開学の原点に回帰し学際性を極める
永田恭介学長は「常に先を見据えた先進的な取り組みを進めていきたい」と話す
筑波大学は1973年、「あらゆる面で開かれた大学」として開学した。前身の東京高等師範学校の校長であった嘉納治五郎は、日本の高等教育を国際的に開いた先駆者であり、同大学もその理念を受け継いでいる。つまり世界に開かれた大学であるということだ。また、「あらゆる面」でとは、国内外に、そして学問分野間の壁も開かれていることも意味している。
「学問は自然に、あるいは意図的に寄り添って新たな学問をつくってきました。その結果として新たな分野が生まれてきた。つまり、学問の原点は新しいものを見つけつくることなのです」と、永田恭介学長は話す。
今直面する問題をテーマにすることも大事だが、50年後の社会はどうなっているかを、今考え研究することはもっと重要だとも付け加え、そのために柔軟な教育研究システムが必要であるとも強調する。
そこで同大学では学問融合で横断的な教育システムとして研究者を「学部」ではなく「系」の所属とし、基盤となる研究は行いつつ、異なる分野への教育へも参画することを可能とした。どの教育組織にも結びつきがないので、柔軟な教育研究が行えるというわけだ。所属にとらわれない教育研究という意味では、企業や他大学、さらに海外からの研究者が教えに来たり、研究に参画したりすることもできる。
同大学は早い時期から産業界との連携を強めてきた。ただ、そのやり方も次のステージへ向かっている。産学連携の場合は、プロダクトという結果を求められ、時間も限られている場合が多い。
「それだけでなく大学と産業が一緒になって新たな分野を創生するような連携を行いたいと考えています」
産学連携でも新たな分野の創生を
晴れた日には芝生でランチの輪が広がる
その成功例の一つが山海嘉之教授を中心としたサイバニクス研究センターで開発した世界初のサイボーグ型のロボットだ。
「人間を外から支援するロボットスーツは情報科学を脳や神経科学などと融合させ開発したもので、まさに新たな分野です。これはポジティブなロールモデルですね」
さらに現在は大手自動車メーカーと「次世代社会システムとクルマの在り方」について研究しているという。人やモノを運ぶ手段が変わることで社会がどのように成熟していくかを共同研究するものである。そこには、表面的な対策ではなく、哲学に基づいたグランドデザインが必要になってくる。
「人間のものの考え方や感じ方まで研究しないと答えがでないでしょうね。こういうのがまさに大学らしい産学連携だと思います。大学の知という集合体総員で解決していきます。これも新たな学問分野の創生につながる産学連携です」
ボーダーフリーで国際性の日常化を
中央図書館は広く一般にも開放されている
「開かれた大学」を標榜する同大学は国際化も進んでいる。「大学のまわりにはたくさん壁がありますが、それを取り外していくトランスボーダー大学という考えでいます」
壁をなくす一つの例が「キャンパス・イン・キャンパス」である。これは世界のパートナー大学とキャンパス機能を共有し、学生や研究者が自由に教育研究できるシステムである。現在はボルドー大学と国立台湾大学と協定を締結している。学生にとっては他の大学の授業という感覚がないほどボーダーフリーを目指している。
「国際化を意識しなくてもいいようにしたいですし、そうなりつつあります。私たちが目指すのは国際性の日常化です」
開学当時から未来を見据えた大学として常にチャレンジを続けてきた筑波大学は、さらに進化し新たな未来をつくる。











