2020 02. 26

CROSS TALK

選手の人となりを伝えていきたい。


お気に入りの選手やチームを


見つけてもらうために

日吉辰哉さん
× 松嶋桃さん

麻雀のプロスポーツ化、さらにはオリンピック競技正式種目化を目指している「Mリーグ」には、“実況”を担当しているふたりの現役プロ雀士がいる。松嶋桃さんは日本プロ麻雀協会に所属するプロ雀士であり、人気クイズ番組「パネルクイズ アタック25」で優勝経験を持つ才女。プロレス中継さながらの熱い実況で番組を盛り上げくれている日吉辰哉さんも、日本プロ麻雀連盟に所属しているプロ雀士だ。現役プロ雀士でもあるおふたりに「麻雀の魅力」と「Mリーグの楽しみ方」について聞いた。

——プロ入りされたきっかけは?

松嶋 大学受験の際、法学部に入っておけば潰しは効くだろうと思って受験しました。周りが法律を勉強していた中、私は麻雀ばかりしていて、気がついたら大学4年間が終わっていたんです。ロースクールにまで通ったんですが、私には法律は無理だと心が折れた時、自分が将来、本当にやりたいことを初めて考えました。小学生の頃からずっと続けてきた麻雀をやっている時は、すごくいきいきしていたので、これを仕事にしてみたらどうなるんだろうと思い始め、25歳の時にプロ入りしました。

日吉 大学卒業後、2年ほどサラリーマンをやっていたのですが、ただただ繰り返される毎日に嫌気が差してしまい、会社辞めちゃえと。それで自分の好きなことはなんなのかと見つめ直したところ、学生の頃からやっていた麻雀にだけは自信があったので、麻雀を仕事に出来たらつまらない日々から解放されるんじゃないかと、26歳の時にプロテストを受けたという経緯です。

——おふたりにとって麻雀の魅力とは?

松嶋 麻雀を好きになったきっかけは、人と一緒にプレーできるところでした。父、母、弟との家族麻雀から始まって、大学時代も麻雀を通して先輩でも仲良くなれたし、いろんなことも教えてもらいました。運と実力の両方を兼ね備えれば、すごい強い人が相手でも勝てるかもしれないんですけど、結局長い目でみたらやっぱり実力がないと負ける。そういったゲーム性も素敵だなと思っています。

日吉 麻雀の魅力がなんなのか。最初はよくわからなかったんです。高校1年生の時に初めて麻雀牌に触れ、友達同士で遊んでいたんですけど、とにかく負けませんでした。もっと勝ちたいという探究心で、こうすればより早くアガりやすくなるとか、自分の考えたことがパチンとハマっていく瞬間があるんですけど、そういったことを探して試すのが楽しかったですね。

——麻雀以外に熱中されていることはありますか?

松嶋 中学生の時から劇団四季がずっと好きで、ミュージカル「CATS(キャッツ)」の公演には、これまで70回以上行っています。ステージは生物なので、その空間を体験出来るライブ感がすごく好きなんです。だからMリーグも生放送というところはすごくいい。さらにパブリックビューイングもあるので、心が躍りますね。ミュージカル鑑賞から生で見る興奮を知って育った人間なので、Mリーグを通じて、麻雀でも生のライブ感をみなさんに感じてもらえたら嬉しいなと思っています。

日吉 一総合格闘技PRIDE(プライド)が大好きでまさにマニアでした。幼なじみの仲間がK1選手になったことがきっかけで見るようになったんですが、どんなに好きなカードの試合でも、音を消して見ると魅力は半減するんですよね。なんでこんなパンチが入ったのかなと、音を消してじっくり見てみたんですけど、なんか盛り上がらない。音がないと魅力は伝わりにくいんだなと実感しましたね。

——実況する時に大切にされていることは?

松嶋 私は視聴者目線を大事にしています。面白い一打があれば、視聴者はこれなんで切ったんだろうと気になると思うんですよね。それをそのまま解説者に聞いて、ちゃんと説明してもらったりなど、視聴者の気持ちに素直に寄り添っていくことは心がけています。

日吉 自分もプロ雀士なので、対局者の気持ちはよくわかります。今どういう気持ちでいるんだ、今どういう考えでいるんだ、どんだけつらいんだといった対局心理を、うまく伝えられるように準備をしています。準備とは、選手の人物像、背景、歴史。Mリーグであれば初年度の成績、その日を迎えるまでの成績、チームメイトとの関係性などを事前に洗い出すことです。そうしたことを盛り込んでいくことで、選手がより立体的に映ると考えています。

——今期Mリーグのコンセプトは「熱狂を外へ」。何か意識されていることはありますか?

松嶋 私はクイズ番組に出させてもらった時「四暗刻の4番で」とか「大三元の3番!」といったように、意識して麻雀用語を絡めて回答するようにしています。麻雀って何?という人たちが見てくれる番組においては、ちょっとだけでも麻雀紹介につながっているかもしれないので、そこは意識してやってきましたし、これからもやっていきたいと思っています。

日吉 ザッピングしている人が、麻雀番組に止まった時、その人たちを離さないようにしようと力を注いで実況しているつもりです。「あぁああ~!」とか「ぐうぅうう~!」と叫ぶことで、麻雀はよくわからないけど、なんか面白そうなことをやってんじゃんみたいな感じで伝わればと願い、いつでも元気よくやっています。通過しそうな人を足止めすることで、新しい視聴者になってもらう。その一翼を担えたらという感じです。

——麻雀を知らない人に対して、Mリーグの魅力を伝えるためには?

松嶋 選手の人となりを伝えていきたいですね。私が最初に知らない競技、たとえばフィギュアスケートを見る時って、こんなに若くて可愛い選手がいるんだとか、こんなイケメンプレイヤーがいるんだとか、子育て中のママさんプレイヤーもいるんだとか、そういった部分を知ると印象に残ります。だから麻雀を知らない人に対しては、どんな引っ掛かりからでもいいので、まずはお気に入りの選手やチームを見つけてもらえたら。その人がどうやって頑張っているのかは後から知ってもらえたらいいと思っています。

日吉 たとえばアガった役をすぐにテロップで出すとか、そういったビギナー層に対する気遣いという部分では、改善の余地はあるのかなと感じています。未経験者、初級者層に合わせた放送にすると、中級者以上の方が納得される部分は少なくなるかもしれませんが、その差をどう埋めていくのかが、とても大事だと思っています。私は普段、麻雀教室の講師をしていますが、生徒さんからは、Mリーグは早くて見ていられないと言われるので、ひとりの選手だけを見るようにしたほうがいい。その中で好きな選手を見つけられると、より楽しく見られますよと伝えています。

PROFILE

ひよし・たつや/1976年、静岡県生まれ。AB型。おひつじ座。浜松大学経営情報学部卒。プロ雀士(日本プロ麻雀連盟)。日本プロ麻雀連盟の本部道場をはじめ、麻雀教室講師として普及に尽力しながら、所属団体のリーグ戦の実況も務めている。好きな役は四暗刻。


まつしま・もも/1984年、愛知県生まれ。O型。乙女座。京都大学法学部卒。同志社大学法科大学院修了。アスリート・マーケティング所属。プロ雀士(日本プロ麻雀協会)。著書は『京大卒雀士「戦わない」受験勉強法 一流大学に合格するために必要なたった5つのこと』。好きな役はホンイツ、チンイツ。

(文・福山純生)

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