生命保険が相続税対策になる理由
死亡保険金の非課税枠を活用できる
生命保険の死亡保険金は残された家族の生活保障になるため、相続放棄をしていない法定相続人が受け取るものに限り一定額までが非課税になります。
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計算式
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死亡保険金の非課税限度額:500万円×法定相続人の数
死亡保険金から非課税限度額を差し引いた金額が相続税の課税対象となり、法定相続人1人につき500万円、2人いれば1,000万円を受取保険金の額から控除できます。
死亡保険金の受取人には相続税がかかる?遺産分割時の取り扱いも解説
納税資金に充てられる
被相続人の預貯金は、遺産分割が決定し、誰が取得するか決まったあとに、取得者の口座に振り込まれます。
遺産分割がスムーズに進めば問題ありませんが、申告期限までに分割が決まらない可能性もあり、分割が決まったとしても遺産分割協議書を始めとする書類を金融機関に提出してから、預貯金が振り込まれるまでには2週間以上かかることもあります。
これに対して、生命保険金は請求書類が生命保険会社に届き次第、5営業日以内に受取人の口座に振り込むとしている会社が多いため、納税資金などに充当できます。
保険の積み立てが実質的な贈与になる
生前に保険料を支払うことは、被相続人の財産を減らす効果があります。保険金額が非課税枠内であれば、相続人が保険金を受け取ることで相続税もかかりません。
これにより、保険料を実質的に受取人へ贈与したのと同じ効果が得られます。また、この方法であれば、被保険者である被相続人が亡くなるまで保険金を受け取れないため、生前に財産を使い込まれる心配もありません。
生命保険で生前贈与をする方法とは?メリット・デメリットや注意点について
生命保険にかかる相続税の計算方法
相続税の計算では、この金額までは相続税がかからないとする基礎控除がありますが、生命保険の非課税枠は別枠として設けられています。ここでは、生命保険にかかる相続税の計算方法について、具体例を挙げて生命保険の節税効果を解説します。
相続税の基礎控除と税率
相続税の計算では、以下の基礎控除額や税率などを反映させます。
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計算式
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相続税の基礎控除額:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
相続財産の取得金額に応じた税率および控除額は下表のとおりです。
相続財産の課税価格の合計額(正味の遺産額)から基礎控除額を差し引いたあとの金額を、各法定相続人が法定相続分に従って取得したものと仮定して案分し、下記の速算表を用いて計算した額を合計して相続税の総額を求めます。この相続税の総額を、実際に各相続人が取得した財産額で案分した額が、各人の相続税額となります。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
生命保険に加入していない場合の計算例
はじめに、生命保険に加入していない場合の相続税を、以下の条件で計算してみます。
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法定相続人:妻(相続割合は1/2)、子2人(相続割合は1/4ずつ)
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相続財産:1億円の現金
正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた残りの額を課税遺産総額といいます。
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計算式
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相続税の基礎控除額:3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
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計算式
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課税遺産総額:1億円-4,800万円=5,200万円
次に、各法定相続人が法定相続分に従って相続したものと仮定して課税遺産総額を按分し、相続税の速算表から税率や控除額を用いて、相続税の総額を計算します。
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計算式
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妻:5,200万円×1/2×15%-50万円=340万円
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計算式
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子:5,200万円×1/4×15%-50万円=145万円(子は2人いるため、計290万円になります)
妻と子2人分を合計すると、相続税の総額は630万円になります。実際に各相続人が納める相続税額は、相続税の総額に相続割合を乗じて計算しますが、ここでは相続税の総額の計算までとします。
生命保険に加入している場合の計算例
相続税対策として生命保険に加入している場合の相続税を、以下の条件で計算します。
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法定相続人:妻(相続割合は1/2)、子2人(相続割合は1/4ずつ)
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相続財産:1億円(7,000万円の現金と3,000万円の生命保険)
はじめに、保険金から非課税額を差し引き、課税対象となる金額を計算します。
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計算式
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生命保険の課税額:3,000万円-500万円×3人=1,500万円
相続税の基礎控除額は、生命保険未加入の場合と同様に4,800万円であるため、現金と生命保険の課税額を合計したものから4,800万円を差し引きます。
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計算式
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課税遺産総額:7,000万円+1,500万円-4,800万円=3,700万円
続いて、相続税の総額を計算します。
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計算式
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妻:3,700万円×1/2×15%-50万円=227万5,000円
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計算式
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子:3,700万円×1/4×10%=92万5,000円(子が2人いるため、計185万円になります)
妻と子2人分を合計すると、相続税の総額は412.5万円で、生命保険に加入していない場合と比べて、217万5,000円の節税となります。
相続税対策として生命保険を使うときの注意点
相続税対策として生命保険を活用するときの注意点について見ていきましょう。
死亡保険金が相続税の対象となるように契約をする
生命保険を契約する際は、契約者(保険料負担者)、被保険者、保険金の受取人をそれぞれ決めますが、相続税対策として加入する場合は契約者と被保険者を同一人にします。「契約者(保険料負担者)=被保険者」ではない場合、保険金は所得税や贈与税の課税対象になります。
生命保険の契約パターンは、以下を参考にしてください。
- 相続税の課税対象:契約者(保険料負担者)A、被保険者A、保険金受取人B
- 所得税の課税対象:契約者(保険料負担者)B、被保険者A、保険金受取人B
- 贈与税の課税対象:契約者(保険料負担者)C、被保険者A、保険金受取人B
1 のパターンは相続税の課税対象となるため生命保険の非課税枠を使えますが、2 のパターンは保険金受取人Bに所得税が課税されます。受け取った保険金額から、払い込んだ保険料の総額と特別控除50万円を差し引いた額に1/2を乗じた額が課税の対象となります(一時所得)。
3 のパターンは保険料負担者CからBへの贈与とみなされ、贈与税の課税対象になります。
終身型保険に加入する
保険商品には、契約期間に定めのある掛け捨てタイプの「定期保険」と、一生涯保障の続く「終身保険」があります。相続税対策として加入する場合、終身保険への加入がおすすめです。定期保険は終身保険に比べて保険料は安くなりますが、保険期間の満了とともに保障も終了するため、生存中に保険期間の満了を迎えた場合、死亡時に保険金は受け取れないので注意が必要です。
配偶者には配偶者控除が認められるため相続税がかかる可能性は低い
相続が発生した際、被相続人の配偶者には「配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)」という規定があります。配偶者が相続する正味の遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までであれば相続税はかかりません。
つまり、配偶者は1億6,000万円まで、保険金の非課税枠を適用せずとも納税負担がない、あったとしても少なくて済むことになります。
そのため、配偶者以外を保険金の受取人に指定したほうがより納税額が少なくなります。
相続開始後に受取人の変更はできない
生命保険金は、相続放棄をしていない相続人が受け取ると「500万円×法定相続人の数」の額が非課税になります。
しかし、孫や子の配偶者といった法定相続人ではない人や、相続放棄した相続人が受け取る場合は非課税枠を適用できません。
終身保険は主契約の更新がないため、保険内容を見直すタイミングがほとんどありません。受取人の変更は、被保険者が亡くなった後にはできないため、相続税対策として効果的な受取人を指定しているかどうか、相続開始前に確認しておきましょう。
なお、生命保険に加入していることを家族に知らせていないケースもありますが、相続が発生したときの納税資金準備にも影響するため、家族には必ず伝えるようにしてください。
生命保険以外の相続税を節税する方法
相続税対策として生命保険は有効な手段ですが、所有資産を活かした節税対策や、相続財産を減額させる贈与など、他にもさまざまな手段があります。
生前贈与で相続財産を減らしておく
贈与には年間110万円までの基礎控除があり、長期にわたって少しずつ贈与することで相続財産を減額できます。
さらに贈与税には、住宅を取得する際に直系尊属からの贈与が最大1,000万円まで非課税となる住宅取得等資金の贈与の特例、1,500万円まで非課税となる教育資金の一括贈与の特例、1,000万円まで非課税となる結婚・子育て資金の一括贈与の特例、2,000万円まで非課税となる夫婦間の不動産贈与の特例などさまざまな特例が設けられているため、家族構成や資産状況に応じた制度を、節税対策として活用しましょう。
養子縁組で相続税の基礎控除額を増やす
法定相続人の数が多いほど相続税の基礎控除額が増えるため、養子縁組も相続税対策として有効です。
相続税法上、法定相続人と認められる養子は実子がいれば1人、いない場合は2人までとなっています(民法上、養子縁組は何人でも認められていますが、先記の人数を超える養子は基礎控除額の計算に含まれません)。
ただし、子や親がおらず、推定相続人である兄弟姉妹が複数人いる場合、養子を迎えることで法定相続人の数が減り、結果として相続税が高くなる場合もあるため、必ずしも養子縁組が節税対策になるわけではありません。
不動産の活用
未利用の土地がある場合、アパートやマンションを建築し、賃貸に出すことによって貸家建付地としての評価となるため評価額が下がります。
また、建物は固定資産税評価額によって評価しますが、賃貸物件の場合、相続税評価額は自用の建物の70%の評価額となります。
まとめ
生命保険には相続税を減額させる効果があり、残された家族の生活資金や納税資金としても活用できますが、契約者や受取人などの契約内容によっては相続税対策にならない場合もあります。
対策を適切に行うためには、専門家のアドバイスが重要です。専門家に相談すると、家族構成や財産内容に応じた相続対策を考えてもらえます。
どのような相続税対策がよいかわからない場合は、相続を専門とする税理士へ相談するとよいでしょう。



