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相続放棄

最終更新日:2021.11.22

続放棄のメリット・デメリット
【注意点や借金の整理方法を紹介】

相続放棄のメリット・デメリット【注意点や借金の整理方法を紹介】

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続放棄のメリットとデメリット
  • ■ 相続放棄が困難なケースや相続放棄できないケース
  • ■ 相続放棄以外の借金整理方法
  • ■ 相続放棄の手続きの流れや必要書類

相続財産には現金や預貯金などのプラス財産、借金などのマイナス財産があります。相続を承認するとどちらも引き継ぐことになるため、多額の借金がある場合は相続放棄を選んでもよいでしょう。ただし、相続放棄した方がよいかどうかの判断は意外に難しく、状況によっては相続放棄できない場合もあります。

今回は相続放棄のメリットやデメリット、相続放棄以外の借金問題の解決方法を詳しく解説します。相続開始直後の方はぜひ参考にしてください。

相続放棄とは

相続放棄とは、相続に関する一切の権利や義務を放棄することです。

相続放棄すると最初から相続人ではなかったことになるため、相続権は消滅します。

同時に借金の返済義務や、未払金などの支払い義務もなくなります。

相続放棄は相続財産に高額な負債があるときの選択肢ですが、相続放棄する旨を宣言しただけでは効力がなく、家庭裁判所に申述する必要があるので注意してください。

なお、相続に関する権利・義務は消滅しますが、親族関係には影響がありません。

相続放棄のメリット・デメリット

相続放棄すると最初から相続人ではなかったことになり、相続権も消滅します。相続放棄をすることで血縁や親族関係が変わることはありませんが、相続関係が途切れることで発生するメリットやデメリットがあります。不要な財産を引き継がなくて済むメリットもありますが、他の相続人にまで影響するデメリットもあるため、特徴をよく理解してから検討するようにしてください。

相続放棄のメリット

相続放棄には2つのメリットがあり、借金問題や相続トラブルから解放されます。

  • 被相続人の借金を引き継がなくてもよい

  • 遺産分割のトラブルに巻き込まれない

主な財産が被相続人の自宅のみであり、老朽化や遠隔地にあるため引き継ぎたくない場合や、借金の有無に関わらず相続人同士の仲が悪く、遺産の分け方を巡ってトラブルになりそうな場合にも相続放棄を選択できます。

ちなみに民法では法定相続分を定めていますが、特に何もしなければ法定相続分と同じ割合で借金の負担割合も決まります。また、借金の返済が遅れている状態で相続した場合、延滞損害金も相続人の負担になるため注意が必要です。

相続放棄のデメリット

相続放棄は、以下のデメリットも理解した上で検討してください。

  • プラスの財産も相続できなくなる

  • 相続放棄は撤回できない

  • 一部でも財産を処分してしまうと相続放棄できなくなる

  • 他の相続人と揉めてしまう可能性がある

  • 死亡保険金や死亡退職金の非課税枠が使えない

相続放棄すると、現金などのプラス財産も相続できなくなり、後日の撤回も認められなくなります。また一部でも財産を処分、あるいは使い込んでしまうと相続を認めたことになるため、相続放棄できなくなります。

相続放棄すると、借金の返済義務は自動的に次の順位の相続人に移るため、事前に他の相続人に連絡しておかなければ親族間のトラブルに発展する可能性もあるでしょう。死亡保険金や死亡退職金は受け取れますが、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠も使えなくなるので要注意です。

相続放棄が難しい・できないケース

相続放棄は単独で手続きできるため、他の相続人の同意は必要ありません。手続きの内容もそれほど複雑ではありませんが、状況によっては相続放棄が難しい、または相続放棄できないケースもあります。

相続放棄が可能な期間を過ぎてしまった場合

相続放棄には期限が定められており、相続開始を知った日の翌日から3カ月以内に家庭裁判所で手続きしなければなりません。被相続人と疎遠になっている場合や海外に住んでいる場合など、家族の死を知るまでに時間がかかることもあるため「相続開始を知った日」が起点日になっています。

一方、第1順位の相続人が相続放棄した場合、相続権は第2順位の相続人に移りますが、相続権が自分に移ったことを気付かない場合もあります。このようなケースでは、相続人になったことを知った日から3カ月の熟慮期間があり、所定の手続きで期間延長も可能になります。

単純承認が成立した場合

相続放棄の期限は相続開始を知った日の翌日から3カ月以内ですが、この期間中に相続財産を処分、あるいは一部でも使い込んでしまうと単純承認が成立します。単純承認が成立すると、借金も含めたすべての財産を相続すると認めることになるため、相続放棄はできなくなってしまいます。ただし、被相続人の預金口座からお金を引き出す場合、葬儀代の支払いであれば単純承認にはなりません。

被相続人の自宅に住んでいる場合

相続放棄ではプラスの財産も手放すことになるため、被相続人の自宅も相続できなくなります。同居している場合は新たな住まいを探すことになりますが、地域によっては賃貸や売物件が周辺に少なく、転居が難しいケースもあります。金銭的な事情から自宅を手放せない場合もあるので、主な相続財産が自宅のみで同居している場合は、相続放棄以外の方法を検討する必要があるでしょう。

相続放棄をしないで借金を整理する方法

手続期限を経過するなど、相続放棄できない状況になった場合は借金をも受け入れるしかありません。しかし借金問題は相続放棄以外でも解決できるので、次に解説する2つの方法も検討するようにしてください。

プラスの財産を処分して借金を返済する

現金や銀行預金、不動産などを売った金額が負債額に相当する、または負債を上回る場合は、プラス財産の処分を検討してもよいでしょう。生まれ育った実家や、被相続人の思い入れがある財産の売却は心理的な抵抗もありますが、返済に充てれば借金の返済義務は免れます。

ただし、価値判断の難しい財産は低額で買い取られる可能性もあるため、正当な評価額を算定してくれる専門家のアドバイスも必要です。

限定承認を選択する

プラスの財産の限度内でマイナス財産を相続するのが「限定承認」です。限定承認には家庭裁判所の手続きが必要ですが、認められた場合はプラス財産を上回る借金は引き継がなくてもよくなります。プラスの財産、マイナス財産のどちらが多いのかわからない場合にも有効ですが、限定承認には相続人全員の同意が必要です。

限定承認に反対する相続人や、音信不通の相続人がいた場合は困難になるため、財産調査や相続人調査、相続人同士の話し合いはできるだけ早めに段取りしましょう。

相続放棄の手続きの流れ・必要書類

相続放棄は家庭裁判所で手続きしますが、ある程度の準備期間も必要です。全体的な流れと必要書類を解説しますので、漏れがないよう慎重かつ迅速に対応してください。

1)被相続人の財産調査と関連書類の取り寄せ

相続放棄のスタートは被相続人の財産調査になるため、借金の状況がわかる金銭消費賃借契約書なども探してください。預貯金の場合、通帳があれば相続発生日の残高を把握できますが、通帳がない場合は銀行へ残高証明書や取引履歴を請求してください。取引銀行や口座番号がわからない場合は、心当たりのある銀行などへ問い合わせましょう。被相続人の氏名や過去の住所、生年月日などから該当口座を調査してくれる場合もあります。

不動産の場合はまず登記識別情報(かつての権利証)を準備しますが、見つからない場合は所有不動産の一覧となる名寄帳を役所で取り寄せます。不動産の所有情報がわかれば、次に法務局で登記事項証明書を取り寄せてください。株式の場合は管理口座を特定しますが、わからないときは定期送付される取引残高報告書を調べてみましょう。

2)相続放棄に戸籍等の準備

すべての財産調査が終わり、相続放棄が決定した場合は以下の書類等も準備します。

  • 被相続人の戸籍謄本

  • 被相続人の戸籍の附票および住民票除票

  • 相続放棄する人の戸籍謄本

  • 相続放棄申述書

上記の書類は基本的なものであり、被相続人との関係によって準備する書類が変わるため、詳しくは以下のURL(裁判所)から確認してください。また、相続放棄申述書は裁判所のホームページから入手できますが、様式は18歳以上、18歳以下の2種類があるので、該当する様式を使用してください。

申述に必要な書類(裁判所)
相続に関する審判の申立書(裁判所)

3)家庭裁判所への申述

相続放棄に必要な書類が準備できたら、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立て(申述)します。申立ての際には申述人(相続放棄する人)の認印と身分証明書も必要になるので、忘れずに持参しましょう。

申立ての段階ではひとまず受理のみですが、記入内容に不備がある場合や書類に不足がある場合は受付で指摘があるため、あまり構える必要はありません。相続放棄が認められると「相続放棄申述受理通知書」が送付されるので、これで手続きはすべて完了となります。

なお、相続放棄の成立を証明する「相続放棄申述証明書」も作成されますが、こちらは郵送されないため、必要な場合は家庭裁判所へ交付申請してください。

相続放棄の手続きについては、「相続放棄の手続き方法や必要書類は?相続放棄すべきケースや注意点も解説」の記事で詳しく説明していますので、ぜひ読んでみてください。

相続放棄にかかる費用

必要書類の取り寄せには、ある程度の費用がかかりますがそれほど高額ではありません。また、相続放棄の手続きを専門家に依頼することもできるので、それぞれに必要な費用を解説します。

自分で相続放棄の手続きをする費用

戸籍や住民票の取り寄せなど、自分で相続放棄する場合は以下の費用がかかります。

  • 戸籍謄本:1通450円

  • 除籍謄本または改正原戸籍謄本:1通750円

  • 住民票:300円程度

  • 印紙代:800円(相続放棄申述証明書の交付には150円の印紙代が必要)

  • 郵便切手:500円程度

  • 登記事項証明書:書面請求600円、オンライン請求・郵送500円、オンライン請求・窓口交付480円

  • 残高証明書等:1通700円~1,000円程度(取引金融機関に確認)

専門家に相続放棄を依頼する場合の費用

司法書士や弁護士に相続放棄の手続きを依頼した場合、費用の相場や内訳は以下のようになります。

【司法書士への依頼】

  • 相続放棄の相談料:0円~5,000円程度(1時間あたり)

  • 申述書の作成代行:3,000円~6,000円程度(戸籍等の取得費用も含む)

  • すべてを代行依頼する場合:4万円~5万円程度

【弁護士への依頼】

  • 相続放棄の相談料:0円~1万円程度(1時間あたり)

  • 申述書の作成代行:5,000円~1万円程度(戸籍等の取得費用も含む)

  • すべてを代行依頼する場合:7万円~12万円程度

なお、財産調査は別費用となり、20万円~30万円が相場となっています。

まとめ

相続手続きには様々な種類がありますが、相続放棄に関する情報はあまり正確に知られていません。多額の借金を背負い込むことにはなりませんが、同時にプラス財産も放棄することになるため、メリットとデメリットを十分に理解しておく必要があるでしょう。また、相続放棄の手続きはそれほど複雑ではないため、専門知識がなくても1人で十分対応できます。

ただし、相続放棄できる期間は決して長くないため、多忙な方であれば財産調査や書類準備が間に合わず、3カ月を経過してしまう可能性もあります。相続放棄するべきかどうかの判断も含め、困ったときには必ず弁護士や司法書士へ相談することをおすすめします。

税理士 桑原 弾
  • この記事の監修者

  • 税理士 桑原 弾

昭和55年生まれ、兵庫県出身。
大学卒業後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した知識」と「元国税調査官としての経験」の両輪を活かして相続税申告を実践している。

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