
サッカーという
共通言語で壁を超えていく
どんな状況でもチャレンジできる
今年1月、長谷川唯は12年間在籍したチームを離れて海を渡った。向かった先はイタリア・ミラノ。リーグ屈指の強豪、ACミランに入団した。イタリア語を学び始めたのは渡伊が決まってからで、言葉の壁は確かにあるが、サッカーという共通言語があれば問題ないと笑う。
「やることは今までと変わらないと思います。楽しみながら、突き詰めるところをしっかりと。豊富な運動量と泥臭さは、プレースタイルの一つとして大事にしていくつもりです。チームのことを知り、私のことも知ってもらえるように、今は受け入れる・伝えるのバランスを意識しています」
デビュー戦では後半22分に登場し、攻撃の起点として光るプレーを見せた。中でも広い視野から繰り出すパスは硬さを感じさせず、堂々たる船出を印象づけた。評価も上々だ。
「海外でのプレーは長く思い描いていた夢でした。どんな状況でもチャレンジできることを証明したいです」

女性の進出を盛り上げていきたい
女性や女性スポーツの価値を高めようという機運の中で、長谷川自身も使命を感じている。
海外クラブでプレーする日本人の女子選手は複数いる。まずは、リーグで日本人選手の存在感を強めること、そして日本のスポーツファンに海の向こうのサッカーにも目を向けてもらうことを目指している。
「個人の得点や明確な活躍が必要です。サッカーで魅了していきたいし、そういうプレーが最大限に出せれば、チームの勝利にもつながると思います。子どもたちに憧れられる存在でありたいという目標もあります。世界の舞台でサッカーが好きだと感じながらプレーしているところを見せて、みんなに楽しんでもらえたら」
女子サッカーの競技人口は、まだまだ少ない。自身は小学1年で始めたが、年齢を重ねて楽しさが増す一方で競技を離れる選手を何人も見てきた。「女子がサッカー?」という声も耳にした。日本代表が激闘を制し世界一の称号を得た後も、珍しいという反応は少なくない。素朴な疑問だとわかっている。だからもっと、当たり前になればいいと思っている。例えば、自分の活躍をきっかけに。

「UDN FOUNDATION」では、トップアスリートとしてコロナ禍における様々な活動に参加した。縄跳びリフティングの動画で高度なテクニックを披露し、サッカー少女とのオンライントークでは幼い頃の練習法を明かしてエールを送った。競技普及にかける思いは、年々強くなっているという。
ジェンダー意識の成熟を願いながらも、長谷川は女性ならではの感性を生かした取り組みにも積極的だ。アスリートによる社会貢献型ブランドSHIFTHでは、入浴剤や敏感肌用UVミルクのプロデュースに参画。スポーツ愛好者をはじめ、多くの人に役立ててもらえるはずだと期待を込める。
「売り上げの一部が社会貢献に充てられるのがいいですね。自分の活動がポジティブにつながっていくのはうれしいことです。美容やおしゃれと機能を備えたアイテム開発に興味があるので、イタリアでの暮らしがヒントになればとひそかに思っています」
社会貢献活動で視野が広がった
女子サッカー界のホープとして日本代表に選出され、4年あまり。国際団体のキャンペーンにも参加するなど、グラウンド外の取り組みは、自身に変化をもたらした。

「情報に触れたり参加したりすることで、視野が広がりました。置かれている状況や誰もが人の役に立てることを知れば、こういった活動は育っていくはずです。どんな人の発言・行動にも意味があると思います。特にUDN FOUNDATIONは参加する人の立場を問わないので、みんなで取り組んでいきたいですね」
はせがわ・ゆい/1997年生まれ。兄の影響でサッカーを始め、2009年に日テレ・メニーナ(日テレ・ベレーザ下部組織)に入団。U-17、U-20と日本代表アンダーカテゴリを経てA代表に選出。今年、ACミランに移籍した。






