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相続放棄

最終更新日:2021.09.13

前に相続放棄ができない理由と
相続発生前にできる代替案5つ

このコンテンツでわかること

  • ■ 生前に相続放棄できない理由がわかる
  • ■ 生前に相続放棄したいときの5つの代替案がわかる
  • ■ 相続放棄の手順や必要書類がわかる

相続についてのイメージは人それぞれですが「親の財産が手に入るから得をする」と考えている方が多いのではないでしょうか。

相続財産には土地や建物、現金や預金などもあるため、自分の手に入れば得になるでしょう。しかし相続財産には負債も含まれるので、差し引きするとマイナスになってしまう場合もあります。借金などの負債額が大きければ相続放棄も選べますが、あくまでも相続が始まってからの選択肢です。高額な借金があるとわかっていれば、生前から相続放棄しておきたいところですが、残念ながら現在の法律では認められていません。

では相続発生前にできる対策はないのでしょうか?今回は相続放棄についてわかりやすく解説し、生前にできる代替案も検証してみます。

生前に相続放棄はできない

相続放棄とは、文字どおり相続開始後に相続権を放棄することです。

もし生前の相続放棄が可能になってしまうと、特定の相続人に財産を取得させないよう、他の相続人から「相続を放棄しろ」と圧力がかかる恐れもあります。また、本人が生きているうちの財産調査には限界があるため、生前に放棄するかどうかの判断材料が揃わないという理由もあります。相続放棄の手続きは家庭裁判所で行いますが、当然のことながら本人が生きている間は相続放棄を受け付けてもらえません。ただし、相続放棄に拘らなければ、借金を引き継がない方法や一定財産を取得する方法もいくつかあります。

ではどのような代替案があるのか検証してみましょう。

生前に相続放棄したいときの代替案5つ

多額の借金があるとわかった場合、生前に相続放棄しておきたいところですが、現在の法律では不可能です。また相続放棄するかどうかの判断はかなり難しいため、以下の代替案も検討してみてください。

  • 生前贈与の活用

  • 生命保険の活用

  • 債務の整理

  • 遺言書の作成

  • 遺留分の放棄

選択肢が増えれば自分の状況に合った手段が見つかるでしょう。では5つの代替案について具体的な内容を解説します。

生前贈与の活用

相続放棄を検討するような状況であれば、生前贈与を活用してください。相続放棄するとすべての財産を取得できなくなるので、財産の所有者が生きているうち、つまり相続発生前に次世代へ財産を移転させておきます。最終的に相続放棄をするにしても、相続財産が減っていれば放棄する額も小さくなります。ただし、相続開始前3年以内の贈与は相続財産にカウントされ、一度に高額な贈与を行うと、相続税よりも高い税率の贈与税がかかるので要注意です。プラスの財産が多いケースに向いているので、負債額を超えない範囲で贈与しておくとよいでしょう。 また、特定の相続人にだけ財産を与えたくないケースにも有効であり、遺留分に気を付けながら他の相続人へ多めに贈与しておくこともできます。

生命保険の活用

相続人が保険金の受取人になる生命保険契約も有効な手段です。死亡保険金はもともと被相続人が所有していた財産ではなく、死亡をきっかけに支払われる受取人固有の財産になります。つまり相続放棄した人でも受け取れる財産なので、借金は相続したくないがある程度の財産は欲しいといったケースに向いています。ただし、契約形態によっては贈与税や所得税の対象になってしまうため、事前に専門家のアドバイスを受けるようにしてください。

債務の整理

子どもや孫に借金を残さないよう、自分の代である程度決着させる方法が債務整理です。債務整理には任意整理や個人再生、自己破産などがあり、借金をゼロにできるのが自己破産です。ただし、裁判によって認められなければ自己破産はできず、判決までには相当な時間もかかります。自己破産する場合は自宅や預貯金も差し押さえられるので、子どもに自宅を残したい人、または自宅を相続したい相続人がいる場合には不利になってしまいます。

ただし、自己破産した後に築いた財産は相続できるので、経済的な再生が見込めるケースには向いているでしょう。どの方法も高い交渉力や裁判などの知識が必要になるので、債務整理を検討する場合はまず弁護士へ相談してください。

遺言書の作成

相続人が借金に苦しまないよう、遺言書によってある程度の調整もできます。たとえば、長男に自宅を相続させる代わりに借金も引き継がせるという内容です。他の相続人の理解も得やすいため、主な財産が自宅のみというケースに向いています。

ただし、遺言内容は債権者までは影響力を持たないので、長男が返済を怠るとすぐに他の相続人に取り立てが回ってきます。誰に借金を負担させるべきか、各相続人の資力も考慮しておくべきでしょう。

遺留分の放棄

相続によって財産を分け合う際、各相続人には最低限の取り分になる「遺留分」が保障されています。しかし遺留分は相続前に放棄できるので、面倒な遺産相続に関わりたくない、遺産がもらえなくても構わないというケースには向いているでしょう。ただし、遺留分を放棄しても相続権は残るので、債務を負担する可能性もあります。また遺留分の放棄には家庭裁判所での手続きも必要になります。

相続発生後に相続放棄をする流れ・必要書類

財産を引き継ぐことはできなくなりますが、相続放棄が最良の選択になるケースもあります。相続放棄は家庭裁判所への申述が必要であり、次の手順で進めていきます。

必要書類もわかりやすく解説しますので、相続放棄を検討しておられる方は参考にしてください。

相続財産の調査

相続放棄する場合、まず相続財産がどれだけあるのか調査してください。相続放棄した方がよいかどうかの判断材料になるので、相続財産の調査は重要です。相続放棄をした後に高額な財産が見つかったとしても、後で相続人に戻ることはできません

必要書類の準備

相続放棄の手続きには以下の書類が必要です。提出先は被相続人の最後の住所地を管轄している家庭裁判所になります。

  • 相続放棄の申述書

  • 被相続人の住民票除票または戸籍の附票

  • 相続放棄する人の戸籍謄本

  • 800円の収入印紙

  • 連絡用の郵便切手(裁判所によって異なる)

相続放棄の申述書は20歳未満、20歳以上で様式が異なります。いずれも裁判所の公式サイトからダウンロードできるので、記入例を参考に必要事項を記入してください。なお、被相続人と相続人の間柄によっては、被相続人の死亡がわかる戸籍謄本などが必要になるので、書類の準備前に裁判所へ問い合わせておくとよいでしょう。

相続放棄の申述書/20歳未満(裁判所)
相続放棄の申述書/20歳以上(裁判所)
各地の裁判所(裁判所)

家庭裁判所へ相続放棄を申述する

必要書類が揃ったら管轄の家庭裁判所へ提出してください。相続放棄が決定するまでには1ヶ月程度かかりますが、必要に応じて裁判所から照会書が送付される場合もあります。照会書には漏れなく記入し、早めに返信しなければなりませんが、記入要領がわからない場合は必ず専門家へ相談してください。

相続放棄の期限に注意

相続放棄をする場合に気を付けておきたいのが手続きの期限です。相続開始を知った日から3ヶ月以内が相続放棄の期限になるので、相続財産の調査も最優先で行わなければなりません。

まとめ

被相続人の借金を引き継ぎたくない場合、相続放棄しか手段がないと思われがちです。しかし生前にできる代替案もあるので、生前贈与や生命保険を活用すれば、相続放棄よりも状況は有利になるかもしれません。財産をリセットする形にはなりますが、債務整理をすれば子孫に負の財産を残さなくてもよくなります。

家族に多額の借金がある場合、相続放棄を最終手段と捉え、まずは他の方法がないか十分に検討してみましょう。債務整理に強い弁護士、相続に強い司法書士や税理士など、頼れる専門家もいるので、困ったときには迷わず相談してください。

税理士 桑原 弾
  • この記事の監修者

  • 税理士 桑原 弾

昭和55年生まれ、兵庫県出身。
大学卒業後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した知識」と「元国税調査官としての経験」の両輪を活かして相続税申告を実践している。

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