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遺産分割

最終更新日:2025.02.28

産分割とは?
遺産分割協議の流れや手続き、
相続における注意点を解説

遺産分割とは?遺産分割協議の流れや手続き、相続における注意点を解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 遺産分割の方法
  • ■ 遺産分割の手続きの流れ

「被相続人(亡くなった人)の遺産は、どのように分割すればよいのだろう?」

今回は、上記のようなお悩みを抱えた方へ向けて、遺産分割の方法や分割手続きの流れなどを解説します。

遺産分割とは

遺産分割とは、被相続人(亡くなった人)の遺産を相続人で分け合うことです。

「いつまでに遺産分割をしなければならない」という期限は特にありませんが、相続税がかかる場合には、未分割のままでは正確な税額を計算できません。

また、遺産を相続する人がいつまでも決まらずにいると、「相続人の1人が、勝手に遺産の不動産を変更登記して売却した」などのトラブルが発生する恐れもあります。

このため、相続が始まったら、なるべく早めに遺産分割に取りかかることをおすすめします。

遺産分割の方法

遺産を分割する方法には、以下の四つがあります。

  1. 現物分割
  2. 代償分割
  3. 換価分割
  4. 共有分割

ここでは、次のシチュエーションを想定しながら、それぞれの分割方法について詳しく見ていきます。

相続人 長男・次男の2人
遺産 土地 評価額 2,000万円
家屋 評価額 1,000万円
預貯金 1,500万円

現物分割

メリット デメリット
・財産をそのままの状態で引き継げる
・財産の相続先が明確
・財産の価値に差がある場合、公平性を欠くことがある

現物分割とは、財産ごとに相続人を決めて分ける方法を指します。前述の例でいうと、長男と次男で次のように分割するのが「現物分割」です。

相続人 相続する財産
長男 ・土地:2,000万円
・家屋:1,000万円
次男 ・預貯金:1,500万円

現物分割のメリットは、「誰がどの財産を相続するのか」が明確でわかりやすく、実家など思い入れのある財産を売却などせずそのままの状態で引き継げることです。

一方で、上の例のように「長男の取得金額は3,000万円」なのに対して「次男の取得金額は1,500万円」と、公平性を欠くことがあるのはデメリットといえます。

代償分割

メリット デメリット
・公平性を保てる
・財産をそのままの状態で引き継げる
・相続人に代償金を支払うだけの財力がなければ難しい

代償分割とは、不動産などの現物の財産を相続することになった相続人が、他の相続人に金銭(代償金)を支払うことで公平性を保つ方法です。

先ほどの「現物分割」で挙げた下記の分割方法では、長男のほうが次男よりも多くの財産を相続しているため、不公平感が残っていました。

相続人 相続する財産
長男 ・土地:2,000万円
・家屋:1,000万円
次男 ・預貯金:1,500万円

そこで、長男が自分の預貯金から、次男に750万円支払うことで、下記のように平等な分割になります。

長男 3,000万円-750万円=2,250万円
次男 1,500万円+750万円=2,250万円

ただし、この方法を取るには、そもそも長男が750万円以上の預貯金を持っていることが前提です。

このように代償分割は、現物の財産を取得する相続人に、代償金を支払うだけの財力がなければ採用できないことがデメリットになります。

換価分割

メリット デメリット
・容易に公平性を保てる ・財産の売却に、時間・手間・費用がかかる

換価分割とは、分割が難しい不動産などを売却し、お金に換えてから分配する方法です。

今回の例ではまず、相続財産のうち「土地2,000万円」と「家屋1,000万円」は売却してしまいます。

売却にあたっては、仲介業者に手数料を支払わなければなりません。仮に手数料が「100万円」だとすると、残りの「2,000万円+1,000万円-100万円=2,900万円」と「預貯金1,500万円」を長男と次男で下記のように分割することになります。

長男 (2,900万円+1,500万円)÷2=2,200万円
次男 (2,900万円+1,500万円)÷2=2,200万円

換価分割は、相続人の財力に余裕がなかったとしても、財産を平等に分けられる方法です。

しかし、不動産などを売却する際に業者とやり取りする時間や手間がかかるだけでなく、仲介手数料を取られたり、売却して利益が出ると譲渡所得税が発生したりするのも難点です。

共有分割

メリット デメリット
・容易に公平性を保てて、不動産などの財産を手放さずに済む ・共有分割した不動産は、その後の処分が難しくなる

共有分割とは、分割が難しい不動産などを「相続人で共有する」ことで公平性を保つ方法です。前述の例では、下記のように分割することを指します。

相続人 相続する財産
長男 ・土地の持分:1/2
・家屋の持分:1/2
・預貯金:750万円
次男 ・土地の持分:1/2
・家屋の持分:1/2
・預貯金:750万円

共有分割は換価分割と違って、不動産を売却する必要がありません。このため、思い入れのある実家などを手元に残せるのはメリットだといえます。

一方で、共有している不動産は、建て替えや売却をする際に「共有者全員の同意」が必要です。

たとえば、将来的に長男が実家の売却をしたいと考えても、次男が反対すると売りに出せません。また、その後の相続で長男と次男の子供がそれぞれ共有分割して所有者が増えてしまうと、全員の合意が取りにくくなり、さらに処分は難しくなります。

遺産分割の手続きの流れ

遺産分割の手続きの流れは、以下の5ステップです。

  1. 遺言書の有無を確認する
  2. 相続財産を確認する
  3. 法定相続人を確定する
  4. 遺産分割協議を行う
  5. 遺産分割協議書を作成する

それぞれの工程を詳しく見ていきましょう。

遺言書の有無を確認する

遺産分割の流れは、遺言書の有無で大きく変わります。

遺言書がない場合は、この先で紹介するステップを順に踏んでいく必要がありますが、遺言書があれば、基本的には書かれている内容どおりに分割して終了です。

遺言書は下記のような場所に保管されていることが多いので、被相続人が亡くなったときは探してみてください。

  • 被相続人の部屋(机の引き出し・タンスの中など)

  • 自宅の金庫

  • 銀行の貸金庫

  • 法務局

  • 関係のあった弁護士・司法書士・行政書士の事務所 など

もしも遺言書が見つかったら、未開封のまま家庭裁判所へ持っていき、検認を受ける必要があります(法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していない自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合)。

なお、遺言書が残っていたとしても、法定相続人の全員(と遺贈を受けた人がいればその全員)が同意をすれば、遺言書どおりではなく遺産分割協議によって分割方法を決められます。

遺言書とは?遺言書の種類や効力、書き方の文例を解説
遺言書の開封前に行う検認とは?家庭裁判所へ申し立てる際の必要書類と流れを解説

相続財産を確認する

遺言書がなかった場合、まずは分割の対象となる「相続財産」の確認を行います。把握すべき財産は、以下の二つです。

プラスの財産 ・現金
・預貯金
・有価証券
・不動産
・車
・貴金属
・美術品 など
マイナスの財産 ・借金
・税金や医療費などの未払金
・葬式費用 など

ここで注意すべき点は、相続財産は「プラスの財産」だけではなく、「マイナスの財産」も含まれるということです。被相続人に借金があれば、相続人が引き継いで返済しなければなりません。

ただし、プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、「相続放棄」や「限定承認」の手続きをすることで、被相続人の借金を肩代わりする必要はなくなります。

相続放棄 プラスもマイナスも含めて、すべての財産の相続権を手放す
限定承認 すべての財産の把握ができていない段階で手続きし、その後はプラスの財産の範囲内でマイナスの財産の返済義務を負うことになる

相続放棄を自分で手続きする流れ・必要書類【費用相場や注意点も紹介】
限定承認とは?相続放棄との違いやメリット・デメリットを解説

法定相続人を確定する

次のステップは、「法定相続人の確定」です。

民法では法定相続人として、遺産を相続する人の優先順位を下図のように定めています。

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被相続人の配偶者は、必ず法定相続人になります。そして、ほかの人の優先順位は「第1順位:被相続人の子供」「第2順位:被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)」「第3順位:被相続人の兄弟姉妹」の順です。先順位の人から相続人になり、自分より先順位の人がいる場合は相続人になりません。

法定相続人を確定させるときには、必ず「被相続人の出生から死亡までの連続するすべての戸籍謄本」を取得して確認してください。

「家族なのだから、わざわざ戸籍謄本を見なくても家系図を書いて、相続人を確認できる」と思うかもしれませんが、まれに被相続人に隠し子や音信不通のきょうだいがいることもあります。

遺産分割の時点で把握できていなかった法定相続人が後から見つかると、この先の工程がすべてやり直しになります。このため、法定相続人の調査は綿密に行ってください。

法定相続人とは?範囲や相続割合、確認するときの注意点について解説

遺産分割協議を行う

相続財産と法定相続人が確定したら、「誰がどの財産を相続するか」を相続人全員で話し合います。これを「遺産分割協議」と呼びます。

遺産分割協議をする際に参考になるのが「法定相続分」です。民法では法定相続分として、法定相続人ごとに相続する遺産の割合の目安が次のように決められています。

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この法定相続分を参考にしながら、相続人全員で遺産の分割方法を話し合ってください。

法定相続分とは?法定相続人の優先順位と遺産の相続割合の計算方法を解説

遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議がまとまったら、その結果を「遺産分割協議書」として書面化してください。

画像

遺産分割協議書は、次の内容を記載したうえで、相続人全員が署名・押印をして完成します。

  • 被相続人の氏名・死亡日・最後の本籍地

  • 被相続人の死亡により相続が発生し、法定相続人全員で協議したこと

  • 相続財産の内容と相続人の氏名

  • 遺産分割協議が成立した日付

遺産分割協議書を作成しておくことで、後になって「言った」「言わない」でもめるなど、遺産分割を巡るトラブルを予防できます。また、遺産分割協議書は不動産の相続登記をするときや、金融機関で口座を解約するときにも必要となります。

遺産分割協議書とは?必要になるケースや作成の流れ・注意点まとめ
【ひな形】遺産分割協議書は自分で作れる?作成の流れと提出方法について

遺産分割協議がまとまらない場合は調停を申し立てる

遺産分割協議で、すべての相続人が完全に平等に遺産を相続できないケースもあるでしょう。特に相続財産に不動産があると分割が難しいため、もめる原因になりやすいです。

もしも遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に「調停」を申し立てて解決することを検討してみてください。

遺産分割の調停では、専門知識や経験を有する「調停委員」が相続人それぞれから聞き取りをしたうえで、最適な分割方法を提案してくれます。

遺産分割調停の具体的な流れは、下記のとおりです。

家庭裁判所へ申し立てる ・相続人または受遺者(遺贈を受けた人)の1人以上が、相手方のうちの1人の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てる
・申立てには「申立書・遺産目録・相続人全員の戸籍謄本」などの書類が必要
・費用として「収入印紙1,200円分」と「相続人への連絡用の切手代」がかかる
調停委員から聞き取りがされる ・相続人全員が裁判所に集められ、調停委員から意見や経済状況などを個別にヒアリングされる
・調停委員との話し合いは、1~2カ月に1回のペースで行われる
調停案が提示される ・調停委員との話し合いを経て、提示された調停案に相続人全員が納得すれば、その案で遺産分割をする
審判に移行する ・調停案に納得しない相続人がいて、合意の見込みがない場合には「審判」に移行する
・家庭裁判所の主導で分割方法の検討が進められ、最終的な判断は裁判官に委ねられる

遺産分割のよくある質問

最後に、遺産分割についてよくある以下の四つの質問にお答えします。

  1. 遺産分割が終わった後に、遺言書が見つかった場合はどうすればよいですか?
  2. 借金を相続したくないときの対応方法はありますか?
  3. 介護などで貢献していた人は、ほかの相続人よりも多く相続できますか?
  4. 生前贈与を受けた相続人がいる場合はどうすればよいですか?

遺産分割が終わった後に、遺言書が見つかった場合はどうすればよいですか?

基本的に遺産分割の場では、遺言書の内容が最優先です。このため、すでに行った遺産分割協議の内容に関わらず、遺言書どおりに分割することになります。

ただし、法定相続人の全員(と遺贈を受ける人がいればその全員)が合意をすれば、遺産分割協議の内容で分割することも可能です。

借金を相続したくないときの対応方法はありますか?

相続放棄」の手続きをすれば、被相続人の借金を相続せずに済みますが、プラスの財産を相続する権利も失います。

また、預貯金や不動産などの「プラスの財産」と借金などの「マイナスの財産」のどちらが多いかわからない場合は、「限定承認」の手続きをするのも有効です。限定承認をしておけば、借金の返済義務を負うのはプラスの財産の範囲内のみとなります。

なお、相続放棄も限定承認も、相続開始を知ってから3カ月以内に手続きをしなければならない点に注意してください。

介護などで貢献していた人は、ほかの相続人よりも多く相続できますか?

介護を行った相続人がいる場合、被相続人が介護士に支払う費用が削減されたとして、「寄与分」が認められるケースがあります。

寄与分が認められた人は、ほかの相続人よりも多く遺産を相続できます。詳しくは、下記をご参照ください。

寄与分とは?適用要件や計算方法・主張方法を解説
寄与分の相場はいくら?主張し認められるまでの流れや注意点

生前贈与を受けた相続人がいる場合はどうすればよいですか?

生前贈与のように、一部の相続人のみが受けた恩恵のことを「特別受益」といいます。

この特別受益は、遺産分割の場で考慮しなくても構いません。しかし、特別受益を受けていない相続人から不満が出た場合には、特別受益を相続財産に持ち戻す(加算する)ことで平等に遺産分割ができます。

たとえば、被相続人が「母親」、相続人が「長男」と「次男」の2人で、相続財産が「5,000万円」だったとします。このとき、長男が母親から1,000万円の生前贈与を受けていて、次男がそれに不満を感じていた場合には、次のように遺産分割することも可能です。

1. 生前贈与を相続財産に持ち戻す 5,000万円+1,000万円=6,000万円
2. 法定相続分どおりに遺産分割する 6,000万円×1/2=3,000万円
→長男・次男で3,000万円ずつ
3. 特別受益の分を差し引く 【長男】3,000万円-1,000万円=2,000万円
【次男】3,000万円-0円=3,000万円

特別受益とは?該当するケースや生前贈与の持ち戻し計算方法、相続対策を解説

遺産分割で迷ったら専門家に相談しよう

今回は、被相続人の遺産の分割方法を解説しました。実際に相続が発生したときには、この内容を参考にして、分割の方法を検討してみてください。

ただし、相続の場では大金がからむことで、今まで仲が良かった家族でもトラブルに発展してしまうことが少なくありません。

遺産分割でもめてしまった場合には弁護士に相談し、第三者の意見を参考にしながら解決することをおすすめします。

司法書士 田中 千尋
  • この記事の監修者

  • 司法書士 田中 千尋

VSG司法書士法人
代表 司法書士

昭和62年生まれ、香川県出身。
相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

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【出典元】
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