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相続手続き

最終更新日:2021.08.24

続手続きは自分でできる?
相続登記の流れ・必要書類・費用まとめ

相続手続きは自分でできる?相続登記の流れ・必要書類・費用まとめ

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続手続きが自分でできるかの判断基準がわかる
  • ■ 相続登記が必要になる3つの相続パターンがわかる
  • ■ 自分でする相続登記の流れや必要書類がわかる
  • ■ 相続登記に必要な費用やその他の相続手続きがわかる

自宅の敷地や賃貸事業用の土地など、相続財産には土地が含まれているケースが多く、いずれも所有者が亡くなると相続登記が必要になります。難易度が高いという先入観があり、これまでは放置しても行政罰はありませんでした。しかし2024年から相続登記義務化が施行され罰則も科されるので、自分で相続登記できるようにしたいところですが、果たして可能でしょうか?

今回は「自分でやる相続登記」をテーマに、手順や必要書類などを詳しく解説します。

相続手続きを自分でできるケース・難しいケース

自分で相続手続きを始めたものの、途中で挫折するケースは少なくありません。今までの時間や労力が無駄になってしまうので、ある程度の判断基準をもっておくとよいでしょう。相続手続きを自分でできるケース、専門家へ任せた方がよいケースには次のような例があります。

自分で相続手続きを始めてもよいケース

相続手続きには複雑なものが多く、「自分でできるのか?」と不安になることもありますが、以下のような条件が揃っていれば、自分で相続手続きを始めてもよいでしょう。

  • 配偶者と子供だけが相続人の場合

  • 時間に余裕がある場合

  • 根気強く対応できる

相続人の関係が複雑になると、必要書類の準備だけでギブアップというケースもあります。また役所へ何度も通うことになりますが、基本的に平日の昼間しか開いていないので、時間に余裕がなければ相続手続きは進められません。手間や専門知識も必要になるため、根気強さがなければ自分で相続手続きをやるのは難しいといえます。

相続手続きを専門家に依頼した方がよいケース

複雑な相続手続きは素人の手に負えないことが多く、進め方がわからないためスタート直後に停滞する場合もあります。次のようなケースは途中で挫折する可能性が高いので、自分でやるよりも専門家への依頼を前提にするとよいでしょう。

  • 兄弟姉妹の相続や代襲相続が発生する場合

  • 相続人同士の仲が悪い場合

  • 相続登記を放置していた不動産がある場合

  • 特殊な遺産分割をする場合

  • 相続登記を急ぐ場合

  • 遠方の不動産を相続する場合

  • 保存期間を経過した書類がある場合

それでは1つずつ見ていきましょう。

兄弟姉妹の相続や代襲相続が発生する場合

配偶者と子供だけの遺産相続に比べ、兄弟姉妹の相続や代襲相続は集める書類が膨大です。ちなみに兄弟姉妹が相続人となるケースでは、以下の書類が相続手続きに必要です。

  1. 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍
  2. 相続人の現在戸籍(被相続人の子供が死亡していた場合は子供の死亡がわかる戸籍)
  3. 被相続人の親や祖父母の死亡がわかる戸籍(被相続人が養子の場合、実の親や祖父母の死亡がわかる戸籍)

配偶者と子供だけの場合は(1)と(2)を準備しますが、兄弟姉妹や代襲相続になると収集の範囲が一気に広がります。数カ所の役所に出向く必要もあるため、「自分でできるのか?」と不安になったときは、専門家への依頼も検討することをおすすめします。

相続人同士の仲が悪い場合

複数の相続人がいる場合、必要書類の収集を分担することもできますが、仲が悪ければ協力は期待できません。非協力的な相続人がいると遺産分割協議も進まないため、いつまで経っても相続手続きが終わらない可能性もあります。

相続登記を放置していた不動産がある場合

ご先祖名義のまま放置されている不動産は決して少なくありませんが、相続登記の際には戦前の旧民法を持ち出さなければならないケースも出てきます。法律の解釈には専門知識が必要となり、戸籍を辿るだけでも気の遠くなる作業です。

特殊な遺産分割をする場合

主な相続財産が不動産だけの場合、代償分割や換価分割を利用するケースも出てきます。代償分割は、不動産の相続人が他の相続人に金銭を支払うものであり、換価分割では不動産などを売った金銭を分け合うことになります。いずれも遺産分割協議書の書き方を誤ると贈与税が発生するため、自分でやるよりも専門家に関わってもらうことをおすすめします。

相続登記を急ぐ場合

相続した不動産は相続人名義に変更しないと売却できません。相続税の納税資金にするため売却を急ぐ場合や、不動産会社から催促されている場合は、相続登記も迅速・確実に済ませておく必要があります。仕事などが忙しく自分でできるか不安な方は、司法書士への依頼も想定しておくとよいでしょう。

遠方の不動産を相続する場合

住んでいる地域と不動産の所在地が離れている場合、評価額の判定や法務局の手続きに支障をきたすでしょう。時間の確保が難しい方は専門家へ任せた方がよいかもしれません。

保存期間を経過した書類がある場合

遺産相続の手続きには戸籍の附票を提出する場合もありますが、永久保存ではないため、すでに廃棄されていることもあります。戸籍の附票がない場合、不動産の登記済証や登記識別情報通知の写しなど、さらに多くの書類を提出することになります。間違いがないよう法務局とのすり合わせも必要なので、自分でできるか不安な場合は、専門家を交えた方がよいでしょう。

相続登記の3つの種類

相続手続きには様々なものがありますが、その中でも最も手続きが複雑なものが、相続登記です。ここからは、相続登記について解説します。

まず、不動産の相続登記は次の3パターンに分かれます。遺言書の有無によって準備物や手続きの流れも変わるので、遺言書が残されているかどうか必ず確認しておきましょう。

遺言内容に従って相続するパターン

被相続人が遺言を残していれば、原則として遺言どおりに財産を分けます。ただし、公正証書遺言以外の遺言は家庭裁判所の検認が必要なので、発見してもすぐに開封しないよう注意してください。ただし、相続人全員が遺言内容に納得しない場合は、話し合いによる遺産分割も認められています。

遺産分割協議によって相続するパターン

遺言書に相続人全員が反対した場合、または遺言書がない場合は、相続人全員が話し合って遺産の分け方を決めます。この話し合いを「遺産分割協議」といい、話し合いが決着した後は遺産分割協議書を作成します。相続登記にも使うため、誰が不動産を相続するのか記載しておきますが、相続人全員の署名・捺印(実印)も必要なので、忘れないよう注意しましょう。

法定相続分どおりに相続するパターン

民法では各相続人の取り分の指標として、法定相続分を定めています。遺言書がない相続では遺産分割協議を行うか、または法定相続分どおりに遺産を分けることになります。法定相続分には相続順位に応じた割合があり、以下のように定められています。

相続登記の3つの種類
  • 配偶者と子供が相続:配偶者1/2、子供1/2(複数いれば人数割り)

  • 配偶者と被相続人の親または祖父母が相続:配偶者2/3、親1/3(父母ともに生きているときは2分割)

  • 配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

法定相続分どおりに財産を分ける場合は遺産分割協議書も必要ありませんが、不動産の所有権を分け合う「共有」には注意しましょう。共有状態の不動産は、共有者全員の同意がなければ活用も売却もできず、相続の度に共有者の数も増えていきます。

相続登記を自分で行う流れ

相続登記を自分で行う流れ

複雑な条件がなければ自分でも相続登記は可能です。手続きの流れは以下のとおりですが、具体的な内容や必要書類も順序別に解説します。

  1. 相続財産の特定
  2. 被相続人の戸籍などを収集(相続人調査)
  3. 相続人の確定および必要書類の収集
  4. 遺産分割協議書の作成(遺言がない場合)
  5. 登記申請書の作成および申請

相続財産の特定

不動産の相続手続きでは所在地や面積、権利関係などを特定するため、以下の書類を取り寄せます。

  • 土地の登記事項証明書(全部事項証明書):法務局

  • 登記済権利証や登記識別情報、登記完了証:法務局

  • 固定資産税納税通知書:役場の担当部署

  • 土地の名寄帳:役場の担当部署

戸建ての場合は土地と建物それぞれの登記事項証明書を取り寄せますが、マンションの場合は土地・建物が一体、または別々になっている場合があります。

被相続人の戸籍などを収集

もっとも大変な作業が被相続人の戸籍集めです。遺産相続の手続きでは被相続人の死亡、相続人の範囲を第三者に証明するため、以下の書類を収集します。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、除籍、原戸籍など:役場の担当部署

  • 被相続人の住民票の除票:役場の担当部署

転籍がある場合は、被相続人の住所地以外の役場から取得することになります。

相続人の確定および必要書類の収集

被相続人の戸籍などが集まったら、内容を追跡しながら相続人を確定させます。想定外の相続人が発覚するケースもあるので、注意深く確認しましょう。相続人の範囲が確定したら、必要書類を準備します。相続登記に必要な資料は後ほど詳しく解説します。

遺産分割協議書の作成

遺言書がない場合は遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には相続人全員の署名・捺印(実印)が必要であり、相続登記の際には全員の印鑑証明書も添付します。

登記申請書の作成および申請

相続用の登記申請書は法務局、または法務局ホームページから入手できます。遺言書の種類や遺産分割協議の有無によって様式が異なるので、間違えないように注意しましょう。

所有権移転登記申請書(法務局)

相続登記の必要書類

自分で相続登記を行うときは、以下の書類を法務局へ提出します。

【自分で用意する書類】

  • 遺産分割協議書

  • 委任状(代理人に手続きを依頼する場合)

【役所に交付申請する書類】

  • 相続人全員の印鑑証明書:1通200~300円程度

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本:1通450円

  • 被相続人の住民票の除票:1通300円

  • 相続人全員の戸籍謄本:1通450円

  • 固定資産評価証明書:1通300~400円程度

【法務局に交付申請する書類】

  • 相続登記申請書:無料(法務局窓口または法務局ホームページで入手)

  • 相続関係説明図:無料(自分で作成し、法務局で認証してもらう)

  • 登記事項証明書:1通480~600円(取得方法により異なる)

登記事項証明書は「オンライン申請+窓口交付」がもっとも安く、1通480円で取得できます。また、相続関係説明図を法務局に認証してもらうと、戸籍謄本の原本が返還されるので、その他の相続手続き用に別途準備する必要がありません。

登記事項証明書のオンライン申請(法務局)

相続登記を自分でする際に必要な費用

戸籍や住民票、収入印紙など、自分で相続登記する場合は以下の費用が必要です。各書類は一通(一部)分の費用であり、自治体によっては若干異なる場合もあります。

  • 被相続人の戸籍謄本:450円~750円

  • 被相続人の住民票の除票:300円

  • 法定相続人の戸籍謄本:450円

  • 法定相続人の住民票:300円

  • 法定相続人の印鑑証明書:300円

  • 固定資産評価証明書:300円

  • 収入印紙:登録免許税の税額による

上記の費用に加え、交通費などの実費が必要になります。

相続登記以外に必要な相続手続き

家族が亡くなった後の手続きは実に多く、相続登記以外にも次のような手続きが必要です。期限のあるものは優先的に対応しますが、期限がなくても放置すると後々デメリットが生じるので、なるべく早めに済ませておきましょう。

相続登記以外に必要な相続手続き

相続開始から7日以内

  • 死亡診断書(または遺体検案書)の取得

  • 死体埋葬火葬許可証の取得

  • 死亡届の提出

死亡診断書は病院から取得し、死亡届とともに役場へ提出します。

相続開始から10日~14日以内

  • 年金受給停止の手続き・年金受給権者死亡届の提出(厚生年金は10日以内)

  • 国民健康保険証の返却

  • 介護保険の資格喪失届

  • 住民票の抹消届、住民票の除票の申請

  • 世帯主の変更届

年金の受給停止を忘れると、不正受給とみなされるので特に注意してください。

相続開始から3カ月~4カ月以内

  • 相続放棄または限定承認(3カ月以内)

  • 相続の承認または放棄の期間の伸長(3カ月以内)

  • 被相続人の準確定申告(4カ月以内)

相続放棄を判断する場合、相続財産のすべてが明らかになっている必要があります。

相続開始から10カ月~1年以内

  • 相続税の申告および納付(相続発生を知った日の翌日から10カ月以内)

  • 遺留分侵害額請求(1年以内)

相続税の申告・納付期限を過ぎると、延滞税などの罰則が科せられます。

【関連記事】

【お亡くなりから相続税申告までのスケジュール】相続手続きガイド

法務局で相続手続きをするときの流れ

相続登記の申請は法務局窓口、郵送、オンラインの3種類から選べます。簡易なミスはその場で訂正できるので、初めて自分でやる方は窓口申請がおすすめです。窓口申請は以下の手順になりますが、必ず不動産の管轄法務局へ申請するようにしてください。管轄法務局がわからないときは、法務省のホームページから所在地や連絡先を確認できます。

  1. 管轄法務局の窓口へ必要書類一式を提出する
  2. 法務局内の購買所で登録免許税分の収入印紙を購入して貼付する
  3. 窓口の係官に再度申請し、登記受付番号をメモに控える
  4. 窓口の横に掲示された登記完了予定日を確認し、登記完了日付を聞いておく
  5. 相続登記が完了したら、再度法務局に出向いて完了書類をもらう(登記受付番号が必要)

不動産を相続すると登録免許税(税率0.4%)が発生し、収入印紙によって納税します。収入印紙は法務局でも購入できるので、必ず現金も用意しておきましょう。

なお、登記申請の窓口は相続登記以外(不動産売買など)の申請も多いため、順番待ちになるケースがよくあります。相続登記の義務化直前には、駆け込み乗車的な登記申請が増えると予想されるため、不動産を相続した方はできるだけ早めに相続登記を済ませてください。

法務局・地方法務局所在地一覧(法務省)

相続手続きを自分でするメリット・デメリット

不動産の情報は法務局で管理されており、所有者が亡くなった後は相続人の情報へ変更します。この手続きを相続登記といい、相続手続きの中でも特に複雑といわれています。相続登記は自分でもできますが、次のようなメリット・デメリットがあるので、双方を理解した上で判断することをおすすめします。

相続手続きを自分でするメリット

相続登記を自分でやるメリットは「費用」です。司法書士に依頼すると5万円~10万円程度の費用が発生し、手続きが複雑であればあるほど、また登記の件数が多いほど費用も高額になります。自分で対応すると実費(戸籍の取得費など)だけで済むでしょう。

相続手続きを自分でするデメリット

相続登記を自分でする場合、労力や時間のロス、漏れや間違いのリスクといったデメリットがあります。必要書類を集めるだけでも相当な労力と時間を要し、書類に不備があればやり直しになってしまいます。相続登記をしないまま年月が経つと権利関係者も増えるため、数十人の相続人から同意をもらわなければならない事態も発生します。さらに、今後は相続登記の放置に罰則を科すよう法改正も進められています。

まとめ

相続登記などの手続きは自分でも十分対応できますが、難易度の高さはフタを開けてみるまでわかりません。手続きを進める途中で、まったく予想していなかった相続人や財産が発覚することもあります。イレギュラーが発生すると対応方法を調べなくてはならず、その間、相続手続きは停止するため、最悪の場合は相続税申告に間に合わなくなるでしょう。自分で相続手続きを始める場合は、困ったときにいつでも相談できる専門家も見つけておくことをおすすめします。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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