横浜市のニュースパーク(新聞博物館)主催の新聞協会賞受賞記者講演会が12月7日開かれ、「自民党派閥の裏金問題をめぐる一連のスクープと関連報道」で今年度受賞した本社取材班代表の板橋洋佳・東京社会部次長がスピーチを行いました。

会場でスピーチを聴く参加者ら

 参加した会場40人、オンライン15人の前で、取材プロセスなどを説明し「アンフェア(な現実)を明らかにするため、読者の目となり耳となって対象に会いに行く。取材力、すなわち人間力を高めて深化させ、誠実にしつこく取材した情報を積み上げました」と話しました。

 講演終了後には質疑応答があり、「検察関係者から情報を得るための取材手法は? 知り得た情報をあえて報じないことはありますか?」。こんな質問に対して板橋次長は、(退勤で帰宅途中の)駅の改札口で待ちかまえストップウォッチを見せながら「1分だけいいですか」といって対話時間を作った体験などを紹介。さらに「ニュース性があるファクトを報じることで取材先との関係が終わることがあっても、読者に伝えることが最優先。記事を書くからこそ記者。(記事を書かない)情報屋になってはいけない」と答えました。

 ほかに「権力を監視するためには社(の垣根)を越えた報道もあっていいと思うが、どう考えますか」といった質問も。これには「とうぜん本社のブランド(推進)は考えるが、朝日新聞だけが存在すればいいとは思わない」。「複数のメディアが伝え、深掘りすることで、『歴史的事実』になっていく。(昨今いわれる)『マスコミ不信』という流れからメディアのあり方が問われており、他社と協力して取材することもやっていきたい。他社と並んで共同受賞という時代が来るかもしれない」と述べました。

 将来の職業として新聞記者に興味があるという大学3年の男子学生は、「記者の取材先との距離感や葛藤が語られることを期待して会場に足を運びました」。裏金問題については「許されないことであると同時に、有権者とのつきあいで金がモノをいう点では有権者も問われているのでは」と話していました。