームページをご参照ください。

相続税の納税猶予の継続届出書の様式(国税庁)

市町村役場での手続きと必要書類

農地相続の納税猶予を受けるときは、市町村役場から納税猶予の特例農地の農地等該当証明書を取得しなければなりません。証明願の様式は役所窓口、または市町村ホームページで取得できるので、必要項目を記入し、以下の書類を添付して提出しましょう。

  • 相続税の納税猶予に関する適格者証明書

  • 登記事項証明書(全部事項証明書)

  • 公図や周辺地図

  • 遺言書または遺産分割協議書

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍

  • 被相続人の住民票除票

  • 相続人の戸籍謄本および住民票

  • マイナンバーカード(本人確認用)

役所によっては上記以外の書類も必要なので、詳しくは担当窓口に確認することをおすすめします。

管轄税務署への相続税申告

農業委員会と役所の手続きを終えたら、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署に申告します。

【提出書類】

  • 相続税申告書

  • 担保提供書

  • 相続税の納税猶予に関する適格者証明書

  • 納税猶予の特例農地の農地等該当証明書

申告の際には、相続税および利子税相当額の担保提供も必要になりますが、一般的には農地が担保提供されています。

また、3年ごとに提出する継続届出書も忘れないようにしましょう。

まとめ

農地の評価額は基本的に低く設定されていますが、地域によっては宅地の評価に近くなるため、予想以上に高額な相続税になるケースがあります。納税猶予の特例を使えば税負担の悩みが軽減されることがあるので、評価額が高い農地を相続する方は、ぜひ制度利用を検討してください。

ただし、納税猶予の適用を受けるには20年間は農業を続けなくてはならず、担保提供も必要です。途中でリタイヤすると相続税+利子税を納めることになるので、リスクの大きい特例ともいえるでしょう。

高額な農地を相続するときは、納税猶予以外の税金対策ができるかどうか、税理士のアドバイスも参考にしてください。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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