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遺言書

最終更新日:2021.09.13

密証書遺言とは?
遺言書の作成方法や
メリット・デメリットについて

このコンテンツでわかること

  • ■ 秘密証書遺言の特徴や性質がわかる
  • ■ 秘密証書遺言のメリットやデメリットがわかる
  • ■ 秘密証書遺言の作成手順や必要書類がわかる
  • ■ 秘密証書遺言を作成する際の注意点がわかる
  • ■ 家庭裁判所の検認方法や必要書類がわかる

高齢社会や終活ブームなど、様々な理由から遺言書を作成する人も増えています。日本公証人連合会の公表によると、2020年(令和2年)に作成された公正証書遺言は9万7,700件となっています。前年に比べて1万5,000件程度の落ち込みですが、過去の推移をみると遺言書を作成する人は徐々に増えているようです。

自筆証書遺言の場合の正確な数はわかりませんが、家庭裁判所の検認数を見ると、2016年(平成28年)は1万7,205件で、10年間上昇し続けています。家庭裁判所の検認数には「秘密証書遺言」も含まれていますが、年間作成数は100件~130件程度と、他の遺言書に比べると極端に少ない作成数です。あまり使われることのない秘密証書遺言ですが、あえて作成するメリットはあるのでしょうか?

今回は秘密証書遺言の作成方法や、どのようなメリット・デメリットがあるのか検証してみます。

秘密証書遺言とは

遺言書を作成する際、自分が死ぬまで内容を伏せておきたい人もいるでしょう。しかし自筆証書遺言にすると、遺言書そのものが発見されず、せっかくの遺言が効力を発揮しないリスクもあります。このようなケースに対応できるのが秘密証書遺言であり、公証人と2人の証人が遺言の存在を証明してくれますが、中身を見ることはできません。遺言は秘密にしたいが発見されないのは困る、という問題を同時に解決できるので、場合によっては秘密証書遺言を選択する価値がありそうですね。

秘密証書遺言を作成するメリット・デメリット

作成件数が少ないため、「秘密証書遺言はデメリットばかりでは?」という見方もあるようです。しかし相続の状況によっては秘密証書遺言のメリットが活かせるので、個別の相続事情に照らし合わせてみるとよいでしょう。

秘密証書遺言のメリット

秘密証書遺言には以下のようなメリットがあります。

  • 遺言内容を秘密にできる

  • 遺言書の偽造や改ざんを防止できる

  • パソコンでも作成できる

  • 遺言書の存在が確実に遺族へ伝わる

秘密証書遺言はパソコンで作成できますが、署名だけは自筆です。秘密証書遺言は遺言者自身が封をし、公証人が封紙に署名するので、開封されている場合または開封の形跡がある場合は法的な効力を持ちません。そのため、きちんと封緘された秘密証書遺言には改ざんなどのリスクがありません

秘密証書遺言のデメリット

以下の6つが秘密証書遺言のデメリットです。

  • 遺言書が要件を満たさず無効になる可能性がある

  • 2人の証人が必要

  • 作成コストがかかる

  • 手続きに時間がかかる

  • 紛失リスクがある

  • 家庭裁判所の検認が必要

秘密証書遺言では遺言内容を秘密にするため、第三者による内容のチェックがありません。2人の証人も必要となり、公証役場で作成するため11,000円の費用もかかります。自分で保管するため紛失のリスクもあり、家庭裁判所の検認も必要なので遺言の実行までに少々時間もかかります。

秘密証書遺言の作成方法・流れ

かなり特殊な遺言になるため、秘密証書遺言の作成方法はあまり知られていません。秘密証書遺言を選択することになった場合、以下の手順で作成を進めていきましょう。

1)自筆またはパソコンで遺言内容を作成

秘密証書遺言はパソコン作成が認められていますが、署名だけは自筆になります。相続開始後のトラブルを防止するため、できれば本文も自筆がよいでしょう。自分で遺言を作成できない場合は、内容を知られてしまいますが代筆者による代筆も可能です。押印は実印、認印のどちらでも構いません。

2)遺言書を封緘した後に印を押す

完成した遺言書は封筒に入れますが、内容に誤りや漏れがないか、必ず封入前にチェックしてください。封入した後は封緘用の印を押しますが、遺言書に押したものと同一の印鑑を使うようにしましょう。それぞれの印鑑が違っている場合は遺言書が無効になってしまいます

3)証人2人とともに公証役場へ遺言書を提出する

秘密証書遺言には2人の証人が必要であり、以下に該当しない人から証人を選ぶことになります。

  • 遺言者の推定相続人と受遺者(遺言によって財産を取得する人)

  • 未婚の未成年者

  • 公証人の配偶者や4親等内の親族

  • 公証役場の関係者

証人が揃えば公証役場に出向き、公証人と証人の立ち合いのもとで遺言書を提示し、自分が作成した遺言であることの証明として、住所や氏名を申述します。なお、公証役場の所在地は、日本公証人連合会の公式サイトから検索できます。

公証役場一覧(日本公証人連合会)

4)遺言者と証人が署名押印する

公証役場では、公証人が遺言者の申述と遺言書の提出日を封筒に記入し、さらに遺言者と2人の証人が封筒へ署名・押印を行います。これで秘密証書遺言は完成ですが、公証役場には遺言書作成の記録だけが残り、保管まではしてくれません

秘密証書遺言は自分で保管するため、保管場所や保管方法は慎重に検討しておきましょう。

秘密証書遺言を作成するときの注意点

作成方法や取扱いが特殊とはいえ、秘密証書遺言も中身が重要になってきます。遺言書の要件を満たさなければ無効になってしまうので、次に解説する注意点に気を付けながら作成してください。遺言内容が複雑になる場合は専門家への相談をおすすめします。

正しい書き方で作成する

遺言書の書き方には一定のルールがあり、知らずに作成すると無効になる場合もあります。正しい書き方、誤った書き方には以下のような例があるので参考にしてください。

誤った書き方:託す、任せる、
正しい書き方:相続させる、遺贈する

「託す」「任せる」といった書き方は、財産を相続させるのか、管理だけ任せたいのか、第三者にとっては不明瞭な表現になってしまいます。法定相続人の場合は「相続させる」、法定相続人以外に財産を譲る場合は「遺贈する」と明確な書き方にしておきましょう。

相続財産は第三者でもわかるように書く

○○銀行の預金を相続させる、○○町にある土地を譲る、といった書き方はNGです。親族間だけにしか通用しない書き方であり、第三者には何を指しているのかわかりません。誰が見ても特定できるよう、相続財産は以下のような書き方にしてください

【預金口座の場合】

○○銀行 ○○支店 普通預金 支店番号999 口座番号9999999

【土地の場合】

所在:東京都港区虎ノ門○丁目
地番:○○番○
地目:宅地
地積:300平方メートル

家屋や有価証券、車などの相続財産も同様なので、家屋番号や車両の登録番号、株式の銘柄などは漏らさずに記載してください。

相続財産すべての承継者を指定する

遺言では、相続財産すべてについて承継者(帰属先)を指定してください。漏れがあった場合は誰が相続するかで揉めてしまい、相続人同士の関係が悪化する可能性もあります。また、必要最低限の保障となる「遺留分」を侵害しないよう、相続財産の配分にも気を付ける必要があります。

借金の負担者や負担割合を決めておく

住宅ローンなどの借入金は遺言の対象になりません。

つまり遺言で借金の負担者や負担割合を決めたとしても、法的には借金の条項だけ無効となります。仮に長女が全額負担するよう書いたとしても、債権者が「長女にしか返済を請求できない」とはならないからです。遺言書で借金の負担者などを決めるのは無意味に思えますが、交渉次第では債権者が納得するケースもあり、相続税の負担を考慮する上で重要になる場合もあります。借金の負担については、あくまでも要望として書くようにしてください。

遺言執行者を決めておく

法的に有効な遺言を残したとしても、相続人によっては従ってくれない場合もあります。遺言を実現させるためには遺言執行者の選任も重要となり、未成年者や破産者以外であれば誰でも選任できます。相続人の中から遺言執行者を選ぶこともできますが、相続に関する十分な知識が必要であり、他の相続人との関係が悪くなってしまう可能性もあります。

遺言執行者は、相続の専門家へ依頼するのが得策でしょう。

遺言書の付言事項を活用する

付言事項には家族への感謝の気持ち、希望の葬儀方法など様々な内容を書くことができます。

相続財産の配分に偏りが出てしまい、相続人同士のトラブルが予想される場合には、付言事項に理由を書いておくとよいでしょう。付言事項に強制力はありませんが、亡くなった方の気持ちを汲み取り、偏った遺産配分でも納得してくれるケースもあります。

秘密証書遺言を検認する方法・必要書類

自筆証書遺言と同じく、秘密証書遺言も家庭裁判所による検認が必要です。家族が勝手に開封するとペナルティもあるため、秘密証書遺言の扱いは家族全員が知っておくべきでしょう。検認の手続きは次のように進めていくので、自筆または秘密証書遺言を発見した場合の参考にしてください。

必要書類を準備する

秘密証書遺言を家庭裁判所に提出する場合、あらかじめ以下の書類を準備してください。

  • 書遺言

  • 遺言者の出生から死亡時までの戸籍謄本(除籍、改正原戸籍)

  • 相続人全員の戸籍謄本

  • 遺言書の検認の申立書(家事審判申立書)

  • 当事者目録

  • 800円の収入印紙(検認の申立書へ貼付)

  • 郵便切手(相続人への連絡用)

戸籍謄本の代わりに、法務局が発行する「法定相続情報一覧図の写し」でも受け付けてもらえますが、事前に一覧図を作成しておかなければなりません。申立書と当事者目録の様式は裁判所の公式サイトから入手できるので、記入例を見ながら分かる範囲だけでも書いておくとよいでしょう。

遺言書の検認の申立書(裁判所)

家庭裁判所への申立

必要書類を揃えて家庭裁判所へ申し立てると、1ヶ月~2ヶ月後を検認期日として相続人全員に通知されます。検認は10分程度で完了し、検認済証明書とともに遺言書も返却されるので、やっと相続手続きに使える状態になります。ただし、検査済証明書は法的に有効な遺言書を証明しているものではありません。検認後の遺言書でも内容によっては無効になる場合もあります。

家庭裁判所の検認前に遺言書を開封するとペナルティあり

たとえうっかりであっても、検認前に遺言書を開封すると5万円以下の過料になってしまいます。秘密証書遺言を発見した場合は、開封せずに家庭裁判所へ連絡し、指示を仰ぐようにしてください。

まとめ

秘密証書遺言にはメリットも多いので、相続財産の内容や相続人の状況によっては有利になるかもしれません。ただし、作成から保管まで自分1人で行うため、遺言書に関する十分な知識や管理方法の工夫も必要です。確実性でいえば公正証書遺言に分があり、自筆証書遺言も専門家のアドバイスを得ながら作成できます。相続開始まで秘密を保持できたとしても、内容に問題があれば遺言書として機能しません。秘密証書遺言にするべきかどうか、まず相続のプロフェッショナルに相談してからでも遅くはないでしょう。

税理士 桑原 弾
  • この記事の監修者

  • 税理士 桑原 弾

昭和55年生まれ、兵庫県出身。
大学卒業後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した知識」と「元国税調査官としての経験」の両輪を活かして相続税申告を実践している。

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