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相続税

最終更新日:2021.04.20

子間でも贈与税はかかる?
贈与税や相続税の課税対象になる
ケースを解説

親子間でも贈与税はかかる?贈与税や相続税の課税対象になるケースを解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 贈与税がかかるケースとかからないケース
  • ■ 贈与税の特例や税額控除の内容
  • ■ 贈与税の計算方法や申告手続き

扶養義務のある親が子供を経済的に支援することは当然であるため、贈与しても贈与税はかからないのでは?と思われがちですが、親子間でも贈与税がかかるケースがあります。今回は、親子間でも贈与税がかかるケースとかからないケースについて解説します。

親子間で贈与税がかからないケース

原則として、贈与税は贈与者(贈与する人)が親であっても、他人であっても、贈与を受けたすべての財産に対してかかります。ただし、次に該当する場合、贈与税は非課税とされています。

  • 扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの

  • 贈与税の基礎控除額以下の贈与

生活費や教育費

親は子供を扶養する義務があるため、経済的な支援に必要な費用を負担するのは当然です。そのため、子供の日常生活に必要な費用である生活費や教育費(学費や教材費、文具費など)は、必要な都度、直接これらに充てるものであれば、贈与税はかかりません。ただし、生活費や教育費として贈与を受けた場合でも、それを貯蓄に回す、あるいは株式や不動産の購入資金など他の用途に充てている場合は、贈与税がかかるので注意しましょう。

贈与税の基礎控除額以下の贈与

贈与税には、年110万円の基礎控除があり、生活費や教育費ではない贈与であっても、受贈者(贈与を受ける人)1人当たり年110万円以下の贈与であれば、贈与税はかからず、申告も不要となります。

ただし、贈与では贈与者の「あげます」と受贈者の「もらいます」という双方の合意が必要で、贈与を受けた財産を受贈者が自由に処分できる状態とする必要があります。また、双方の合意を示すためには、贈与契約書を毎年締結して、それに基づく贈与を行う必要があります。

贈与の合意がなかったとみなされると、贈与として認められず、贈与者の財産のままとして扱われます。

たとえば、子供名義や孫名義の口座を作成してお金を振り込んだものの、口座名義人に通帳、キャッシュカード、印鑑を渡していないケースでは贈与が成立したとはいえず、お金を振り込んだ人の財産のままとなります。これは「名義預金」と呼ばれ、お金を振り込んだ人が亡くなったときには、亡くなった人の相続財産として相続税が課税されてしまうのです。名義預金とならないように確実に贈与するには、子供や孫が普段使いしている口座にお金を振り込みましょう。

親子間で贈与税がかかるケース

生活費や教育費以外の年110万円を超える贈与は、原則として贈与税がかかりますが、次のような行為も贈与税がかかるケースがあります。

  • 基礎控除額を超える贈与

  • 返済意思のない貸し借り

  • 市場価格からかけ離れた著しく低い価格で譲り受ける

  • 生命保険金を受け取る

  • 財産の名義を変更する

基礎控除額を超える贈与

年110万円の基礎控除は、受贈者1人当たりの控除額となります。したがって、同じ年に両親それぞれから100万円ずつ贈与を受けた場合、基礎控除額110万円を差し引いた90万円に贈与税が発生することになります。

返済意思のない貸し借り

「ある時払いの催促なし」または「出世払い」という金銭の貸し借りは、相手にあげたものとみなされ、借入金額に対して贈与税がかかります。

ただし、多額の借金を背負い、自己破産するほど追い込まれたような人が親などの扶養義務者に返済資金を立て替えてもらい、それを返済できないほど困窮している場合には、贈与税は課税されないことになっています。

市場価格からかけ離れた著しく低い価格で譲り受ける

親から子供へ著しく低い価格で財産の譲渡が行われたときは、その財産の時価と実際の金額との差額は、贈与により取得したものとみなされ贈与税がかかります。ただし、上述のとおり、子供が借金の返済などで困っている場合、その返済に充てるために親から安価で譲渡された財産について、その返済相当分は贈与とはみなされません。

生命保険金を受け取る

親が保険料を負担していた生命保険契約で、以下に該当する場合は、親から子供へ生命保険金の贈与があったとみなされ、贈与税の対象となります。

  • 親が保険料を負担している保険契約の満期金や死亡保険金の受け取り

なお、ケガや病気などによって受け取る給付金や保険金は非課税となります。親が被保険者かつ保険料負担者である生命保険契約の場合、親が亡くなったときに受け取る死亡保険金は贈与税ではなく相続税の対象となります。

財産の名義と出資者が異なる

子供名義の建物を増築する際に、親がその費用を負担したとしても、その増築部分は建物の所有者である子供の所有物となります。従って、子供が親に負担してもらった費用を返済しないときは、親から増築費用の贈与を受けたとして、贈与税が課税されます。

なお、親が負担した増築部分の持分を子供から親へ建物の名義を変更して、建物を共有所有とするときは、贈与税は非課税となります。

地代を払わない

親が借地している土地の底地を子供が地主から買い取った場合、親は子供(新しい地主)に対して地代を支払わなくなることが通常でしょう。借地権は建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権であり、地代を支払わないと借地権は消滅するため、借地権が親から子供(新しい地主)へ贈与されたものとされてしまいます。

ただし、土地の所有権を子供に変更した後も、親が借地権者であるとして「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を税務署に提出すれば贈与とはなりません。

親子間の贈与で使える特例

贈与税の負担を軽減するために、以下の特例や税額控除などを利用できます。

  • 住宅取得等資金の贈与の非課税制度

  • 教育資金の一括贈与の非課税制度

  • 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度

  • 相続時精算課税制度

住宅取得等資金の贈与の非課税制度

住宅取得等資金の贈与の非課税制度とは、18歳以上の人が、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自宅の新築や取得、増改築等に充てるための費用を取得した場合、以下の限度額まで贈与税が非課税となる特例です。

住宅用の家屋の種類
省エネ等住宅 左記以外の住宅
贈与時期 令和6年1月1日から令和8年12月31日まで 1,000万円 500万円
家屋の区分 省エネ等基準
省エネルギー性能 耐震性能 バリアフリー性能
新築した住宅用の家屋 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上 耐震等級2以上又は免震建築物 高齢者等配慮対策等級3以上
建築後使用されたことのない住宅用の家屋
建築後使用されたことのある住宅用の家屋 断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上
増改築等をした住宅用の家屋

「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(税務署)

贈与を受けた年の所得税の合計所得金額が2,000万円以下(家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満である場合は1,000万円以下)であり、平成21年から令和5年の間に「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受けたことがない人が適用を受けることができます。

教育資金の一括贈与の非課税制度

教育資金の一括贈与の非課税制度とは、1,500万円を限度として贈与税が非課税になる制度です。扶養義務者相互間において、教育費に充てるために必要な都度、通常必要と認められる贈与については贈与税は非課税となります。なお、受け取ったときに教育費として使いきれず預貯金となっている場合などは贈与税の課税対象となりますが、教育資金の一括贈与の特例を使うと、単年度で使い切らずに残った残額に贈与税はかかりません。

適用を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 令和8年3月31日までの間に、父母や祖父母など受贈者の直系尊属が金融機関等で教育資金口座の開設を行うこと

  • 30歳未満の子供や孫についての教育資金を預貯金や有価証券の購入により贈与を行うこと

教育資金の対象は、学校の学費や修学旅行費、学用品の購入費、通学定期券代だけでなく、学習塾やスポーツ、音楽、芸術などの習い事とそれに必要な物品購入費など、かなり幅広い内容となっています。

なお、贈与(拠出)時期により、贈与者の死亡時や資金管理契約終了時の課税関係が変わるため注意してください。

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度とは、1,000万円を限度として贈与税が非課税になる制度です。適用を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 令和7年3月31日までの間に、父母や祖父母など受贈者の直系尊属が結婚・子育て資金口座の開設を行うこと

  • 18歳以上50歳未満の子供や孫についての結婚や子育てに関する資金を預貯金や有価証券の購入により贈与を行うこと

結婚資金の対象は、挙式費用、結婚披露費用、新居や転居の費用などとなります(300万円限度)。

子育て資金の対象は、不妊治療、妊婦健診費用、分娩費用、子供の医療費、保育料などの妊娠・出産・育児に要する幅広い内容となっています。

なお、受贈者が50歳に達すると、結婚・子育て資金口座に係る契約は終了し、残額がある場合は、贈与税の課税対象となります。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子供または孫などに対して財産を贈与する場合に選択できる制度です。贈与財産の種類や金額、贈与の回数に制限はなく、贈与の額から年110万円の基礎控除をした後の金額から累計2,500万円を限度として特別控除を受けられます。なお、2,500万円を超えた贈与額には、一律20%の税率で贈与税が発生します。

相続時精算課税制度を選択するには、税務署に「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があり、一度選択すると、その贈与者から贈与を受ける財産はその後暦年課税へ変更することはできません。

なお、同一年中に、2人以上の特定贈与者(相続時精算課税制度を選択した贈与者)から贈与を受けた場合、年110万円の基礎控除は、特定贈与者からの贈与額で按分します。

特定贈与者が亡くなったときは、遺産額に相続時精算課税制度を適用した贈与財産を加算して相続税額を計算し、すでに納めた相続時精算課税制度による贈与税額を控除します。このとき、すでに納めた贈与税額が相続税額を上回る場合は、相続税の申告によって還付を受けることができます。

贈与税の計算方法

暦年課税(相続時精算課税制度を選択していない場合)では、下記の計算式により贈与税額を計算しますが、暦年課税の税率は2種類あります。

  • 計算式

  • 贈与税額=(その年の贈与額-110万円)×税率-控除額

特例贈与と一般贈与で適用税率が変わる

特例税率(成人した子供への贈与)

直系尊属から贈与を受けた人が、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上である場合、特例税率が適用されます。贈与者と受贈者の関係が直系であることがわかる戸籍謄本等を添付して申告する必要があります。

一般税率(未成年の子供への贈与)

直系尊属ではない人から贈与を受けたり、直系尊属からの贈与であっても、贈与を受けた年の1月1日において18歳に達していなかった場合は、一般税率が適用されます。

一般贈与財産
(右記以外の贈与)
特例贈与財産
(父母・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与)
基礎控除後の課税価格 税率 控除額 基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円 400万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 600万円以下 20% 30万円
600万円以下 30% 65万円 1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円以下 40% 125万円 1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円以下 45% 175万円 3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円以下 50% 250万円 4,500万円以下 50% 415万円
3,000万円超 55% 400万円 4,500万円超 55% 640万円

参考元:国税庁

贈与税の申告方法・必要書類

贈与税がかかる場合や、相続時精算課税を適用する場合は、贈与を受けた人が翌年の2月1日~3月15日の間に申告と納税を行います。相続時精算課税の適用初年度の贈与が基礎控除額以下で申告不要の場合でも、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日の間に届け出を行う必要があります。基礎控除額を超える贈与の場合、特別控除(累計2,500万円)によって税額が0円になるときも申告が必要です。

申告方法

贈与税は、次のいずれかの方法で申告します。

  • 税務署で申告書を入手し、手書きで作成して提出

  • 国税庁ホームページで申告書を作成・印刷して税務署へ提出

  • 国税庁ホームページで申告書を作成してe-Taxで申告(送信)

なお、国税庁ホームページ内で申告書を作成する場合は、贈与を受けた財産の評価をあらかじめ行っておく必要があります(補正がない路線価方式の土地や一部の権利関係は作成可能)。

必要書類

贈与税の申告書を提出する際には、次のいずれかの本人確認書類の提示または写しの添付が必要となります。

  • マイナンバーカード

  • 通知カードまたはマイナンバーの記載のある住民票+身元確認書類

身元確認書類は、次のいずれかのものとなります。

  • 運転免許証

  • 公的医療保険の被保険者証(健康保険証)

  • パスポート

  • 身体障害者手帳

  • 在留カード など

暦年課税での贈与税申告において特例税率を適用する場合や、相続時精算課税選択届出書を提出する場合は、受贈者と贈与者の戸籍謄本または抄本を添付する必要があります。

「住宅取得等資金の非課税」の適用を受ける際は、受贈者の戸籍謄本と、工事契約書や売買契約書の写し、登記事項証明書など工事の内容や状況に応じた各種の添付書類が必要です。国税庁の公表しているチェックシートを活用し、漏れのないようにしましょう。

なお、教育資金の一括贈与や結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度の適用を受ける場合、申告書や領収書などの提出先は税務署ではなく金融機関となります。

親子間の贈与で相続税がかかるケース

相続税は亡くなったときに所有していた財産に対してかかるため、相続税負担を軽くするに、生前に財産を贈与して減らそうと考える方も多いですが、下記のような贈与は相続財産に加算する必要があり、相続税の課税対象となります。

相続発生前7年以内の贈与

暦年課税では、相続開始前7年以内の贈与は、基礎控除額以下の贈与であっても相続財産に加算(4~7年前の贈与は100万円を控除)して相続税を計算する決まりとなっています。これは病気などで死期を悟って贈与をする「駆け込み贈与」ができる人と、不慮の事故などで亡くなり贈与ができない人の公平性を保つためといわれています。なお、すでに納付した相続開始前7年以内の贈与にかかる贈与税額は、相続税額から控除できますが、相続税額よりも贈与税額の方が多くても還付されません。

相続時精算課税制度による贈与

相続時精算課税制度による贈与は、年110万円の基礎控除額を超える贈与はすべて相続財産に加算して相続税を計算します。すでに納付した相続時精算課税制度による贈与にかかる贈与税額は、相続税額から控除でき、相続税額よりも贈与税額の方が多かった場合には、控除しきれなかった贈与税額が還付されます。

まとめ

原則として、親子間であっても価値のあるものをあげた場合には、贈与として扱われ贈与税がかかります。なお、扶養義務者相互間の生活費や教育費の贈与は、必要なときに必要なだけ贈与するのであれば非課税となります。その都度ではなく一度に贈与したい場合には、贈与の特例があります。また、生活費や教育費以外で、贈与税が非課税とならない贈与であっても、年110万円の基礎控除があります。

贈与税にはいくつも制度があり複雑ですが、これらを上手く活用することで税負担を抑えつつ子供や孫を経済的にサポートできます。制度内容をしっかりと理解しないまま贈与して、税負担が増える事態にならないように、贈与を検討するときは、お金を動かす前に税理士に相談するとよいでしょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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