相続した土地の売却でかかる主な税金
相続した土地を売却する際にかかる可能性のある税金は、主に以下の三つです。
- 譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)
- 登録免許税
- 印紙税
それぞれ詳しく見ていきましょう。
税金1. 譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)
「譲渡所得税」とは、土地を売却して得た利益に対して課される税金の総称です。
具体的には、「所得税・住民税・復興特別所得税」の三つを合わせて「譲渡所得税」と呼びます。
譲渡所得税は、土地を売却した翌年に確定申告をして納税します。具体的な税額の計算方法については、後述します。
税金2. 登録免許税
「登録免許税」は、不動産登記の手続きをする際に国に納める税金です。
2024年4月1日から相続登記は義務化され、相続で不動産を取得したときには3年以内に相続登記の申請が必要となります。
また、原則として不動産の所有者以外が売却することはできません。そのため、相続した土地を売却するにあたっても相続登記が必要です。
登録免許税は、以下の手続きにおいてかかります。
| 手続き | 概要 |
|---|---|
| 相続登記 | ・被相続人(亡くなった人)から、土地の取得者へ名義を変更する際にかかる ・税額は「固定資産税評価額 × 0.4%」 |
| 抵当権の抹消登記 | ・相続した土地に住宅ローンなどの抵当権が設定されており、売却に際して抹消する場合は、その登記にも登録免許税がかかる ・税額は、不動産一つにつき「1,000円」 |
相続登記でかかる登録免許税の計算方法・納付方法【免除されるケースは?】
税金3. 印紙税
「印紙税」は、契約書などを作成する際に課される税金です。
土地の売買契約書を作成するときに、契約金額に応じた収入印紙を貼り付けて納付します。
たとえば、契約金額が「1,000万円を超え、5,000万円以下」の場合、印紙税額は「1万円(※印紙税の軽減措置の適用後)」です。
具体的な税額については、国税庁のウェブサイトでご確認ください。
【参考】消費税がかかる場合もある
ここまで紹介した税金には消費税はかかりませんが、土地を売却する際に不動産会社へ支払う「仲介手数料」や、司法書士へ登記手続きを依頼した場合の「司法書士報酬」などには消費税がかかります。
なお、土地そのものの売買代金に「消費税」はかかりませんが、建物には消費税がかかります。
売主が相続した建物を不動産賃貸などの事業用として使用していた場合、建物売却代金は課税売上げとなります。消費税の納税義務の判定があることを留意してください。
譲渡所得税の計算方法
ここからは、土地を売却した際に、もっとも税額が大きくなりやすい「譲渡所得税」の計算方法について詳しく見ていきます。
まず、土地の売却による利益である「譲渡所得」を計算します。具体的な計算方法は、下記のとおりです。
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計算式
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譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
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売却価格:土地が売れた金額
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取得費:その土地を、もともと取得したときにかかった費用
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譲渡費用:今回の売却のためにかかった費用
次に、算出した譲渡所得に税率を掛けて税額を求めます。
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計算式
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譲渡所得税額 = 譲渡所得 × 税率
譲渡所得税の税率は、「土地を所有していた期間」によって変わります。
以下では、この計算に必要な「取得費・譲渡費用・税率」のポイントと、具体的な計算シミュレーションを見ていきます。
取得費に含まれる費用
「取得費」とは、対象の土地を過去に取得した際にかかった費用のことです。具体的には、下記のような費用が含まれます。
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被相続人などが土地を購入したときの代金
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購入時の仲介手数料
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購入した土地の登記にかかった費用 など
取得費は、被相続人が土地を購入した際の「売買契約書」や「領収書」など、費用を証明できる資料があれば、その金額をもとに計算します。
もし、購入時の資料が見つからず、取得費が分からないときは、売却価格の5%を「概算取得費」として計算することが認められています。
ただし、概算取得費を使うと実際の取得費よりも大幅に低くなるケースが多く、結果的に譲渡所得が大きくなって、税額が高くなりやすいです。
以上のことから、取得費を把握する際は、できる限り購入時の資料を探すことが重要です。
譲渡費用に含まれる費用
「譲渡費用」とは、今回の土地売却のために直接かかった費用のことです。漏れなく計上することで、譲渡所得を圧縮し、税負担の軽減につながります。
具体的には、下記の費用が含まれます。
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不動産会社へ支払った仲介手数料
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売主が負担した売買契約書の印紙代
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売却のために行った測量費用
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売却のために建物を解体した場合の解体費用
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売却に際して支払った立ち退き料 など
税率は土地の所有期間で変わる
譲渡所得税の税率は、「売却した土地を何年間、所有していたか」によって、下記のように変動します。
| 所得税 | 住民税 | 復興特別 所得税 |
合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 (所有期間が5年を超える) |
15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
| 短期譲渡所得 (所有期間が5年以下) |
30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
なお、相続で取得した土地の所有期間は「被相続人がその土地を取得した日」から計算を引き継ぎます。
このため、相続人が取得してから5年経っていなくても、被相続人の所有期間と合わせて5年を超えていれば長期譲渡所得の税率が適用されます。
また、所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判断する点には注意が必要です。
たとえば、下記のケースの場合、実際の所有期間は「5年1カ月」で、5年を超えています。
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土地を取得した日: 2020年4月1日
-
土地を売却した日: 2025年5月30日
しかし、税率を判定するうえでの所有期間は売却した年(2025年)の1月1日時点で計算するため、「2020年4月1日から2025年1月1日まで」の「4年9カ月」となり、5年以下です。
したがって、このケースでは短期譲渡所得の税率である「39.63%」が適用されます。
【具体例】税金計算シミュレーション
ここでは、譲渡所得税は実際にどれほどかかるのか、下記のケースでシミュレーションしてみます。
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売却価格:4,000万円
-
譲渡費用:200万円
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所有期間:8年(長期譲渡所得)
まず、土地の取得費が「1,500万円」だと判明している場合、次の計算によって、譲渡所得税額は「約467.2万円」になります。
| ステップ | 計算式 |
|---|---|
| 譲渡所得の計算 | 4,000万円 - (1,500万円 + 200万円) = 2,300万円 |
| 譲渡所得税額の計算 | 2,300万円 × 20.315% = 約467.2万円 |
一方で、取得費が不明な場合は、概算取得費(売却価格の5%)を使用することになり、譲渡所得税額の金額は「約731.3万円」で、先ほどより「約264万円」も高くなってしまいます。
| ステップ | 計算式 |
|---|---|
| 取得費の計算 | 4,000万円 × 5% = 200万円 |
| 譲渡所得の計算 | 4,000万円 - (200万円 + 200万円) = 3,600万円 |
| 譲渡所得税額の計算 | 3,600万円 × 20.315% = 約731.3万円 |
以上のシミュレーションから、取得費を証明する資料が残っていることが、いかに重要かが分かります。
適切に処理して税負担を軽くする二つのポイント
譲渡所得税は、次のポイントを押さえることで、負担を軽減できる可能性があります。
- 特例・控除を適切に活用する
- 取得費・譲渡費用を正確に把握する
ポイント1. 特例・控除を適切に活用する
相続した土地を売却する際は、状況に応じて税負担が軽減される特例や控除があります。主な特例の概要は、下表のとおりです。
| 特例・控除 | 概要 |
|---|---|
| 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 | ・相続税を納めた人が対象 ・納めた相続税の一部を「取得費」に加算できる ・相続開始後「3年10カ月以内」に売却していることが要件 |
| 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 | ・被相続人が一人で居住していたが、相続後は空き家になった不動産を売却する人が対象 ・譲渡所得から最大3,000万円を控除できる ・相続開始後3年目の年末までの売却や、家屋に関する要件などを満たす必要がある |
| 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 | ・自分が居住している家を売却した人が対象 ・譲渡所得から最大3,000万円が控除される ・住まなくなってから3年目の年末までに売却することなどの要件がある ・所有期間に関する要件はない |
| マイホームを売ったときの軽減税率の特例 | ・自分が居住している家を売却した人が対象 ・所有期間が10年を超えていることが要件の一つ ・譲渡所得税の税率が、6,000万円以下の部分は合計14.21%(所得税10%+住民税4%+復興0.21%)、6,000万円を超える部分は合計20.315%(所得税15%+住民税5%+復興0.315%)に軽減される |
| 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除 | ・活用予定のない空き地などの「低未利用土地」などを売却した人が対象 ・売却価格が500万円以下であること、都市計画区域内であることなどの要件がある ・譲渡所得から最大100万円が控除される |
これらの特例・控除が適用されるためには、売却した翌年に確定申告を行わなければなりません。
また、上記の表はそれぞれの特例の主なポイントをまとめたものですが、実際には細かな要件が定められており、併用できない制度もあります。空き家特例にいたっては、家屋とその敷地の両方を相続していないと適用されないため、遺産分割の時から気をつける必要があります。
そのため、特例・控除の適用を検討される方は、相続専門の税理士にアドバイスを受けることをおすすめします。
ポイント2. 取得費・譲渡費用を正確に把握する
譲渡所得税の計算式は下記のとおりで、「取得費」と「譲渡費用」が大きいほど税額は安くなります。
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計算式
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譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
そこで、まずは確実に「土地の取得費」を把握することが重要です。亡くなった人の書類や古い記録などを探して、当時の取得費がいくらだったのか調べましょう。
ここで取得費がわからずに、「概算取得費(売却価格の5%)」を使うことになると、税額が大幅に増えかねません。
また、税負担を軽減するには、「譲渡費用」を漏れなく計上することも有効です。
仲介手数料や測量費など、売却のためにかかった費用は領収書などを保管しておき、確実に譲渡所得の計算から差し引きましょう。
税負担が軽減される適切な処理方法は専門家に相談!
今回は、相続した土地の売却にかかる税金や、適切に処理して税負担を軽くするためのポイントについて解説しました。
譲渡所得税などに関して、「自分はどの特例が適用されるのかわからない」「取得費の資料が見つからない」などお困りのことがあれば、相続専門の税理士に相談することをおすすめします。
初回の面談を無料で行っている事務所もありますので、まずは気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。



