車の譲渡にも贈与税がかかる
車は贈与財産に含まれるため、譲渡したときは贈与税の課税対象になります。贈与税には年間110万円の基礎控除があるので、車の評価額が110万円を超えていたときに贈与税がかかります。ただし、車の評価額全体への課税ではなく、基礎控除を超えた部分だけに贈与税がかかるので注意してください。
家族から車をもらったときは、以下の手順で評価額を調べ、贈与税を計算しておきましょう。
車にかかる贈与税の計算方法
贈与税は以下の手順で計算するため、まず車の評価額を調べておく必要があります。
- 車の評価額を調査
- 車の課税価格を計算
- 税率を乗じて贈与税を計算
では、車の評価額の調べ方や、具体例を使った贈与税の計算方法を解説します。
(1)車の評価額を調査
国税庁では贈与財産の評価方法を定めており、一般動産となる車の場合は「原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価」となっています。したがって、車は以下のいずれかの方法で評価することになります。
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売買実例価格
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精通者意見価格
売買実例価格で車を評価する場合、中古車市場の売買価格を参考にします。精通者意見価格は車を業者に売却するときの査定額(車の買取価格)になるので、一般的にはこちらの評価方法を採用するケースが多いようです。
では、車の評価額が500万円だったときにいくら贈与税がかかるのか、実際に計算してみましょう。
(2)車の課税価格を計算
仮に車の評価額を500万円とした場合、贈与税の課税価格は以下のようになります。
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計算式
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贈与税の課税価格:500万円-基礎控除110万円=390万円
課税価格は贈与税がかかる部分の金額になるので、次に税率を乗じて贈与税を計算します。
(3)税率を乗じて贈与税を計算
車の課税価格がわかったら、税率を乗じて贈与税を計算します。なお、配偶者や未成年の子供等への贈与は一般税率となり、直系尊属(父母や祖父母)から18歳以上の子供や孫への贈与であれば、特例税率が適用されます。
課税価格が390万円だった場合、一般税率と特例税率では以下のように税額が異なります。
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計算式
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一般税率の贈与税:390万円×税率20%-控除額25万円=53万円
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計算式
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特例税率の贈与税:390万円×税率15%-控除額10万円=48万5,000円
特例税率を適用する場合、贈与を受けた年の1月1日時点において、受贈者が18歳以上になっている必要があるので注意しましょう。税率と控除額は国税庁ホームページを参照してください。
車の売買価格や査定額がわからないときの評価方法
車の売買価格がわからない場合や、査定を依頼できる業者がいないときは、減価償却によって中古車の評価額を計算する方法もあります。減価償却を簡単に解説すると、車の購入代金を一括計上せずに、法定耐用年数に応じて価値の減少分(償却費)を割り当てる考え方になります。
新車であれば法定耐用年数(普通自動車6年、軽自動車4年)が定められていますが、中古車は自分で耐用年数を計算しなければなりません。次に耐用年数に応じた定率法の償却率を乗じて減価償却費を計算し、最後に新車購入時の価格から差し引く計算方法になります。かなり複雑な計算になるので、減価償却による評価額計算は専門家に依頼した方がよいでしょう。
車にかかる贈与税の節税方法5つ
贈与する車が新車に近い状態であるときや、高級車種であるときは贈与税がかかる可能性が高くなるので、以下の節税方法を検討してみましょう。場合によっては贈与税がかからなくなる可能性もあります。
複数の業者に査定を依頼する
車の査定額は業者によってまちまちなので、1社だけではなく複数業者に査定を依頼してみましょう。基本的には一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)が定めた査定額をベースとしますが、積極的に取り扱っている車種が業者ごとに異なるケースがあります。
A社は高額査定になるがB社はごく一般的な査定額というケースもあるので、低い査定額を選ぶとよいでしょう。車の評価額が110万円前後の場合、業者を変えるだけで贈与税の基礎控除以下になる可能性もあります。なお、業者によっては買取りを前提として正式査定を行い、査定のみの依頼であれば簡易査定になる場合があるため、事前確認しておくことをおすすめします。複数の買取業者を回る時間がない方は、ネット上の一括査定サイトも利用してみましょう。
名義変更せずに車を貸す
車の貸し借りには贈与税がかからないので、親または祖父母名義のまま子供や孫に貸してもよいでしょう。ただし、自動車保険(任意保険)の契約内容によっては、車の所有者以外に保険が適用されないケースがあるので注意してください。子供や孫が交通事故の加害者となった場合、保険の適用がなければ自己負担で損害賠償請求に応じなければなりません。
家族に車を貸すときは自動車保険の適用範囲を確認し、必要に応じて特約なども追加契約しておきましょう。
購入資金を基礎控除以下で贈与する
家族が車を必要としている場合、自分の車を贈与するのではなく、購入資金を贈与する方法もあります。1年間の贈与額が基礎控除110万円以下であれば、贈与税をかけずに購入資金を支援できます。子供や孫がローン契約で車を購入し、毎月の返済額を親や祖父母が贈与でカバーしてあげてもよいでしょう。
ただし、毎年の贈与額と贈与日が同一だった場合、税務署から定期贈与(定期金の贈与)を指摘される可能性があるので注意してください。「500万円を100万円ずつにわけて5年間で贈与する」といった贈与契約が定期贈与となり、500万円全額が贈与税の課税対象になります。
受贈者が成人してから贈与する
18歳未満の子供や孫に車を贈与すると、贈与税の一般税率が適用されますが、贈与する年の1月1日時点で18歳以上になっていれば、特例税率を適用できます。仮に評価額1,000万円の高級車を贈与する場合、一般税率と特例税率では以下のような差が生じます。
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計算式
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一般税率の贈与税:(1,000万円-基礎控除110万円)×税率40%-控除額125万円=231万円
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計算式
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特例税率の贈与税:(1,000万円-基礎控除110万円)×税率30%-控除額90万円=177万円
差額は54万円になるので、受贈者の18歳の誕生日が近ければ、18歳に達した年の翌年に贈与することで贈与税を節税できます。なお、贈与税の特例税率を適用できるのは、贈与額が410万1,000円以上(1,000円未満を切り捨てるため)になっている場合です。
中古車になってから贈与する
車が新車、または新車に近い状態であれば売買実例価格で評価されるので、中古車の買取価格相場よりも高くなってしまいます。中古車になるまでは子供や孫に貸しておき、価格が下がった時点で贈与すると贈与税を低く抑えられるでしょう。
ただし、貸している期間の自動車保険には注意してください。所有者本人以外が運転していた場合の補償が不十分であれば、保険契約を見直す必要があります。
まとめ
中古車の評価額は新車よりも低くなりますが、現在は電子部品の供給減が影響し、新車供給の遅れにつながっています。新車の購入予約をしても納車が1~2年後になるケースがあるため、すぐに納車できる中古車人気が高まり、市場価格も高騰しているようです。
「3~4年乗った車だから価格も相当落ちているだろう」と思って贈与したところ、実は新車並みの評価額になっている例も珍しくはありません。使わなくなった車を子供や孫に贈与するときは、基礎控除を超える評価額かどうか、どの税率が適用されるかなど、十分に調べておく必要があるでしょう。
評価の難しい財産を贈与するときや、有効な節税方法を検討したいときは、税理士などの専門家に相談されることをおすすめします。



