マンガ大賞 『その女、ジルバ』/有間しのぶ(小学館)

 

受賞コメント

『その女、ジルバ』(c)有間しのぶ/小学館/ビッグコミックオリジナル

受賞コメント

 

 まさか、手塚治虫先生の名を冠した賞、それも大賞をいただけるなんて、まだ信じられません。いったいどれだけ手塚作品に育てられてきたか。好きな作品、好きなキャラクターだけで何日話せるか。知らせを聞いてから、毎日陶然としています。気を引き締めて、これからも自分の中の物語を追求していきたいと思います。

 受賞作の『その女、ジルバ』は、時々脳みそから水が出るんじゃないかと思うしんどさもありましたが、その分調べるのも描くのも面白く、たくさんの人に助けられた幸せな作品です。

 ネームを作らず、打ち合わせもほとんどしない私の勝手を、大きな度量で見守ってくださった担当の白石さん中村さんのお二人、「ビッグコミックオリジナル」編集部には心から感謝しています。ありがとうございました。

受賞記念イラスト(c)有間しのぶ/小学館/ビッグコミックオリジナル

『その女、ジルバ』(c)有間しのぶ/小学館/ビッグコミックオリジナル

◆ありま・しのぶ◆ 福島県会津若松市出身。現役女子高生時代に『本場ぢょしこうマニュアル』で「週刊ヤングマガジン」(講談社)にてデビュー。4コマ、ストーリー、ギャグ、BLなど様々なジャンルを描く。また文章でのストーリーや原作、俳句も手がける。趣味は散歩と愛猫との昼寝。

 

新生賞 山田参助

『あれよ星屑』(KADOKAWA)で、歴史の光と闇、人間の欲や業を鮮烈に描いた力量に対して

 

受賞コメント

『あれよ星屑』(c)山田参助/KADOKAWA

受賞コメント

 

 戦後生まれの自分が先の戦争を描くことで、もっと叱られたりするんではないかと想像していましたが、『紙の砦(とりで)』の作者である手塚御大の栄誉ある賞をいただき救われた思いです。

 過去を生きた人々に対して「現代の私たちと変わらない」、また逆に「彼らは現代の日本人が失った何かを持っているのだ」と考えすぎることにも躊躇(ちゅう・ちょ)があり、現代の自分たちにはのみ込みにくい感覚をそのまま漫画に持ち込むことは「わかりにくいこと」として嫌われる要素だと思われますが、そんな拙作の「のど越しの悪さ」を乗り越えて選んでいただけたことに感謝しかありません。

 ありがとうございました。

受賞記念イラスト(c)山田参助/KADOKAWA

『あれよ星屑』(c)山田参助/KADOKAWA

◆やまだ・さんすけ◆ 1972年大阪生まれ。94年に月刊誌「さぶ」(サン出版)でデビュー。以後、風俗誌、実話誌などで執筆。2013年から初長編『あれよ星屑(ほし・くず)』を「月刊コミックビーム」(KADOKAWA)で連載し、反響を呼ぶ。その他の作品に『ニッポン夜枕ばなし』(リイド社)など。

 

短編賞 『生理ちゃん』/小山健(KADOKAWA)

受賞コメント

 

 『生理ちゃん』(c)小山健/KADOKAWA

受賞コメント

 

 学生の頃から漫画が好きで絵を描いていたのですが、古本屋で父親が買ってきた藤子不二雄A先生の『まんが道 愛蔵版』を読んで、ぼくは漫画家になる夢を新たにするのではなく、なんて大変そうな職業なんや……漫画が恋人やとか言うとるし……こんなん絶対いやや(ふつうに人間の恋人ほしいし)、漫画家になるのはやめよう、と思いイラストレーターを目指すようになりました。満賀道雄と同じようには手塚治虫先生に憧れられなかったのです。

 晴れてイラストの仕事をしていたはずなのですが、いつのまにか『生理ちゃん』という漫画を描くようになりました。テーマ的に眉をひそめられることもなくはないのですが、手塚治虫先生は生前「漫画に必要なのは風刺と告発の精神」と発言されていたらしく、そのことがとても心強い金言となっています。

 受賞記念イラスト(c)小山健/KADOKAWA

 『生理ちゃん』(c)小山健/KADOKAWA

◆こやま・けん◆ 2014年『手足をのばしてパタパタする』(KADOKAWA)から活動を開始。17年に『お父さんクエスト』(ポプラ社)、18年に『生理ちゃん』(KADOKAWA/Webマガジン『オモコロ』連載)が大きな話題を呼び、19年に実写映画化。

 

特別賞 さいとう・たかを

代表作「ゴルゴ13」の連載50年達成と、長年にわたるマンガ文化への貢献に対して

受賞コメント

 

『ゴルゴ13』(c)さいとう・たかを/リイド社

受賞コメント

 

 若い頃、映画マニアで映画製作の道に進みたかった私は、家庭の事情で進学出来ず、その世界には大卒でないと入れないと知り悩んでおりました。そんな時、手塚先生の『新寶島』と出会いました。「これは紙で映画をこしらえられる!」と衝撃でした。

 それ以来、家業を継ぎつつ親の目を盗み作品を描き、18歳で大阪の小さな出版社からなんとかデビューすることが出来ました。手塚先生はまさに大恩人です。

あれから64年になります。体力の衰えはいかんともし難いですが、この名誉ある手塚治虫文化賞特別賞の受賞を「ここまでやってきたんですから、もう少し続けてみたらどうですか」という手塚先生からの励ましのお言葉として、やれる限り頑張りたいと思います。ありがとうございます。

受賞記念イラスト(c)さいとう・たかを

左から『ゴルゴ13』(c)さいとう・たかを/『影狩り』(c)さいとう・たかを/『無用ノ介』(c)さいとう・たかを/『鬼平犯科帳』(c)さいとう・たかを/池波正太郎/リイド社

◆さいとう・たかを◆ 1936年和歌山県生まれ。55年に『空気男爵』でデビュー。60年に『台風五郎』がヒット。75年に第21回小学館漫画賞、2003年に紫綬褒章、10年に旭日小綬章受章。1968年11月から『ゴルゴ13』を「ビッグコミック」(小学館)にて連載開始、2018年に50周年を迎えた。一度も休載することなく現在も連載中。