企画制作:朝日新聞社メディアビジネス局 広告特集
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脱炭素社会のカギをにぎるEV 日本の現状とこれから

二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「脱炭素化」の流れが世界中で加速している。なかでも大きな転換期を迎えているのが自動車業界。自動車を巡るグローバルな情勢と、脱炭素社会における電動化の役割について、東京大学未来ビジョン研究センター教授の高村ゆかりさんにうかがった。後半では、電気自動車(EV)界をリードする日産自動車で日本マーケティング本部チーフマーケティングマネージャーを務める柳信秀さんにEVの現状と未来に向けた展望について語ってもらった。
Interview 東京大学未来ビジョン研究センター 高村ゆかり教授
1964年生まれ。専門は、国際法・環境法。国際環境条約や気候変動に関する法政策などを研究。中央環境審議会会長、再生可能エネルギー買取制度調達価格等算定委員会委員などを務める。共編著に「気候変動政策のダイナミズム」など。
「脱ガソリン車」という世界の潮流
いま、日本をはじめ世界では脱ガソリン車への動きが加速していますが、こうした状況をどのように見ていますか。
2020年に、国は、2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の目標を表明し、その実行のためグリーン成長戦略を策定しました。今年6月には戦略が改訂され、2035年までに国内において乗用車の新車販売で電動車100%を実現することが、国の方針として戦略に明記されました。
2015年12月に合意された「パリ協定」を契機に、2025年から2040年にかけて、多くの国や地域が、新車販売で電動車100%、ゼロエミッション車100%といった目標を掲げており、脱ガソリン車の潮流を加速する方向で動いています。
東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり教授
各国の目標設定やそのスピード感についてどのように評価されていますか。
2035年のガソリン車新規販売停止は、今年発表されたIEA(国際エネルギー機関)の「Net Zero by 2050」のシナリオでもマイルストーンとして示されています。各国の目標もこのシナリオに準じたスピード。自動車の耐用年数を約10年としても、2050年にカーボンニュートラルを実現しようとすると、2035年ごろには新規販売を停止しないと間に合いません。
米カリフォルニア州などは2035年に販売される新車をすべてゼロエミッション車にする目標を掲げています。実現は可能でしょうか。
いまの社会のありようからの延長線上、現在の対策の水準では脱炭素社会にはたどり着きません。いま実現可能と見通せるから立てた目標ではない。脱炭素社会の実現をめざして対策の水準を一段と引き上げるための目標です。発想を変える必要があります。
例えば、EVは、充電するためのインフラが整わなくては走れませんから、インフラ整備を含めて、政府が目標にむけて対策を総動員すると腹をくくることを示すための目標なんです。
一方で、ゼロエミッション車への転換を促進する高い目標を掲げるのは、ドラスティックに市場が変わる、市場を変えていくという国として市場転換のシグナルを発する意味もあるのでしょう。
そもそもカーボンニュートラルの実現に、脱ガソリン車という政策が求められるのはなぜでしょうか。
ガソリンで走行すれば自動車は当然CO2を排出します。火力で発電した電気でEVが走ると、間接的にCO2を排出してしまうことになりますが、石炭火力や石油火力の割合が非常に高い電力を使用する場合を除くと、ガソリン車よりもEVの方が走行時のCO2の排出量は少なくなります。カーボンニュートラルの実現には、電力の低炭素化、脱炭素化を加速し、自動車の電動化を進めることが必須です。
脱炭素社会の中でEVが担う役割
脱炭素への取り組みと経済成長との両立は可能なのでしょうか。
環境保全と経済の両立が、環境保全は経済を阻害するのでバランスをとるのだという意味だとすると、気候変動に関してはそのパラダイムは変わったと考えたほうがいいでしょう。取引先から「排出を減らしてほしい」と要請があるなど、取引先として選ばれるために企業は対策を取らざるを得なくなっています。株主となる投資家や金融機関も企業の気候変動対策を注視しています。企業にとってはもはや、気候変動問題に取り組まなくては企業自身の産業競争力、企業価値に影響するようになってきています。
モビリティーの脱炭素化にはどのような意味合いがあるのでしょうか。
企業は、いま自社の工場やオフィスからの直接の排出だけでなく、原材料の調達からお客様が消費・利用し、廃棄するまでのサプライチェーン、バリューチェーンからの排出(スコープ3排出量)の削減が求められるようになっています。企業が原材料を調達して工場に運ぶためには輸送が必要ですし、従業員が出張するにも交通手段を使う。そういう意味では、モビリティーからの排出が減る、ゼロになることは、他の企業の脱炭素の取り組みに大きく貢献すると言えます。自動車メーカーをはじめ、モビリティーに関わる事業者の取り組みはとくに重要です。
私たちがEVを選ぶ意味はどのようなところにありますか。
最近、洪水など気象災害による被害が日本でも世界でも大きくなっています。気温上昇を抑えなくては、将来さらに大きな損害を引き起こしかねない。気候科学の最新の知見によれば、将来の気温上昇をできるだけ低く抑えるには、世界の排出量をできるだけ早く減少に転じさせることが必要です。
私たちが日常でどれだけCO2の排出を減らしていくかで、将来の世代の、社会の形が決まります。私たちができるだけ排出しない生活に変えていくことが、自分たちの子ども、孫の社会を気候変動の脅威のない住みやすい社会にすることにつながります。そこにEVを選ぶ意味があります。
再生可能エネルギーが主力電源となる電力システムの中でEVはどのような役割が期待されるでしょうか。
エネルギーの脱炭素化を進めるためには、太陽光や風力といった再生可能エネルギーをできるだけ増やしていく必要があります。自然条件で発電量が変わる再生可能エネルギーを調整して活用するには、「蓄電」技術が重要な役割を果たしますが、その費用をどう下げるかが一つの課題といえます。
そこでEVなど電動車を利用できれば、走らないときに活用できる、追加的コストのかからない蓄電池、分散型のエネルギーリソースが家庭や地域にあることになります。社会的なメリットは非常に大きい。EVなどをうまく組み込んでいければ、あまりコストを上げない形で、再生可能エネルギーを主力とする分散型エネルギーシステムを構築できる可能性があると考えています。
Interview 日産自動車日本マーケティング本部 柳信秀チーフマーケティングマネージャー
社会課題を解決するソリューションとしてのEV
日産は2010年、世界に先駆けて、量産型のEV「リーフ(LEAF)」を発売しました。日産のEVの一番の強みはどんなところにあるとお考えでしょうか。
日産自動車としては、「限られたお客さまではなく、多くのお客様にとって手に届くEVを世の中に」という思いでいち早く準備してきました。
また、「死亡事故ゼロ」と「ゼロエミッション」、この二つを軸に、お客様の生活を豊かにするというコンセプトを打ち出しています。他方で日産のEVはただの優等生的な乗り物ではなく、スポーツカーのように走ることも可能です。
安全性が高く、かつ運転して楽しいというクルマ本来の魅力を持ち合わせていることは、EVに乗って頂ければ、アクセル一踏みできっと気付いて頂けるはずです。
日産自動車日本マーケティング本部の柳信秀チーフマーケティングマネージャー
日産のEVについて、社会性などの観点から、うかがえればと思います。一般向け乗用車を超えた役割も期待されているのでしょうか。
EVは乗って楽しいのはもちろん、社会課題を解決するソリューションにもなり得ます。日産は地球温暖化や災害対策などの課題を解決するための活動「ブルー・スイッチ」にも取り組んでいますし、単なる移動手段にとどまらない可能性にもぜひ目を向けていただきたいと思います。
分かりやすい例が、災害時の非常電源としての活用です。2019年に首都圏に台風15号が直撃した際、日産は広域停電が長期化している地域に85台以上のEVを派遣し、電源を供給しました。異常気象による自然災害の被害のリスクが高くなっている日本において、いざという時の蓄電池としての活用は今後ますます重要性の増すEVに求められる社会的な役割の一つと考えています。
日産自動車のクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現する新たな目標
ユーザーにとって車は、購入時の価格に加え、日々の維持コストも気になるポイントです。EVをガソリン車と比べた際の経済性については、どう考えればいいのでしょうか。
正直なところクルマ本体はガソリン車と比べると高めです。しかしEVは購入時に国や自治体からの補助が受けられ、お住まいの地域によっては150万円ほど補助があるケースもあります。
単に「クルマ」としてだけではなく、電気の「調整役」でもあると考えるとまた、価格の見方も変わってくるはずです。太陽光で発電し、EVにためて、家庭で使用する、といった経済的な電力活用をされるお客様も増えてきています。未来のためだけのものではなく、いまの生活にも生きるものとして考えて頂ければと思います。
EVバッテリーは、ただ走ることに使うだけでなく、家庭への給電にも活用でき、太陽光パネルで発電した電気を蓄えることができる
EVのトップランナーとして見据える未来
日産のEV開発の歴史についてもうかがえればと思います。
1947(昭和22)年の「たま電気自動車」の発売がスタートです。当時の日本は石油不足の一方、水力発電による電力は相対的に余力があったそうです。
「たま」は1951年ごろまでタクシー需要で重宝されました。戦後の日本でEV が国の復興を支えていたことは、あまり広く知られていませんが、この頃から培われていた「他社がやらないことにチャレンジする」というスタンスは、いまも日産で生きています。
日産自動車が初めて電気自動車の可能性を示した「たま電気自動車」
日産のEV開発において大事にしているコンセプトや観点はどんなことでしょうか。
ガソリン車と比べると、アクセルを踏んだ時の加速が格段にいい。個人的にはGT-Rの乗り味は最高だと感じているのですが、このGT-Rの開発に携わったエンジニアが、EVの乗り味の担い手として関わっています。この「乗り味」の良さこそ、日産として大切にしているところであり、強みです。ちなみに、「リーフ」に試乗頂いたお客様が、その加速の気持ちよさから思わず見せて下さる笑顔を社内では「リーフスマイル」と呼ばせて頂いています。
また操作性にもこだわっています。通常のガソリン車のように車両の前方にエンジンのような重いものが積まれていると、理想の操作性を実現することが実は非常に難しいのです。その点EVはバッテリー等の重量物がクルマのほぼ中心に配置されているため、理想的な重心バランスが実現でき、ドライバーの思った通りにクルマが反応してくれます。
やっぱりクルマはドキドキ、ワクワクしなくてはいけません。環境に優しいから選ぶ、というだけではなく、楽しいクルマを選んだら、実は環境にも良いことをしていた、と逆の視点からも見てもらえるとうれしいです。
量産型EVのさきがけ「リーフ(LEAF)」を発売し、EVのトップランナーとして市場を牽引(けんいん)
日産の新たなSUVタイプのEVである「アリア(ARIYA)」が発売されます。どんな期待を込められていますか。
「リーフ」だけでは満たしきれない需要に応えたいと考えています。日産はEVを極めていくと決めたわけですから、今後「最新の日産車としての究極形がアリアです」と全世界で発信していきます。
日産は、日本国内におけるEVのトップランナーとして、これまで家やビル、まち全体とEVをつなぐノウハウも蓄積してきました。また、日産では販売店の営業職を「カーライフアドバイザー」と呼んでいます。それはただ単にクルマを販売するだけではなく、クルマのある生活を提供しているからです。どこよりも早くから培ってきたこのEVのノウハウと知見を生かし、これからはEVがある生活をまるごと提案できる唯一の自動車メーカーをめざします。
日産初のクロスオーバーEVとなる「アリア(ARIYA)」。撮影地:アートビオトープ那須 ©川口賢典(STOIQUE)