相続放棄申述書とは
相続放棄の手続きを「相続放棄の申述」といい、申述の際には相続放棄申述書の提出が必要です。あまり複雑な様式ではありませんが、不備があった場合は家庭裁判所で受理してもらえず、相続放棄の期限に間に合わない可能性も出てきます。
相続放棄する人によって添付書類も変わるため、間違いや不足がないよう入念にチェックしておきたいですね。では相続放棄申述書の書き方などを詳しく解説しますので、相続放棄を検討中の方はぜひ参考にしてください。
【記入例付】相続放棄申述書の書き方
相続放棄する場合、相続放棄申述書とともに添付書類を揃え、正確に記入して家庭裁判所へ申述する流れになります。相続放棄申述書は図解入りで解説しますので、記入漏れや記載ミスがないよう書き方の参考にしてください。
相続放棄申述書の入手方法
相続放棄申述書はどこの家庭裁判所でも入手できますが、裁判所ホームページからのダウンロードが便利です。
トップページから「裁判手続案内」「申立て等で使う様式」の順にリンクを辿ると、「家事審判の申立書」のページが表示されます。
相続放棄申述書へのリンクはページの下側にあり、20歳以上と20歳未満に分かれています。書式はどちらも同じですが、記入要領が異なるため、該当年齢のページをクリックするようにしてください。
書式は2枚に分かれていますが、両面印刷ではなく片面印刷したものを使いましょう。では具体的な書き方について解説します。
相続放棄申述書の書き方
相続放棄申述書は家庭裁判所と申述人の記入欄に分かれていますが、申述人が記載するのは太枠の部分です。では書式の上から順に図解で書き方を解説していきます。
申述先や氏名の記入と押印
相続放棄申述書は以下のような書式になっています。


各項目の記入要領ですが、まず申述先の家庭裁判所名と作成年月日を記入し、申述人の氏名を記入して押印します。

裁判所名の部分は「東京」や「横浜」だけでよく、支部や出張所は記入不要です。申述人の欄には、実際に申述する人の氏名を記入して押印しますが、印鑑は認印で構わないので、印鑑登録証明書を揃える必要はありません。
相続放棄する人が未成年者であって、親権者などの法定代理人が申述人になる場合は、申述人の欄に「○○○○の法定代理人▲▲▲▲」と記入してください。
添付書類のチェックと通数
相続放棄申述書の添付書類は後半で解説しますが、該当する書類にチェックを入れ、必ず通数も記入してください。

申述人や被相続人の住所氏名等
次に申述人や被相続人の住所・氏名、生年月日や死亡日などを記載します。法定代理人が申述する場合は、親権者または後見人の部分を丸で囲み、氏名などを記入しますが、申述人と同じ住所であれば「申述人の住所に同じ」でも構いません。ただし、郵便番号と電話番号は記入しておいてください。

本籍や住所氏名については戸籍謄本と同一内容で記入し、略字は使わないようにしてください。
申述の理由
申述の趣旨はあらかじめ印字されているので、何も記載する必要はありません、申述の理由については、まず「相続の開始を知った日」を記入しますが、一般的には「被相続人死亡の当日」になることが多く、被相続人の死亡日の欄と一致します。被相続人の死亡日以降に相続開始を知った場合は、その日付を記入して「死亡の通知を受けた日」を丸で囲んでください。

「先順位者の相続放棄を知った日」については、相続順位が上位の法定相続人が相続放棄したため、自分が相続人となった場合です。
「その他」については、被相続人の死亡を当日に知ってはいたが、後日(相続放棄の期限経過後)に借金が判明した場合などに選択します。ただし、詳細状況を記載した「上申書」が必要になるので、相続放棄が認められるよう作成は弁護士へ依頼した方がよいでしょう。
放棄の理由
次に相続放棄する理由を選択しますが、放棄が認められるかどうかには影響しないので、実際に該当するものに丸をしてください。「母親にすべて相続させたい」や「相続人同士の争いに巻き込まれたくない」などの事情であれば、その他を選択して簡潔に理由を書いておきましょう。

相続財産の概略
借金も含め、相続財産の大まかな内容を記載します。「山林があるらしいが、場所や広さがわからない」など、不明な財産がある場合は空欄または不明と書いておきましょう。

これで相続放棄申述書の記入は完了ですが、記入ミスや漏れがないか、提出前には必ず再チェックしてください。
では次に提出方法や必要書類を解説します。
相続放棄申述書の提出方法・必要書類
相続放棄の申述先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。どの家庭裁判所でも受け付けてくれるわけではないので注意してください。なお、管轄裁判所が不明な場合は、裁判所のホームページから調べることもできます。
相続放棄申述書の提出方法
提出方法には直接持ち込みと郵送扱いがあります。家庭裁判所が遠い方や多忙な方は郵送扱いがおすすめですが、直接家庭裁判所へ持ち込むと記載漏れなどのミスはその場で教えてもらえます。相続放棄の期限が迫っているような状況であれば、直接家庭裁判所へ出向いた方がよいでしょう。
相続放棄の申述に必要な書類
相続放棄には戸籍謄本などの書類が必要ですが、相続放棄する人によって内容が変わるので注意してください。なお、誰が相続放棄する場合でも、以下の書類は共通して必要になります。
【共通する書類】
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相続放棄申述書
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被相続人の住民票の除票または戸籍附票
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申述人の戸籍謄本
配偶者が相続放棄する場合
相続放棄する人が被相続人の配偶者であれば、以下の書類を取得します。
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被相続人の死亡がわかる戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
ただし、夫婦は同じ戸籍に入っていることがほとんどなので、申述人の戸籍謄本(共通する書類)を取得すれば被相続人の死亡もわかります。
子供または代襲相続人の孫が相続放棄する場合
被相続人の子供については配偶者の相続放棄と同じ書類になりますが、代襲相続の場合は追加の戸籍が必要になります。
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被相続人の死亡がわかる戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
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代襲相続の場合は被代襲者の死亡がわかる戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
父母または祖父母等が相続放棄する場合
被相続人の父母が相続放棄する場合、被相続人に子供や孫(順位が上位の相続人や代襲相続人)がいないことを証明する必要があります。
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被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
また、被相続人の子供や代襲者が死亡していた場合は、以下の戸籍も必要になります。
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被相続人の子供またはその代襲者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
父母も死亡しており、祖父母が相続放棄する場合は以下の書類が必要です。
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被相続人の父母の死亡がわかる戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
兄弟姉妹または甥や姪が相続放棄する場合
被相続人の兄弟姉妹が相続放棄する場合、被相続人に子供やその代襲者、親や祖父母もいないことを証明しなければならないため、必要書類はとても多くなります。
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被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
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被相続人の子供またはその代襲者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
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被相続人の父母や祖父母の死亡がわかる戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
被相続人の甥や姪が相続放棄する場合、上記に加えて以下の書類も必要です。
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甥や姪の親(被代襲者)の死亡がわかる戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
相続放棄の申述に必要な費用
相続放棄する際には以下の費用がかかります。
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戸籍謄本:1通450円
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除籍および改正原戸籍謄本:1通750円
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収入印紙:800円
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郵便切手:400円
郵便切手は家庭裁判所によって違う場合もあるので、事前に確認してください。また、弁護士などに手続きを依頼すると7万~10万円程度の費用になります。
相続放棄にかかる日数
家庭裁判所によって若干異なりますが、相続放棄の申述から受理までの日数は1カ月程度をみておくとよいでしょう。
相続放棄申述書を提出した後の流れ
必要書類をすべて提出した後は、1~2週間後に家庭裁判所から「相続放棄の照会書」が送付されるので、回答を記入して返送します。照会内容は次のとおりですが、なるべく早めに返送しておきましょう。
相続放棄の照会書への回答
相続放棄の照会書には次のような照会事項が記載されています。
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相続開始を知った日
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どのようにして相続開始を知ったか
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相続放棄の内容を正しく理解しているか
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自分の意思による相続放棄であるか
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相続放棄する気持ちに変わりはないか
相続放棄申述書と同じく、相続開始を知った日は間違えないように記載してください。また、どう書いてよいかわからない部分があれば、早めに弁護士へ相談しましょう。
相続放棄申述受理通知書の受け取り
回答書を返送し、問題がなければ相続放棄が受理されます。数日後に送付される「相続放棄申述受理通知書」を受け取れば、相続放棄の完了となります。
相続放棄申述受理証明書の発行
相続放棄の理由が債務超過の場合、債権者から借金の返済を迫られる場合があります。相続放棄申述受理通知書を提示すれば督促はなくなりますが、証明書を求められた場合は家庭裁判所で「相続放棄申述受理証明書」を発行してもらいましょう。
また、相続放棄によって他の相続人が不動産を相続した場合は、相続登記の際にも証明書が必要になります。
相続放棄申述書を作成・提出時の注意点
他の相続人から脅迫されて相続放棄するような例もあるため、家庭裁判所は本人の意思かどうかを重視しています。従って、相続放棄申述書を代筆する場合は次の点に注意してください。
相続放棄申述書は代筆可能
相続放棄が本人の意思によるものであれば、相続放棄申述書は代筆でも構いません。代筆者への委任状も不要ですが、家庭裁判所から指示があれば作成してください。
認知症の場合は代筆不可
申述者本人の判断能力が低下している場合は代筆が認められません。認知症の場合は成年後見人を設定し、後見人が申述書の作成や提出を行うことになります。なお、成年後見人による手続きであれば委任状は不要です。
弁護士へ手続きを依頼する場合
相続放棄の申述は弁護士へ依頼できます。代理人として申述の手続きを行ってくれますが、委任状は必要です。
まとめ
相続放棄は期限の到来が早いため、スピーディに対応しなければなりません。相続放棄申述書の書き方はそれほど難しくありませんが、必要書類の準備に時間がかかるため、気付けば期限間近という例も多々あります。相続順位が下位になるほど必要書類も多くなるので、親や兄弟姉妹の相続放棄は時間との戦いになるでしょう。
また、期限経過後に相続放棄する場合は即時抗告という手段もありますが、弁護士の関与なしではまず認められません。自分1人では無理だと感じたら、すぐにでも弁護士へ相談し、確実に相続放棄できるよう手配しておきましょう。



