Cashless Survey 1

コロナパンデミックと日本人のキャッシュレス変化【前編】

START!編集部

株式会社電通 事業共創局 新産業開発部
電通キャッシュレスプロジェクト主宰
吉富 才了

コロナ(COVID-19)ショックによって、人々の生活は大きな変化を余儀なくされています。
ロックダウンやソーシャル・ディスタンシングといった行動制限により、キャッシュレスの意識や行動にも変化が出てきているのではないでしょうか。
独自に実施した「キャッシュレスに関する意識調査」をベースに、『コロナショックと日本人のキャッシュレス変化』というテーマで、パンデミックで生活者の決済手段がどのように変化し、今後何が主流になるのか、生活者のキャッシュレスに対する意識の変化を見ていきたいと思います。2回シリーズで今回が前編となります。

生活者の約5割は、緊急事態宣言以降、キャッシュレスが増えた

今回、日本人のキャッシュレスに関する意識や行動が、パンデミックでどのように変化したかを探るために、「キャッシュレス意識調査」として、緊急事態宣言が解除された今年5月末、1000人の消費者を対象にインターネットで調査を実施しました。

まず、人々の支払いや買い物の決済手段について聞いてみました。
その結果、緊急事態宣言が発令されて以降、「支払いや買い物でキャッシュレス決済の比率が増えた」という生活者は46.7%となり、キャッシュレス決済の利用割合が高まっていることが分かりました。
中でも、「キャッシュレス派」のキャッシュレス比率が高まっているのは想定の範囲内ですが、「これまで現金が多かったが、キャッシュレス比率が増えた」という層が10.2%と、「現金派」の中にもキャッシュレスの増えたと答えているのが特徴的です。
ずっと現金を好んで使ってきた人でも、コロナをきっかけにキャッシュレスが増えており、意識変化の兆しが見えてきました。

「スピード」や「衛生面」が、キャッシュレスが増えた理由の上位に

では、コロナショック後に生活者のキャッシュレスが増えている理由は何でしょうか。 キャッシュレス決済が増えた主な理由を聞くと、「ポイントやキャッシュバックが魅力的だから」(76.8%)「レジでの決済スピードが速いから」(54.5%)「清潔だから/衛生的だから」(44.2%)「オンラインでの買い物、注文が増えたらから」(34.0%)の順で高い結果となりました。生活者が、「ポイントやキャッシュバック」という“お得感”に加えて、「スピード」や「衛生面」を理由にキャッシュレスを活用していることが分かります。ウイルス感染対策でキーワードになっている「ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)」。今回、キャッシュレスが増えた理由として上位に挙げられたスピードや衛生面からは、まさにソーシャル・ディスタンシングを背景にした生活者の安全面への意識の高まりが伺えます。

コロナショック後に変化する決済手段

コロナショック後、利用場所によって生活者の決済手段にはどのような特徴があるでしょうか。今回の調査では、決済の利用場所ごとに、緊急事態宣言前(ビフォア:2020年3月まで)と緊急事態宣言中(ウィズ:4月から5月末)、さらに緊急事態宣言解除後(アフター:6月以降)でどう変わるかを聞いてみました。チャート内の数字は、各決済手段の利用者数の比率をあらわしています。ビフォアとウィズは、利用実態を示しており、アフターは意向を示しています。ここでは以下、5つの場所についてみていきたいと思います。

まず、スーパー・ショッピングモールについては、ビフォアの時点で大半を占めているクレジットがアフターになると、現金の減少分を飲み込んで、47%に増加。一方で、電子マネーとモバイル決済は、アフターでそれぞれ16%、15%と、大きく変化はないことがわかりました。

コンビニはカードではなく、モバイル決済利用者が最も多いというのが特徴的です。やはり少額決済が多い業態で、モバイル決済との親和性があるのかもしれません。

コロナショック後、現金が最も減少しているのは、タクシー・ハイヤーでした。これはとても象徴的な結果でした。個人的な感覚としても、タクシー・ハイヤーでは、まだ現金が多いと思っていましたが、ビフォアでは47%ですが、ウィズで40%となり、アフターでは34%に激減しています。タクシーに乗る時は、現金を用意しなければならない、という状況から一転。代わってカードが急上昇しています。

また、商店街の現金利用も減少幅が大きく、ビフォアとアフターでは12%も減少しました。
モバイル決済の伸びがカードの伸びを上回っており、モバイル決済が地道に商店街を開拓している背景が伺えます。

飲食店での現金利用も減っています。ビフォア(36%)からアフター(30%)へ6%マイナスになっています。衛生面が特に問われる場所では、現金ではなくキャッシュレス決済を使おうというモチベーションがはたらくのかも知れません。このように、コロナショック後の生活者の決済手段は、現金からキャッシュレスにシフトしており、利用場所によってそれぞれの特徴があることがわかりました。

次回も、継続して『コロナショックと日本人のキャッシュレス変化』というテーマを取り上げていきます。

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