国公立大学 進学のすすめ2020

広告特集
企画:朝日新聞社メディアビジネス局
制作:AERAムック編集部

代々木ゼミナール Yoyogi Seminar

INFORMATION

今こそ
「よりグローバルに、よりタフに」

対談│濱田純一さん × 髙宮敏郎さん

東京大学名誉教授
・前総長
濱田純一さん
×
SAPIX YOZEMI GROUP
共同代表
髙宮敏郎さん

大きな変化の時代、伝統ある国公立大学もまた、変革の真っただ中にある。全国10大学の今を紹介する本企画を記念し、東京大学前総長の濱田純一名誉教授と、SAPIX YOZEMI GROUPの髙宮敏郎共同代表が日本の大学教育のこれからを語り合った。

グローバル化から
取り残される日本

髙宮 新型コロナウイルス感染拡大の余波で、今春は「9月入学案」が世論をにぎわせました。約10年前、東京大学総長を務めていらした濱田先生が打ち出した「秋入学構想」が、期せずして再注目されました。当時、世間に与えたインパクトは非常に大きかったですね。

濱田 日本の国力に陰りが見えてくるなか、学生を「よりグローバルに、よりタフに」育てなければ、彼ら彼女らが未来を幸せに生き抜くことはできないと思いました。来月発刊予定の著書『東大はなぜ秋入学を目指したか』(朝日新聞出版)でも触れていますが、国際水準の学事暦に合わせる「秋入学構想」は、そのための象徴的な取り組みでした。ここで求めていたグローバルとは、単に語学ができる、世界について知っているということではありません。自分が生きてきた環境とは異なる生活や物の考え方、価値観などとぶつかり合い、「異質で多様なもの」を自分の知力や行動力、想像力の源泉として取り込んでいく。そういった人材であることを目指しています。

髙宮 その思いが「よりグローバルに、よりタフに」というスローガンに込められているのですね。あれから10年近く経ちましたが、今日の日本の大学は、グローバル化が進んでいるといえるのでしょうか。

濱田 今はむしろ、より“縮こまっている”感じがします。グローバルたることをあきらめたとは言いませんが、現に、学問の世界でも経済界でも日本はさらに取り残されていっています。ですから、学生は今こそ「グローバル」であることをより一層意識して、世界にある多様さに積極的に向き合ってほしいと思います。

髙宮 多様性に触れるという点は、先生が大学教育において特に大切にされているところだと思います。もう少し詳しくお聞かせください。

濱田 私は、「多様性」を「肌で感じる」ことこそが人間を大きく成長させるという信念を持っています。知らない土地に行ったり、日頃接しない人と出会ったりして異質なものにさらされた時、刺激されたり緊張したり悩んだりする。そこから成長が生まれます。それは、頭で理解する受験勉強とは全く違う世界です。それまでの日常と異なる環境で、実際に試行錯誤する。その経験がなければ、これからの日本人が生きる世界はさらに狭くなり、国際競争から本当に置いていかれてしまうと思います。

人を成長させるのは
多様性との出会い

国際的な刺激が
大学教育を変える

髙宮 日本の大学教育が今後、グローバル化に対応するためにどうあるべきかを伺います。先生のお考えは、「学事暦」のみならず、「教育内容・方法」「社会環境」を3点セットで国際水準にしなければいけないというものでした。

濱田 その通りです。例えば「教育内容・方法」は、世界の有力大学と競争できるものでなければなりません。すなわち、学生が自分で十分に学習した上で、身につけた知識をもとに自分の言葉で議論したり、相手を理解したりして、考えを深めるプロセスがうまく機能していること。そこから応用力も生まれます。例えばマイケル・サンデルの「白熱教室」のような……。ああいったスタイルが大学教育のベースにあるべきだと思っています。

髙宮 「そうあるべき」ということは、日本では東京大学ですらそれが実現できていないということですか。

濱田 教員らの努力で改善はしてきています。それでも、例えば少人数のゼミであっても、一人が発表し、数人がポツポツと質問し、何か答えればそれが中途半端な内容であっても終了、というケースがあるわけです。なかなか白熱してこない(笑)。こういった文化を変えるのは難しいのですが、私は学生の国際的な流動で変わると思っているのです。東大の学生が海外へ留学して「あの大学ではもっと面白い授業だった」とか、留学生が「うちの大学ではこんなこともやっていた」と言うようになる。国際水準の学事暦は、「学生の海外交流をスムーズにする」ことを超えて、「日本の教育をグローバルな刺激にさらす」格好の機会になると思っています。

髙宮 では、国際水準の「社会環境」は、どう教育に関係するのでしょうか。

濱田 髙宮さんも留学されていたからご存じだと思いますが、例えばアメリカの学生は、時に馬鹿馬鹿しいようなことも平気で発言しますよね(笑)? それを恥とも思わないし、臆せず議論を重ねることで次第に自分の考えを形作ったり修正したりしていく。間違ってもいい、間違ったら正せばいい。そういう価値観が、大学にも社会にも息づいているのです。日本の教育もそうあるべきだし、学生を受け入れる社会の意識も変わるべきです。「あの新人はわけのわからないことばかり言う」と拒絶するのではなく、若者のチャレンジを応援し、失敗も受け止め、次につながるよう後押しする。そんな社会に変わらなければ、国際競争に打って出る人材を日本から輩出することは難しいだろうと思います。

髙宮 大学の中だけの改革ではなく、社会のあり方や価値観にも変化を促す取り組みだということがあらためてよく分かりました。

教育を変えるには
社会も変わらねば

最後の「ひと伸び」を
あきらめないで

髙宮 コロナ禍では多くの大学がオンライン教育に踏み切りました。緊急事態に伴う対処ではありましたが、いざ取り入れてみると利点も見えてきたと思います。コロナが終息した場合、大学教育のかたちはどう変わると見ていますか。

濱田 私はポジティブな意味で、オンライン教育と対面教育のハイブリッド教育になると思っています。例えば、講義の一部はオンラインで実施し、そこで学んだ知識をベースに学生と教員が対面で議論し深掘りしていく。そういうかたちが理想的ではないでしょうか。東大生に限らず今の学生はとにかく勉強時間が足りませんから、その点でもオンラインを活用する意義は大きいと思います。

髙宮 最後に、国公立大学で学ぶメリットをお聞かせください。

濱田 国公立大学の大きな特長は、研究機能が非常に充実している点です。学生はそれをうまく利用してほしい。特に地方の国公立大学には地域と連携したプロジェクトも多いですから、それに参加してみたり、あるいは面白そうな研究をしている先生に食らいついていったり。自分から積極的に動けば学生にもチャンスがたくさんあるというのは、大きな魅力だと思います。

髙宮 最近は「親元を離れず、地元の大学に進学してほしい」と望む保護者も増えていると聞きます。その点についてはいかがですか。

濱田 多様性を肌で感じるという経験は、海外に限った話ではありません。生まれ育った居心地の良い環境から飛びだして大学生活を送れば、言葉や食事、物の考え方で小さなカルチャーショックを多々受けるでしょう。その刺激は、お子さんを視野の広いより豊かな人間に成長させるはずです。大学で一回り大きくなって帰って来た若き人材は、地域社会を発展させる原動力にもなるでしょう。また、東大総長時代に実感したのは、全国各地の高校にはもう「ひと伸び」で東大に合格できたのに、という優秀な生徒がたくさんいるということです。多くの地域から学生が集まることは、大学にとっても非常に重要ですから、受験生の皆さんも最後まで志望大学をあきらめず、チャレンジしてほしいと思います。

髙宮 多様なバックボーンの学生が集うことは、大学、ひいては社会にとっても意義があるということですね。私たち代々木ゼミナールでも最後の「ひと伸び」をサポートしていけたらと思います。今日は大変貴重なお話をありがとうございました。

はまだ・じゅんいち/1950年生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院法学政治学研究科で憲法を専攻。法学博士号取得。同新聞研究所教授、社会情報研究所長、大学院情報学環長・学際情報学府長、副学長を経て、2009年〜15年、東京大学総長を務める。 たかみや・としろう/1974年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)を経て、2000年4月、学校法人高宮学園に入職。同年9月から米国ペンシルべニア大学に留学、教育学博士号(大学経営)取得。同学園の財務統括責任者を経て、09年から現職。

大学入学共通テストを語る
国語・英語にどう挑むか

座談会│船口 明さん × 福崎伍郎さん × 佐藤雄太郎さん

代々木ゼミナール
教育総合研究所
主幹研究員
船口 明さん
代々木ゼミナール
教育事業推進本部
本部長
佐藤雄太郎さん
代々木ゼミナール
教育総合研究所
主幹研究員
福崎伍郎さん

2021年にスタートする大学入学共通テスト(以下、共通テスト)。「思考力・判断力」を重視するとは、具体的にどういうことか。どのような対策をすればいいのか。代々木ゼミナールの佐藤雄太郎氏が福崎伍郎講師(英語)と船口明講師(国語)に話を聞いた。

高度化するリスニング 
思考力・判断力も不可欠

佐藤 共通テストの試行調査では、センター試験との違いに戸惑いの声が多く聞かれました。まずは英語の概要をお聞かせください。

福崎 共通テストの英語は「リーディング」と「リスニング」からなり、配点も従来の[4:1]から[1:1]へと変わります。文法の知識(発音やアクセント、語句整序など)を直接問う問題はなくなり、その知識を活用して読む・聞くことができるかが重視されます。また、問題はCEFR(セファール/欧州言語共通参照枠)の指標にのっとって出題されます。リーディングの設問の6割を占めると予想されるのが、CEFRのB1レベル(英検2級〜準1級程度)。B1の問題では、文章の概要や要点を捉えるだけでなく、論理展開を把握したり要約したりする力が問われます。しかも試験時間中に読むべきワード数は、従来の4000ワードから5000ワード超に増える見通し。速読しながらパラグラフごとの要点を効率よく把握し、重要な情報を押さえていくといったスキルが必要となります。

佐藤 配点比率が大幅に上がるリスニングについてはどうですか。

福崎 聞き取るだけでなく、「聞き取った情報からどう考えるか」を問われる点はリーディングと同様です。B1レベルでは例えば、ディスカッションを聞いて各話者の主張の要点を理解し、比較・判断するといったスキルも求められます。細かな聞き取りに加え、話者が何を言いたいのか考えながら聞く、素早くメモを取りながら聞くといった訓練が欠かせません。

佐藤雄太郎さん

現代文の基本は読解力 
土台固めをしっかりと

佐藤 国語は記述式が見送りとなったため、「センター試験とあまり変わらないのでは」と誤解されがちですね。

船口 出題の形式は変わりませんが、内容が変わります。現代文では例えば、「評論と資料」「詩に関する随想」などのように、複数のテキストで構成された問題が出題されると思われます。一つの文章を読めているかだけでなく、それを要約し活用できるかといった部分まで問うという意味で、より本質的な理解が求められるようになったといえるでしょう。

佐藤 国語も英語も、単に「読めたか、聞き取れたか」ではなく、それを「どう活用するか」が問われるということですね。ただ、こうした思考力・判断力は短期間で身につくものではありませんよね。アドバイスはありますか。

船口 共通テストに慣れたいから、と問題集などでひたすら数をこなす生徒がいますが、そもそもの土台=読解力が身についていなければ意味がありません。点数が伸び悩んでいる人は、「具体と抽象の関係を読み取る」「対比構造を読み取る」「論理の並列をつかむ」「意味段落の論旨をつかむ」といった“土台固め”の訓練に、勇気をもって立ち戻ることをおすすめします。

福崎 いまの船口先生のお話は、英語においても全く同様です。現代文の読解力を鍛えれば、英語の読解力も鍛えられるともいえますね。

船口 明さん

佐藤 受験生へメッセージを。

福崎 過去問がないというのは心配だと思いますが、その代わりに、対策本や模試の一問一問に丁寧に取り組んでください。正解かどうかではなく、考え方は合っていたか、迷った理由は何か、なぜ間違ったかなどの「分析」をじっくり行うといいでしょう。

船口 「共通テストが難しそうだから」という理由で志望校を変えるのは、悲しいことです。初めてで不安なのは全国の受験生みな同じ。自分の得点源はどこか、何を克服すれば合格に近づくのか。頭を使って困難を乗り越える一つの練習だと思って、最後まであきらめず挑戦してほしいと思います。

福崎伍郎さん
代ゼミ講師が新入試の学習ポイントと対策を
レクチャーしています。
紙面に登場した福崎伍郎講師(英語)と船口明講師(国語)が登場!