
投資とは社会全体が得をする仕組みです
低金利の今、投資をしないと「損」だという風潮がありますが、それは本当でしょうか。独立系投資信託運用会社「さわかみ投信」の澤上 龍代表取締役社長に、儲け話とは異なる本質的な「損得」について聞きました。
――前回、投資は誰かの利益が、別の誰かの損になるゼロサムゲームではないとおっしゃっていました。でも、投資って喰うか、喰われるかの世界というイメージがあります。
澤上 あれ?第1回では投資は投機とは違うので、怖がらなくても良いものと納得していませんでしたか?
――ええ、まあ、でも……。
澤上 では、もう一度言いますね。企業の成長を支え、投資家と企業が「ともに歩んでいく」のが投資です。企業が自ら事業リスクを取り、未来に向かって育っていこうとするのを、投資家は金銭面のリスクをとることで支援していきます。成長性を期待しての投資ですから、出したお金が減るかもしれないリスクはもちろんあります。ただ、初心者の方がイメージするような怖いものでは全くありません。
――なるほど。ところで企業の成長性はどう見極めるんでしょう?
澤上 例えば5年後、10年後にどんな社会になっていて欲しいか、何かイメージはありますか?

――そうですね…漠然としていますが、不安のない社会が良いです。不便なことや困っていることが改善されて、もっと便利で暮らしやすい社会になったら良いなと思います。
澤上 そのような社会が訪れるために必要な商品やサービスを生み出す企業があればどうでしょう。応援してみたいと思いませんか?
――あっ!社会全体を良くするような新しい商品やサービスを、これからどんどん作っていこうとするのが成長性のある企業なんですね。
澤上 その通りです。投資を通じて、そうした企業の商品、サービス創りを手伝っていくことが、先ほど言った「ともに歩んでいく」の意味です。景気が悪化したり、世界的に株価が暴落したりして、誰もその企業に見向きもしないようなときでも、強い気持ちでその企業に寄り添い支えるのがポリシーのある投資であり、第1回からお伝えしている本質的な投資なんです。
――なんだか、自分ごと化すると投資もわかりやすくなりますね。
澤上 そうでしょう。投資はみんなが得をするプラスサムのはずなんです。志のある企業は、画期的な商品・サービスを創って社会に貢献したいと思っています。しかしそのためには時間が掛かるし、資産(資本)もかかる。そこに皆さんが少額でもいいから投資をして、株主としてその期間を支えてあげる。結果、画期的な商品・サービスが誕生して市場に投入され、みなさんもその良さを享受することができますし、ましてやそのときに株主でいてくれた方に、企業側が成功のリターンをもたらしてくれることは、想像に難くないですよね。
――投資って「損得」でよく語られますが、それはお金の問題だけじゃないんですね。
澤上 逆に言うと、投資をしないということは、社会貢献と社会参画のチャンス、優れた商品・サービスを利用するチャンス、企業の成長を見守りながらリターンを獲得するチャンスの3つを失う「トリプル損」になります。

――なんだか、投資をしないともったいないという気分になってきました。
澤上 それはよかった(笑)
――澤上さんが社長の「さわかみ投信」も、そういうポリシーで投資しているんですか?
澤上 もちろんです。当社の投資先企業を選定する会議は面白いんですよ。1つの銘柄を選ぶのに3年かかることもあります。
――えーっ、そんなに!?
澤上 本当に応援したい企業を選ぶわけですから、やはり時間がかかります。基本的に当社は消費者目線で企業の成長性を捉えています。企業選択にかかわる社員は性別も、年齢も、趣味・嗜好も異なるので、いろんな角度から企業を見ている。だから、議論が尽きないのです。
――面白いですね。これまで持っていた投資会社へのイメージが変わりそうです。一方で、業績とか財務内容といった数字的なものはまったく考慮しないんですか?
澤上 いやいや。もちろん分析はしっかり行いますよ。難しい話は、次回以降に登場する当社のファンドマネジャーに任せますが(笑)
――第1回に引き続き、2回にわたってインタビューに答えていただきましたが、最後に一言お願いします。
澤上 繰り返しにはなりますが、私がお伝えしたいことはただ1つ、投資と投機は違うということです。「企業とともに世の中をつくる」という投資の本質を忘れないでいただきたいですね。
―――ありがとうございました。
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