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相続手続き

最終更新日:2024.11.29

続財産調査は自分でできる?
対象となる財産や調査方法を解説

相続財産調査は自分でできる?対象となる財産や調査方法を解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続財産調査が必要な理由
  • ■ 相続財産調査で把握するべき財産
  • ■ 相続財産の調査方法、依頼できる専門家

被相続人が亡くなり相続が発生したときは、相続財産調査を行わなければなりません。遺産の分け方を決めるだけでなく、相続放棄すべきかどうかを判断するうえでも、相続財産調査は重要です。

しかし、初めての相続では、どのように相続財産を把握すればよいのかわからないこともあるでしょう。

今回は、相続財産の調査方法を解説します。相続の発生に備えたい方や、現に相続が発生して困っている方に役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

相続財産とは

相続財産とは、被相続人(亡くなった人)が所有していた財産を指します。

相続税がかかる相続財産には「現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」が該当します。

基本的に、被相続人が所有していた財産は、日用品も含めてすべて相続財産に含まれるイメージです。また、経済的価値のあるものだけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も相続財産に含まれます。

相続財産調査が必要な理由

相続が発生したとき、相続財産調査は必ず行う必要があります。被相続人が遺言書や財産目録を作成していれば財産調査をスムーズに行えますが、必ずしも作成しているとは限らず、作成していても被相続人が財産を漏らしている可能性もあります。

きちんと財産調査を行わないと、意図せず債務を引き継ぐ事態に陥ったり、遺産分割を巡ってトラブルになったりする可能性があるため、注意が必要です。

相続の方法を選択する必要がある

相続人が選択できる遺産相続の方法は、以下の3種類があります。プラスの財産とマイナスの財産を把握し、最適な選択をする必要があります。

単純承認 プラスの財産とマイナスの財産をすべて相続する
限定承認 プラスの財産の範囲内で、マイナスの財産も相続する
相続放棄 マイナスの財産だけでなく、プラスの財産もすべて相続する権利を放棄する

限定承認または相続放棄を選択する場合、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」に、家庭裁判所で手続きを行う必要があります(熟慮期間)。

3カ月を経過してしまうと、単純承認したとみなされるため注意が必要です。被相続人が多くの債務を抱えている場合には、単純承認すると債務も引き継ぐことになるため、経済的に不利益を被ります。

自分にとってベストな判断を下すうえで、相続財産調査は重要です。相続財産の内訳があいまいなまま手続きを進めると、気付かないうちに多額の債務を引き継ぐ事態になりかねません。

遺産の分け方を話し合う必要がある

遺産を分けるときに前提となるルールは、以下のとおりです。

  • 遺言書がある場合:相続人全員の反対がない限り、遺言書の内容どおりに遺産を分ける

  • 遺言書がない場合:相続人全員が同意するまで話し合う(遺産分割協議)

被相続人が遺言書を残しておらず、相続人が複数いる場合は遺産分割協議を行う必要があります。相続人全員が納得する遺産分割を実現するうえで、「どのような資産(負債)がいくらあるのか」という財産状況の把握は欠かせません。

預貯金はいくらあるのか、不動産の価値はいくらなのか、有価証券はどのくらい保有しているのかなどを調査しなければ、公平な遺産分割は難しいでしょう。

なお、遺産分割協議をしたあとに新たな財産が見つかった場合は、新たな財産の分割方法を話し合う必要があります。手間が発生するだけでなく、相続人間でトラブルに発展するリスクもあるため、相続財産調査が果たす役割は大きいといえます。

相続税がかかるかどうかを調べる必要がある

原則として、遺産が相続税の基礎控除額を超える場合は、超えた部分に対して相続税がかかります。相続税の基礎控除額は、以下のように計算します。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除額:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

たとえば、法定相続人が3人の場合の基礎控除額は4,800万円であるため、遺産の合計額が4,800万円を超える場合には、相続税の申告と納税が必要となります。

相続税がかかるかどうか判断するためには、相続財産調査を行い、遺産内容を確定させる必要があります。

なお、相続税の申告・納付期限は、相続の開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人が亡くなった日)の翌日から10カ月以内です。期限までに納付していないと、遅延利息に相当する延滞税がかかるので注意しましょう。

相続税がかかるかどうかは、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

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相続財産調査で把握するべき財産

相続財産調査で把握するべき財産は、多岐にわたります。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も調べる必要がある点に留意しましょう。

以下で、相続財産調査で把握するべき財産を具体的に解説します。

被相続人のプラスの財産(資産)

被相続人のプラスの財産(資産)として、具体的には以下のようなものがあります。

  • 預貯金

  • 債券・株式などの有価証券

  • 不動産(土地・建物)

  • 骨董(こっとう)品

  • 貴金属

  • 自動車

  • ゴルフ会員権

  • 特許権

  • 著作権

金銭的に見積もることができる財産は、すべて調査する必要があります。

銀行や証券会社などの金融機関に問い合わせたり、保有している不動産の固定資産税評価額を調査したりして、価値を把握しなければなりません。

被相続人のマイナスの財産(負債)

被相続人のマイナスの財産も調査する必要があります。具体的には、カードローンの借入やクレジットカードの利用代金、連帯保証人としての債務などが挙げられます。

ほかにも、未払いの家賃や未払いの税金・社会保険料、個人間でのお金の貸し借りなども負債に該当します。相続放棄すべきか判断するうえで、マイナスの財産を把握することも重要です。

葬式費用

相続税を計算するときに、葬式費用を遺産総額から差し引けます。具体的に差し引ける葬式費用は以下のとおりです。

  • 葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用)

  • 遺体や遺骨の回送にかかった費用

  • 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用)

  • 葬式にあたりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用

  • 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用

葬式費用は、総額で数百万円になるケースが一般的です。相続税にも影響を与える可能性があるため、相続財産から葬式費用を差し引けることを押さえておきましょう。

みなし相続財産

相続財産の中には、相続や遺贈ではなく相続の発生に伴って受け取る権利が発生する財産(みなし相続財産)があります。被相続人が保有していた財産ではないものの、以下のような財産も相続税法の規定などにより相続税の対象となります。

  • 死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金など

  • 被相続人から生前に贈与を受けて、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていた農地、非上場会社の株式や事業用資産など

  • 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理財産の残額(死亡日において受贈者が23歳未満である一定の場合などを除く)

  • 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理財産の残額

  • 相続や遺贈で財産を取得した人が、加算対象期間内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産(一定の特例の適用を受けた場合を除く)

  • 被相続人から、生前、相続時精算課税の適用を受けて取得した贈与財産

  • 相続人がいなかった場合に、民法の定めによって相続財産法人から与えられた財産

  • 特別寄与者が支払いを受けるべき特別寄与料の額で確定したもの

特に、死亡退職金や死亡保険金が発生するケースは多いため、遺産に含めることを忘れないように注意しましょう。

相続税の対象となる生前贈与財産

生前に贈与した財産が相続税の対象となることがあります。生前に被相続人から贈与を受けている場合、相続税の対象になるかどうか忘れずに確認しましょう。

持ち戻し期間内の贈与(暦年課税)

生前贈与を受けている場合、持ち戻し期間内に該当する贈与は、相続財産に持ち戻して計算しなければなりません。

持ち戻し期間は、2024年1月1日以後の贈与により取得した財産については「相続開始前7年以内」です。2023年12月31日までは持ち戻し期間が「相続開始前3年以内」で、以下のような経過措置が設けられています。

被相続人の相続開始日 加算対象期間
~2026年12月31日 相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)
2027年1月1日~2030年12月31日 2024年1月1日から死亡の日までの間
2031年1月1日~ 相続開始前7年以内(死亡の日からさかのぼって7年前の日から死亡の日までの間)

たとえば、2024年1月1日に贈与をした人が2030年4月1日に亡くなった場合、贈与を行った日から7年を経過していないため、持ち戻し期間内の贈与として、相続財産に含めて計算する必要があります。

相続時精算課税制度を適用した贈与

相続時精算課税制度を適用した贈与は、相続が発生したときに持ち戻して計算する必要があります。

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子供または孫などに対して、累計2,500万円まで非課税で贈与できる制度で、贈与者が亡くなったときに相続時精算課税制度を適用して贈与した財産を相続財産に持ち戻して相続税を計算する仕組みです。

相続時精算課税制度では、限度額2,500万円を超えた贈与に対しては、一律20%の税率で贈与税が課税されます。なお、2024年1月からは、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が設けられました。

たとえば、2024年1月に相続時精算課税制度を利用して2,000万円を贈与し、同年中に相続が発生したとします。この場合、贈与税は発生しませんが、基礎控除額110万円を差し引いた1,890万円を相続財産に持ち戻して計算する必要があります。

相続時精算課税制度の基礎控除額は、毎年利用することが可能です。

たとえば、2024年1月から5年にわたって、毎年1,000万円ずつ合計で5,000万円を贈与した場合で考えてみましょう。基礎控除額は110万円×5年分で550万円となるため、相続時精算課税制度を選択してから5年後に相続が発生した場合、4,450万円を相続財産に持ち戻します。

通常、4,450万円から特別控除2,500万円を差し引いた1,950万円に対する贈与税390万円(一律税率20%)はすでに納付しているため、相続税を計算する際は、すでに支払っている贈与税390万円を相続税から控除します。

相続財産の調査方法

実際に相続が発生したら、財産の種類ごとに価値を計算しなければなりません。保有している財産の種類が多岐にわたるほど、調査は煩雑になります。

以下で、相続財産の調査方法について解説します。

預貯金の確認方法

預貯金を調べるためには、どこの金融機関に口座を開設しているかを調べる必要があります。

通帳やキャッシュカードから金融機関を探る方法が代表的で、ほかには金融機関から郵便物が届いている場合も当該機関で口座を有している可能性が考えられるでしょう。

口座がある金融機関の見込みがついたら、残高証明書の発行を依頼して、いくら預貯金があるのかを確認します。金融機関が複数ある場合はそれぞれの金融機関で、残高証明書の発行を依頼する必要があります。

なお、同じ金融機関でも複数の支店で口座を有している可能性があるため、残高証明書の発行を依頼するときは「全店照会」という照会を依頼するとよいでしょう。

不動産の確認方法

被相続人が不動産を所有している場合は、土地と建物それぞれについて調査する必要があります。

いずれの場合も、登記簿謄本(登記事項証明書)を確認して権利者を確認するのが一般的です。

土地

居住用の宅地のほかにも、先祖代々から受け継がれている土地や、投資用の土地などを保有している可能性もある点に留意しなければなりません。居住用や先祖代々の土地については、被相続人が住んでいた地域の役所で名寄帳を取得すると、所有する土地の一覧を確認できます。投資用の場合は、確定申告書や不動産の売買契約書や登記簿謄本、固定資産税の納税通知書を確認する方法があります。

建物(家屋など)

建物に関しても、基本的に土地と同じ方法で調べます。不動産の売買契約書や登記簿謄本、固定資産税納税通知書、名寄帳などを確認し、建物を保有しているかどうかを確認しましょう。

なお、相続した不動産の評価方法は下記の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

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有価証券の確認方法

株式や債券、投資信託などの有価証券に関しては、銀行や証券会社からの郵便物(取引報告書・配当金の支払通知書など)を通じて調べる方法があります。

ただし、インターネット上で口座開設を行うネット銀行やネット証券を利用している場合には、書類が郵送されないこともあります。そのため、パソコンのブックマークや履歴の確認、スマホアプリなどから口座開設の有無を調べるとよいでしょう。

口座を開設している金融機関が不明な場合は、証券保管振替機構(ほふり)へ照会を行いましょう。被相続人が取引していた金融機関を特定できるため、活用してみてください。

死亡保険金の確認方法

生命保険契約の有無を調べるには、保険証券や生命保険料控除証明書などから探る方法があります。また、被相続人の預貯金口座から保険料の引き落としがあれば、保険契約があることを把握できるでしょう。

もし保険契約の有無がわからない場合は、一度の問い合わせで契約の有無を確認できる「生命保険契約照会制度」の利用が便利です。

2021年7月より、親族等が申し出れば一般社団法人生命保険協会を通じて生命保険会社へ保険契約の有無を一括で照会できる「生命保険契約照会制度」が始まりました。

生命保険契約の手がかりがない状況でも、被相続人の生命保険契約の状況を確認できる便利なサービスです。保険会社へ個別に直接問い合わせる必要がないため、保険契約の有無を調べたいときは有効活用しましょう。

借金など債務の確認方法

借金や未払金などの債務を確認するには、金融機関や消費者金融との金銭消費貸借契約書(借用書)や、税金・社会保険料などの未払いに関する郵便物がないか確認する方法があります。

また、通帳記入を行って、定期的に弁済などの支払いをしている記録がないかも確認するようにしましょう。

書面の確認だけでは不安な場合は、以下の信用情報機関へ照会を行うのも1つの手段です。

  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)

  • 全国銀行個人信用情報センター

信用情報機関には、住宅ローンをはじめとしたこれまでの金融サービスに関する利用情報が記録されています。情報開示を申し込むと、被相続人の負債状況を確認できるため、必要に応じて活用しましょう。

相続財産のなかには評価が必要なものもある

相続財産のなかには、専門家による評価が必要なものがあります。預貯金や有価証券は時価がわかりやすい一方で、不動産や貴金属、自動車などは評価が難しいでしょう。

建物であれば、固定資産税評価額、土地であれば路線価方式または倍率方式という方法によって評価しますが、評価にあたっては注意すべき点が多々あります。

たとえば、賃貸に出している建物や、賃貸マンションやアパートが建っている土地、いびつな形の土地などは、評価額が低くなることがあります。ほかにも、「小規模宅地等の特例」を適用できることもあるため、不動産の評価額の計算は慎重に行う必要があります。

貴金属や自動車などは、相続が発生したときの時価を計算しなければなりません。専門的な知識がなければ、モノの時価を評価するのは難しいでしょう。

このように、被相続人が保有していた財産の内容によっては、相続財産調査が煩雑になってしまう可能性があります。不動産などの相続財産がある場合は、相続を専門とする税理士に依頼することをおすすめします。

相続財産調査を依頼できる専門家と費用

相続財産調査は、必ずしも自分で行う必要はありません。税理士や司法書士、弁護士などの専門家に依頼できるため、必要に応じて依頼を検討しましょう。

特に、相続が発生した直後は葬儀や法要の準備、水道光熱費の引き落とし口座の変更などさまざまな手続きを行う必要があります。相続財産調査は非常に手間がかかるため、相続人にとって重い負担になりかねません。

専門家に依頼すれば、相続人の事務負担を軽減しながら、確実に相続財産を把握できるメリットがあります。必要な手続きを着実に進める上でも、専門家を頼るのは有用な選択肢です。

なお、相続財産調査を専門家に依頼したときの費用は、10万円~30万円程度が相場です。誰に依頼するのか、遺産はどの程度あるのかによって、調査費用は異なります。

依頼先の候補となる専門家は、税理士・司法書士・弁護士が挙げられます。相続財産が相続税の基礎控除額を超えそうな場合は、税金のプロである税理士に依頼するのがおすすめです。

相続財産の計算方法や税負担を軽減するための特例や税額控除にも精通しているため、公平かつ相続税負担を抑えられる遺産分割方法を提案してくれるでしょう。

相続人同士で紛争やトラブルが起こりそうな場合は、弁護士に依頼するのがおすすめです。相続財産の調査だけでなく、関係が悪い相続人との調整を任せられるため、精神的な負担を軽減できます。

相続税が発生しない見込みで、相続トラブルに発展するリスクも低い場合は、司法書士に依頼すれば費用を抑えられる可能性があります。

自分たちの状況に応じて、誰に依頼すべきか検討してみてください。

まとめ

被相続人が所有している財産によっては、相続財産調査は非常に手間がかかります。預貯金だけでなく、有価証券や不動産などを保有している場合、相続人にとって重い負担となる可能性があります。

円滑に遺産分割を進めつつ、自分の生活を守るためにも相続財産調査は欠かせないステップです。

専門家のサポートを受けつつ、相続手続きを滞りなく進め、早く日常に戻れるようにしたいものですね。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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