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相続税

最終更新日:2022.08.31

続税の税務調査まとめ
【調査内容や対象に
なりやすいケース・時期とは?】

相続税の税務調査まとめ【調査内容や対象になりやすいケース・時期とは?】

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続税の税務調査の概要がわかる
  • ■ 相続税の税務調査の種類と調査内容がわかる
  • ■ 相続税の税務調査が行われる時期がわかる
  • ■ 相続税の税務調査の対象になりやすいケースがわかる
  • ■ 相続税の税務調査への備え方がわかる
  • ■ 相続税の税務調査を避ける5つのコツがわかる

相続税申告は10カ月間の期限付きであり、相続財産の調査や相続人の確定、必要書類の収集など、準備だけでもかなりの時間と労力を要します。期限ぎりぎりで間に合ったという方も多いようですが、申告・納付まで完了してもまだ安心はできません。

相続税申告書は添付書類とともに細かくチェックされ、不審な点があれば税務署から電話で問い合わせが入る場合もあります。さらに、訪問調査が必要と判断されたときは、相続についてのおたずねという手紙が送付され、数日後には税務署職員が自宅を訪問し、本格的な税務調査が始まります。

今回は、税務調査が行われる時期や調査内容、税務調査の回避策などを解説しますので、相続税申告を終えた方はぜひ最後までお読みください。

相続税の税務調査とは

相続税の申告内容に不審な点がある場合、自宅訪問による税務調査が実施されるケースがあります。国税庁が公表する2020年の調査状況によると、申告漏れなどの非違(法律違反)割合は87.6%にのぼり、全体の9割近くは何らかのミスが指摘されています。

申告件数は約12万件、調査件数は約1万8,700件(実地調査5,100件+簡易調査1万3,600件)ですから、税務調査の発生確率は6人に1人ということになります。

なお、2020年はコロナ禍の影響もあり、例年よりも若干少ない調査件数となっています。

令和2事務年度における相続税の調査等の状況(国税庁)
令和2年分 相続税の申告実績の概要(国税庁)

相続税の税務調査の種類・調査内容

税務調査には任意調査と強制調査の2種類があり、事前に以下のような内容をチェックして不審な点がある場合に実施されます。

  • 預貯金の動き(名義預金や贈与の状況)

  • 有価証券の購入履歴や保有状況

  • 不動産の保有状況など

では、どのような要領で調査が行われるのか、具体的な内容をみていきましょう。

任意調査の内容

任意調査の場合は事前連絡があり、あらかじめ設定した日時で調査が行われます。基本的にヒアリング形式の調査となりますが、必要に応じて登記識別情報(不動産の権利証)や預金通帳などの提出を求められます。

調査に必要な書類等が揃っていることから、調査場所は被相続人の自宅になるケースがほとんどで、調査対象は相続人全員です。一部の相続人しか把握していない財産状況などもあるため、全員が集まりやすい調査日時を設定してください。

「何を調べられるのか?」と構えてしまいがちですが、勝手に家捜しされるようなことはなく、税務調査には税理士の立会いも可能です。

不安がある方は、税理士都合も確認して調査日時を決めるとよいでしょう。

強制調査の内容

意図的な脱税行為が疑われる場合や、任意調査を拒否したときは、強制調査が行われる確率が高くなります。

テレビで巨額脱税などのニュースが報じられるとき、国税査察官がダンボール箱を持ち出すシーンなどが映りますが、まさにこの状況になるということです。文字どおり強制的な調査になるため、申告していなかった財産や、意図的に過少申告した財産もすべて明らかになるでしょう。

したがって、税務署が必要とする情報を提供できるよう、任意調査に協力することが穏やかに調査を済ませるポイントとなります。

相続税の税務調査が行われる時期

相続税の税務調査は、税務署の人事などに影響されるので、申告した年の翌年、または翌々年の8月~11月で実施されるケースが多くなっています。

税務署の年度は7月開始・6月末終了となっており、7月には定例の人事異動があるため、落ち着いてから調査に取り掛かるという流れです。また、2月~3月は確定申告への対応で繁忙期となるため、税務調査を実行しやすい時期が8月~11月になります。

ただし、8月~11月だけ税務調査を行うわけではなく、重要度の高い事案を夏から秋に集中させ、5月や6月に問題の程度が軽い事案を調査しているようです。

なお、調査に時間を要する場合、申告から3年後でも税務調査が行われる場合があります。

相続税の税務調査の対象になりやすいケース

税務調査の対象となる申告には共通点があり、基本的には申告内容を誤っていた場合です。また、高額な相続財産があるときや、預金の動きに不審な点がある場合は、正しく申告書を作成していても税務調査の対象になる可能性があります。

次のようなケースが税務調査の対象になりやすいので、ご自身が該当するかどうかをチェックしておきましょう。

相続税申告書の作成ミスなど

相続税申告書に書き間違いや計算ミスがあれば、意図的な数字の改ざんなどを疑われてしまい、高確率で税務調査の対象となります。添付書類が不足している場合や、現状(現況)と異なる古い書類を添付しているときも、「意図的な税逃れではないか?」と疑われてしまう可能性があります。

ただし、単純な数字の書き間違いや、一部の項目が抜け落ちた状態で合計を計算するなど、軽微なミスは簡易調査(電話など)で終わる場合もあります。

高額な相続財産がある場合

相続税申告書を正確に作成していても、高額な相続財産がある場合は、税務調査の対象になりやすいので注意してください。

相続財産に不動産や有価証券などがあれば、「数量は正しいか?」「評価額は適正か?」といったチェックが入ります。宝石・貴金属類や、美術品なども評価を間違えているケースが多く、相続税申告から漏れやすいので注意しておきましょう。

税務調査が行われるかどうかの基準ラインは、相続財産が2億円以上ある場合といわれます。しかし、2015年に基礎控除(課税・非課税の基準ライン)が引き下げられたため、遺産総額が4,000万円~5,000万円でも調査対象になる可能性はあるでしょう。

被相続人が高額所得者の場合

不動産や有価証券などの財産がなくても、被相続人が高額所得者だった場合、税務署は「被相続人は何にお金を使っていたか?」と考えます。つまり、申告から漏れている財産や、意図的に申告していない財産を疑われるため、税務調査の対象になる可能性があります。

会社経営者や弁護士、医師など、被相続人の社会的地位や所得が高い場合は要注意です。

財産と負債の内容がアンバランスな場合

負債額に見合うだけの財産がない場合も、税務調査の対象になりやすいでしょう。一般的に、高額な負債があればそれに見合う担保もあるため、申告書に不動産などが記載されていなければ、申告漏れや財産隠しを疑われる可能性があります。

相続人が収入に見合わない財産を保有している場合

会社勤めの相続人が数千万円の投資物件を保有していたり、収入に見合わない預金残高があったりするときも、税務調査の確率が高くなります。

このようなケースでは被相続人からの贈与が考えられるため、無申告の生前贈与が発覚したときは、追徴課税も発生します。

預貯金の動きに不審な点がある場合

相続発生の直前や直後に、被相続人の口座から高額な引き出しがあり、同じタイミングで相続人の口座に同額の入金があれば、資金移転による財産隠しを疑われます。

税務署には預金口座の調査権限があるため、本人の同意がなくても入出金の状況を調査できます。被相続人だけではなく相続人の口座も調査できるので、不自然な預金の動きがあれば税務調査の対象になるでしょう。

名義預金が疑われる場合

名義預金とは、家族名義の口座でありながら、実質的な預金者が被相続人となっている預金です。子供や孫名義の預金口座でも、被相続人(親や祖父母など)が預金者となっており、通帳や印鑑なども管理していた場合は、被相続人の財産とみなされます。

また、収入がない妻の口座に高額な預金がある場合も、夫の名義預金とみなされる可能性があります。

名義預金そのものに違法性はありませんが、財産隠しに使われるケースが多いため、預金の動きから名義預金が疑われる場合は、高確率で税務調査が行われます。

海外に資産を保有している場合

海外資産も税務署が注視しているので、申告漏れや過小評価があれば、税務調査の対象となります。

相続税法上は海外資産も相続税の対象であり、100万円を超える海外送金があれば金融機関から税務署に国外送金等調書が送付されます。

海外資産が5,000万円を超えると国外財産調書の提出義務もあるため、申告書に記載していなかった場合は、税務調査となる確率が高いでしょう。

無申告の場合

「そもそも申告しなければ税務調査も行われないのでは?」と考える方もいますが、納税者の申告情報は国税庁のKSKシステムで管理されているため、過去の所得状況もわかります。生前の情報から管理されているので、相続税だけを免れるようなことはできません

また、配偶者の税額軽減や、小規模宅地等の特例によって非課税になる場合、申告不要と勘違いされているケースもあります。控除・特例で非課税になったとしても申告は必要なので、無申告の場合は税務調査の対象となります。

なお、遺産総額が相続税の基礎控除以下であれば、申告・納税ともに不要です。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

念のため、遺産総額がはっきりした時点で計算しておくことをおすすめします。

自分で相続税申告書を作成している場合

相続税は計算ミスが起きやすく、財産評価も複雑なため、自分で申告書を作成した場合は税務調査の対象になる確率が上がります。特に不動産や非上場株式など、評価の難しい財産はチェックされやすいので要注意です。

一方、税理士が作成した申告書には税理士署名が記載され、税務署からの問い合わせにも対応してもらえます。財産評価や申告書作成に不安があれば、税理士に任せた方がよいでしょう。

相続税の税務調査への備え

税務調査では様々な質問をされ、書類提出を求められるケースもあるため、準備なしで対応するわけにはいきません。税務調査の通知があれば、実施日までに次の準備をしましょう。

相続税申告書の控えを再チェックする

相続税申告書の内容は複雑なので、記載漏れや計算ミスがないか再チェックしておきましょう。ひとまず作成したものの、記載漏れの財産を追記し、合計欄を修正していない可能性なども考えられます。

相続税額の計算も間違えやすいので、手順どおりの計算かどうかも確認してください。

相続財産を再調査する

税務署では申告漏れを厳しくチェックしているため、申告書に記載していなかった財産がないか、再調査を行ってください。以下のような財産は申告漏れが起きやすいので、被相続人の自宅を入念に調査しておきましょう。

  • 名義預金

  • 自宅以外の不動産

  • 宝石類

  • 売掛金や個人的な貸付金(債権)

  • 生命保険(死亡保険金)

  • 相続開始前3年以内に行われた贈与財産(相続財産への加算ルールあり)

  • 暗号資産(仮想通貨など)

  • ネットの証券口座や預金口座

また、財産の過小評価が税務調査の原因になっている可能性もあるため、不動産や非上場株式などがあれば、税理士に再評価を依頼してください。

証明資料を準備する

新たな財産が見つかったり、評価額が変わる財産があったりしたときは、税務署職員に提出できる証明資料をえましょう。

不動産であれば、登記事項証明書や固定資産評価証明書、購入時の契約書類や登記識別情報(権利証)などがあります。すでに提出した書類の原本や、印鑑(被相続人の実印や相続人の認印)などもえておきましょう。

相続税の税務調査を避けるコツ5つ

税務調査を避けるためには、申告書の提出前に対策する必要があります。当たり前のこととはいえ、意識しておかなければできないため、次のように対策しておきましょう。

1)正確な内容で申告する

当然のことながら、相続税は正確な内容で申告してください。計算ミスのない正確な申告書であれば、税務署の表面チェック(計算ミスなどのチェック)は通過するので、税務調査の対象になる確率はかなり下がります。

2)相続財産を正確に把握する

税務調査を誘発する原因には申告漏れがあるため、相続財産は正確に把握しなければなりません。財産価値の高い収集品や投資用の不動産など、家族に知らされていない財産は意外に多いので、生前から被相続人とコミュニケーションをとる必要もあります。

家族同士で相続について話し合うなど、いざというときに困らない状況をつくることも重要です。

3)贈与契約書を作成する

相続と贈与は無関係に思えますが、贈与税は相続税の補完税になるため、税務調査では贈与の状況もチェックされます。

生前贈与として認められなかった財産は相続財産に含まれるので、必ず贈与契約書を作成してください。現金贈与の場合は銀行振込を利用して、資金移動の証跡を残しておきましょう。

相続税申告書の作成を税理士に依頼する

相続税申告書には作成税理士の署名欄があり、税務署は必ずチェックしています。税理士が関与した相続税申告書であれば、税務署も信頼性の高い申告書と判断するため、税務調査の対象になる確率はかなり低くなります。

ただし、税理士にも専門分野があるので、必ず相続専門の税理士へ作成依頼をしてください。

書面添付制度を活用する

書面添付制度は税理士法に規定されていますが、これは申告内容が適正であることを書面によって税理士が証明する制度です。

100%税務調査を回避できるわけではありませんが、税理士の信頼に関わる制度なのでこれならば問題はないだろう、と税務署も判断してくれます。

まとめ

相続税は税務調査が行われやすい税金といわれますが、すべて自分で対応することが原因といえるでしょう。相続財産の調査や評価額計算、申告書作成まで自己対応となるため、よほどの専門知識がなければ正確な申告はできません。

また、申告期限までの10カ月間も決して長くはないため、申告書のチェックや添付書類の確認が不十分なまま、税務署に提出するケースもあるでしょう。

税務調査が行われた場合、ほぼ9割の確率で申告ミスなどが発覚するため、追徴課税のペナルティも発生します。

相続税の計算が難しい、財産評価に不安があるという方は、相続専門の税理士に申告書作成を依頼し、書面添付制度も活用してください。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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