小規模宅地等の特例の適用要件には「同居」が含まれる
被相続人(亡くなった方)の配偶者は無条件で小規模宅地等の特例を利用できますが、配偶者以外については、以下の血族および姻族の「同居」が要件に含まれます。
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6親等以内の血族:はとこ、またいとこなども含まれるため、ほとんどの親戚が対象
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3親等以内の姻族:配偶者の血族となる義理の父母や祖父母、義兄弟姉妹など
居住用の宅地も要件となっているため、趣味や娯楽用の別荘・セカンドハウスなど、日常的な居住用途になっていない土地には特例を適用できません。
では、どのようなケースが同居に該当するのか、具体的な例をみていきましょう。
小規模宅地等の特例で同居に該当するケース・しないケース
配偶者以外の親族が小規模宅地等の特例を利用する場合、相続発生前から被相続人の自宅に同居し、以下の相続税申告期限まで居住していることが要件となります。
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相続税の申告期限:相続発生を知った日の翌日から10カ月以内
同居期間に定めはありませんが、同居の実態が問われるので、以下のように該当する・しないを判断してください。
仕事の都合などによる一時的な別居:同居に該当
親と同居していた子供等が仕事の都合で一時的に別居している場合、赴任期間終了とともに戻ってくることが明らかであれば、同居しているものとみなされます。単身赴任などのケースでは、赴任先の住居は仮の住まいであり、生活拠点は親の家となるため、同居の要件を満たすことになります。
なお、単身赴任などによる一時的な別居の場合、後述する「家なき子の特例」に該当するかどうかがポイントになってきます。単身赴任している間に別の相続人が親と同居を始めた場合、一時的に別居していた相続人は、親の死亡時に小規模宅地等の特例を使えなくなる可能性があります。
別居しているが住民票は同じ:同居に該当しない
小規模宅地等の特例は同居の実態を問われますので、住民票が同じでも別居しているケースでは利用できません。別の住所に引っ越したが特例を受けるために住民票をそのままにした、あるいは相続発生直前に住民票だけを移した場合、特例は利用できないので注意してください。
同居の実態について、税務署では以下のような項目をチェックしています。
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郵便物:被相続人の自宅に郵送されているかどうか
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預金通帳やATM:家賃の引き落しや遠方のATMの利用
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通勤定期の区間:被相続人の自宅から通勤していたかどうか
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光熱費:同居開始前後の光熱費の使用料
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近隣住民への聴き取り調査
調査項目は多岐にわたるため、見かけ上の同居は高確率で発覚するでしょう。
介護のための一時的な同居:同居に該当しない
親の介護などを目的とした一時的な同居の場合、親の自宅が子供の生活拠点になっているとはいえないため、同居には該当しません。週末だけ親の家に住み込んで介護しているようなケースであれば、小規模宅地等の特例の利用は認められないでしょう。
敷地は同じだが建物が別々の場合:同居に該当しない
被相続人と相続人の自宅が別棟の場合、同じ敷地内に建築されていても登記は別々になるため、同居とはみなされません。
被相続人が老人ホームに入居していた:状況次第で同居となる
老人ホームなどの介護施設で被相続人が亡くなった場合、相続人とは別々に暮らしていたことになりますが、以下の状況であれば同居とみなされます。
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被相続人が要介護または要支援認定を受けていること
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都道府県知事へ届け出している介護施設であること
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老人ホーム等への入居中に自宅を賃貸に利用していないこと
要介護や要支援については、相続発生直前までに認定されていることが要件となります。
二世帯住宅に住んでいる:状況次第で同居となる
二世帯住宅の相続に小規模宅地等の特例を利用する場合、建物が親の単独名義、または親子の共有名義になっている必要があります。建物の1階が親名義、2階が子供名義など、区分登記されている場合は別居とみなされるため、特例は利用できません。
二世帯住宅は区分登記されているケースが多いので、登記事項証明書や固定資産税の納税通知書(区分登記であれば家屋番号が別々)で確認しておきましょう。なお、共有名義にしている場合は、被相続人の共有持分が小規模宅地等の特例の対象になります。
同居していない親族も「家なき子の特例」なら利用できる?
被相続人の親族が小規模宅地等の特例を利用する場合、原則として相続発生前から同居していなければなりません。ただし、同居していない親族であっても、一定要件を満たせば特例を利用できるケースがあります。
持ち家に住んでいないことが要件となるため、通称「家なき子の特例」と呼ばれていますが、他にも細かな要件が設定されているので、以下を参考にしてください。
家なき子の特例の適用要件
被相続人の自宅を別居中の親族が相続する場合、以下の要件をすべて満たせば家なき子の特例を利用できます。
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被相続人に配偶者や同居親族がいないこと
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相続発生前の3年間に持ち家に住んでいないこと
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相続発生時に居住していた家屋を過去に所有していないこと
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相続した宅地を相続税の申告期限まで所有していること
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相続税申告を行うこと
各要件の詳細は以下のようになっています。
被相続人に配偶者や同居親族がいないこと
家なき子の特例を利用する場合、被相続人が一人暮らしだったことが要件となります。配偶者の死亡によって一人暮らしになっている、またはもともと独身で同居親族もいなければ、別居している親族が家なき子の特例を利用できます。
同居親族は法定相続人を指しているので、被相続人と同居していた親族が代襲相続人ではない孫だったときは、家なき子の特例の対象になります。なお、代襲相続とは、本来であれば相続人になる予定だった人が被相続人よりも先に亡くなったとき、その相続人の子供に相続権が移る仕組みです。
相続発生前の3年間に持ち家に住んでいないこと
家なき子の特例は相続人に持ち家がない(賃貸アパートや社宅暮らし)、または持ち家ありでも居住していないことが要件となります。相続発生前の3年間に持ち家を所有していない、または持ち家ありでも第三者などに賃貸しており、自分が住んでいなければ要件の一部を満たします。
ただし、以下の居住用家屋に住んでいなかったことも要件になるので注意してください。
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相続人の配偶者が所有する持ち家
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3親等以内の親族の持ち家
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特別の関係がある法人(同族会社)の持ち家
相続人が3親等以内の親族となる叔父・叔母の所有アパートに住んでいる、または親が経営する会社の所有マンションなどに住んでいると、特例は利用できません。
相続発生時に居住していた家屋を過去に所有していないこと
家なき子の特例で敷地の80%減額を受ける場合、相続発生時に住んでいた家屋を過去に所有していないことも要件となっています。たとえば、相続人が自己名義で所有する家屋やマンションがあり、親族等に売却して同じ物件に賃貸で住んでいた場合、家なき子の特例は利用できません。
このようなケースでは、特例を受けるためだけの目的で持ち家なしにしていると判断されます。
相続した宅地を相続税の申告期限まで所有していること
相続した宅地に家なき子の特例を適用する場合、相続税の申告期限まで所有している必要があります。相続税の申告期限は相続発生を知った日の翌日から10カ月以内となっているので、途中で売却などを行った場合は家なき子の特例を使えなくなってしまいます。
なお、相続発生後の要件は「所有」であるため、住んでいる必要はありません。
相続税申告を行うこと
家なき子の特例(小規模宅地等の特例)は節税効果が高いため、敷地の評価額が下がったことで相続税がかからなくなるケースもあります。ただし、相続税の申告が要件となっているので、相続税が発生しなくても必ず申告を行ってください。
まとめ
地価の高い地域は土地の相続税評価額も高額になるので、納税資金を用意するために自宅を売却することがないよう、小規模宅地等の特例が創設されています。しかし、住民票だけを移して見かけ上の同居状態にするなど、特例の趣旨と異なる利用実態があったため、制度改正によって要件が厳しくなっています。
意図的に持ち家なしの状態にするケースもあったため、家なき子の特例も要件が厳格化されることになりました。小規模宅地等の特例は制度改正の度に複雑化しているので、同居や持ち家の要件を満たすかどうかわからないときは、専門家に相談することをおすすめします。
なお、過去の制度改正で減額対象の敷地面積は拡大(240㎡から330㎡へ拡大)されているので、用件さえ満たせば有効な相続税対策になるでしょう。



