
子育て世代の資産形成は「先取り」で「積立」がコツ
子育て世代はお金のやりくりが大変です。マイホームの購入、マイカーの買い替え、子供の教育費など、大きなお金のかかるイベントが目白押しだからです。子供たちのための教育費は、準備ができなかったから先送り、というわけにもいかないお金です。子育て世代は計画的なお金の準備を心がけていきましょう。
マイホーム購入、海外旅行、教育費…。将来の「ライフイベント」を把握しよう
お金の運用と言うと、「どんな商品に投資するか」から考える人が多いかもしれません。しかし着実に資産形成するためには、家族のライフプランから考えるようにしましょう。
私たちは将来の何らかの目的を達成するためにお金を貯めることが多いと思います。子育て世帯であれば、子供の教育、マイホームや自動車の購入、海外旅行、老後の生活など様々なライフイベントが続くでしょう。これらのライフイベントでは一般的に数十万円、数百万円、マイホームに至っては数千万円とまとまったお金が必要になります。
単にお金が増えるのがうれしいという人も多いですが、何のために貯めるのか、目的が具体的になった方が高いモチベーションを維持して資産形成することができるはずです。「ライフプランシート」を活用して、これから発生するライフイベントを予測してみましょう。

「いつ」「何のために」「いくら」必要? 「ライフプランシート」で備える
ライフプランシートには、これからの人生で「いつ」「何のために」「いくら」必要なのかを記入します。そのために下の図のような年表を作成していきます。ノートなどに書いて作成してもいいですが、パソコンを活用できればずっと楽に作成できるでしょう。
横方向でも縦方向でも良いので30年分程度の枠を作成し、それぞれの年の年末時点で家族がそれぞれ何歳になっているか年齢を記入します。そして、何歳の時に何をするのか、そしていくらお金がかかりそうなのか予算を記入していきましょう。
「お金がない」と思っていると、ライフプランシートを埋められないかもしれません。お金があるとしたならやってみたい、ということであれば、まずは書いてみることが大切です。その上で、どうしたら実現できるのか知恵を絞り、行動してみましょう。それでも難しそうであれば、後で削除すればいいだけです。ライフプランシートは何度でも書き直すことが可能なので、気軽に記入・修正しましょう。

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目標実現に向けてコツコツ資産形成しよう
ライフプランシートが埋まってくれば、いつまでに、いくら用意しないといけないのかが可視化されます。たとえば、10年後までに300万円準備するのであれば、年間30万円ペースで貯める必要があります。月2.5万円の積み立てを10年間続ければ、単純計算で合計300万円貯めることができます。超低金利環境が続いていますので、預貯金だけを使って積み立てるなら利息は期待せずに積立ペースを単純計算すればよいでしょう。
その300万円を仮に、「10年後に家族で海外旅行に行く」ためのお金と想定してみましょう。予定通り準備できなかったら行先を変えよう、というくらいの目標であれば、リスクを取って運用するという方法もあります。運用による利益を期待するなら、積立ペースを月2万円程度に抑えることもできるでしょう。
しかしこの300万円を仮に「10年後の子どもの大学入学費用」と想定するとどうでしょうか。お金がないから大学進学をあきらめる、ということがないようにできるだけ確実に貯めたいところでしょうから、大きなリスクを取った運用はしにくくなります。このように資産形成の目的によって、心理的にリスクを取りやすいかどうかは変わってきます。

無理な積立ペースにならないために必要なこと
同じ300万円でも3年で貯める目標であればどうでしょうか。1年あたり100万円のペースになりますから、月8~9万円の積み立てが必要になってしまいます。また、3年後に必要なお金を株式の運用で得ようとすれば、短期間でもお金が大きく増える可能性がある一方で、失敗して元本割れしてしまう確率がかなり高くなります。
このように準備する期間が短いと、無理な積立ペースになりますし、リスクを取った運用も難しくなります。できるだけ長い期間をかけられるようにすることが資産形成のコツです。面倒かもしれませんがライフプランを立てて、一日も早く資産形成を始めましょう。
資産形成の王道 「先取り貯蓄」って?
お金を使う前に収入から先取りしてお金を積み立てることを「先取り貯蓄」と言いますが、資産形成に成功した方の多くが利用してきた方法です。月々は少額でも長期間にわたりコツコツ積み立てることができれば、大きな資産を作ることができます。
勤め先に財形貯蓄制度が導入されていれば利用してみましょう。給料から天引きして貯めてくれるので確実に貯めることができます。財形制度がなければ、銀行の積立定期預金を利用するのもひとつの方法です。給料振り込み日の直後に積立日を設定しておけば、お金を使う前に着実に積み立てることができます。
また、低金利が続いているため減少傾向にありますが、学資保険や終身保険など貯蓄型の保険を利用した積立も多く利用されてきました。保険は中途解約した場合に元本割れする可能性が高いのがデメリットですが、そのデメリットがあるからこそ積立を続けられると前向きに考える利用者もいます。
また、個人向け国債を毎月購入し積み立てる方法もあります。銀行や証券会社、郵便局などの金融機関で債券口座を開設すれば、額面1万円以上1万円単位で購入することができます。毎月発行されるので、毎月購入すれば積立と同じ効果になるので試してみましょう。

つみたてNISAやiDeCoも併用しよう
ただ、預貯金ばかりではなかなかお金は増えません。最近ではつみたてNISAやiDeCoを活用して積立投資をする人も増えてきました。老後資金の準備が目的であれば、所得控除などのメリットのあるiDeCoの活用が合理的です。老後資金以外の教育資金などの形成が目的であれば、いつでも売却し引き出せるつみたてNISAを活用しましょう。ただし、積立投資を長く続けていくとリスク資産の金額も大きくなっていきます。もしものときに大幅に保有資産が減ってしまい、ライフプランが実現できない、ということにならないようリスクの取りすぎには十分に注意しましょう。運用益が非課税になるなどメリットの多いこれらの制度を、安全資産である預貯金や個人向け国債などによる積立と上手に組み合わせることで、より効率的に資金準備をすることが可能になるでしょう。