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遺言書

最終更新日:2022.10.31

贈と相続の違いとは?
手続きや税金などの異なる点5つ

遺贈と相続の違いとは?手続きや税金などの異なる点5つ

このコンテンツでわかること

  • ■ 遺贈と相続の違い
  • ■ 遺言書作成時の遺贈と相続の使い分け
  • ■ 遺贈と相続の手続きや税金などの違い5つ

相続という言葉には思想や教えを引き継いでいく意味があり、もともとは仏教用語ですが、現在は財産の承継や相続手続きなどの実務を指しています。一方、遺産相続では遺贈という言葉を使うケースもありますが、財産の承継という意味では相続とあまり変わりません。

どちらを使ってもよさそうに思えますが、法律上は明確な違いがあるため、相続手続きなどの実務で使い分けると、メリットやデメリットが生じる場合もあります。

今回は、相続と遺贈の違いをわかりやすく解説しますので、遺言書の作成予定がある方や、遺産相続が発生した方はぜひ参考にしてください。

遺贈と相続の違いとは

画像

上記の表からも分かるように、遺贈とは、遺言書で受遺者を指定し、無償で財産を譲る行為です。

受遺者には制限がないので、法定相続人ではない孫や、第三者に遺贈しても構いません。

一方、相続の場合は財産の承継者が法定相続人に限られており、配偶者や子供など、一定範囲の血族のみ財産を取得できます。

遺贈も相続も財産の承継には変わりありませんが、遺言書で第三者に財産を渡すことを遺贈といい、法定相続人による財産の引き継ぎが相続となります。また、財産を渡す人、受け取る人にも以下の違いがあります。

  • 遺贈:財産を渡す人が遺贈者、受け取る人が受遺者

  • 相続:財産を渡す人が被相続人、受け取る人が相続人

相続の場合、相続人は配偶者や一定範囲の血族に限られますが、遺贈の場合は配偶者や血族、第三者や法人でも受遺者に指定できます。

ただし、相続よりも遺贈の方が事務負担は重くなり、税金も高くなってしまうため、遺言書を作成するときは両者の違いを理解しておく必要があります。

【関連リンク】

遺贈と相続で手続きや税金など異なる点5つ

遺言書を作成する場合、法定相続人以外の人への財産承継は「遺贈する」としか書けません。一方、法定相続人には「相続させる」「遺贈する」のどちらを使っても構いませんが、あえて遺贈と書くメリットはないため、「相続させる」と書くとシンプルに相続が進むでしょう。

法律の考え方も、亡くなった方の財産は家族が相続することを前提としているため、遺贈は例外的な扱いといえます。遺贈と相続には以下のような違いがあるので、相続手続きや税負担の違いを理解しておきましょう。

不動産相続への影響

遺贈と相続では、不動産の承継に大きな違いがあります。相続による承継は事務負担や税負担が軽くなりますが、遺贈の場合は逆となり、登記申請に必要な書類が増えて、各種税金も高くなります。

具体的には以下のような違いがあるので、受遺者のメリットやデメリットを把握しておきましょう。

不動産の遺贈は事務負担が重くなる

相続や遺贈で不動産を取得した場合、相続人または受遺者に所有権を移転させる必要があります。所有権の移転は法務局に申請しますが、相続した不動産は相続人が単独で手続きできます。

一方、不動産を第三者に遺贈した場合、登記申請には法定相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書などが必要です。受遺者と法定相続人の関係が良好であれば問題ありませんが、対立関係にあると、必要書類の取得に協力してもらえない可能性があるでしょう。

ただし、遺言執行者がいれば、受遺者と遺言執行者だけで登記申請できます。受遺者が遺言執行者になれば単独手続きになるため、遺言書の実現に不安があるときは、受贈者を遺言執行者に指定しておくとよいでしょう。

遺贈の場合は登録免許税が高くなる

不動産の所有者が変わった場合、新たな所有者には登録免許税が課税されます。税額は「固定資産税評価額×税率」で計算しますが、遺贈と相続では以下のように税率が異なります。

  • 計算式

  • 遺贈の場合:固定資産税評価額×税率2%

  • 計算式

  • 相続の場合:固定資産税評価額×税率0.4%

では、固定資産税評価額3,000万円の不動産について、遺贈と相続の税額を比較してみましょう。

  • 計算式

  • 遺贈の場合:3,000万円×2%=60万円

  • 計算式

  • 相続の場合:3,000万円×0.4%=12万円

登録免許税は現金一括納付が原則なので、高額な不動産を遺贈すると、受遺者が納税資金を準備できない可能性もあります。不動産を遺贈するときは、受遺者にメリットがあるかどうかを十分に検討しましょう。

不動産を遺贈すると不動産取得税が発生

相続以外で不動産を取得したときは不動産取得税がかかりますが、相続で取得した場合は同税は課税されません。ただし、不動産を特定遺贈した場合には不動産取得税が発生します。

  • 計算式

  • 不動産取得税:固定資産税評価額×税率3%(2024年3月31日までの軽減税率)

  • 計算式

  • 税額の計算例:固定資産税評価額3,000万円×3%=90万円

特定財産の遺贈を特定遺贈といい、不動産を遺贈すると不動産取得税が課税されますが、財産の取得割合を指定する包括遺贈であれば課税されません。

包括遺贈の場合、受遺者と相続人は同等の地位といえるため、不動産取得税の課税についても相続人と同じ扱いになっています。

所有権への影響

相続の場合、不動産の相続登記を行っていなくても所有権を主張できますが、遺贈では移転登記が完了するまで所有権を主張できません。したがって、遺贈された不動産を登記する前に債権者が差し押さえた場合、受遺者は対抗できないことになります。

不動産の遺贈があったときは、できるだけ早めに所有権移転登記を済ませてください。

借地権や借家権の承継

借地権や借家権については、遺贈と相続に以下の違いがあります。

  • 遺贈の場合:賃貸人(地主など)の承諾が必要

  • 相続の場合:賃貸人の承諾は不要

賃借人(借主)が死亡した場合、賃貸借契約は相続人に承継されるため、継続して借りる場合には賃貸人の承諾を必要としません。

なお、遺贈によって不動産を取得すると、賃貸人へ譲渡承諾料を支払うケースもありますが、相場は借地権価格の10%程度になっています。

農地相続への影響

農地には農地法が適用されており、取得するときは農業委員会、または都道府県知事の許可が必要となりますが、法定相続人の農地相続であれば許可は不要です。一方、第三者が取得するときは原則として農業従事者に限られるため、受遺者が農業従事者ではなかった場合は、農業委員会に許可されない可能性が高いでしょう。

農業委員会の許可がなければ所有権の移転登記もできないため、結果的に受遺者が遺贈を辞退(遺贈の放棄)するケースも考えられます。

また、特定遺贈であれば登録免許税の一般税率が適用され、不動産取得税も発生します。農地は特殊な相続財産になるため、農業従事者以外への遺贈はデメリットが大きいでしょう。

受遺者は相続税の基礎控除に影響しない

相続税には基礎控除があり、以下のように計算するため、法定相続人の数が多いほど控除額も高くなります。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

法定相続人が1人であれば3,600万円、2人の場合は4,200万円となり、基礎控除額が高くなると相続税の課税対象額は減少します。遺産総額が基礎控除以下であれば相続税は非課税となり、税務署に申告する必要もありません。

ただし、計算式には法定相続人しか反映できないため、受遺者が何人いても基礎控除には影響しません。遺言書で孫を受遺者に指定した場合、親族だからという理由で基礎控除の計算に含めてしまうケースもありますが、孫は原則として法定相続人ではないので注意してください。なお、代襲相続人となった孫は基礎控除の計算に含めます。代襲相続とは、孫が自分の親の相続権を引き継ぐ制度です。被相続人よりも先に子供が亡くなっていた場合、その子供に子(被相続人の孫)がいれば、第1順位の相続人に繰り上がるため、孫も法定相続人となります。

【関連リンク】

遺贈には相続税の2割加算が適用される

相続税が発生する遺贈の場合、受遺者には相続税の2割加算が適用されます。法定相続人以外への遺贈が2割加算の対象となるため、第三者だけではなく、孫や子供の配偶者に遺贈しても2割加算が適用されます。

また、亡くなった方の兄弟姉妹や祖父母については、法定相続人になるケースでも2割加算の対象となります。

遺贈は偶然性の高さ(本来得るはずのなかった財産を得た状況)などを理由に税加算されるので、法定相続人以外の受遺者は税負担が重くなります。遺贈には税負担の軽減措置もほとんどないため、遺贈する金額や財産の種類を考慮しなかった場合、受遺者のデメリットが大きくなる可能性もあるでしょう。

まとめ

民法や税法には様々な優遇措置があり、相続人の地位が脅かされる、あるいは相続税のために自宅を売ることがないよう配慮されています。ただし、適用できるケースは相続に限られており、対象者も特定の相続人となるため、財産の取得だけが遺贈のメリットといえるかもしれません。

受遺者の事務負担や税負担は相続よりも重くなっていますが、受遺者となる場合には想定外の財産を取得することでデメリットも被ることを認識しておいた方がよいでしょう。

遺言書では受遺者を自由に指定できますが、不用意に作成すると相続トラブルにつながりかねません。誰に何を渡せばよいか、どう書けば無効にならないか、といった悩みは遺言書作成にはつきものです。迷ったときは早めに専門家へ相談してください。

税理士 桑原 弾
  • この記事の監修者

  • 税理士 桑原 弾

昭和55年生まれ、兵庫県出身。
大学卒業後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した知識」と「元国税調査官としての経験」の両輪を活かして相続税申告を実践している。

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【出典元】
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