沖縄の大学にフィギュアスケート部を創部!

福岡出身のスケーターが目指すこと

編集者・ライター村田 智博

前回は沖縄県スケート連盟理事長の室龍哉さんに話を聞きました。沖縄では、フィギュアスケートの昇級試験にあたるバッジテストをなかなか実施できず、試合については開催したことがないという現状を教えてもらいました。

今回は沖縄の地でフィギュアスケート選手として活躍する渡邉那津子選手にインタビュー。福岡県出身の渡邉選手は琉球大学医学部で学ぶ学生でもあります。学生選手権や国体にも出場した彼女が見た沖縄のフィギュアスケート界とは?

渡邉那津子選手

進学時にも沖縄でフィギュアスケートが続けられるか、まず確認

小学生のころにフィギュアスケートを始め、地元福岡で競技を続けてきた渡邉選手。琉球大学に入学願書を提出する際にも、沖縄唯一のアイススケートリンクに問い合わせ、フィギュアスケートができる環境なのかをまず確認したと言います。

大学入学後は、個人で練習しながら福岡にいるコーチの指導をあおいでいるそう。

「沖縄は福岡のようにフィギュアスケートクラブの数が多くなく、選手も少ないので練習はしやすいですね」(渡邉選手・以下同)

複数のクラブで、多くの選手がしのぎを削る福岡とはかなり異なるスケート環境。練習のしやすさという点では、沖縄に軍配があがるようです。また、周囲の人たちも福岡からやってきた渡邉選手をあたたかく迎えて入れてくれたのも「嬉しかった」と振り返ります。スケートクラブに通う子どもの保護者が、渡邉選手の練習風景を動画で撮影してくれるなど、交流も深まっているそうです。

練習はしやすいが、ライバルが少ないのが課題

一方で、渡邉選手は沖縄のフィギュアスケートの課題を次のように語りました。

「フィギュアスケートは、選手同士の競争のなかでうまくなっていく面があると思います。その意味で沖縄は“ライバル”が少ない。福岡だったらうまい選手がたくさんいるので、こちらも負けないために練習をがんばります。沖縄にそうした関係が少ないとは感じますね。もう一つ、沖縄の選手たちは試合の出場数が他の地域の選手に比べて少ない。県内で大会が開けず、試合となるとどうしても遠征になってしまうので、仕方がない部分はあるのですが……」

大学にフィギュアスケート部を創部。学生スケーターを増やしたい

また渡邉選手は大学入学後、個人でフィギュアスケーターとして活動しながら、琉球大学フィギュアスケート部を2018年に立ち上げました。現在、部員は渡邉選手を含めて4名。経験者が2名、未経験者が2名で全員沖縄県外の出身です。

「自分が入学したときに、医学部の友達をスケートリンクに連れて行ったら、フィギュアスケートに興味を持った一人が入部してくれました。未経験でしたが、競技を始めて2年がたち、今では1回転半のジャンプを跳べるようになったんですよ。部員同士で教え合ったりしながら、インカレや国公立フリースケーティングで良い成績を残すことが、部としての目標です」

琉球大学フィギュアスケート Twitter

現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響で部としての活動は禁止中とのことですが、個人でのトレーニングは継続しているとのこと。また、オンラインでの新入生勧誘も継続しているそうです。

「私ができることは、大学生のフィギュアスケーターを集めることだと思っています。部として伝統を刻んでいけるようにがんばっていきたいです」

現在4年生の渡邉選手、医学生として忙しい学業と両立させながらの競技生活は4年生までと決めているそう。福岡から沖縄に渡ったフィギュアスケーターの活躍を祈りたいところです。

沖縄唯一のアイススケートリンクは通年利用できる

今回、渡邉選手の取材でお邪魔したのは沖縄で唯一でかつ1年を通じて利用できるアイススケートリンクがある「エナジックスポーツワールド・サザンヒル」。那覇市の中心部からも車で20分ほどのところに位置しています。リンクは28m×58mと十分にスケートを楽しめる広さです。ちなみに九州・沖縄で1年を通じて利用できるスケートリンクは沖縄と福岡にしかありません。取材当日も若者や親子連れなどがスケートを楽しんでいました。

沖縄県南風原町にあるスポーツワールドサザンヒルのスケートリンク。沖縄唯一のスケートリンクで1年を通じて利用できる。室さんが初めてスケートを滑ったのもこのリンク

リンクスタッフの吉田なぎささんは名古屋出身のフィギュアスケート経験者。名古屋といえば、フィギュアスケートが盛んな地域です。そんな彼女にも沖縄が抱えるフィギュアスケートの課題を聞きましたが、挙げてくれたのはやはり「大会やテストの少なさ」でした。「沖縄の選手たちももう少し競争する機会が増えればもっと活躍できるのでは」とも語ります。

吉田なぎささん

沖縄県スケート連盟理事長の室さんも、バッジテストの実施回数を増やし、ゆくゆくは沖縄で大会を開催したいと語っていました。関係者が抱く課題感や向いている方向がほとんど同じということが分かります。

沖縄のフィギュアスケート環境が整って、沖縄出身のスケーターが全日本や世界で活躍する日も、遠い未来の話ではないのかもしれません。南国出身の選手が冬季のオリンピックの舞台でメダルをとる、そんな夢を見ながらがんばる沖縄のフィギュアスケート関係者の皆さんに心からエールを送りたいと思います!

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※続報記事掲載時にはSTART!内にてお知らせいたします。

お問い合わせ

朝日新聞社デジタル・イノベーション本部カスタマーエクスペリエンス部
メールアドレス:bc@asahi.com

【取材協力】

スポーツワールド サザンヒル

沖縄県南風原町字宮平460-1 https://southern-hill.com/
※本取材は2020年2月21日、22日に行いました
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