遺産分割協議書とは
遺言書がない場合や遺言書があっても法的に無効な場合は、遺産分割協議を行い、相続人全員で遺産の分け方を決めます。
遺産分割協議で、相続人全員が納得した場合は「遺産分割協議書」を作成し、誰がどの財産を取得するのか明記します。
その際に遺産分割協議書には相続人全員が同意した証として各相続人による実印の押印が必要です。
さらに、書類が複数枚になったときは割印や契印も押印します。
遺産分割協議書は、被相続人の預金口座解約や名義変更、不動産の相続登記にも必要になるため、ミスや押印漏れがないよう慎重に作成しましょう。
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遺産分割協議書を作成する流れ・必要部数
前述したように、遺産の分け方に全員が同意したときは、遺産分割協議書を作成します。
ただし、遺産分割協議書は様々な相続手続きに使うため、相続人同士だけがわかればよいというわけにはいきません。
作成の流れや注意点、必要部数などを解説しますので、遺産分割協議書の作成予定がある方は参考にしてください。
①財産内容や相続人は明確に記入する
遺産分割協議書の作成は手書き、またはパソコン作成いずれの方法でも構いません。
表題を「遺産分割協議書」とし、被相続人の氏名や本籍、最終住所地などを記載します。
続いて相続人の氏名や、遺産分割協議が成立したことを明記しておきます。
また、誰がどの財産を相続するのか明確にするため、財産内容はなるべく詳しく記載してください。
たとえば土地を相続する場合、遺産分割協議書には以下のように記載します。
【記載例】
相続人○○○○は、次の不動産を取得する。
所在:東京都港区○○
地番:○○番○○号
地目:宅地
地積:200.87平方メートル
「自宅の隣の空き地」といった内容では相続手続きに使えないので、登記事項証明書などを確認しながら正確に記載してください。
誰がどの財産を相続するのか、第三者が見てもわかるように意識しておくとよいでしょう。
②遺産分割協議書へ実印を押印する
誰がどの財産を相続するのか記載した後は、相続人全員の署名と実印の押印が必要です。
遺産分割協議書はパソコン作成も可能ですが、後日のトラブルを防止するため、署名はなるべく自署することを強くおすすめします。
また、署名の傍らには印鑑を押しますが、相続手続きでは印鑑証明と照合する場合があるため、必ず実印を使うようにしてください。
ちなみに印鑑の押印を「捺印」ともいいますが、手書きで自分の名前を記入し、その傍らに押印する場合を「署名捺印」といいます。
一方、あらかじめ印字された名前の横に押印することを「記名押印」といい、どちらもよく使われる言葉ですが、厳密にはこのような違いがあります。
③遺産分割協議書へ契印を押印する
契印といっても特別な印鑑があるわけではなく、実印を使用します。
財産の種類が多い場合、遺産分割協議書が複数枚になることもありますが、勝手な追加や抜き取りを防止するよう、ページの継ぎ目に押すのが「契印」です。
押印する個所が増えると漏れも生じやすいため、A4からA3用紙に変えるなど、大きな用紙で遺産分割協議書を作成すれば押印個所が少なくて済みます。
④遺産分割協議書は必要部数を作成する
遺産分割協議書は原本のみでも構いませんが、実務面からみた場合、必要部数を作成した方がよいケースもあります。
たとえば預金口座と不動産の相続人が異なる場合、それぞれ相続手続きで遺産分割協議書が必要です。
一通の原本を使い回すと時間がかかってしまい、相続税の申告期限を経過するなど、実害が出てしまう可能性もあるでしょう。
作成の手間や署名捺印の回数は増えてしまいますが、遺産分割協議書の原本を必要部数作成しておけば、相続手続きはスムーズになります。
また、遺産分割協議書の原本を必要としない相続人には、原本のコピーを渡しておけば特に問題はないでしょう。
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遺産分割協議書に割印や契印は必要?
割印と契印は同じものと捉えられがちですが、厳密には違った目的で押印するものです。
遺産分割協議書を複数部作成した場合、いずれも関連性がある、または同一内容として繋がっていることを証明するのが割印です。
一方、契印もページにまたがるように押印しますが、契印の場合は複数枚から成る書類が一連のものであることを証明し、書類の抜き取りによる不正や改ざんを防ぐ目的があります。
遺産分割協議書に割印・契印を押した方がよい理由
遺産分割協議書に割印や契印がなくても無効にはなりません。
ただし、遺産分割協議書が複数枚になった場合、契印がなければ金融機関や法務局から内容の連続性を疑われて差し戻される可能性があります。
枚数・部数が多くなると手間はかかりますが、契印だけは必ず押印してください。
割印も押印すると、遺産分割協議書の有効性を担保できます。
ただし、遺産分割協議書の枚数が多く、厚みがあるときは無理に押さなくても構いません。
遺産分割協議書の訂正に備え、捨印も押印しておくとよいでしょう。
【図解付き】遺産分割協議書の割印・契印の押し方
割印や契印にはそれぞれ目的があるため、押し方を間違えると無効なものになってしまいます。
遺産分割協議書を作成する場合、次に紹介する図解にならって割印や契印を押印しましょう。
割印の押し方
遺産分割協議書が複数枚ある場合、割印は全ページにまたがるように押印します。

ページ数が多いと押印しにくい、または押印できない場合もありますが、割印は遺産分割協議書の信頼性を高めるものなので、無理に押印する必要はありません。
このような場合は、割印なしの遺産分割協議書を使いましょう。
契印の押し方
遺産分割協議書の枚数が少ない場合はステープラー(ホチキス)などを使用しますが、枚数が多いときには製本テープで各ページを綴じる場合があります。
綴じ方によって契印の押し方は変わるので、以下の図解を参考にしてください。

ステープラーで綴じた場合は、左右のページにまたがるように契印を押してください。
製本テープで遺産分割協議書を綴じている場合は、表と裏の両方に契印を押します。
遺産分割協議書の割印を修正する方法
印鑑を押す場合、朱肉の量が多過ぎて滲むことや、力が入り過ぎてずれてしまったりすることがあります。
押印にありがちなミスですが、失敗したときには以下の要領で修正してください。
- すでに押印した印影の上から、印鑑を少しずらして重ねるよう(潰すよう)に押す
- その隣に割印を押し直す
割印を修正する際の注意点ですが、二重線を引いて修正するのはNGです。
二重線を引いた後でその隣に押印すると、さらにその印影を訂正されて異なる印鑑を押されてしまう可能性があります。
文書の場合は二重線訂正をよく使いますが、印鑑の訂正に使ってしまうと悪用されかねないので注意が必要です。
まとめ
遺産分割協議書の作成は想像以上に大変であり、準備として相続財産や相続人の調査も発生します。
遺産の分け方にも全員の同意が必要ですし、準備段階から相当な労力や時間が必要になるでしょう。
特定の相続人の不満を押さえこむ場合もありますが、何とか同意にこぎつければ遺産分割協議書は完成します。
しかし、ここで押印漏れが判明すると、不満のある相続人が再度協力してくれない可能性も出てきます。
印鑑一つのために遺産分割が停止しないよう、作成段階から最終チェックまで、相続の専門家へ依頼しておくのもよいでしょう。



