
「つながり合うこと」を
ブームで終わらせない
不自由と空白の時間が「気づき」をもたらす
元プロサッカー選手の薗田淳は、競技引退と同時にUDN SPORTSでアスリートのマネジメント職に就いた。ユニフォームを脱いで約2年。選手をそばで支える中、この一年で個々の大きな変化を感じている。
「スポーツを取り巻く社会情勢が大きく変わりました。選手たちにとっては意識改革・行動改革の年だったと思います」
競技をする環境を奪われた選手たちは、それぞれでコンディションを維持していたが、不自由な環境と空白の時間に戸惑っていたという。いわば引退後の生活の疑似体験だった。
「マネジメント側はパフォーマンスを発揮するサポートに加え、多面的な物の考え方や心の成長を促すインプットの大切さを伝えているのですが、競技外の部分で具体的な行動に出た選手が多かったですね」
UDN SPORTSの所属選手らは約2年前に発足した社会貢献のためのプラットフォームUDN FOUNDATIONに賛同し「#つなぐ」プロジェクトに参加。メッセージ動画に登場するとともに、ファンとの距離を縮めるSNSでのライブ配信にも精力的に取り組んだ。子どもや出身地の居住者など対象を変えて多くの人に声を届けると、大きな反響があった。
ライブ配信のMCを担当する薗田には、「自分の思いを伝えたい」「何かやってみたい」と次々に相談が持ちかけられたという。観客の前で試合ができない特殊な状況が選手たちの前向きなチャレンジにつながった。機運の高まりを生かしたいと思っている。
「こういった活動はブームで終わらせてはいけません。つながり方や選手自身が気づいたスポーツと自らの価値を育てていけば、新しい展開が生み出せると感じています」
元選手の視点を生かし選手と社会をつなぐ
自身にも現役時代にスポーツと選手の価値を深く考える転機があった。2016年に発生した熊本地震だ。現地クラブの所属選手で被災者の一人でもあった薗田は、リーグや各地のクラブ・選手などサッカー界からの迅速なサポートに驚いた。また、他競技の選手・団体の支援の様子を間近に見たことで視野が開かれたという。
「大変な状況ではあったものの、子どもも大人も喜び合っている光景が胸に残っています。スポーツはすごいなと思いましたし、その一翼を担っていることを再認識しました」


マスク配布をはじめとするUDN FOUNDATIONの多様なプロジェクトは、いずれも寄り添う気持ちから生まれたもので、選手が発案した企画も少なくない。薗田自身もコミュニケーションを軸にした「押し売りではないサポート」を重視している。所属選手が日々自主性を高める一因となっているのが、背中で見せてくれる選手の存在だ。
「国内外のプロジェクトに参画する香川真司選手、出身地の大分県や今住んでいる大阪に対して寄付をした清武弘嗣選手、自身が大病をした早川史哉選手などが取り組む姿を見て学ぶことも多いはずです。若い選手はどうしても自分のことだけに集中しがちです。ただ、価値や使命に気付けば変わります。僕がそうだったように」

出会いと経験が深みになり、行動につながる、それは、選手に限った話ではないだろう。UDN FOUNDATIONが一般市民を巻き込む活動のプラットフォームとして誕生したからこそ、広がっていくことを願っている。
声と距離を大切にした温かみのある場を
立ち上げ以来、活動に共鳴するサポーターは増え続けている。選手・サポーター・社会のつなぎ目を担う薗田はUDN FOUNDATIONの今後について、距離と声を大切にしたいと語る。
「ファンや一般の方々と選手の声を生かし、温かみのある場として拡大させていければと思います。個人的には、ワクワクしながら会場に足を運んでくれる人、配信を見てくれる人に最高のプレーを見せることも社会貢献の一部分だと思っています。そういう意味でこれからも選手たちに期待していただきたいですし、選手と皆さんとの輪を強いものにしていきたいですね」
そのだ・じゅん/1989年生まれ。サッカー王国静岡に育ち、4歳から競技を始める。U-17、U-22日本代表に選出。アジア大会優勝にも貢献した。国内プロリーグの6チームで活躍後、2019年に引退。同年UDN SPORTSに入社。






