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マンガ大賞 『ランド』/山下和美(講談社)

 

受賞コメント

『ランド』(c)山下和美/講談社

受賞コメント

 

 今回の手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞のお知らせを聞いて、驚いて椅子から転げ落ちそうになりました。
 まだ動揺していますので、お手柔らかにお願いします。
 社会問題として提起する、というより、子供の頃から自分の中でモヤモヤっと存在していた世界をここ10年の世界の動きをヒントに形にしたのが『ランド』でした。
 こんな酷い世界かもしれないけど、それは後から誰かが決めることで、その中でも毎日を楽しく生きている人がいる。それは、今だ、描かなくちゃ、と思って描いたのではなくて自然と形作られて行ったような気がします。
 自分が手塚先生の亡くなられた歳を超えて思ったのは、そんなことでした。『火の鳥』もそうだったんじゃないのかなぁ……。
 閃きは過去の自分の蓄積のカケラの中で生まれるんだと思います。
 これからも毎日を大切に。有り難うございました!

受賞記念イラスト(c)山下和美/講談社

『ランド』(c)山下和美/講談社

◆やました・かずみ◆ 1980年「週刊マーガレット」でデビュー。主に少女マンガ誌を中心に活躍していたが、『天才 柳沢教授の生活』で「モーニング」に不定期連載を開始。以降、『不思議な少年』『ランド』など話題作を発表し、幅広い人気を得る。

 

新生賞 原作:山田鐘人 作画:アベツカサ

『葬送のフリーレン』(小学館)でファンタジー世界の冒険を独自の視点から描いたことに対して

 

受賞コメント

『葬送のフリーレン』(c)原作:山田鐘人
作画:アベツカサ/小学館

受賞コメント

 

山田鐘人さん
 この度は手塚先生の名前を冠した賞をいただき、驚きと喜びをかみしめています。
作画のアベツカサ先生に作品の世界観や雰囲気をうまく描いていただき、原稿を見るのが毎週楽しみです。担当編集者さんとは、いつも楽しく打ち合わせしております。
 この作品は、勇者一行が魔王を倒した後の世界から始まります。派手な物語ではありません。ですが、勇者たちとの旅の思い出を携えて、主人公の魔法使い・フリーレンの感情が垣間見えると思います。その道行きをたくさんの人に楽しんでもらえるよう今後も精進し、努力を重ねていきたいと思います。ありがとうございました。

アベツカサさん
 この作品は私が絵を描いていく上での人生の指針を気付かせてくれた。そんな気がします。この機会を下さった山田鐘人先生、編集さんには感謝しかありません。
 その大切な作品がこうしてマンガの神様、手塚治虫先生の名のついた名誉ある賞に選んでいただけたことを大変光栄に思います。
 表現、技術に限界は無いと思っています。私はこれからも自分の中の世界を広げ、それを表現するための技術を磨いていけるよう頑張ります。
 ありがとうございました。

受賞記念イラスト(c)山田鐘人・アベツカサ/小学館

『葬送のフリーレン』(c)山田鐘人・アベツカサ/小学館

◆やまだ・かねひと◆ 2009年、週刊少年サンデー(小学館)のまんがカレッジ入選。主な作品に『名無しは一体誰でしょう?』(作画・岡﨑河亮)、『ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア』がある。20年『葬送のフリーレン』(「週刊少年サンデー」)にて原作担当として連載開始。

◆あべ・つかさ◆ 1995年茨城県生まれ。2017年「週刊少年サンデーS増刊」(小学館)にて『カノン』でデビュー。20年『葬送のフリーレン』にて作画担当として連載開始。

 

短編賞 野原広子

『消えたママ友』(KADOKAWA)と『妻が口をきいてくれません』(集英社)に対して

受賞コメント

 

『消えたママ友』(c)野原広子 (KADOKAWA)

受賞コメント

 

 幼かった頃から手塚先生の作品を何度も読み返しワクワクしていました。鉄腕アトムもその一つでした。
 大人になって、漫画家になるよりママになりたいという夢を選び、幸いにも2人の子どものママになることができました。子どもたちが小さかった頃、私はアトムのパジャマをよく着ていて、アトムの歌を子守歌として歌っていたのを今回の賞をいただいて思い出しました。
 そして、子育て後半に大きくなった娘に背中を押され、40歳を過ぎてコミックエッセイという形でデビューさせていただいて現在に至ります。
 その娘も数年前に成人して子育て卒業になって、さて、私これからどうしよう? と燃え尽きかけていたところに手塚治虫文化賞短編賞という形で、またアトムが現れました。
 人生3回目のアトムです。私の人生、アトムに励まされているな~って思いました。「描いてもいいんだよ。がんばれっ」って言ってもらえた気がします。ありがとうございました。

 受賞記念イラスト(c)野原広子 (KADOKAWA)

 左=『消えたママ友』(c)野原広子 (KADOKAWA)    中、右=『妻が口をきいてくれません』(c)野原広子/集英社

◆のはら・ひろこ◆ 第20回コミックエッセイプチ大賞を受賞し、『娘が学校に行きません』でデビュー。著書に『離婚してもいいですか?』シリーズ、『ママ友がこわい』『ママ、今日からパートに出ます!』(KADOKAWA)、『妻が口をきいてくれません』(集英社)など。現在「レタスクラブ」(KADOKAWA)で『赤い隣人』を連載中。

 

特別賞 吾峠呼世晴/『鬼滅の刃』(集英社)

幅広いファンを獲得し社会現象を巻き起こした作品の力に対して

受賞コメント

 

『鬼滅の刃』(c)吾峠呼世晴/集英社

受賞コメント

 

 この度は手塚治虫文化賞特別賞に選んで頂きまして、誠にありがとうございます。
 この作品は本当にたくさんの方々に助けて頂き、本を作ってくださった方々、読んでくださった方々の手に守られて出来上がったものでした。性別や年齢をも問わず、作品、登場人物に愛情を注いでいただいたことに感激しております。
 思いがけず、ほんのいっときでも共通の話題として、皆さまのご家族の輪や、お友達の輪の仲間に入れていただけたこと、とても嬉しかったです。
 応援してくださった皆さま、出版に関わってくださった全ての方々、アニメを制作してくださった全ての方々に深く感謝申し上げます。
 これからも漫画、アニメという素晴らしい文化のために尽力し、努力精進させていただければと思っております。

 受賞記念イラスト(c)吾峠呼世晴/集英社

『鬼滅の刃』(c)吾峠呼世晴/集英社

◆ごとうげ・こよはる◆ 2013年、「週刊少年ジャンプ」の月例賞「第70回 JUMPトレジャー新人漫画賞」にて読み切り作『過狩り狩り』で佳作を受賞。その後『文殊史郎兄弟』『肋骨さん』『蠅庭のジグザグ』といった読み切り作品を発表後、16年11号より『鬼滅の刃』の連載を開始。20年24号にて完結。

 

選考経過

◆第25回の選考委員(敬称略・50音順)
 秋本治(漫画家)
 桜庭一樹(小説家)
 里中満智子(マンガ家)
 高橋みなみ(タレント) =新任
 中条省平(学習院大学フランス語圏文化学科教授)
 トミヤマユキコ(ライター・東北芸術工科大学芸術学部講師)=新任
 南信長(マンガ解説者)
 矢部太郎(芸人 ・漫画家)=新任
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 角田克(朝日新聞社常務執行役員編集担当)
 古知朋子(朝日新聞東京本社文化くらし報道部長) 

◆選考経過
 第25回は2020年に刊行・発表されたマンガ作品を選考の対象にしています。読者、書店員、マンガ関係者ら327人による「関係者推薦」の結果も参考に、8人の社外選考委員がポイント投票を行いました。選考委員の持ち点は各15点で、最高点を5点とし配分します(ただし5点満点は1作品のみ)。

 この1次選考で上位となった作品の中から9作品がマンガ大賞の最終選考にノミネートされました(うち『鬼滅の刃』は関係者推薦も1位)。ノミネート作品は最終選考委員会で審議され、その結果、マンガ大賞に山下和美氏の『ランド』が選ばれました。

 また、選考委員それぞれが推薦する作者・作品について審議した結果、新生賞に山田鐘人氏、アベツカサ氏(『葬送のフリーレン』でファンタジー世界の冒険を独自の視点から描いたことに対して)、短編賞に野原広子氏(『消えたママ友』と『妻が口をきいてくれません』に対して)、特別賞に吾峠呼世晴氏『鬼滅の刃』(幅広いファンを獲得し社会現象を巻き起こした作品の力に対して)が選ばれました。

◇予想投票結果
 第25回のマンガ大賞にノミネートされた9作品のうち、どの候補作が受賞するかを予想するアンケートを2月26日~3月31日に実施し、343名が投票に参加しました。その結果、票数が多い順に『鬼滅の刃』(190票)、『約束のネバーランド』(36票)、『呪術廻戦』と『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』(各25票)、『葬送のフリーレン』(22票)、『青野くんに触りたいから死にたい』(16票)、『ランド』(14票)、『かしこくて勇気ある子ども』(10票)、『薔薇はシュラバで生まれる【70年代少女漫画アシスタント奮闘記】』(5票)となりました。