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最終更新日:2023.07.31

縁の妻・夫には相続権がない!
財産を遺す方法や認められる権利も解説

内縁の妻・夫には相続権がない!財産を遺す方法や認められる権利も解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 内縁の妻や夫と相続権の関係
  • ■ 内縁の妻や夫に財産を遺す方法
  • ■ 内縁の妻や夫でも認められる権利

家族の死亡によって相続が発生した場合、預貯金や不動産などの財産は相続権のある人が引き継ぐことになります。

相続権がある人を「法定相続人」といい、一般的には配偶者と子供になりますが、子供がいなければ亡くなった方の父母に相続権が移るなど、相続順位も決まっています。

ただし、事実上の夫婦ともいえる親密な関係であっても、内縁の妻や夫には相続権がありません。法律上の婚姻関係であれば必ず相続人になれますが、内縁関係のままでは遺産相続に関われないため、財産を遺したいときは何らかの対策が必要になるでしょう。

今回は、内縁の妻や夫に財産を遺す方法や、内縁関係でも認められる権利をわかりやすく解説します。

内縁の妻・夫に相続権はない

内縁の妻や夫には相続権がないため、夫婦同然の関係であってもパートナーの遺産相続には関わることができません。

ただし、相続権がない内縁関係者でも生前贈与や遺言書による遺贈は可能になっており、相続時の状況次第では特別縁故者として財産を承継してもらえます。

生前贈与はタイミングが重要になるため、内縁の妻や夫に財産を渡したいときは、できるだけ早く実行に移すとよいでしょう。まとまった財産を渡したい場合は生命保険も活用できるので、以下の方法を参考にしてください。

内縁の妻・夫に財産を遺す方法

内縁の妻や夫に財産を遺す場合、以下のように生前贈与や遺言書などを活用できます。ただし、内縁関係の妻や夫はパートナーの親族と対立関係になりやすいため、「いくら渡すか」を慎重に考えておかなければなりません。贈与税や相続税、遺留分なども考慮しておくとよいでしょう。

生前贈与で財産を渡す

生前贈与は、親族以外の人にも財産を渡せます。内縁の妻や夫に贈与する場合、年間110万円までの基礎控除が適用されるので、110万円以内で贈与すると贈与税がかからず、税務署への申告も不要です。基礎控除以内の贈与を毎年繰り返すと、非課税で数百万~1,000万円以上の財産を渡せるでしょう。

ただし、毎年同じ日に同じ金額を贈与すると、最初からまとまった資金を贈与するつもりだったとみなされ、贈与財産全体に課税される可能性があります。

内縁の妻や夫だけに贈与を行った場合、後述する遺留分の問題が発生するケースがあるので、親族に遺す財産とのバランスも考えておかなければなりません。

遺言書で受遺者に指定する

遺言書では親族以外の人も受遺者(遺言で財産を受け取る人)に指定できます。法的に有効な遺言書がある場合、原則として遺言どおりに遺産相続しなくてはならないため、内縁の妻や夫にも確実に財産を遺せます

ただし、内縁の妻や夫の遺産配分を多くすると、法定相続人の最低保障となる遺留分を侵害する可能性があります。遺留分を侵害した場合、法定相続人から侵害額の返還を請求されるので、受け取った財産の一部を返還しなくてはなりません。また、相続財産が以下の基礎控除を超える場合、超過部分に対して相続税がかかります。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

相続税対策が必要なときは税理士に相談してみましょう。

生命保険の受取人に指定する

生命保険金は受取人固有の財産になるため、遺産分割する必要がありません。一般的には亡くなった方の配偶者や子供、父母などを受取人に指定しますが、保険会社によっては内縁関係の妻や夫を受取人に指定できるケースがあります。

内縁の妻や夫を受取人にする場合、同居や同一生計などの要件を満たす必要があるので、取引約款や商品パンフレットをよく確認しておきましょう。

特別縁故者として財産を受け取ってもらう

内縁の妻や夫が以下の要件を満たしている場合、家庭裁判所への申立てによって特別縁故者になれるケースがあります。

  • 法定相続人が1人もおらず、遺言書もないこと

  • 亡くなった方と特別な縁故であったこと

  • 亡くなった方と同一生計であったこと

  • 無償で亡くなった方の療養看護に努めていたこと

内縁の妻や夫が特別縁故者を申し立てる場合、まず家庭裁判所で相続財産管理人の選任を申し立てる必要があり、官報公告によって相続人を捜索してもらいます。相続人が見つからなければ特別縁故者として認定され、裁判所の判断によって財産の一部、または全部が分与されます。

なお、特別縁故者が相続する場合、相続税の基礎控除は3,000万円になるので注意してください。

内縁関係解消時に財産分与が認められる

内縁の妻や夫は婚姻に準じた関係になるため、婚姻している夫婦と同様に財産分与を請求する権利があります。分与が認められる財産には以下のような種類があり、どちらの名義になっているかは問われません

  • 現金や預貯金

  • 不動産

  • 有価証券

  • 自動車

  • 保険

  • 美術品や貴金属、家財道具など

生前贈与や遺言書による遺贈が難しいときは、内縁関係の解消をして財産分与をする方法も検討してみましょう。内縁の妻や夫が亡くなると、本人名義の財産は法定相続人に承継されますが、内縁関係を解消して分与した財産であれば、相続財産にはなりません。また、内縁関係は別居するだけで解消されます。ただし、分与の対象は内縁の妻や夫と協力して形成・維持してきた財産に限られます。

内縁の妻・夫でも認められる権利

内縁関係の妻や夫であっても、パートナーが亡くなったときには以下の権利を引き継ぐことができます。法定相続人がいないことや内縁関係であったことなど、要件を満たしているかどうか確認しておきましょう。

遺族年金の受給権

内縁関係の妻や夫が以下の要件を満たした場合、遺族年金を受給できる可能性があります。

  • 亡くなった方と内縁関係にあったこと

  • 亡くなった方による生計の維持があったこと

同居や生計維持については住民票や源泉徴収票で証明できますが、内縁関係の証明には以下の書類が必要です。

  • 健康保険被保険者証の写し

  • 給与簿または賃金台帳等の写し

  • 他制度の遺族年金証書等の写し

  • 結婚式場の証明書または挙式、披露宴の実施を証する書類

  • 葬儀の主催を証明できる書類(会葬御礼の写しなど)

  • その他内縁関係を証明できる書類(連名の郵便物や公共料金の領収証など)

最終的には自治体の判断となり、必ず受給できるわけではないので注意してください。

賃貸マンションなどの賃借権

パートナーが賃借人となっている賃貸物件に内縁の妻や夫が同居している場合、パートナーに相続人がいない場合に限り賃借権を引き継ぐことができます。

相続人がいないことはパートナーの戸籍謄本で証明できますが、内縁関係の妻や夫が交付申請する場合、権利行使や義務履行の必要性を証明しなければなりません。

相続人の有無を確認するときは出生から死亡までの戸籍がすべて必要になるので、自分で対応できないときは弁護士に依頼してみましょう。

まとめ

内縁関係は事実婚とも呼ばれており、夫婦関係よりも深い絆で結ばれているケースがあります。ただし、内縁関係の妻や夫には相続権がないため、遺言書の作成や生前贈与などの対策をしない限り、お互いの遺産相続には一切関われません。

内縁の妻や夫に自分の財産を遺したい方は、遺言書による遺贈や生前贈与、生命保険の活用などを検討してください。遺留分の侵害や贈与税・相続税などの計算に不安があるときは、相続に詳しい弁護士や税理士にも相談してみましょう。

税理士 桑原 弾
  • この記事の監修者

  • 税理士 桑原 弾

昭和55年生まれ、兵庫県出身。
大学卒業後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した知識」と「元国税調査官としての経験」の両輪を活かして相続税申告を実践している。

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