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遺言書

最終更新日:2024.10.31

言書の開封前に行う検認とは?
家庭裁判所へ申し立てる際の
必要書類と流れを解説

遺言書の開封前に行う検認とは?家庭裁判所へ申し立てる際の必要書類と流れを解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 遺言書の検認とは
  • ■ 遺言書の検認に必要な書類や手続きの流れ
  • ■ 遺言書の検認にかかる期間や費用

大切な家族が亡くなると、遺族は相続手続きを進めることになります。この相続手続きでは、相続財産の調査や相続人の把握など、やるべきことが山のようにあります。

なかでも、まずは遺言書を探すようにしてください。遺言書の有無によって相続手続きが大きく変わるため、心当たりのある場所を徹底的に探しましょう。

ただし、自宅などに保管されている遺言書を発見した場合、検認という手続きが必要なため注意しなければなりません。

今回は、遺言書の検認についての概要や手続き方法、必要書類などを詳しく解説します。

遺言書の検認とは?

遺言書の検認とは、相続人に対し、遺言の存在およびその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。

遺言書の有効・無効を判断するための手続きではないため、検認を受けた遺言書が必ず有効となるわけではありません。

遺言書の開封前に検認が必要

封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人らの立ち会いのもと、開封しなければならないことになっています(民法1004条3項)。出席した相続人らの立ち会いのもと、裁判官は、封がされた遺言書については開封の上、遺言書を検認します。

遺言書を提出することを怠り、検認を経ないで遺言を執行し、または家庭裁判所外において開封をした場合、5万円以下の過料に処されます(民法1005条)。

検認が必要な遺言書の種類

遺言書には主に以下の3種類があり、自筆証書遺言と秘密証書遺言の2種類は家庭裁判所の検認が必要になります。

  • 公正証書遺言(検認:不要)

  • 自筆証書遺言(検認:必要〈例外あり〉)

  • 秘密証書遺言(検認:必要)

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者本人が自筆で作成する遺言書であり、作成後は基本的に遺言者本人が保管します。自筆証書遺言は作成や修正が容易で、費用もほとんどかからない一方、要件を満たしていないと遺言書が無効になったり、相続人などによって偽造や改ざんされたりするリスクがあります。

これまでは、遺言書のすべてを自筆する必要がありましたが、法改正により作成方法が緩和され、2019年1月13日以降に作成する自筆証書遺言では、本文とは別に財産目録を添付する場合、財産目録を自筆しなくてもよいとされました。

これにより、パソコンなどによる作成、他の人による代筆、不動産の登記事項証明書や通帳の写しの添付も可能です。ただし、自筆によらない財産目録を添付する場合は、記載のあるすべてのページに署名、押印をする必要があります。

さらに、2020年7月10日から、法務局による自筆証書遺言書保管制度が開始され、この制度を利用した自筆証書遺言は検認の必要がありません。

自筆証書遺言書保管制度を利用する場合、A4サイズの用紙に記載します。最低限、上部5ミリメートル、下部10ミリメートル、左20ミリメートル、右5ミリメートルの余白をそれぞれ確保する必要があります。余白が確保されていない場合や余白に何らかの記載がある場合には書き直さないと預かってもらえないため、通常の自筆証書遺言とは異なり、厳格なルールに沿って作成する必要があります。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、相続開始まで遺言の内容を誰にも明らかにせず、秘密にできる遺言書です。公証役場で公証人と証人2人に遺言書が間違いなく遺言者本人によるものであることを証明してもらいます。秘密証書遺言は、財産目録だけでなく本文も、パソコンなどを用いた作成や、第三者に筆記を依頼して作成することが認められています。

公証役場では遺言書の存在の証明のみで、遺言書の内容を公証人や証人がチェックすることはありません。遺言書の保管は遺言者本人が行うものの、相続人が公証役場に問い合わせれば遺言書が存在することがわかるため、見逃される心配はありません。

秘密証書遺言を発見したら自筆証書遺言と同様に、家庭裁判所で検認が必要となります。

遺言書の検認手続きの流れ・必要書類

被相続人(亡くなった人)の遺言書が見つかった場合、遅滞なく家庭裁判所へ遺言書を提出する必要があるため、まずは検認の申し立てに必要な書類を準備しましょう。

検認に必要な書類を集める

遺言書の検認には以下の書類が必要になります。

  • 遺言書(自筆証書遺言または秘密証書遺言)

  • 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

  • 相続人全員の戸籍謄本

  • 遺言書の検認の申立書(家事審判申立書)

  • 当事者目録

  • 収入印紙(遺言書1通につき800円分)

  • 連絡用の郵便切手

事前に「法定相続情報一覧図」を作成して法務局で保管している場合、戸籍謄本の代わりに一覧図を提出しても構いません。申立書と当事者目録は裁判所のホームページから入手できるので、あらかじめ記入しておくとよいでしょう。

遺言書の検認の申立書(裁判所)

家庭裁判所に遺言書の検認の申し立てを行う

検認に必要な書類が揃ったら、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ検認を申し立てます。

ただし、その場で検認手続きが行われるわけではなく、窓口では必要書類の受理に留まり、実際の検認は後日に行われます。検認期日(検認を行う日)はあらかじめ相続人全員に通知されます。

なお、管轄の家庭裁判所の所在地や連絡先については裁判所のホームページで確認しましょう。

裁判所の管轄区域(裁判所)

出席した相続人立ち会いのもと遺言書が開封される

相続人に通知された期日に検認が行われますが、申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは、各人の判断に任されており、全員が揃わなくても検認手続きは行われます。

申立人は、検認期日に遺言書、申立書に押印したものと同一の印鑑、そのほか裁判所から指示されたものを持参し、遺言書の開封は相続人立ち会いのもと行われます。

検認済証明書を発行してもらう

遺言の執行(遺言の内容を実現すること)をするためには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要となります。

そのため、検認が終わったら検認済証明書の申請を行いましょう。発行には遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。

遺言書の検認にかかる費用・期間

家庭裁判所へ遺言書の検認を申し立てる場合、以下の費用が必要になります。

  • 収入印紙:遺言書1通につき800円分

  • 連絡用の郵便切手:必要な通数分

  • 検認済証明書の発行手数料:遺言書1通につき150円分の収入印紙

検認期日は申し立てから概ね1カ月後ですが、亡くなった直後は葬儀や四十九日、役所への手続きなどで手いっぱいのため、なかなか遺言書の対応まで手が回らないでしょう。

しかし、遺言は相続税申告にも影響があります。相続税の申告・納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内です。期限を過ぎると延滞税などのペナルティもあるため、遺言書の検認の申し立てを後回しにし過ぎないよう注意してください。

遺言書の検認に関するよくある質問

遺言書の検認はめったに経験しないため、さまざまな疑問が生じるでしょう。検認についてのよくある質問をまとめていますので、遺言書を発見した際の参考にしてください。

検認を受けずに開封した遺言書は無効?

家庭裁判所の検認前に遺言書を開封すると、5万円以下の過料が科せられる可能性があります。うっかり開封してしまうと罰則の対象になるため、遺言書の取り扱いには十分に気を付けてください。

ただし、検認前に開封したことを理由に遺言書が無効になるということはありません。

遺言書の検認には出席しないとダメ?

遺言書の検認期日に相続人全員の出席は必要ありませんが、申立人は出席する必要があります。もし、仕事などで都合がつかない場合は、弁護士に立ち会いの代理を依頼できます。

また、家庭裁判所から検認期日の通知がいきなり届くと、事情を知らされていない相続人が困惑してしまうため、遺言書を発見したことや今後の手続きについて、あらかじめ相続人全員に共有しておきましょう。

検認済みの遺言書は必ず有効になる?

遺言書の検認は、偽造や改ざんなどを防止するための保全を目的としています。遺言が法的に有効かどうかを判断するものではないため、内容次第では無効になる可能性もあります。

遺言書の有効・無効については、「遺言無効確認調停」や「遺言無効確認訴訟」によって判断され、検認とは別に費用や時間がかかります。

封がされていない遺言書も検認が必要?

封筒に入っていない遺言書、または封筒に入っているものの封がされておらず、中身が見える状態の遺言書でも家庭裁判所の検認は必要です。

封がされていない状態の遺言書も、要件を満たしていれば有効な遺言として認められます。

まとめ

遺言書を発見したときは、検認を受けるために必要な戸籍謄本を収集するだけでも1カ月以上かかることがあります。さらに、そこから家庭裁判所に申し立てを行うため、検認の完了までに2カ月程度の期間を要します。

相続を開始すると、他にも葬儀や四十九日、役所への届け出、水道光熱費などの口座変更などやるべきことがたくさんあります。

書類の準備などに時間を割けない場合は、早めに相続を専門とする税理士へ相談しておきましょう。

税理士に相談することで、相続税の申告が必要かどうかの判断や、戸籍の収集も依頼できます。さらに、遺言書があるかどうか確認するための公証役場への問い合わせ方法なども教えてもらえます。被相続人が不動産を所有しており相続登記が必要な場合は、その税理士から司法書士を紹介してもらうとよいでしょう。

税理士 桑原 弾
  • この記事の監修者

  • 税理士 桑原 弾

昭和55年生まれ、兵庫県出身。
大学卒業後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した知識」と「元国税調査官としての経験」の両輪を活かして相続税申告を実践している。

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