沖縄のフィギュアスケートを盛り上げたい

沖縄にスケート連盟をつくった男の想い

株式会社朝日新聞社デジタル・イノベーション本部

沖縄県に室龍哉(むろ・りゅうや)さんという人物がいます。29歳。少人数制予備校の代表で、沖縄県スケート連盟の発起人で理事長を務めます。

そう。“沖縄”のスケート連盟です。彼の主な活躍の場は予備校とフィギュアスケートの現場。ここでは、室さんのこれまでの歩みを振り返りながら、沖縄のフィギュアスケートの未来を熱く描く彼の思いをお伝えします。なぜ暗号資産を扱うこのメディアで沖縄のアイススケートなのか…?

その答えはインタビューの最後にあります。ぜひ最後までお読み下さい。

室 龍哉さん

スポーツが苦手な室少年がアイススケートにのめり込むまで

室さんがアイススケートと出遭ったのは中学生のころ。

「定期試験が終わって、友人たちとスケートリンクに遊びにいったのが初めてでした。そもそもスポーツが苦手で、全然滑れませんでしたね。リンクのスタッフに『返金するから止めたら?』と言われてしまうくらい(笑)」(室さん・以下同)

しかし、沖縄でトップの進学校に通っていた室さん。勉強や習い事もやればできる人生を歩んできた彼が初めて出遭った「全然できないこと」がフィギュアスケートでした。立ちはだかる壁に挑戦し、「できなかったことができるようになる」という快感をスケートに見いだした室少年は、どんどんとのめり込んでいきます。

ついにはフィギュアスケートの選手を本気で目指すようになり、高校在学中は沖縄を飛び出して週に1度は福岡のリンクに通います。そして、卒業時には拠点を福岡に移して選手生活を送ることに。フィギュアスケーターになるという夢をかなえました。福岡での選手生活は2年あまり。その後は引退し、沖縄に戻ってフィギュアスケートのインストラクターを務めます。

高校1年生のとき、沖縄県アイススケート連盟を設立

時計の針を少し戻します。フィギュアスケートに本格的に取り組みだした室さんは沖縄県にスケート連盟をつくります。それは2008年のこと。彼がスケートを始めて間もなく、高校1年生のときでした。

「フィギュアスケートには初級から8級までの“級”があります。バッジテストと呼ばれる試験を受験し、それに合格すると級が上がっていく仕組みで、昇級すればするほど、参加できる大会が増えます。ところが、沖縄県には当時、スケート連盟がなくバッジテストを受けることができませんでした。それどころか、日本スケート連盟への選手登録さえできませんでした。福岡県で選手登録をし、福岡で試験を受ける必要があったんです」

自分の後に沖縄でフィギュアスケートを続けたい選手が出てきたときに、同じように福岡で面倒を見てもらうのか?そういうわけにはいかないと室さんは一念発起します。父親の力を借りて、沖縄県にスケート連盟をつくるべく奔走。日本スケート連盟への加盟申請も受理され、正式な傘下組織としての活動が可能になりました(このとき、47都道府県で沖縄県スケート連盟は唯一未加盟の連盟でした)。

沖縄県スケート連盟の基本的な役割

沖縄を含む各都道府県のスケート連盟の役割は主に三つあります。

<1>選手登録の窓口

各地域の選手が日本スケート連盟に選手登録する際の窓口となる。

<2>バッジテストの実施

昇級試験の実施。試験の開催には3名以上のジャッジ(審判)が必要になる。

<3>試合の開催 競技会を開催する。こちらもジャッジが必要。

上記以外にも選手強化などを担う連盟もあるそうですが、沖縄県スケート連盟の役割はこの三つ。しかし「試合は連盟を設立してからまだ開催したことはありませんし、バッジテストも実施できて1〜2年に1回程度なんです」と、室さんは現状を語ります。

そもそも、沖縄県で本格的にフィギュアスケートに取り組んでいる選手は10〜15人くらい。そのほとんどが、室さんのフィギュアスケートの師匠である津留豊さんがインストラクターを務めるクラブで活動しています。競技者人口の少なさは、彼らの競技生活を支える連盟の資金不足に直結します。

沖縄県南風原町にあるスポーツワールドサザンヒルのスケートリンク。沖縄唯一のスケートリンクで1年を通じて利用できる。室さんが初めてスケートを滑ったのもこのリンク

バッジテストや試合を開催するにしても、スケートリンクの貸し切り代、ジャッジのためのシステムなど、さまざまなことにお金がかかります。また場合によっては、ジャッジ(審判)を務めてくれる人物を県外から呼ぶ必要もあります。室さん曰く「自腹を切って賄っている」のが現状とのこと。

さらに、選手たちは試合やバッジテストのために、その都度、沖縄県外に遠征しなければなりません。当然、毎回の飛行機代や宿泊代が発生します。選手やその保護者の負担も軽いものではないのです。

1年間を通じて使用できるアイススケートリンクがありながら(※他地域の場合、リンクによっては利用期間が冬季だけに限定される所もある)、沖縄ゆえの特殊な事情も相まって競技としてのフィギュアスケートがなかなか広まらないジレンマが伝わってきます。

「フィギュアスケートを始めたときに、自分は一生スケートに関わっていくと決めた」と語る室さん。予備校を経営しながら、自己資金をつぎ込みながら沖縄のフィギュアスケートの裾野を広げよう奮闘しています。

沖縄県のフィギュアスケート発展のために、いま望むこと

「当面の目標は、バッジテストの実施回数を増やすことと、テストのジャッジをできる人間を沖縄に増やすことです。現状、私を含めて3名がジャッジの資格を持っていますが、ジャッジ自体の級が足りないケースもあります。今後、沖縄でより高いレベルのテストを実施するために、県外の勉強会や試合に参加させてもらっています。それにもお金がかかるんですが…」

ジャッジの育成にも「4〜5年はかかる」とのこと。それでも、室さんは歩みを止めることはありません。

「沖縄でフィギュアスケートを志す選手たちに、選手としてどのように成長していくのか、そのビジョンをはっきりと見せてあげられるようにしたいですね。沖縄でも、ちゃんとバッジテストを受けられて、試合も開催される状況をなるべく早くつくりたいと思っています。

もちろん、多くの人に沖縄でしかも通年でアイススケートができることを知ってほしいですね。そのためのイベントも開催できればと思います。そしていつかは、沖縄から日本を代表するようなフィギュアスケート選手が出てきてほしいです」

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、沖縄のフィギュアスケート選手たちも活動の一時休止を余儀なくされたとのこと。この状況が終息し、室さんをはじめとした沖縄のフィギュアスケート関係者のみなさんが存分に競技に打ち込めるよう応援していきたいですね。

室さんにアイススケートを指導してもらうスタッフU木。この模様は別の記事でレポートします

【コミュニティ支援につながるtipping(投げ銭)の実証実験】

コミュニティを応援したい気持ちを具体化させる一つの試みとしてSTART!内にて暗号資産を用いたtipping(投げ銭)の実証実験を実施いたしました。ご協力いただき誠にありがとうございました。続報として、ご支援いただいた暗号資産の使途並びに朝日新聞社の取り組みのほか、取材対象者の活動内容を引き続き取材し、朝日新聞デジタル等に掲載予定です。

※続報記事掲載時にはSTART!内にてお知らせいたします。

お問い合わせ

朝日新聞社デジタル・イノベーション本部カスタマーエクスペリエンス部
メールアドレス:bc@asahi.com

【取材協力】

スポーツワールド サザンヒル

沖縄県南風原町字宮平460-1 https://southern-hill.com/

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※本取材は2020年2月21日、22日に行いました

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