相続税の追徴課税4種類
相続税の追徴課税とは、相続税の本税に追加される税金です。期限を過ぎてから申告したときや、申告そのものを行わなかったとき、または適正額よりも少なく申告したときに、税務署から支払いを請求されます。
追徴課税には以下の4種類があり、それぞれ支払う条件や税率が異なっています。
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延滞税
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無申告加算税
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過少申告加算税
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重加算税
では、追徴課税が発生する状況や、適用税率などの条件をみていきましょう。
延滞税
相続税を期限内(相続開始を知った日の翌日から10カ月以内)に納めなかったときは、期限日の翌日から延滞税が発生します。
税率は各年で変わりますが、2022年1月1日から2022年12月31日までは、以下の税率が適用されます。
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納付期限の翌日から2カ月を経過する日まで:年2.4%
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納付期限の翌日から2カ月を経過した日以降:年8.7%
2カ月を経過した日以降はかなり高い税率になるので、延滞期間が長くならないように注意してください。
無申告加算税
相続税の申告・納税を行っていなかった場合は、延滞税とともに無申告加算税が発生します。災害に遭ったなど、よほどの事情がない限り無申告加算税を免れることはできませんが、納付期限から1カ月以内に支払ったときは免除されます。また、無申告加算税の税率は以下のように設定されています。
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自主的に申告した場合:納税額の5%
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税務調査による指摘で申告した場合:納税額の15%(税額が50万円を超える場合、超過部分は20%)
過少申告加算税
不動産や株式などの評価ミスにより、本来の税額よりも低い税額で申告・納税したときは、延滞税とともに過少申告加算税も支払うことになります。また、無申告加算税は以下の割合で課税されます。
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税務調査の指摘で修正申告した場合:追加納付する額の10%(一定部分は15%)
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税務調査の通知から調査日までに修正申告した場合:追加納付する額の5%(一定部分は10%)
一定部分とは、追加納付する税額が当初の納税額、または50万円のいずれか多い方の超過部分になります。
重加算税
意図的に相続税を過少申告したときや、申告を行わなかったときは、延滞税とともに重加算税も納めることになります。
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過少申告の場合:追加納付する相続税の35%
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無申告の場合:追加納付する相続税の40%
過去5年以内に重加算税や無申告加算税が課税されていた場合は、上記の税率に10%上乗せされます。
相続税の税務調査では追徴課税が発生しやすい
国税庁では、相続税の申告実績や税務調査の状況を公表しており、2020年の調査状況によると、申告漏れや過少申告などの非違割合は87.6%となっています。つまり、税務調査が行われると9割近い確率で追徴課税が発生することになります。
追徴課税を逃れるために財産を隠ぺいするケースもありますが、十分な下調べをした上で調査が行われるため、隠し通すことはほぼ不可能です。悪質な場合は重加算税も発生しますが、状況によっては刑事罰も科されるので注意しましょう。
令和2事務年度における相続税の調査等の状況(国税庁)
令和2年分 相続税の申告実績の概要(国税庁)
相続税の税務調査で追徴課税が発生するケース
相続税の追徴課税は、財産隠しなどの悪質なケースが対象と思われがちですが、納税者にまったく悪意がなくても発生する場合があります。
具体的には次のようなケースで追徴課税が発生するため、申告漏れなどがあったときは、早めに修正申告しておきましょう。
家族が把握していない財産がある場合
家族ですら把握していない相続財産は意外に多く、以下のような財産が申告から漏れやすくなっています。
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遠隔地に購入している不動産(海外も含む)
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ネット銀行やネット証券の口座
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生命保険
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海外の金融資産
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暗号資産(仮想通貨など)
いずれも目に見えにくい財産なので、意図的ではなくても申告漏れの確率が高くなります。
なお、税務署は被相続人や家族の預金口座についても最長10年間の取引履歴を調査できるので、高額な引き出しがあれば、何に使ったのかも調べています。
財産の評価を間違えた場合
不動産や非上場株式は相続税評価額の計算が難しく、本来の価値よりも低く評価しているケースがあります。
自分で計算した評価額に不安があるときは、税理士に再評価を依頼した方がよいでしょう。
生前贈与がある場合
生前贈与も追徴課税の対象になりやすく、贈与が成立していない場合や、相続財産への加算を漏らしているケースがあります。いずれも延滞税や無申告加算税の対象になるので、以下のポイントに注意してください。
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贈与契約書の有無
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相続開始前3年以内の贈与(相続財産に加算する必要あり)
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名義預金
贈与に判定されなかった財産は相続財産となるため、被相続人の財産として申告しなければなりません。親や祖父母が子供や孫の口座に預金するといったケースがありますが、口座の名義人と実質的な預金者が違う預金のことを「名義預金」といいます。子供や孫、または配偶者名義の預金口座でも、実質的な預金者が被相続人であれば相続財産に加算する必要があります。
特に名義預金は指摘されやすいため、本人(名義人)に渡す予定の財産であれば贈与契約書を作成しておきましょう。
相続税の追徴課税が支払えないときの対処法
相続税や追徴課税は、現金一括納付が原則です。支払いできないときは強制執行(預貯金や給料などの差し押さえ)も行われるので、資金不足の場合は次の方法で対処してください。
税務署に納税猶予を申請する
追徴課税の支払いで生活の維持が難しくなるなどやむを得ない事情があれば、納税猶予や換価の猶予が認められる場合があります。
納税猶予の場合、自然災害などの影響により、納付期限から1年以上遅れて税額が確定したときに限り、1年間(条件次第では2年)の分納が認められます。ただし、相続税の修正申告書と、納税猶予の申請書は追徴課税の納付期限までに必ず提出しなければなりません。
換価の猶予については、追徴課税の支払いによって生活や事業維持が困難になるとき、1年間の分納や延滞税の一部、または全額が免除される可能性があります。換価の猶予を税務署に申請するときは、追徴課税の納付期限から6カ月以内に換価の猶予申請書を提出することになります。
借入金で支払う
資金不足により追徴課税を支払えないときは、金融機関からの借り入れも検討してください。使途を問わないフリーローンや、担保不要のカードローンもあるので、追徴課税が高額にならないうちに利用を申し込むとよいでしょう。
金利は少々高めになりますが、財産差し押えのリスクは回避できます。
まとめ
相続税の税務調査が行われると、9割近い確率で追徴課税が発生します。相続税は本税そのものが高額であるケースが多いので、追徴課税が加算されると支払い不可能な金額になる可能性もあるでしょう。
また、悪質な脱税行為は刑事罰の対象となり、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科されるため、社会的な信用も失ってしまいます。
ただし、自主的に申告して早めに納税すれば、それほど大きな税負担にはならないため、申告内容の再チェックが重要となります。申告内容に不安がある方や、相続税申告を控えている方は、早めに相続専門税理士へ相談しておきましょう。



